━第1話━


梓「不可抗力でした」

律「でも お前、『えいっ』とか言ってたじゃん」

梓「さわ子先生のメガネを破壊したら、

  どういう反応をするんだろうという好奇心を抑えきれなかったという意味での

  不可抗力です」

澪「すごいな梓」

 「前世は暴君ハバネロだったんだろうな」

紬「かわいそうな さわ子先生」

唯「よしよし」ナデナデ

さわ子「うっ、うぅっ……」グスッ

律「まぁでもさ、メガネが割れたくらいで泣くことないじゃん」

 「大人なんだし」

さわ子「えっ」

澪「確かにな」

梓「本当ですよ」

 「まるで私が悪い事をしたみたいじゃないですか」

律「いや、お前は悪だけどな」

 「純粋なる」

さわ子「違うのよ違うのよ」

唯「え?」

さわ子「メガネのレンズが割れたことが悲しいんじゃないの」

   「メガネのレンズを割られたことが悲しいのよ……」グスン

梓「まったく同じじゃないですか」

唯「さわちゃん、何言ってるの?」

律「おバカさんじゃないの?」

さわ子「あれっ」

   「今の言い回し、分からなかった?」

   「伝わらなかった?」

澪「その連中は人として何かが欠落しているんでアレですけど

  私には伝わりましたよ」

紬「私も」

律「ア、アタシも」

さわ子「そうよね!?」

   「ちょっと自信を失いかけたけど

    3対2で、おかしいのは唯ちゃんと悪魔ちゃんに決定!!」

梓「待て待て待て」

さわ子「なぁに?」

梓「アクマ?」

さわ子「確か そんな感じの名前じゃなかったっけ」

アズサ「まぁそんな感じの名前ですけど」

梓「えぃっ」

バリンッ

さわ子「あぁっ、残った片方のレンズまで割られた……」

梓「わざとです」

さわ子「うぅっ……」ポロポロ

紬「さわ子先生のメガネが粉々になったから

  お茶にしよう?」

唯「そうだね」

さわ子「どういうことなの」

梓「ムギ先輩の紅茶を飲むと、すっごく元気になるんですよ!」

澪「元気を根こそぎ奪ったのは誰だっけ」

 「おっと、貴様だった」

紬「今日のおやつはチョコケーキです」

さわ子「これで、ちょこっと景気が良くなるわね!」キャ♪

唯「え?」

さわ子「チョコっと ケーキが よくなるわね」

唯「う、うん……」

 「なんで2回言ったの?」

紬「えぃっ」

メシャメシャ

さわ子「あぁっ、無事だったフレームまでグシャグシャに……」グスッ

紬「親が稼いだ お金で弁償しますよ」

 「ほらっ」パサッ

律「あっ、10万円」

さわ子「ムギちゃん!! 」

   「お金でなんでも解決すると思ったらダメよ!!」サッ

澪「だけど、しっかり お金をポケットに突っ込んだぞ」

唯「お金は大事なものだからね」

梓「あの、さわ子先生……」

さわ子「なぁに?」ルン♪

梓「元はと言えば、私がレンズを割ったから

  こういう流れになったので

  5万円ください」

さわ子「えぇっ!?」(残り5万円)

律「それを言い出したら

  アタシがけいおん部を発足したからこそ

  今日の この日があったワケだから

  1万円くらいもらう権利があるハズだ」

さわ子「えっ」(残り4万円)

唯「じゃあ私はあずにゃんにあだ名をつけたから

  1万円くらいもらえるよね」

さわ子「えっ」(残り3万円)

紬「よく考えたら10万円は多すぎるので

  1万円返して下さい」

さわ子「はぅ」(残り2万円)

澪「わ、私ひとりだけ貰えないのは仲間はずれみたいだから

  2万円くださいぃ」ウゥッ

さわ子「何故よ!?」(※残金ゼロ)チーン

唯「世の中わからない事だらけだよ」

さわ子「お願いします。弐萬圓堂のメガネを買うから

    2万円だけはガチで ください、お願いです!!」ヘコヘコ

律「土下座した」

梓「いい大人なのに」

唯「かわいそうな さわちゃん」

さわ子「お願いよるォれぇ」ペロペロ

澪「頼みもしないのに私達のクツを舐め始めた」

唯「正直、今、誰も得してないよ」

律「だけど想いは伝わった」

紬「じゃあ仕方ないので私の1万円は あきらめます」(※-10万円)

律「アタシもさすがに気の毒になってきたから1万円の権利を放棄するぜ」(※±0円)

さわ子「あ、ありがとお~~~;;」ダキッ(※+2万円)

唯「さわちゃん、これで2万円ゲットだね!」(※+1万円)

澪「やれやれだな」(※+2万円)

梓「やれやれです」(※+5万円)

