─第18話─


─部室─

律「明日は学校休みだけど、みんな 予定あるのか?」

唯「午前中は心おきなく うんちをするよ」

梓「私はそれを観察して」

紬「私はそれを採取して」

澪「私は楽器屋に行く」

律「お、お前 ウンコ持って楽器屋に行くのか?」

澪「私は そこの三人とは無関係なんだよ」

梓「楽器屋さんって、先週も行きませんでしたっけ」

澪「明日はレフティフェアがあるから、ちょっと お店をのぞいて見たいんだ」

紬「そんなことより、みんなで唯ちゃんのトイレをのぞきに行かない?」

梓「賛成です!!」

唯「だ、だめだよー!!」

梓「今、唯先輩のトイレをのぞくか 楽器屋をのぞくか

  2対1ですが律先輩はどちらにつきますか?」

律「別にトイレも楽器屋も のぞきたくないな」

紬「じゃあ、りっちゃんは何をのぞきたいの?」

律「お前らをけいおん部から除きたい」

梓「そんな……」

唯「だめだよ、りっちゃん!!ムギちゃんの紅茶は おいしーし!!」

律「そうだなぁ」

紬「やった♪」セーフ

梓「一方、私は何が おいしーんですか?」ワクワク

唯「あたまが」


梓「頭が?」


唯「おかしい」


ガチャッ

さわ子「ケーキ!」

律「え?」

澪「もう あの人は生徒にお菓子をねだることに なんの迷いもないんだ」

梓「憧れるなぁ」

唯「あずにゃんも お菓子が欲しいの?」

梓「パンティ」

唯「ねぇねぇ、さわちゃんって お休みの日、なにしてるの?」

さわ子「たこあげ」

澪「えっ」

律「たこあげって、あの正月とかにやる、あの たこあげ?」

さわ子「その たこあげよ」

澪「い、いい大人が たこあげしてるんですか?」

梓「たったひとりで?」

紬「おぉ、主よ……」

さわ子「何よ、大人が一人で凧揚げしてちゃ悪いの!?」

唯「悪いのは世の中だよ」

さわ子「うっ、うぅ……」グスッ

梓「しかし、誰からも相手にされないからって、たこあげですか」

さわ子「ネコたちが寄ってきてくれるから、一人じゃないもん!!」

唯「よかったぁ」

澪「休日に一人きりで凧揚げする女教師は いなかったんだ」

律「さわちゃん、ネコに好かれてんの?」

さわ子「さぁ、よく分からないけれど寄ってくるのよ」

梓「ムギ先輩みたいに いいニオイがするのかも知れませんね」

紬「えっ、私っていいニオイがするのかしら?」ワクワク

唯「ムギちゃんって、とんこつラーメンのニオイがするんだよね!」

紬「

紬「うっ、うぅ……」グスッ

唯「悪いのは世の中だよ」

澪「いや、お前だよ」

律「もうちょっと言い方ってモノがあるだろうが」

さわ子「なんで泣いてるの? とんこつラーメンおいしいじゃない」

梓「体臭が とんこつラーメンと言われて喜ぶ女子は あまり いませんよ」

唯「じゃあ、あずにゃんは どういうつもりで

 『ムギちゃんは いいニオイ!』って言ったのかな?」

梓「ムギ先輩のニオイは薫り高きイベリコ豚なんです」

澪「おぉっ!あれ、おいしいよなッ!!」

紬「うっ」

 「うぅおおおおおおおおおおおおおお」ガガッシャァッァナナ

 「いてえよおおおおおおお!!!!!!!!!!」ドグシャァァアア!!!

