─第22話─


─部室─


律「夏と言えばスイカ割りだな!」

澪「今、冬だけどな」

 「ひいき目に見ても春の初めだろうよ」

唯「さむいからふゆだよ」

律「じゃあ冬と言えば何を割るんだ、って話をしたくてね」

紬「メロンかしら」

唯「メロンって冬の食べ物なの?」

澪「え、どうだろ……」

梓「だけどウォーターメロンっていうくらいですから

  ウォーターを抜いたら逆に冬のメロンですよ」

律「?」

澪「?」

唯「?」

紬「えらいわぁ、梓ちゃん」ナデナデ

梓「むへへ」ニャー

唯「私の家では冬になっても特にメロンを食べなきゃ~って事は無いよ?」

澪「冬によく食べると言えば みかんかな」

律「じゃあ、みかん叩き割ろうぜ!!」ムホー!!

梓「食べ物を粗末にしちゃダメです!!」

澪「確かにな」

律「じゃあ何を叩き割ればいいって言うんだよ」

梓「さわ子先生のメガネを叩き割りましょう」

律「いいな!」

澪「いや、悪いだろ」

紬「りっちゃんはどうして そんなに何かを叩き割りたいの?」

律「冬だから」

澪「でもお前、夏はスイカを叩き割りたいんだろ?」

律「そりゃそうだろ」

紬「りっちゃんは常に何かを叩き割りたい異常者なの?」

律「そうさ」

唯「今までの冬は何を叩き割っていたの?」

律「自分の殻を」

梓「おや、いい話になった」

澪「でも、そんな簡単に自分の殻なんて叩き割れるものなのか?」

律「おぉ、ゆでたまごの殻みたいにバリバリ喰ってやったぜ」

紬「えっ」

唯「うぃっ」

梓「ははぁ……」

律「なんだ、生理か?」

紬「私、お金持ちだから知らなかったけど

  貧しい家の出の者は、ゆでたまごの殻もイケてしまうの?」

澪「その理屈でいくと私は金持ちの家の出の者になってしまうぞ」

 「だって殻は食べないから」

梓「私もです」

唯「私もだよ」

律「え、なに。お前ら、たまごの殻は喰わない派? バカだなぁ」

澪「まぁな、やる気か?」

梓「律先輩は全人類を敵にまわすことになりましたが分かっているのでしょうか」

律「そういえば聡は喰わないなぁ、殻」

 「アイツは賢いのかバカなのか分からなくなる時があるからなぁ」

澪「お前は確実にバカだといついかなる時も分かりやすいよ」

紬「どうなのかしら。エビの尻尾にはカルシウムがあるから

  食べるのも良いと聞いたことはあるけれど」

梓「あっ、携帯で調べたら、殻をすり潰して摂取する連中もいるらしいです!!」

律「ほら見ろ、正しいじゃねぇか、このアタシが!!ばーか!!」

澪「悪かったよ、これからも健やかに卵の殻を食べ続けてくれ、アーメン」

律「なんだよ、最後のアーメンは」

澪「ほら……お前、ラーメン好きだろ?」

律「好き好き!!」

紬「じゃあ良かったじゃない」

律「おぉ」

紬「ところでタイムリーな事に、今日はメロンを持ってきたんだけど」

唯「すごい!」

律「早速、割ろうぜ!!」

梓「もったいないですよ!!!」

律「なんだコイツ。じゃあ夏にスイカを叩き割るのは

  もったいなくないってのかよ!?」

 「このメロン野郎が!!!」

梓「スイカを割っても、そのまま食べれそうだけど

  メロンの場合、グチャグチャになりそうじゃないですか」

律「やった事あるのかよ」

梓「そりゃないですけど」

律「やらないうちに、あきらめちゃうのかよ!?いくじなし!!」

梓「いくじなしって言われたの、生まれて初めてだなぁ」

紬「まぁいいじゃない梓ちゃん。もし食べられなくなっても

  私達の思い出になればメロンもムダではないわ」

梓「そうですね!」

澪「今日の梓は、やけにムギに対して従順だなぁ」

梓「昨日、10万円いただいたので今日一日、私はドレイなんです!」エヘッ

唯「いいなぁ~」

