20XX年。

国連G対策センターのGフォースは、メカゴジラ、モゲラの敗北により、その存在意義に対する批難の声を浴びていた。
元々その研究費、開発費、設備維持費の多くは国の国庫から捻出されており、それらが無駄な支出であるという論調も強まりつつあった。
これを受けて、政府はGフォースへの援助を全面的に凍結、Gフォースは財政難に喘いでいた……。


麻生「霞ヶ関の役人連中はこれだからいかんのだ!奴の…ゴジラの脅威をまるで理解していない!」


中尾彬似ともっぱらの噂の司令官・麻生大佐は新たなスポンサー探しに奔走していた。
しかし、国と同じレベルの援助を出来る組織などそう簡単には見つからず、大佐は日に日に憔悴していった。

Gフォースはもはや研究開発機関としての機能を失い、施設の一般公開によるわずかな収入でなんとか存続していた。

そんなある日……



さわ子「ここがゴジラ対策の総本山、Gフォースです。みなさん、施設の方々に迷惑をかけないように静かに見学してくださいね」

律「なーにが総本山だよ。メカゴジもあのもぐらも負けちゃってんじゃん」

さわ子「田井中さん!…そういう事はくれぐれも施設の人の前では言わないように」

律「あぅ…すびばせん…」

さわ子「それからこれは遊びじゃなくて社会見学ですからね。後で感想文を提出してもらうので、ちゃんと見学してください」

唯「りっちゃん!見て見て!ゴジラ饅頭が売ってるよ!」

律「うへぇ~…真っ黒な饅頭とかまずそーだなぁ」

唯「えー!かわいいじゃん!」

唯律「やんややんや」

さわ子「……はぁ」



施設内部

唯「うわー!すごい!戦車だよ戦車!」

紬「おっきぃー!」

律「か、かっこいい!」

澪「う…私はこういうのちょっと苦手かも…」


麻生「なんだねあの連中は」

佐々木「はっ!社会見学に来た女子高生です」

麻生「…Gフォースも堕ちたものだ。スポンサーさえいれば…」


さわ子「みなさん、次はここの司令官の方の危機対策に関するお話があるので、ペンとメモの用意をしてくださいね」


麻生「やれやれ……」


麻生「あー…オホン。諸君らがまだ小学生くらいの時の事だ。あの頃はゴジラの活動も活発で、わが国は何度もその危機に…うんたらかんたら」

律(話なげー…)

唯(飽きてきちゃったよ…)

澪「二人ともちゃんとメモとれよ。後で提出しなきゃいけないんだから」ヒソヒソ

麻生「…というわけで、諸君にもゴジラに対する危機感を持って生活していってもらいたいと思う。では質問のある方はどうぞ」

唯「はいはーい!」

麻生「む…。ではそこの髪どめの君」

唯「見学してて思ったんですけどー、今は新しいロボットの開発ってやってないんですかー?」

麻生(くっ…。痛いところを…)

麻生「今は諸事情により、開発は行っていない」

唯「諸事情ってなんですかー?」

麻生「それは国家機密なのでお答えできかねる」

唯「えー」

律「お金がないんじゃないの?」

麻生「うぐ…。そのような事は断じてない!話は以上!では失礼する」

唯「お金がないなら、ムギちゃん援助してあげられないのかなぁ?」

紬「うーん、父に頼めばもしかしたら…」

麻生(バカバカしい…。子供のお小遣いじゃあるまいし…)スタスタ




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さわ子「じゃあ最後はここ、超能力の研究に関する施設を見て今日の社会見学は終了です」

