━2話━


キーンコーン カーンコーーン

━━━昼休み━━━

ζζ梓たちの教室ζζ

憂「梓ちゃん、一緒にお昼 食べよー」

梓「うん」コポコポ

憂「あっ、カップ焼きそばUFO?」

梓「私 好きなんだ」

純「うん。そりゃ おいしい食べ物だけどさ」

 「教室で食べるには適さないんじゃないかなー」

梓「なんで?」

憂「なんでだろうね」

純「いやホラ。魔法びんに お湯を入れて持ってきたまではいいけどね」

 「そのお湯を捨てに洗い場まで行くの面倒じゃん?」

梓「大丈夫だよ、窓から捨てるから」ドボドボドボドボドボdボdボ  

純「ああああああああああーーーーーーーッ!!!!!」

梓「ビックリしたぁ……」

  「いきなり大きな声出して、アタマがヘンになっちゃったの?」

憂「違うよ梓ちゃん」

 「純ちゃんはアタマじゃなくて髪の毛が変なんだよ」

梓「そうだった。ごめんごめん」

純「謝れ!!」

梓「いま謝ったじゃん」

純「謝るベクトルが違うし、どっちかというと謝るべきは憂だと思うんだ」

憂「ご、ごめんね~」

  「なにがなんだか分からないけど」

梓「ほら、やっぱり変なのはアタマだったんだよ」

憂「ホントだ~。梓ちゃんの言うとおりだったね~」アッハハ

梓「わーっはっはははは!!」

純「謝れっ!!」

梓「窓からお湯を捨てたのがイケナイ事なの?」

純「いや、なんか……ほら、下の階の人が

  もしも窓から頭を出してたら熱湯が かかっちゃうし他にも色々」

憂「アハハ。窓から頭を出す人なんて この世にいるワケないよ~」

梓「そうそう」

純「いやいやいや、絶対いないって程

  レアな行動ではないと思うよ?」


ズルズル もぐもぐ

純「そういえばさー」

梓「うん」

純「さっきパン買いに行った時に小耳に はさんだんだけどさー」

憂「なになに」

純「えーっとね、けいおん部の さわ子先生がねー」

梓「さっさと話してよクソ野郎」

純「これくらいでクソ野郎呼ばわりするな!!」ガタン

梓「えっ、な、なに怒ってるの?」

純「梓は突然、友達にクソ野郎呼ばわりされたら どう思う?」

梓「容赦しないよ」

純「そ、そう」

梓「トーゼンだよね」

純「えーと……私達って友達?」

梓「私、『俺達は仲間じゃないか!!』ってノリ、好きじゃないんだ」

憂「しきりに『友達』とか『仲間』って言葉を口に出すと

  逆に薄っぺらくなる事も あるもんね」

純「はぁ……」

梓「だから、私は何も言わないよ」

  「純は私の行動と態度から、心情を察してほしいな」

純「梓の行動か。よーし、来い!!」

梓「クソ野郎」

純「ん?」

梓「クソ野郎♪」

純「その嬉しそうな顔を 私は どうとればいいのか」



━第2話━

 おわり



━第3話━


━部室━

ガチャ

梓「こんにちわー」

澪「やぁ、梓」

梓「あれ? 澪先輩1人ですか?」

澪「うん。律たちはトイレに行くから今日は部活に来れないんだって」

梓「そうなんですか」

澪「あ、そうだ!」

 「たまには私が お茶を淹れるよ」

澪「いつもはムギに まかせっきりだから」

梓「わー、珍しい日だ」

 「えへへ、なんだか今日は いい事あるかも知れません」

澪「ふふっ、なんだよ それ」アハハ




梓「ところでトイレに行くから部活に来られないって

  どういう意味なんですか」

澪「分からないよ」

 「その件に関しては深く考えないようにしているんだ」

梓「澪先輩がそれでいいなら 私は黙って お茶に付き合いますよ」ズズー


ガチャッ

さわ子「やっほー、私が来たわよー」

澪「見れば分かります」

さわ子「あらっ」

   「今日は2人だけなの?」

梓「はい、先生も来たので3人になりました」

さわ子「おやつは?」

澪「ありません」

さわ子「私は何故ここに来たの?」

梓「知りません」

さわ子「おーやーつ! おーやーつ! おーやーつ!」ワァアアア

澪「落ち着いてください」

さわ子「分かったわ」ピタリ

梓「物わかりが いいなぁ」

澪「さすが大人だよな」

さわ子「落ち着いたから、おやつちょうだい」

澪「ありません」

さわ子「……」

    「……うっ……うぅぅ」ポロポロ

梓「泣いた」

澪「私が悪いのか?」

梓「流れ的には そうなります」

澪「うーん、困ったな……」ゴソゴソ

澪「あっ、カバンの中に いちごポッキーがあったから

  これを与えてみよう!」

梓「与えてみましょう」

さわ子「いちごポッキーのピンク色の部分だけ削り集めて

    甘いところだけ私にちょうだい」

梓「なに言ってんですか この人」

澪「帰ろう」

梓「はい」

さわ子「ちょっと!! 冷たいわよ あなた達ぃぃ!!」

    「唯ちゃんや りっちゃんなら、もっとノッてくるのに!!」

澪「すいません、私 さわ子先生みたいな人間と話してると、とても疲れるんです。心底」

梓「実は私もなんです。本当に ごめんなさい」

さわ子「どういたしまして」

澪「アッ、疲れる……」ハァ

さわ子「それで、ムギちゃん達はどうしたの?」

梓「みんなで お手洗いに行ったそうです」

さわ子「なんだ。じゃ、そのうち来るのね(おやつが)」

澪「みんな、今日は部活に来ないそうです」

さわ子「それはトイレに行ったというか

     帰った、って言うんじゃないかしら」

澪「ウワァアアアアアアア!?」ガタン

