━━第8話━━


─朝、通学路─


憂「ハッハッハッ」タッタッタ

和「あらっ」

  「待ちなさい、憂」

憂「あっ、和さんちゃんさん」

和「なぜ、高笑いしながら走っているの?」

憂「高笑いじゃなくて息切れです」ハッ ハッ ハッ

和「あぁ、納得したわ」

憂「よく考えたら分かりそうなことなのに」

和「私、学校では生徒会長として色々、神経を使っているから

   学校に着くまでは、何一つ考えたくないの」

憂「はぁ」

和「でも、まだ遅刻する時間でもないのに

  なぜ走っていたの?」

憂「お姉ちゃんに何かあった時のために

  体をシッカリ鍛えているんです!!」

和「あぁ、まぁ、そう、へぇぇ」

憂「よく考えたら分かりそうなことなのに」

和「分からなきゃいけない事なのかしら」

和「今日は唯と一緒じゃないの?」

憂「お姉ちゃんは早起きして二度寝してます」

和「さすがね」

憂「起こそうかと思ったんだけど

  私なんかがお姉ちゃんの行動に口出ししてはいけないと思って

  エアコンの電源を入れておきました」

和「すごく快眠できるわね」

 「もう、ちょっとやそっとじゃ 起きないわね」

憂「お姉ちゃんの幸せそうな笑顔は

  私にとって ごちそうなんです!!」

和「だけど唯が寝坊して遅刻したら

  その笑顔も曇ってしまうんじゃないかしら」

憂「大丈夫です! 大丈夫なんです!」

和「また私は余計なことを聞いてしまったのかしら」

憂「ごちそうばかりじゃなくて

  たまには、おいしくないけど 体に良いモノも

  食べなくちゃいけないじゃないですか」

和「そうね」

憂「『どうして起こしてくれなかったの~~;;』って泣きながら

  校舎に駆け込んでくる お姉ちゃんを教室の窓から見下ろして観察していると

  ものすごい背徳感に襲われて、全身の細胞が活性化するんです」

和「あぁ、それは分からなくもないわ」

  「分からないけど」


唯「ハッハッハッハ」タッタッタ

憂「あれっ!?」

和「唯、待ちなさい」

唯「和ちゃん、おはよう!!」シュピッ

和「なぜ、息切れしてまで走っているの?」

唯「息切れじゃなくて高笑いだよ」ワッハッハ

和「あぁ、納得するしかないわ」

憂「お、お姉ちゃん どうして起きれたの!?」

  「エアコンの温度設定は完璧だったハズなのに……」

唯「たぬき寝入りだったんだよ~」

憂「そんな~」

和「なぜ、早起きして二度寝して たぬき寝入りしてたの?」

唯「憂の幸せそうな笑顔はごちそうだけど

  たまには憂がお姉ちゃんにしてやられたショックな顔で

  ご飯がおいしいもんね!」

和「あぁ、何言ってるか分からないけど どうでもいいわ」

唯「じゃあね!!私は憂のショッキング野菜パワーで

  一足先に学校へレッツゴーだよー!!」タッタッタ

憂「行っちゃった……」

和「残念そうね、憂」

憂「はあぁ~……私を罠にハメたと思って喜ぶ お姉ちゃん、かわいかったなぁ~」

  「おかげで私のお姉ちゃんエネルギーが満タンになっちゃった!」

和「すべてが計算づくだったとは この真鍋 和、心底 感服いたした」



━学校━


唯「ルンルン♪」

澪「やぁ唯。珍しく早いなぁ」

紬「嬉しそうだけど何かあったの?」

唯「私が 憂を 罠にハメたと思ってハシャいでる姿を見て

  今頃、憂が元気になっているかと思うと 私も嬉しいんだよ~」ピョン ピョン

澪「そうか、私も憂ちゃんを罠にハメて喜んでる唯の姿を見た憂ちゃんが

  今頃、喜んでると思うと嬉しくなる唯を見ると微笑ましいよ」

律「そうか、何言ってんだ お前ら」

紬「私は カツ丼が 食べたいわッ」

澪「う、うん」


━第8話━

 おわり



━第9話━


─桜丘高校の屋上─


ビョオォオオォオオォオオォオ

律「よーし、みんな集まったな!」

 「早速だが本日、1月31日が 何の日か知っているか?」

唯「りっちゃん……そんなことより寒いんだけど」カチカチ


唯「ものすごく」ガチガチガチガチ


紬「なぜ豪雪が吹きすさぶ中、屋上に集結しなければ いけないのかしら」フルフル

澪「屋上に行くって先に言ってくれれば、コートくらい着てきたのに……」カタカタ

梓「1月31日が何の日なのか知る前に

  1月31日は真冬だということをまず理解してほしいです」ガタガタ

澪「ムダだよ。律は寒さなんかヘッチャラの異常者だから」ガチガチ

