唯「だからクレープ食べにいけないんだぁ」

澪「そっか。それじゃあ、仕方ないな」

律「普段、唯んちって親いないんだっけ」

唯「うん。仕事で出かけたり、二人で旅行に行ってるから。
  今日も会うの久しぶりなんだー」

紬「家族との団欒は大切だと思うわ」

梓「唯先輩のお父さんって何やってるんですか?」

唯「んーよくわかんない。なんか、いっつもパソコンいじったり、変なスーツ着て体操したりしてるよ」

律「ジムのインストラクターとか?」

唯「運動はあんまりしないかなぁ。ご飯もそんなに食べないし。あ、メール」


fromおとうさん

ダラーっとしながら帰宅を待っている。
別に急かしてるとかではない。


唯「わっ、もう帰ってきてる! ごめんね、みんな! もう私行くね!」

澪「また明日ー」

律「報告は今度なー」

紬「楽しんできてねー」

梓「お疲れ様ですー」

唯「ばいばーい! もっと遅くなるって言ってたくせにも~。ふんすっ」


澪「唯の親かぁ。どんな感じなんだろうな」

律「うーん、憂ちゃんはよく出来た子だから、親のほうは唯そのまんまとか?」


唯父『あははは~』

唯母『うふふふ~』

唯父『あははは? あはは~ははは?』

唯母『うふふー。うふふうふふふー!』


澪「シュールな……家族風景だな」

梓「でも、今も二人で旅行に行くなんて、仲のいい両親ですね」

紬「唯ちゃん、もうお家に着いた頃かしら……」



唯「ただいまー」

憂「あ、お姉ちゃんおかえり! もうお父さんたち帰ってきてるよ」

唯「うん。さっきメール来た。7時ごろって言ってたよね」

憂「お父さん、はやくお姉ちゃんに会いたかったみたいよ?」

唯「そうかなぁ」

憂「あ、お母さん今お風呂入ってるから。お父さんは部屋でちょっと仕事してるー」

唯「うん」


唯「おとーさーん。おかえりー」

父「……」

唯「なにこれ? 新しい仕事?」

父「……」カチカチ

唯「あんまりパソコンの画面に近いと、目が悪くなっちゃうよー」

父「……」カチカチ(F5連打)

唯「えーと、なになに……ヒwiヒヒ……er?」


『ただいま帰国した。日本は寒い。これから食事をする』


唯「ねえねえ、これって2ちゃんねるってやつ?」

父「……これで業務を終了にする」

唯「ねえねえ、そういえば今日どこに食べに行くの?」

父「ごきげんよう、娘。父は5時間ほど前に成田につき、3時間前に帰宅した」

唯「あ、今日はイタリアンがいいなー!」

父「唯も憂も変わらないようで結構。私はさっきまで仕事の都合上、有象無象に近況報告をしていたのだ」

唯「あ! デザートは絶対クレープがあるところでね!」

父「お前にはもっと遅く帰ると言ったかもしれないが、急遽早い便に乗ることになったのだ。
  別にはやく帰りたかったとかじゃないから。違うから」

唯「なんか、また変な機械が増えてる……」

父「別に家族サービスに努める父を気取ろうとしたわけじゃない」

唯「このタルボちゃん、まだ使ってるのー?」

父「だから! 私はそういうキャラじゃないから! もう出かける準備が出来てるハズもない!」

唯「ちょっと小腹がすいたよう」


唯「お母さんおかえりー」

母「ただいま、唯さん」

唯「お父さん、またロボット作ってるよー?」

母「ロボットではなくて、YA○AHA様から頂いた機材を分解して……」

憂「お姉ちゃん、まだロボットだと思ってる……お父さんの仕事は……」

父「では出かけようと思う。女たちの化ける時間にかまける暇などない」

憂「お父さん、ホント女の人嫌いだよねぇ」

憂「今度の旅行はどうだった?」

父「どうということはない。私はヘリコプターを飛ばしていた」

母「知り合いの方から、高級レストランの招待券を頂いたんです」

父「もう少し操作性が必要だ。あのままでは客席に飛ばせない」

憂「またそんなこと考えてる……お客さんに嫌われちゃったら、お父さん仕事なくなっちゃうよ!」

父「だからイヤになる。今度は水鉄砲をあいつらにかけてやるからな」

唯「おなかすいたー」

唯「あ、そうだー。お父さん、昔の仕事はどうなったの?」

父「今、ようやく娘と疎通できた気がする」

憂「二人とも、話聞かないから……」

父「還元作業もかなり進んだといっていい。しかし、有象無象にヌカ喜びをさせるだけだと、ふと思うこともある」

唯「そりっでええーー♪」

父「……とりあえずは外へ♪」

憂「(機嫌よさそう)」



レストラン到着

唯「おお~……」

憂「すごーい」

父「まるでバブル時代のように無駄に派手な装飾……うんざりさせられる」

憂「こんなすごい所で今日はお食事するの!?」

父「体に必要な分だけ摂取すればいい話。別に場所の良し悪しはない」

唯「ねえねえ、はやく入ろうよ~」グイグイ

父「……娘の感触は快いが、あまり成長を感じられない……」

母「コースでいいかしら」

憂「ここはお母さんたち、大人にまかせまーす」

唯「お父さん、最近わたし音楽やってるんだよ」

父「……地は避けられない。ん? あ、違う血だ」

唯「それでね、わたしギターなんだぁ」

父「禁じられた遊びは弾けるようになった?」

唯「なにそれ?」

父「最初は誰もが通る曲らしいが」

唯「ふぅん。あ! 最近ね! "シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー"弾けるようになったよ!」


母「前菜がきましたよ、平沢さん」

憂「お母さん、相変わらず苗字で呼ぶんだ……」

唯「はやくメインこないかなぁ」モグモグ

父「物事は順序が大事だ」モグモグ

憂「おいしそうに食べてるじゃん」

父「生姜紅茶ほしい」モグモグ

唯「アイスほしい」モグモグ


父「ときに唯」

唯「ほい?」

父「家を空けてる間になにか変わったことはあった?」

唯「んーコードだっけ? 覚えてもすぐ忘れちゃう」

父「ふむ……覚えなければいいんじゃないかな」

唯「でも、ライブで弾けなくなったら困るよ」

父「録音したものを流せばいい」

唯「あ、そっかぁ!! お父さん頭いいー!」

憂「えー……」


母「憂さんはどう?」

憂「うーん、高校生になってから急に勉強が難しくなって……ついていくのが大変だよ」

父「勉強しなければいいんじゃないかな」

唯「遊べばいいんじゃないかな」

憂「それじゃ落第しちゃうでしょっ! も~二人ともマジメ聞いてよ」

唯「あぅ……私はそうしてるのに」

父「父もそうしてるのに……」



2