憂「おい、どこまで歩かせれば気が済む?」

和「もうすぐよ。ほら、あそこ」

唯「アパート?」

和「唯がよく知っている人があそこで待っているわ…ついてきて」

憂「……」

和「罠なんかじゃないわよ」

憂(宣言するのが逆に怪しいんだよ)

唯「私がよく知ってる人…誰かなぁ」


ピンポーン

和「例の2人を連れてきました」

「ご苦労さま、入って」

ガチャリ


さわ子「はぁーい」

唯「さわちゃん! ここってさわちゃんのウチだったんだ」

憂「おい、唯。この女は誰だ」

唯「山中さわ子先生。通称さわちゃんだよ~。私のクラスの担任で、軽音部の顧問でもあります!」

さわ子「あら、憂ちゃんに今さらそんな説明必要かしら」

唯「…し、しまった」

さわ子「ふふ…まぁ、いいから上がりなさい? お茶とお菓子も用意しておいたから」

憂「何だ、茶会の誘いだったのか? くだらん…帰るぞ」

和「いいえ、帰さない」ス

憂「…あ?」

さわ子「大事なお話があるの。大事なね…」ニヤ





唯・憂「……」

さわ子「ふふっ」

唯(ど、どうして…どうしてばれてるの!?)

唯(どうしてさわちゃんがアンクとオーズのこと知ってるの!?)

さわ子「…グリードの復活から3年経ったわ。もっと大暴れするかと思っていたのだけれど、随分とあなた達は大人しいのね? アンクくん」

憂「俺とあいつらを一緒にするな…何なんだだお前は」

さわ子「私はね、アンクくん。人の欲望って奴が大好きなのよ。あなた達グリードと同じぐらいにね…いいえ、それ以上かも?」

憂「ふざけてるのかっ」

唯「あ、アンクっ」

さわ子「ふふ…あなたに私が何者だなんて言ったってしょうがないと思うわ。それよりも…ビジネスのお話をしましょう」

唯・憂「ビジネス…?」

さわ子「私の財団はね、対グリード、ヤミー用に様々な武器・装備…よう゛便利な゛ツールを開発しているの。たとえば…これね」カタッ

唯「缶? なんのジュース?」

和「唯、開けてみて」

唯「ん? うん」カチッ、プシュ…

バッタカンドロイド「バッタ!バッタ!」ピョンピョン

唯「うわわ!? か、缶がバッタになったよ!」

憂「…なんだこれは」

さわ子「カンドロイド、うちの商品の一つ。このバッタ型は通信機を備えていてね…連絡や諜報に向いてるの」

バッタカンドロイド「バッタ!」

さわ子「カンドロイドはこの他にもう2つのタイプがいてね。すでに量産はされているわ」

さわ子「他にも大変便利なツールが…」

憂「なんだ? 俺たちに押し売りでもしようというのか? …本当にくだらないな」

さわ子「売るどころかタダで使ってもらうつもりよ」

唯「タダ!?」

憂「おい、その言葉だけに反応するなっ。いいか! こんなガラクタが俺のメダル集めにどう役立つかは知らんがな、俺はお前のことを信用できない!」

憂「いい加減目的を言え、お前は俺にこんな物を紹介するために呼んだわけじゃないだろ!」

さわ子「…そうねぇ、確かにそう。それじゃあ言いましょうか」

さわ子「私はあなた達にメダル集め・敵を倒すのに便利なツールを提供するわ。その代わり、唯ちゃん、アンクくん。あなた達が回収したメダルの70%を私に譲渡してくれないかしら?」

唯「え? え?」

憂「……」

さわ子「悪い話ではないと思うけれど?」クス

憂「話にならない。回収したメダルの70%を渡せだと? 馬鹿か」

憂「今度こそ帰るぞ、唯。無駄な時間を過ごした」ガシッ

唯「え!? あ、あ、えっと…お邪魔しました~!」

ガチャン


さわ子「ふふ、予想通りってところかしら」

さわ子「和ちゃん、すぐに2人を追って。…商品ってやつは実際に使ってみなきゃ価値がわからないもの」

和「…了解しました」

さわ子「ふふ、アンクくんはすぐに私の取り引きに応じることになるわ…かならず、ね」




広場!