梓「あぁ、昔から言いますもんね」


梓 「『クズは風邪ひかない』って」ブルブル


ビュゥゥウウウゥゥウウ


律「ちょっと秘密の話が あったんだよ」

梓「はぁ」ブルブル

律「真冬の屋上なら誰にも聞かれないだろ?」

梓「さすが律先輩。機転が利きますね」ガチガチ

 「頭のおかしさが、すべてを台無しにしていますけど」ガタガt

澪「電話ボックスの中にでも

  一生 ひきもっていればいいのにな」ガタガタ

唯「りっちゃんは いいよ……、寒さを感じないんだから」ブルブルブル

律「アタシだって寒いよ?」

唯「あやしいなぁ」ガタガタガタ

紬「だったら、どうして夏服なの?」ブルブルブル

律「あっ、寒くないのバレたか!」テヘー

澪「ここまで行くと変態だな、この異常者が」ガチガチ

律「おい、どっちかにしろよ」

律「お前ら文句ばっかりか!!」

 「もういいや、帰れよ!!」

澪「じゃ、帰ろう」ザフッ  ※雪を踏む音

梓「はい」ザフッ

唯「よかったぁ~、話が長くなるのかと思っちゃった」ザフッ

紬「部室に戻ったら、あったかい紅茶を淹れるわね~」ザフッ

ザッ

律「おっと、へへ」

 「ここは通さないぜ」

澪「コイツは、世にも奇妙なバカなのか?」ガチガチ

梓「史上最大のクズですよ」ガタガタ

澪「おっと、そうか」アハハッ

梓「そうですよ!」ウフフッ

律「ハハっ、やっと笑ったな!」ガハハッ

澪「何が可笑しい」

ビュゥゥウウウゥゥゥウウウ

紬「梓ちゃん。ツララで人間の心臓を貫くと

  凶器は自然に溶けてなくなるのよ」ブルブル

梓「ムギ先輩は私に何を伝えようとしているんだろう」カタカタ

唯「とっても大事なことだよ」カチカチ

澪「よく考えるんだ」

 「分からない時は、私をクリックすればヒントを出すぞ」ブルブル

律「こんなムダ話を続けるより

  さっさとアタシの話を聞いた方が良いとは思わないのか?」

澪「なんだか敗北を認めたようで気にいらないんだ」カタカタ

唯「もういいよ。さっさと聞いて 部室に戻って りっちゃんを ぶっ殺そう」

紬「ゆ、唯ちゃん!!唯ちゃんだけは そんなこと言っちゃダメっ!!」ゾクゾク

ビュウゥゥゥウウ

律「さて、ここで問題です」

梓「今、まさに この状況が問題ですけどね」ガタガタ

律「アタシは、なんの話をしようとしてたんだ?」

紬「分からなくなったの?」ブルブルル

律「うん」

澪「お前を地中深く埋める計画についてだよ」ガチガチ

律「いくらアタシでも、そんな計画について話すワケないなぁ~」

ガッ

澪「ん、なんの音だ?」ガチガチ

梓「わ、私、見ました。唯先輩が屋上の柵を蹴ってました」プルプル

唯「そんなことしてないもん」

紬「こ、怖い……でも、素敵……」ゾクゾク

ぴょぉおおおおぉぉおおぉおおおおおおお

梓「もうアレですよ」

  「1月31日が なんの日なのかの話でしょうよ」カチカチ

律「1月31日?」

澪「うん、1月31日だ」ガチガチ

律「なんの日だ?」

澪「知るかッ」

ドスッ

律「ぎゃっ」

澪「ん、なんの音だ?」ガチガチ

紬「澪ちゃんが りっちゃんのお腹をパンチした音よ」ブルブル

澪「おっと、そうだった」ブルブル

律「うぅ……」

律「ん……?」

澪「どうした」

律「ラッキー!! 殴られたショックで記憶が戻ったぜ!!」ピコーン

澪「お前の脳みそって、お腹に詰まってるの?」ガチガチ

 「まるでカンガルーだな」ガチガチ

紬「カンガルーってそんな気味の悪い生き物だったかしら」

梓「それで、なんの話だったんですか」カチカチ

律「1月31日は、さわちゃんの誕生日なんだ」

唯「あー」カチカチ

澪「へー」ブルブル

梓「ふーん」プルプル

律「でも、さわちゃんは年齢の事とか気にしてそうだから

  うかつに祝ったりしない方がいいと思うんだ」

紬「はー」ガタガタ

梓「ほー」プルプル

澪「それで?」カチカチ

律「おわり」

澪「えっ」

ターーン 



ボフッ


澪「ん、なんの音だ?」ガチガチ

梓「私、見ました。唯先輩が屋上の柵を蹴って飛び降りたんです」プルプル

 「怒りのあまり」ガタガタ


唯「下が雪で助かった」ガチガチ


澪「そうか」ブルブル


─第9話─

 おわり



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