唯「超能力!?」

律「マジかよ!見たい見たい!」

澪「わ、私も……」

紬「私、超能力者に会うのが夢だったの~♪」

三枝「私が担当の三枝未希です。今日はみなさんにも超能力者の資質があるかどうかのテストをやってもらいます」

唯「わぁい♪」


三枝「ではこのヘッドギアをつけて、二人一組になってください」

律「澪、やろうぜ」

澪「うん」

唯「じゃあ私はムギちゃんと組もーっと」

紬「はーい」

三枝「向かい合って目を閉じて、相手の考えてる事が読めるかどうかやってみてください」

律「う~ん…」

澪「むむむ…。…ダメだ、わかるわけないよ」

律「…パンツ…。澪はパンツの事を考えてる…」

澪「デタラメ言うな!」

唯「うぅ~ん…ムギちゃんは…お菓子のことを考えてる?」

紬「違うわ。……唯ちゃんは、梓ちゃんの事を考えてるでしょ」

唯「わっ!ムギちゃん正解!すごーい」

紬「えへへ」

三枝(え?いやまさか何のトレーニングもしてない人がそんなわけ…)

紬「あとりっちゃんは「感想文ダルい」、澪ちゃんは「今日のお菓子なんだろう…」って考えてるよね?」

律「え!?」

澪「な、なんでわかるの?」

三枝「あ、あなた…もしかして普段から人の心が読めたりするの?」

紬「はい!ちなみにお姉さんは今、「こんなシロートにできるわけねーだろjk」って考えてます」

三枝「!?」

唯「すごーい!ムギちゃん超能力者だったんだねー」

三枝「こ、これは…!とんでもない逸材だわ……!」




後日

麻生「なにっ!?スポンサーが見つかっただと!?」

佐々木「はっ!それもかなり大口のスポンサーでして…恐らく国の援助以上の額が期待できるかと」

麻生「そ、それでそのスポンサーというのは…!?」

佐々木「琴吹グループです」

麻生「琴吹だと!?あの財閥系企業のトップが…!いや、しかし我々はあのグループと何の繋がりもないぞ?一体なぜ…」

佐々木「実は今、琴吹様とそのご令嬢がこちらに来ております」


ムギパパ「初めまして。あなたがここの司令官ですか?」

麻生「は、はっ!いかにも、私が司令官の麻生ですが…」

ムギパパ「ゴジラの脅威から世界を守るGフォース…微力ながら、我々企業の資金を以って援助させていただきたく参じた次第でございます」

麻生「いやはや、それは私どもにとって願っても無い申し出でございますが…一体なぜ?」

ムギパパ「ふふ…実は娘にせがまれてしまいしてな」

麻生「娘…?」

紬「先日はどうも~」

麻生「…!あ、あの時の…!」

ムギパパ「企業の長といえど、私も一人の父親。娘の願いにはめっぽう弱くて…はっはっはっは!」

紬「えへへ」

麻生「な、なんと…。いやしかし理由はどうあれ、ありがたいお話!謹んでお受けいたしましょう」

ムギパパ「うむ。日本の安全をよろしくお願いします」

麻生「それはもう!我々に任せていただきたい!わっはっはっは!」

ムギパパ「…で、資金援助をするにあたって、一つ提案があるのですが」

麻生「ははは!どうぞどうぞ。我々Gフォースに出来ることならなんなりと!」

ムギパパ「実は新兵器開発について希望があるのですが…」ヒソヒソ

麻生「ふむふむ…」

麻生「……!?」

麻生「な、なんですと!?」


麻生「そ、それはさすがに…。娘さんのロボットを作るなどということは…」

ムギパパ「いや、それがですな、誰に似たのか、この紬、中々の腕力でしてな。ゴジラ対策にそれを活かし、娘の巨大ロボットを作れば、ははは、ゴジラなんぞ一ひねりかと思いますぞ」

麻生「い、いや…しかしですな…」

ムギパパ「そうですか。では資金援助の話はなかったということに…」

麻生「お、お待ちください!わかりました!作りましょう!メカムギちゃん作りましょう!ええ!作りますとも!それでゴジラを倒して見せましょう!」

ムギパパ「はっはっは!そうですか!いやさすが司令官殿、話の分かる方だ!」

紬「お父様ったら…」

麻生(だ、大丈夫…。見た目だけこの娘と同じにすればいいだけだ…。パイロットはどうせ黒木に任せるんだし、何の問題もないはず…)