唯「アンクー」

憂「なんだ!!?」

唯「うわっ、そんなにイライラしないでよ…さっきから呼んでたんだよ?」

憂「ふん…それよりもあのヤミーだ。奴を探すぞ」

憂(…しかし、探すにしても奴は今のところさっきの様にあちらこちらで騒いでいないようだ…足跡をまったく掴むことができない)

唯「…うん。早く姫ちゃんを助けなきゃね」

憂「人間のことなど知るか。仕方がない、虱潰しに…」

唯「ね、ねーアンク…」

憂「っ…今度はなんだっ!」

唯「あっちこっち歩き回ってたから喉渇いちゃった…えへへ」

憂「……」

唯「ちょっとあの自販機で飲み物買ってくるね~」タタタ…

憂「あの馬鹿は…」

唯「あれ? あれれ~…」

憂「どうした」

唯「100円が入んないの…ん~」

唯「ていうか酷いんだよ! この自販機! ジュースのラベルが適当すぎて何が何だかわかんないの!」

憂「知るかっ」

唯「そんなぁ…ん~!」

和「唯」ササ

唯・憂「うわあぁっ!!?」


唯「和ちゃんいつのまにいたの!?」

憂「お前はさっきの」

和「これはうちの財団が開発したものなの。あいにくだけどジュースは出てこないわね。でも…」ス

憂「セルメダル! なぜお前がそれを持っている!」

和「…これを入れて、この缶を買うと」チャリン

ガコンッ…カチッ、プシュ

タカカンドロイド「キィー!」

唯「鳥だ! もしかしてあれ…」

和「そう、カンドロイド。そしてこの自販機は」チャリン…ポチッ

ガシャンガシャンッ、ウイーン

唯「バイクになった!?」

和「ライドベンダー。財団が開発した特殊なバイクよ。さっきの状態はマシンベンダーモードっていうの」

和「タカカンドロイドは索敵や追跡に向いているわ。つまり…あなた達が詰まっているこの状況をあれで打破することができる」

和「そして素早いヤミーを追うのに、このバイクはとても役に立つと思うのだけれど?」

唯「な、なんかよくわかんないけど…すごいよ! アンク!」

憂「…そんなことで俺を誘惑できたつもりか? ふんっ」

和「今回は…遅れてしまったけれど、オーズ誕生のお祝いということでサービス」

和「好きに使いなさい。きっと役に立つ筈だから」

唯「だって! わーい!」

憂「…随分といいサービス精神だな? そういうことなら使ってやる」

和「そう、よかった。それじゃあ私はこれで…」

唯「あ、和ちゃ…行っちゃった…ていうかバイクなんて誰が乗るの?」

憂「お前に決まってるだろ。馬鹿」

唯「えぇっ!?」





ヒョウヤミー『おおおおおぉぉんっ!! …?』ダッダッダッダッ…

タカカンドロイド『キィー!』ヒュー…

ブゥゥゥーーーン…

ヒョウヤミー『!』

オーズ(唯)「待て~!」

ヒョウヤミー『ぐるるるるぅぅっ!!!』ダッダッダッダッ!

オーズ(唯)(このバイクなら追いつけるよ…!)

オーズ(唯)「えいっ」ブゥゥン! ドン!

