澪「膣の能力は能力を制限なく奪う能力……今あいつが持つ能力は私のものと憂ちゃんのもの」

澪「能力を持たない唯に対して憂ちゃんの力は無意味。ということは……」

エリ「残念だけど、私たちがモタモタしてる間にもあいつは動き回っていたんだよ」

澪「エリ!? それって、どういうこと……」

エリ「他にも奪われちゃっててね。和、梓ちゃん、とみ師匠……」

エリ「つまり今のあいつは」

澪(か、勝て……勝つんだ、唯……!)

無力な彼女たちの目の前で繰り広げられる強大な力のぶつかり合い。
唯と膣、その力は同等か。


膣「違うな! 私にはお前にはないものがある!」

唯「!」

膣「時間停止ィッ!」

膣「これは澪の力だ。唯ッ!」

能力の発動ゥ!
止まる時間。止まる唯。
全ての時の流れは膣のみを残して止まるゥゥッ!

膣「さぁ、唯。お前はあと一回カンチョーされれば終わりだったな」

膣「いっひひひ、無様だなぁ? これでお前も終わりだぜ」

膣「そら、カンチョー!」

――ズブッ。


膣「……?」

膣(貫いた手ごたえがない……)

タイムオーバー! 止まった時は動きだす。

膣「ぐっ……それどころか! 手が、穴から、抜けないだとっ!?」

唯「ふっふっふっ……」

唯「これは和ちゃんの技、白刃取りを私なりにアレンジしたもの」

膣「てめぇ! 時間止める寸前で肛門を締めやがったな」

唯「そっちが能力でくるのなら、私は技で勝負だよ!」



技と能力。
肉体と精神がなす、異形の力。

澪「すごい! 時間停止宣言を予測して技の設置! 常人がなせることじゃないぞ!」

エリ(あれが唯の力か)

とめ「違うね、あの技は私が和に教えたもんさ」

膣「余計なマネを! 楽にヤってやろうかと思ってたのにさー!」

唯「それこそ余計だよ」

膣「そうかよ。それじゃあこいつを受けな!」

バリバリバリ。律の体が放電を起こす。
この力は、まさしく梓の能力。

膣「アズサなんとかフラッシュ」

唯「ふん……できそこないの力だよ。それは」

膣「そいつは使い手が悪かっただけだな!」

青い火花が散るッ!
律が放出する電撃は唯へ牙を向けるゥッ!
唯、感電。

唯「うああああぁぁああああ!?」



唯「……けほっ」

肉と髪、制服までもが焼け焦げる。
焼けつく匂いがとても鼻障りだ。
唯は顔をしかめると、膣に跳び付いた。
が、単純な動きは魔眼を持つ膣には通用しない!

膣「我武者羅は通用せんなぁ」

唯「ちっ……」

膣「ふんっ、時間て――」

唯「とりゃっ!」

唯の咄嗟の右フックが炸裂! 膣はそれを両手で受け止めるゥゥ!

膣「……やるじゃない」

唯「思った通り。能力の併用はできないみたいだね!」

澪「そうか、能力をいくら持っていようと同時に使用することは不可。状況を判断して使う能力を見極めなければならない……」

エリ「だけど、それがわかったところで」

膣「む い み ! フラァッシュ!!」

唯「ああああううううぅぅぅぅっっ!?」



唯「……ううっ」

膣「近寄れば電撃が火を吹くぜ。そしてお前の動きは魔眼の力で全て見切れる」

膣「それに加速、時間停止。あとはー……へへへっ」

唯「……?」

膣「ばばあの能力。喰らってみるか?」

澪(ばばあ……とみばあさんのことか)

エリ「師匠の能力はかなり厄介だよ。それも反則級だ」

澪「……まさか!」

澪「は、離れろ唯! その距離はまずい!!」

膣(本当はこんな力に頼りたくはなかったが……もう十分さ)

膣「お前の顔は見飽きたぞ! 唯!」

唯「なにを――――」

膣「くっ、くきぇ。くきょきききゃけかけけこきかこ……!」

唯(なにをしたの? ちっちゃんは……)

膣『私にそのそそるケツを差し出せ。唯』

唯にそう囁くと、妖しく笑う膣。
その能力の実態ははたして。

唯「……」

唯「はい。ちっちゃん」

何の抵抗もなく尻を差し出しだァァッ!
なにが、なにがどうなっている! 平沢唯!