紬「なにか色々とおかしい気がするわ」

梓「先生のメガネって100円ショップで売ってるアレでしたよね」

さわ子「そうね」

律「あれって老眼鏡じゃ……?」

さわ子「でも よく見えるのよ」

梓「元々が100円のメガネなら

  2万円は もらい過ぎじゃないんですか?」

さわ子「私だって、オシャレしたいのよ!!」

澪「自分のお金でオシャレするべきだと思います」

紬「私も そう思う」

澪「な! ムギも そう思うよな!」

紬「じゃあ澪ちゃんと梓ちゃん、お金 返してくれるかしら」

澪「え」

梓「それとはこれとは関係ないですよ!!」

 「だから絶対に返しません!!」

律「いや、関係なくても返してやれよ」

紬「梓ちゃんと澪ちゃんから5万円、2万円、確かに受け取りました~」¥チーン♪¥

梓「あー……」

澪「くそっ、梓が余計なこと言うからだぞ!!」

ゴチーン!!

梓「ギャッ!!」

 「澪先輩が ぶった!!うわぁあああああん!!」ウェ~ン

唯「よしよし」ナデナデ

梓「エヘヘ、アパパァww唯せんぱぁい」トロ~ン

律「コイツ、心の病なんじゃないか」

 「とても深刻な」

唯「じ~っ」

澪「なんだ、唯」

 「さっきから さわ子先生の顔を見つめて」

さわ子「えっ、どうしたの?」

唯「えへへ~、メガネはずした さわちゃんって珍しいから」

さわ子「そうかしら?」

梓「ふふ、確かに珍しい顔をした生き物ですよね」

さわ子「なにか言い方が おかしい」

律「こうしてジックリ見ると実際、キレイだよな さわちゃん」

澪「それなのに どうして彼氏がいないんだろう」

紬「よっぽど中身が終焉を迎えているのね」

唯「な、なるほど~」

梓「チャンチャン♪」

さわ子「ちょっと待てメンバー」

梓「なんですかメンバーって」

さわ子「5人でグルになるのを やめなさい」

唯「グルになんか なってないよ」

澪「それぞれが、それそれの想いで必死に戦っているだけです」

さわ子「なぜ私と戦う必要があるのよ」

律「それもそうだな」

 「さわちゃんなんか放っておいてチョコケーキ食べよっぜー!」

唯「わぁい!! ムギちゃん いっただきま~す!!」

紬「えぇ、どうぞ♪」

さわ子「極端なのよ!!」

律「なにが?」ムシャムシャ

唯「おいしいおいしい!!」モシャモシャ

さわ子「邪険に扱われたくはないけど、構ってほしいの」

梓「面倒くさい人だなぁ」

律「これだから女ってヤツは」

澪「それじゃ具体的に どうすればいいんですか?」

さわ子「え? そうね……」

    「えっと……」

    「なんか胴上げするとか」

唯「なにを?」

さわ子「私を」

澪「な、なんの理由もなく胴上げされるって

  逆にイヤじゃないですか?」

さわ子「そんなことないわ」

    「あなた達が『さわこ!さわこ!』と言いながら

    全力でワッショイしてくれたなら

    私、感激して きっと空中でオシッコ漏らすわ」

唯「私達が胴上げしてる最中に?」

梓「最悪の災厄だ」


━━━翌日、学校━━━

ωω唯たちのクラスωω


さわ子「みんな、おはよう」

エリ「おはよー、先生」

信代「先生!!今日はどんなバナナを食べた?」ウホッ

さわ子「えっ、その質問ってセクハラ?」


唯「ねぇねぇ、セクハラってなんのこと?」ヒソヒソ

姫子「なんだろうね」

和「多分、バナナを別の何かと置き換えたんじゃないかしら」

姫子「えっ、別の何かって、」

唯「なになに? 和ちゃん、教えて~」

姫子「……///」カーッ

和「姫子、正解」

唯「なにが正解なの? 姫子ちゃん、何か分かったの?」

姫子「知らない知らないっ」

エリ「あれっ、先生 メガネ変わってない?」

さわ子「えぇ、変わったわよ」

しずか「ホントだ。いつもの100円均一のヤツはどうしたのー?」

さわ子「そんなの もはや卒業よ」

    「私も もう いい大人だもの!」エッヘン


紬「先生は梓ちゃんによって、大人にされたのね」

律「金を払ったのはムギだけどな」

エリ「え、なにそれ?」

  「梓ちゃんって、あの けいおん部のセルジュニアみたいな子でしょ?」

エリ「先生が大人にされたってどういうこと?」

律「え? いや~、アレな~」

 「どうしよっかな~」

律「アタシの口からは ちょっとな~」

澪「わた

いちご「あの子、時々 獣欲に満ちた眼つきで平沢さんを見てたけど……」

エリ「もしかして、私達のかわいい さわちゃん先生を毒牙に!?」

いちご「まぁ 別に いいけど」

エリ「いいんだ……」


━第1話━ 

 おわり



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