ヒョウヤミー『ぐえぇあ!?』ゴロゴロゴロ…ズサー

オーズ(唯)「やっと…止まってくれた!」

憂「…心配しているわりには随分と派手に跳ね飛ばしたな」

オーズ(唯)「この際甘いことしてられないよっ、じゃなきゃ姫ちゃんが」

憂「あの女は奴の体内だぞ。今さら助けられるわけがない」

オーズ(唯)「助けられるもん! えぇい!!」ブンッ…

ヒョウヤミー『 』シュッ…

オーズ(唯)「攻撃がかわされちゃう…どうすれば」

憂「……ん?」

憂(こんなところにもライドベンダーか……物は試しだ)チャリン

ガコンッ…カチッ、プシュ

タコカンドロイド『タコォ~!』ヒュルルル…

オーズ(唯)「タコ! タコだ! これっ」

タコカンドロイド『ターコォ~』クルクルクル…ヒュウ~ン

オーズ(唯)「タコがおばけのとこに飛んでった!」

ヒョウヤミー『うがぅぅうっ?」

タコカンドロイド『タコォォォ!』ブシュー

ヒョウヤミー『う、うぐううぅぅぅ!!?』ジタバタ

オーズ(唯)「タコ墨吐いたよ!? すっごーい…」

憂「奴の視界を奪った! 今が攻撃のチャンスだ、唯!」

オーズ(唯)「りょ~かい!」ブンッ、ガツン、ズバッ!

ヒョウヤミー『ぎゃああうううっ!!』チャリン、チャリン…


ヒョウヤミー『ぐるるる…うがあああうううっっ!!!』ブンブンブンッッ!

オーズ(唯)「うわっ、滅茶苦茶に暴れ始めたよっ…このぉっ」ガシッ

憂「なんとか抑え込め!」

ヒョウヤミー『ぎゃああおおおお!!!』ドカッ

オーズ(唯)「わわわわ!! こ、こんな状態の! 抑えられっこないよぉ~!」ズサー…

憂「ちっ、面倒な…」


和「唯! 私からのプレゼントよ! 使いなさいっ」ヒュッ…

ザクッッ…

オーズ(唯)「うきゃあああ!? けけけ、剣!? 和ちゃんっ!? もう少しで私に刺さるところだったよ!?」

和「唯、その剣はメダジャリバー! その中にセルメダルを3枚入れてスキャンすれば強力な攻撃が放てるわ!」

オーズ(唯)「…セルメダルってなにー?」

和「…説明していなかったの?」

憂「あの馬鹿に説明したところで理解できないと思ってな」


憂「唯! こいつがセルメダルだ、使え!」ヒュンッ…

パシッ

オーズ(唯)「よ、よぉーし……あ、でも…」

ヒョウヤミー『ぐおおおおぉぉおおおお!!!』ドカンドカン

オーズ(唯)「もしこれでそのきょーりょくな攻撃ができたとしても…倒しちゃったら姫ちゃんが…」

憂「あいつはまだ…!」

和「唯! あなたは゛立花さん゛を斬るんじゃないの! ゛ヤミー゛を斬るのよ!」

オーズ(唯)「ど、どういうこと…?」

和「私を信じて攻撃を放って!」

オーズ(唯)「和ちゃん…わかった。わかったよ!」チャリン、チャリン、チャリン…

シュイーン…キン、キン、キン!

トリプル!スキャニングチャージ!

ヒョウヤミー『ぐおおおお!!!』ドタドタドタドタ

オーズ(唯)「姫ちゃんっ、今助けるよ。ふんすっ……」ヴィーーン…

ヒョウヤミー『うぉぉおおおおううっっ!!』バッ!

オーズ(唯)「せいやぁーっ!!」ズバァァンッッ!!

憂「! 空間ごと切り裂いたのかっ」

和「そう、あれがメダジャリバーの力…そして」

ヒョウヤミー『ぐ、ぐぐぐおおおお…おおぉおぉおおぉぉ…』

グニョォォォン…

憂「切り裂いた空間が戻っていく…?」

和「あの子が、唯が切り裂いたのは゛ヤミーだけ゛…つまり」

ヒョウヤミー『おおおぉぉおおおおおおおお!!!?』ドカーン! チャリン、チャリン、チャリン、チャリン…

オーズ(唯)「……」

姫子「……」フラ…

オーズ(唯)「姫ちゃん!」ガシッ

姫子「……すー、すー」

和「中身の立花さんも元通りよ。ふふ…」

憂「……」


和「これで分かってくれたかしら?」

憂「…何が」

和「私たちと手を組めば、どれだけのメリットが持てるか」

憂「……」

唯「よかったあ、姫ちゃん何ともない…」

和「ふふ、よかったわね」

唯「あれ? アンク、メダルは集めなくていいの?」

憂「言われなくても集める! くそっ」

唯「な、なんで怒ってるの?」




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