梓「おっ、落ち着いてくださいハート様!!」


紬「心が痛いよ……」グスッ

澪「哀しみを怒りに変えて生きるといいよ」

澪「ところで律。みんなの予定を聞いてたけど何かあるのか?」

律「いや別に~」

 「ヒマだから、予定空いてる誰かと遊ぼうと思っただけだよん」

梓「しかし我々は唯先輩のうんこを楽器屋に持っていくので……」

澪「私は無関係だ!!」

紬「りっちゃんも一緒に来る?」

律「絶対に行くものかよ」

梓「そうだ、さわ子先生の凧に唯先輩のうんこをくくりつけて

  空から撒き散らしましょうよ!!」

さわ子「どうしたらいいの、母さん……」

律「わかった唯、お前もう 明日は うんこするな」

唯「分かった」

紬「そ、そんな……」

梓「でも 排便する事が出来ない唯先輩に何ができるというんですか」

唯「憂の誕生日を祝うことくらい出来るはずだよ」

澪「ん?」

唯「うにの誕生日お岩を琴CRY出来ロハスだよ」

律「なに言ってんだコイツ」

梓「一人伝言ゲームに失敗したようです」

梓「そういえば2月22日は憂のお誕生日でしたっけ」

 「いつだったか純から聞いたような」

澪「そうなのか?」

唯「うん。ちなみに私はすでにプレゼントを用意してあるよ~」

律「ふ~む」

 「知ったからには、お祝いしなきゃなぁ」

澪「そうだな。唯がこうしてギターの練習ができるのも

  憂ちゃんが唯の面倒を見てくれてるからだものな!」

澪「練習してないけど」

紬「私、憂ちゃんのためにケーキを持っていくわ!」

 「ううん、特別な日だもの。明日は自分で作る!」

さわ子「のりかかった船ね」

    「私も 憂ちゃん用のかわいいメイド服でも徹夜で仕立ててあげようかしら」

律「いいねいいね、盛り上がってきたね。そんじゃ、明日は唯の家に集合だ!」

一同「おー!!」

唯「みんな、ありがとう!!」

 「きっと憂、喜ぶよ!!」


 ─翌日─

 ─平沢邸─

ピンポーン

憂「はーい」

ガチャ

梓「あっ、憂」

憂「あれっ、梓ちゃん、どうしたの? 律さんたちも……それに先生まで」

律「せーのっ」

律「澪「紬「梓「さわ子「憂ちゃん、お誕生日おめでとうっ!!」」」」」

憂「!!」

 「ありがとうございます!!」パァ~

憂「じゃあ今日は お姉ちゃんと2人きりで過ごすので

  もう帰ってください」

梓「えっ」

バタン

梓「……」

律「……」

澪「……」

紬「……」

さわ子「……みんなで凧揚げでもする?」



─第18話─

  おわり



─第19話─


─廊下─

さわ子「フンフンフ~ン♪」スタスタ


─部室─

ガチャッ

さわ子「ティラミス!」

純「な、何がですか?」ビク

さわ子「違うのよ」

梓「さわ子先生、どうもです」

さわ子「梓ちゃん、こちらの娘さんは……」

梓「私と同じクラスの鈴木 純です」

 「ネット掲示板ではソロモンの悪夢を名乗っている変態です」

さわ子「ず、ずいぶん、重い名前を背負ったものね」

純「名乗ってませんから! っていうかネットとかあんまし やってないし!」

 「もう、梓~! 変なこと言うのやめなよー! 山中先生、困ってるじゃん!!」

梓「困ってるんですか、山中先生?」

さわ子「なにが?」ケロッ

純「山中先生って、たおやかで おしとやかで

  けいおん部に振り回されている気の毒な存在だと思ってたんですけど

  案外フランクな人だったんですね」

さわ子「え、うん。まぁ」

梓「振り回されていたんですか」

さわ子「そうよ、そうなのよ」

   「何度注意しても部室にティーセットを持ち込んで

    お菓子を食べるのやめなくって……」クスン

純「やっぱり苦労してるんだ~」

梓「じゃあムギ先輩に そのように伝えておきますね」

さわ子「梓ちゃん、あとで話があるんだけどいいかしるぁ」ペロペロ

梓「クツを舐めたって無駄です」

さわ子「じゃあクツじゃなくてケツを舐めればいいのね」ペロペロ

梓「うくっ……」ゾクゾク

純「な、なにが起こってるの?」ポワ~

憂「純心な純ちゃん、バカかわいいっ」キャハ

さわ子「あらっ、憂ちゃんまで……」

   「今日はどうしたの? 代わりに唯ちゃんやケーキ様が来ていないようだけど」

憂「お姉ちゃんたち、今日はみんなで大人の参考書を買いに行ってるんです」

さわ子「ははぁ」

純「それで梓が寂しがってるだろうなぁと思って お邪魔しちゃったんですけど……

  やっぱり部外者が部室にいるのはマズイですか?」

さわ子「いいえ、構わないわよ」

   「ふふ。仲がいいのね あなたたち」ニコッ

梓「オェッ」

純「ところで山中先生」

さわ子「なぁに?」

純「ケーキ様って なんなんですか?」

さわ子「げぁっ」

梓「どうしたんですかヒキガエル、さわ子先生みたいな声をあげて」

さわ子「何が誰みたいな声だって?」

純「や、山中先生が怒ってる!!」

 「 梓、謝りなよー!!」

梓「チッうっせーな、反省してまーすwwww」

純「あ、梓~ッ!!」ハラハラ

さわ子「2 3 5 7 10 11 13 17 19 22 29 31 37 41 43……」ブツブツ

純「な、何かブツブツ言い始めた……」

憂「きっと素数を数えて気持ちを落ち着かせているんだよ」

 「間違ってるけど」

さわ子「ぇあっ?」

梓「10は素数では ありませんよ」

憂「仕方ないよ、音楽教師だもん」

 「頭の中は常にラッパの音でいっぱいだよ!」パッパラ~♪

梓「憂、そんなこと言っちゃ全国の音楽教師さんに失礼だよ」

憂「あっ、ごめんなさい!」

さわ子「バカにしないでくれる?」

   「私は別に素数を数えていたワケじゃないんだから!」フン

梓「じゃあ何故、突然 数字を唱え始めたんですか」

さわ子「1、2、さンっwwww!?」アヘァ~?