律「じゃあ この奇麗なメロンをスイカのように吹っ飛ばしてやるぜ」ゴクリ

澪「その言い回しに意味はあるのか?」

唯「ねぇねぇ、スイカ割りって目隠しするけど

  メロン割りって何を隠すの?」

澪「とりあえず律の存在そのものを世間から隠したいところだがな」

梓「メロンはスイカの3倍くらいの値段ですから

  視覚だけでなく聴覚も奪いましょう」

澪「そうだな」

紬「3倍なら あと一つくらい、何かを封じたいわね」

律「そんなに張り切らなくてもいいとアタシは思うんだ」

唯「手足を斬りおとしたらどうかなぁ」

律「や、やめろ!!」ドキッ

唯「ドキッとさせただけだよ~」ピョンピョン

梓「唯先輩すごいです!!私、ドキドキしちゃいました!!」

紬「ほほほ」

梓「いっそ発想を逆転させてはどうでしょうか?」

澪「というと?」

梓「目隠し、というから耳をふさぐとか隠すベクトルばかり考えていましたが

  いっそ何も隠さないという選択肢……つまり律先輩の服を剥ぎとるんですよ!!」

唯「さすがだね、あずにゃん」

紬「決まりだわ」

律「どういうこと?」

澪「脱げ」

律「おっしゃーーーーーー!!!!!」スッポーン


─廊下─

姫子「先生、さようなら!」

エリ「さよなら~」

さわ子「はい、さようなら」


律「あぁ……おぉ……」ヨロヨロ


エリ「わぁああああ!?」

姫子「あっ、律!」

さわ子「なぜ、全裸で目隠しして耳にヘッドフォンして

    体中に携帯電話を貼り付けて棒をもってウロついているの?」

和「律!!全裸で校内を歩くのは校則違反よ!!」

さわ子「校則というか、まず人として間違っているわ」

エリ「さわちゃん先生、かしこいっ!」

さわ子「えへへ」

律「あぁあああ、メロンどこだよぉおおお」ブゥン

姫子「あぶなっ!!」

エリ「棒を振り回した!!」キャー

和「やめなさい律!!自分が何をしているか分かっているの!?」

さわ子「ムダよ、あの子の耳にはもう何も届かない……」

   「だってヘッドフォンしてるから」

エリ「さわちゃん先生、かしこいっ!」

さわ子「てへへ」

ヴヴヴヴヴヴ

エリ「あっ、律の右腕にくくりつけてある携帯が震えてる!!」

律「こっちかぁああ」ブゥン

ヴヴヴヴヴヴヴ

姫子「今度は律の左腕にくくりつけてある携帯が震え始めた」

律「こっちかああぁぁ」ブゥン

さわ子「どうやら携帯電話の着信に反応して動いているようね」

姫子「一体、なんのためにこんな事を……」

和「あ」

 「あれは唯と澪の携帯電話だわ!」

姫子「電話で誰かが律を操っているんだ!」

エリ「きっと軽音部のオメガマンみたいな子だよ!狡猾そうな顔してたもん!」

姫子(誰のことだろう……?)

さわ子「あれを利用して、うまく交互に唯ちゃんと澪ちゃんの携帯に電話をかければ

    りっちゃんの動きをコントロール出来るわね」ピッ ピッ

ヴヴヴヴヴヴヴヴ

律「あぁぁぁぁあああ?」ヨタヨタ

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ

律「おおぉおおおおおお?」ヨタヨタ

エリ「さわちゃん先生、うまい!!」

ヨタヨタ…… ヨタヨタ……

姫子「律が学校の外に出て行ったわ」

さわ子「これで危険は去ったわね」

ブッブーーー

キキキキキィィィィィ


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和「律がトラックに撥ねられたわ」

さわ子「私のせいじゃ、ないわよね」



─第22話─

 お
   わ

      り



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