さわ子「えっ!? ど、どうしたの!?」

梓「さわ子先生がヒドイ事を言うからですよ」

澪「……なんで私だけ置いて帰っちゃったんだよぅぅ」ウゥッ

 「き、きっとみんなで 遊びに行ったんだ!! 楽しんでいるんだ!!」ウワァァァ

梓「ご覧のあり様です」

さわ子「う~ん。澪ちゃん、気付かないうちに

    みんなを怒らせるようなことしたんじゃないの?」

澪「そんな……」

 「私はいつもどおりだったし、律たちも普段どおりで」

梓「あっ」

 「ひょっとすると」

澪「えっ、何か心あたりがあるのか!?」

梓「いつもどおりだったのに、澪先輩は仲間はずれみたいにされた……」

澪「うん」

梓「これはつまり、澪先輩が普段から嫌われていたということに他ならないのでは!!」

さわ子「他に可能性はないわね」

澪「あるもん!!」

さわ子「ちょっとかわいい」

澪「エヘヘ」

梓「澪先輩がいつもうるさく「練習しろ」というのを

   疎ましく思っていたのかも知れません」

澪「うっ……。で、でも、それなら梓だって同じだぞ」

梓「えぇ。だからホラ、私もこうして唯先輩たちに誘われることなく

  音楽準備室にノコノコやって来たでしょ?」

澪「あ、なるほど」

梓「……」

 「うっ……うぅっ……」ポロポロ

澪「な……泣くなよぅ」グスッ

さわ子「うわー。私、職員室に戻るわね」

梓「うわー、ってなんですか」

澪「教師として顧問として人として この状況に何かフォローは無いんですか?」

さわ子「ごめんなさいね」

    「私 澪ちゃんみたいな人間どもと話してると心底 疲れてしまって……」ハァ

梓「おつかれさまでした」

  「早く帰ってください」

さわ子「そんな言い方されたら帰りたくなくなるじゃない」

澪「あっ、なんか女心っぽいなぁ」



━第3話━ 

 おわり



━第4話━


ザワザワ ガヤガヤ


─夜の繁華街─


唯「映画、おもしろかったね~」

律「帰るの遅くなっちったけどな」

紬「でも、楽しかったから良かったぁ~」

律「そだなー……うん?」



さわ子「あらっ、あなた達……」

唯「あっ、さわちゃんだ~!」

紬「ホントだ~」

唯「さわちゃんさわちゃん~♪」タッタッタ

さわ子「なによ どうしたの? ふふ、仕方ないわね~こんな街中でハシャいじゃって!」

   「みんな、先生のことが大好きなのね」

唯「さわちゃんは好きだけど

  大好きというほどではないよ」

さわ子「げぁっ」

さわ子「今、わざわざ訂正する必要があったのかしら」   

唯「でも、言葉はとても大切なモノだから、って憂が……」

さわ子「うん?」

律「憂ちゃん、なんて言ってたんだ?」

唯「言葉の使い方には気をつけないと、ときとして

  思わぬカタチで人を傷つける事があるからって……」

紬「そうね」

 「好きだなんて適当なことを言って気をもたせて

  実はそれほど好きじゃなかった、って知ったら

  その人は深く傷ついてしまうわ」

律「そうか。安心してくれ さわちゃん」

  「アタシ達は さわちゃんのことが大して好きでもないんだ」

さわ子「なによなによ!!私だってねぇ!!」

    「昔のメンバーとは、すっごく仲良しなんだからねッ!?」

さわ子「かわいがられているんだからねッ!?」

律「それって 夏フェス、ドタキャンした人たち?」

さわ子「うん……」

唯「気の毒なさわちゃん」ナデナデ

さわ子「優しくしないでっ」ウルッ

さわ子「そういえば、一人ぼっちと言えば」

律「誰もそんな事 言ってないからね?」

さわ子「澪ちゃんが部室で寂しそうにしてたけど

    ひょっとして私のクラスでイジメが起きているのかしら」

紬「えっ」

さわ子「担任一年目にして、しかも私が顧問をしている部活でそういうのは

     ちょっとアレなのよ。やめてください。お願いです」

律「ドラマに出てくるダメなサイドの教師だ」

紬「でも正直で好感が もてるわ」

さわ子「じゃあイジメやめてくれる?」パァ~ッ

唯「というか、そもそもイジメなんてしないよ~!」

さわ子「えっ」

    「私、この前 メガネ割られたけど……」

律「あれはほら。お金で解決したじゃん」

さわ子「そうね!」

唯「みんなが幸せだね!」

紬「よかったぁ~」

さわ子「澪ちゃんにも、ちゃんと2万円くらい渡しておくのよ?」

律「そんな生徒指導、聞いたことないなぁ」

さわ子「で、イジメの理由はなんなの?」

唯「だからイジメじゃないよ~」

紬「唯ちゃんが『観たい怖い映画がある』って話をしだして

  私達も観て見たいと思ったんですけど……」

さわ子「えっ、怖い映画?」

律「澪って怖がりだけど、自分だけ仲間はずれは嫌がるから

  結局、無理して映画についてくるだろうし」

律「それで怖い思いさせるのも悪いかなぁと思って」

紬「だから、怖い映画を観に行くこと自体、ナイショにしたんです」

唯「それで、私が機転をきかせてトイレに行くふりして、みんなで映画館に来たんだよー!」

さわ子「なるほど。澪ちゃんのことを思いやっての行動だったのね」

唯「うん!」

さわ子「でも、最後でツメを誤ったわね」

唯「ぇあ?」

律「いや、まぁ……」

紬「やっぱりムリがあったのね」


━第4話━

 おわり



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