澪「ゆ、唯ぃ!」

エリ「あれが師匠の能力。自身の一定の範囲内に侵入した相手の意識を奪い……」

膣「そう、絶対服従させる……! 問答無用でなぁ」

唯「……」

澪「唯いいぃぃぃ!!!」

唯、絶体絶命。


膣「この能力のせいでもう1人の私は簡単にあのばばあにほいほいついて行っちまったみたいだが」

膣「ありがとよォ! ばばあァ~!! この力は私が有効活用させてもらうぜ!!」

エリ「あの力がある限り、能力効果が効かない憂ちゃんでしか膣に近づくことは不可能」

澪「憂ちゃんは……いないっ!」

膣『唯、お前は犬だ。ケツを振って喜びな』

唯「わんわんっ!」

まるで飼い主にじゃれる飼いならされた子犬のように尻をフリフリ、歓喜の唯!
その光景に腹を抱えて転げ回る膣!
本当の犬かの様に手玉取られているではないか。

唯「へっ、へっ、へっ……」

膣「あひょひょひょひょ! 次はなにをさせるかなぁ~」


澪「……っ! もう我慢の限界だ! 唯、今行くからな――――」

とめ「バカなこと考えてんじゃないよ。譲ちゃん」

澪「い……っ!?」

唯の助太刀へ向かおうとした瞬間、いつのまに後ろを取られていたのか、
一人の老婆に尻を鷲掴みされていた。

澪「あなたは!」

エリ「私のもう1人の師匠。とめ」

とめ「私らばばあは双子の姉妹でねぇ……どうだい。見分けがつかんだろう?」

とめ「あんたも言われたはずさ、穣ちゃん。あの2人の邪魔はダメだ」

澪「でも! あんなのって……」

とめ「どちらにせよ、あんたじゃあの化物に敵いっこないよ」

澪「ぐっ……」

エリ(あれで終わるというのなら唯の実力もそこまでだったというわけだ)


唯「わんわんわんっ!」

膣「お~よちよちよち~。すぐにカンチョーしたげるねぇ~」

エリ(さぁ、どうする!? 唯ッ!)

唯「く~ん♪」



「ふっふっふっ……まったく、この程度ですか。唯先輩」

膣「あん? なんだ、どこから声が――」

――ツルンッ。
膣、転倒。しかし、なぜ?
答えは膣の足元にあるゥゥッ!

澪「あれは……バター?」

膣「なんだこいつはぁ!?」

なんということか、あの時バターになった中野ではないか。
彼女は死んでいなかったのだ。そう、バターになっただけだったのだ。
バター・中野は魔物スライムの如くネトネトと動き、膣の体へへばり付く!

膣「うわっ、やめっ……! 貴様ァ! 邪魔をするなァァッ」

バターアズサ「邪魔? 違いますよ。私はただの道端に落ちていたバターですから
      べ、べつに唯先輩のためを思っての行動じゃありませんからねっ」

中野、しぶとく膣にくっつく。
ベタベタのバターは見る見る膣の全身に広がり、まさにバター人間。
そこに唯が四つん這いで喜んで跳びかかるッ!


唯「ぺろぺろ」

舐めたァッ!
唯が膣を舐めまくっているゥッ!

膣「や、やめっ……ひぃんっ!」

おやおやおやおや? 顔を赤くしてなにを感じてるのか膣ゥー。
行動を止めることなく、むしろ舐め速度が加速する唯! バターアズサぺろぺろ!

澪「そうか、唯は今犬! つまり唯は……!」

唯「ぺろぺろ、ぺろぺろ」

エリ「バター犬……!?」

澪「そして梓が能力攻撃を受けないのはバターだから! 運を味方につけたなっ、唯!」

とめ(そう、平 沢唯は運すらも味方につけるカンチョニストだった。そしてどうやらそれはしっかりあの子にも受け継がれているらしいねぇ)


膣「あははははっ!? やめろ、やめろ、やめろぉっ!! の、能力解除っ」

唯「ぺろぺ……必殺」

膣「なにっ!」

膣(す、すぐに魔眼を発動し――――)

――ガシッ。

膣「あがっ……!?」

魔眼発動には数秒のラグがある。この瞬間を狙われ、即座に唯の手が膣に伸びる!
膣の顔面を覆うようにがっしりと掴んだァッ!

唯「……魔眼殺し」ニヤリ

膣「うわああああちくしょおおおおっ!! ふ、フラッ――」

唯「遅いよ! 超必殺!」

とめ「おほっ! ついに来るかぁ!?」

唯「唯式・愛子<あいす>!」

膣「うおおおおお!?」

顔面を覆った手で思いっきり膣のその頭部を地に叩きつけ、脳震盪を起こさせた。
そこに追い打つように両手を使って膣の体をがっしりロック!
それはまるで赤子を包む母の姿……ではない。

唯「かんちょー!」

――ズブリ。

膣「うあっ……!」

唯は器用に両足を使って膣の穴へその槍をぶち込んだ。
カンチョーは手だけだと誰が言った! 足はダメだと誰が言った!
田井中 膣。ついにリーチッ!