梓「なに言ってんだこのクズ」

純「あ、梓ッ!?梓ぁぁっ!!」ドキドキ

さわ子「エイプルルプールよ」

純「?」

憂「それがエイプリルフールだとしても、今は2月ですよ」

梓「そもそもエイプルルプールってなんなんですか」

 「発音が悪いのか、さわ子先生の脳が ぷるるん状態なのかハッキリしてください」

さわ子「……」

   「うっ、うぅっ……」ウェェェェェェ

憂「泣いちゃった」

純「わぁあ、せ、先生 しっかりしてください!!」

さわ子「あたま なでて……」グスッ

純「あ、はい……」ナデナデナデナデ

さわ子「♪」ホワホワ

憂「機嫌が治ったみたい」

さわ子「わたし、この子、すきっ」プルルン

梓「これが さわ子先生の本性だよ」

純「いや、どっちかっていうとアンタの本性にドン引きなんだけど」

憂「純ちゃんは、キチガイ先生がキチガイバンドをやってたキチガイだって知らなかったの?」

純「話には聞いてたけど、そういう姿を実際に見たわけじゃなかったし……」

さわ子「キチガイは言い過ぎよ、憂ちゃん」

    「そしてキチガイって言い過ぎよ、憂ちゃん」

梓「こんな先生をどう思う?」

純「うん……今までは憧れが強くて、遠過ぎる存在だったけど

  なんか親しみが湧いちゃいました!」エヘ

さわ子「なに良い感じでまとめようとしてんの、この子」

梓「ヘドが出ますよね」

憂「世界中で心がキレイなのは自分だけだって思っている純ちゃん、恐ろしいなぁ~」

㌧「ギュィィィ……」

純「あれっ、あっというまに四面楚歌!?」

さわ子「ちょっと優しくすれば、私の心が思い通りになると思ったら大間違いよ!」

純「ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃ……」シュン…

さわ子「あ、うん……あの、冗談だからね?」

憂「なんの脈絡もなく、お茶を淹れてみました」カチャカチャ

梓「うめー!」ゴクゴク

さわ子「ぶっちゃけた話、私 紅茶のおいしさって よく分からないのよね」

   「そりゃ砂糖をブチ込めば甘くはなるけど」

さわ子「それならコーヒー牛乳の方が私は好き」

梓「紅茶は香りを楽しむものですよ」

 「コーヒー牛乳なんて甘ったるいだけの泥水です」

さわ子「でもコーヒー牛乳なら香りだけじゃなく

    コーヒー牛乳自体が おいしいじゃない」

憂「お姉ちゃんもウチでは よくコーヒー牛乳飲んでます」

さわ子「ほらっ!! みんな本当は紅茶なんか興味ないのよ!!」ワー ワー

梓「純はどう? 紅茶派? コーヒー牛乳派?」

純「え、別にどっちでもいいけど……」ンー

 「紅茶飲んでる方が頭 良さそうだよね~!」

梓「その発言が すでに頭悪いよ」

憂「残念だなぁ」

さわ子「土壌が腐ってるから、そこから生える髪の毛もモジャモジャに痛んでるのね」

梓「何気なく放った一言が、純の今後の人生を大きく左右するとは

  このとき思いもよらなかったのであった」

憂「純ちゃんの人生  おわり」チャンチャン♪

純「勝手に終わらせないでよっ!!」

憂「ごめんね」


さわ子「どうやら、この子は りっちゃんのリーダーシップが欠落したバージョンのようね」

憂「それって生きている価値、あるんですか?」

純「私のみならず律先輩にも微妙に、いや、かなり失礼だー!!」

梓「さすがの私もそこまでハッキリ言えないなぁ」

さわ子「私、以前 梓ちゃんにハッキリ『死ね』って言われた記憶があるんだけど……」

梓「きっと夢ですよ」

さわ子「そ、そうよね……いくらなんでも、そこまで言うワケないわよね」

純「そうですよ」

 「梓って口は悪いけど、本当はとっても優しくて甘えん坊な女の子なんですから」

純「ねっ?」

梓「……し、死ねっ!!」カーッ

憂「ォェッ」

さわ子「ォェェェッ」

梓「だ、だから甘ったるいだけの泥水はイヤだって言ったのに!!」

さわ子「あ?」



─第19話─

 おわ 
    り



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