母「メインディッシュがきましたよ」

憂「うわぁ、お肉やわらか~い」

唯「おいしいよ~」モグモグ

父「……」

唯「お父さん、食べないの?」

父「父は肉を好まない」

憂「そういえば、お父さんベジタリアンだったね」

唯「じゃあ、私食べてあげよっか」

父「ソースだけ残しなさい。パンを浸して食べるから」

母「太りにくいからって、食べすぎもよくないわ」

唯「大丈夫だよ~」モグモグ

父「唯の成長を促進するために、むしろもっと食べさせるべきだ。
  今日、帰宅して憂を始めは唯だと私は思ったぞ」

憂「まぁ、顔はよく似てるって言われるけど」

父「身体の具合から見て、憂のほうが姉だと認識してしまったよ。前回確認したときより、格段にボリュームが増えているだろう」

憂「ちょっと! セクハラしないでよ!」

父「それに比べて唯。父は少し残念な思いだ」

唯「ふえ?」ムグムグ

父「近年は未成熟なものが需要があるらしい。そう需要があるらしい。
  もちろん憂の肉体にも需要はあるだろうが、唯のような肉体のほうが求められているということだ。
  しかし、私はそんな世間の需要をあえて否定したい。需要」

憂「お父さん、一気に気持ち悪いキャラになってるよ……」

唯「お父さんの分も食べ終わっちゃった」ペロリ

父「巨か貧か、それが問題だ。こういうわけだ。私は前者を取る需要」

母「平沢さん、日本語が変です」

父「それをいうなら、君の昔の歌だってそうだろう。
  なぜ、好き好き大好きなのに、殺すと脅されなければならんのだ」


唯「デザートまだー?」チンチン

父「今の音を聴いたかな?」

憂「え?」

父「唯、もう一度今の動作を繰り返しなさい」

唯「デザートまだー?」チンチン

父「そう、これだよ」

憂「えっと……ちょっとわかんないかな」

父「唯は食器で音を出したにすぎないのに、まるで局部を表現しているような音だったろう?
  音楽の可能性はこういうところか広がっていくのだよ」

憂「もう! いいかげんにしないと怒るよ!」

唯「デザートまだー?」チンチン

憂「お姉ちゃんもっ!」

父「え? 何を怒ってるの憂?」

憂「だからー……チン……とかっ!」

父「え? なに? 珍? 今日は珍な食事じゃないよ? ん?」

憂「ウザイ!!」


父「ここでさりげなく愛用カメラを取り出してみる」

憂「あっ、そういえば、お父さん写真に凝ってるよね」

父「今のは言葉のアヤ。愛用なんかしてない。今すぐ窓から投げ捨ててもいい」

憂「わかってるから」

父「ホントだよっ! 本業が儲からないから、今のうちに撮りためて、いつかまとめて出版しようなんて考えてねえよっ!」

唯「お父さんは計画的だねっ」

父「お前らの写真のフォルダなんかねえよっ!」


唯「わぁい、デザートだ~」

憂「あ、ケーキだねっ」

唯「……今日はクレープが食べたかったなぁ」

父「娘の落ち込んだ表情をカメラにおさめてみる」カシャッ

唯「ケーキもいいけど……」

父「唯、私の過去作を知っているだろう。2D OR NOT 2Dだ。
  私は目の前のものが絶対とは限らないと説いてきたつもりだ」

唯「……」

父「さぁ、よく見てごらん。このケーキ、実はクレープに見えないかい?」

唯「おお……なっ、なんだかクレープに見えてきましたっ! お父さん!」

父「そうだよ、クレープだよ。おいしい、おいしいクレープだよ」カシャッ

唯「ふおおー! イチゴにキウイにスイカにチョコレートがのってるぅ!」

父「その通り。実は1日5個限定の超貴重なスイーツだよ」

唯「たっ、食べてもいいんでしょうかっ、お父さん!」

父「いいよ、いいよ、食べてもいいよ」カシャッ

唯「いっ、いただきまーすっ!」

唯「モグモグ……うーん! なんだかスポンジのような感触のスイカです! お父さん!」

父「だって、唯が食べてるのふつーのケーキじゃん」

唯「えっ? あ……ほんとうだ……」ショボン

父「やーい、やーい、ひっかかってやんのー」

唯「うっ、ううーううー」ポカポカ

父「娘のパンチなんてきかねーよー」カシャッカシャッ

憂「泣き顔撮ってる……」



帰宅

唯「……」ムスーン

憂「お姉ちゃん、お父さんも悪気が……あったけど、お父さんなりの愛情表現だったんだよ」

唯「もう口きかないっ」

父「……」

母「平沢さん、どちらへ?」

父「部屋……」

唯「ふんすっ」

憂「お父さん……」


父「……」カチカチ


タイトル:娘に嫌われたんだけど、質問ある? 新規スレッド作成
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うはwwwwwwwwからかったら口きいてwwwwwwwwくれないwwwwwww
メシウマ


父「一生利用することはないと思ってたが……」

父「……ハァ……ハァ」プルプル

憂「お父さん」

父「!」

憂「あのー」

父「なにかな?」

憂「ほら、お姉ちゃん」

唯「うぅ……」

父「……」

唯「……お、お父さん」

父「うん……」

唯「こ、これ……」

父「……これは?」

唯「バレンタインの……もうホワイトデーだけど」

父「……」

唯「おかえりなさい、お父さん。いつもお疲れ様。今日は久々に会えて嬉しかった」



父『ありがとう。ちょっと……一人にしてくれないか』



唯「……怒ってるのかな」

憂「まさか! だって、お父さん、お姉ちゃんのこと大好きだもん!」



父「……」カチカチ


『プレゼントをもらった。思わず、泣く』





父「……憂は、くれないのか……」




べつのひ!

父「それでは、また出かけるから」

母「留守はよろしくね」

憂「うん! 二人とも気をつけてね!」

父「……」

唯「お父さん!」

父「うん?」

唯「……いってらっしゃい!」

父「……カメラを、しまわなければよかった」



おわり



あまり関係がないな、とヒラサワは溜息をついてみる