エリ「流れる様なあの鮮やかな動き……師匠、あれが!」

とめ「……違う」

エリ「え?」

とめ「あれは秘奥義なんてものではないッ! たんなる技にすぎないッ!」

とめ「なぁにをしている!! 秘奥義じゃ! 秘奥義を見せろって言っているんだよおおぉぉぉ!!」

澪(秘奥義……?)

唯「……なんのことかわかんないけど、おばあちゃん。今のが私の全力全開の必殺技だよ」

とめ「そんなはずないッ! お前は最強のカンチョニスト、平 沢唯の生まれ変わり! 秘奥義だ! 秘奥義を使えェッ!」

唯「私は私だッ! 邪魔をしないで!」

とめ「ぐ、ぐううぅぅ……! 生意気を……!」


膣「あ、ぐ……ちくしょう」

膣「チクショオオオオオオオオオオ!!」

膣、咆哮。
それは全てを恐怖させ、震えさせる魔獣の雄叫び!
唯の胸の中で猛り狂う膣は我武者羅であった。

膣「ウオオオオオォォォォォ!!」

雷を体内から放出し、覆いかぶさる唯を吹き飛ばすッ!
キレた、膣は最っ高にキレたのだッ!
自分に一撃が与えられてしまったことにッ!

膣「私のアナにぶちこむやがったあああ!? ありえねえええぇ!!」

唯「……」

膣「はぁ、はぁ……私は、私は誰にも倒されないぞ……」

膣「そうだ! 私を倒せるのは私だけだ!」

唯「ちっちゃん?」


澪「あいつ、まさか!」

とめ「貴様! 死ぬ気か!? そんなことは私が許さんっ!」

膣「外野が口出しするな!!」

とめ「こうなれば……やむをえんッ!」

瞬間、澪の尻を鷲掴みしていたとめの姿が消え、膣の傍へ突然現れる。
これがとめの能力、瞬間移動。

とめ「勝手は許さないよ!」

膣「私の自由は私のものだあァァッ!!」

膣「そして私の最凶は私のもの! 最強も私のものッ!」

とめ「このっ、強欲者がぁ!」

膣「……ならばばあ。あんたの命も私のもんだ!」


途端、辺りが眩しさに包まれる!
膣の体が輝いているではないか。異常な輝き。これは!

膣「唯ィィ! こいつはもう1人の私の能力だ。最後によく目に焼き付けておけ!」

唯「ち、ちっちゃん! ううん、違う。あれは……りっちゃんだ! りっちゃん! やめてっ!」

澪「唯! 危険だ! 逃げるぞっ!!」

唯「だ、だめえええぇぇぇ!!」

律(へ、へへへ……ザマぁないな……)

膣「あっひひひひ! 私は最強――――」

とみ「ひっ――――」

バターアズサ「ちょ――――」

――ドオオオォォォンッッッ。

律、隠された能力。それは自爆。
最凶のカンチョニスト、妖怪・膣と元凶、狂いし老婆・とめを共に、自らを犠牲にして。

律は散った。




死闘繰り広げられし舞台は今、静寂に包まれる。
そこに吹くは風。
魂を運ぶ風である。
なにも、なにも残されることはない。

唯「……」

澪「律……律は膣を倒す為に身を呈して……」

エリ「師匠。愚かな人……」

唯「なにも言い残すことはないよ。私は私がやれること全部やったんだもん」

澪「唯……」

唯「でもまだ、まだカンチョーバトルロワイヤルは終わってない!」

唯「最強のカンチョニスト、決めようよ」

エリ「ふふっ、それでこそだよ。明日を楽しみにしてる」

澪「私は……私は……」

澪「唯! お前を倒すんだ、私は……!」

唯「いつでもかかってきてよ。澪ちゃん!」

澪「ああ!」


互いが互いの力を認め、互いが互いの勝利を譲らせない。
夢見るは勝利。栄光をこの手に。
勝利の果てにある最強の称号。

最強の果てにあるものは、
最強の果てに掴むものは、
最強の果てに……嗚呼。

多くの犠牲を背負い、彼女たちは行く!
決戦の地へ!

脱落者2名! 平沢憂、田井中律。


4日目終了。




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