三枝「麻生さん、ちょっといいですか」

麻生「む、三枝くんか。今取り込み中なんだ。後にしたまえ」

ムギパパ「おや?あなたはもしやかの有名な三枝未希さんですかな?」

三枝「はい、そうですが」

ムギパパ「先日の社会見学以来、娘があなたの事を気に入ってましてな」

紬「この間はお世話になりました」

三枝「あっ!あなた…ちょうどよかった。麻生さん、この子の事でお話があります」

麻生「…なんだね?」


三枝「この子をGフォースに推薦します」

麻生「な、なにぃ~?」


三枝「この子はとんでもない逸材です。この間の超能力テストでは、ここの研究生をはるかに超える力を発揮していました」

麻生「ば、バカな…」

ムギパパ「そうかねそうかね。では司令官殿、こういうのはどうだろう?メカムギちゃんのパイロットとして、この紬を乗せるというのは」

三枝「メカムギちゃん…?」

ムギパパ「たった今決まった、G対策の秘密兵器さ」

三枝「なるほど。麻生さん、この子ならきっと素晴らしいパイロットになりますよ」

麻生「い、いやしかし……あー、ほら、娘さんの意向もあるだろう?」

紬「私、ロボットに乗るのが夢だったの~」

麻生「」




かくして、Gフォースは新たに潤沢な資金を得て、新兵器の開発に着手した。

全長110M、体重130万トンのG対策兵器 Multi Unstoppable Godzilla Intercepter…通称『メカムギちゃん』の誕生である。

その専任パイロットには、同兵器のモデルでもある、琴吹紬が選ばれた。




紬「…というわけで、メカムギちゃんのパイロットになっちゃいました」

唯「わー!ムギちゃん凄い!」

律「いいなぁ。私もパイロットやりたかったよ」

澪「だ、大丈夫なのか…?」

梓「危ないんじゃないですか…」

紬「大丈夫よ~」




Gフォース

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

佐々木「司令!奴が動きだしました!」

麻生「よし、上陸をなんとしても阻止せねばならん。自衛隊に要請だ」

佐々木「メカムギちゃんは出動させないんですか?」

麻生「パイロットを呼ぶまで時間がかかる。それに出来ればアレは出動させたくないのだ…」

佐々木「わ、わかりました…」


チャラチャチャチャーチャーチャーチャーチャラチャチャチャー♪(自衛隊のテーマ)


黒木「くそ…なんで俺がメーサー戦車の機関士なんかに…」

黒木「新兵器のパイロットは俺になるとばかり…」

ズシ…ン…

黒木「!!…来たか」

ズシーン…ズシーン…

ゴジラ「アンギャアアアオエエェェ」

黒木「食らえぇぇぇぇぇぇぁあああああ!!」ポチポチ

ドドドドドド

ゴジラ「」ゴーーーー

黒木「…!?」

黒木「ぬわーーーーーーーっ」

ボカーン


佐々木「ダメです!上陸を許してしまいました!」

麻生「くっ…仕方ない!メカムギちゃんを出動させる!パイロットはまだか!?」

佐々木「それが…何やらお茶がどうとか…」

麻生「いいから早くつれて来い!!」




一時間後

紬「お待たせしました」

麻生「よし。いいか。日本の命運は君とメカムギちゃんにかかっている。なんとしても奴を倒すのだ」

紬「はぁい!」

麻生「メカムギちゃん、出撃!」


MUGI「ウイーンガシャン」

ゴゴゴゴゴ…

オペレーター「メカムギちゃん、スタンバイOK」

紬「はーい。それでは発車します」ポチ

MUGI「ズゴゴゴゴゴ」

MUGI「」ブーーーン…

MUGI「」シュドーン


佐々木「あれ…飛べたんですね…」

麻生「知らん…。設計は全てあの親バカ社長がやっていたからな…」

オペレーター「MUGI、予定進路を大幅にずれていきます!」

麻生「んなにィ!?一体どこに向かっているんだ!?」




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