――ドオオォォン。

――ズババババッッッ。

衝撃と衝撃のぶつかり合い。
荒々しく激しい音を立て、今カンチョー合戦が繰り広げられている。
戦いの舞台は屋上。
闘っているのは……!

紬「とおー!」

姫子「くっ……!」

姫子(カンチョニスト初心者かと思いきや、中々やるねっ)

姫子「でも!」

紬「え!?」

姫子「意気がいいのは、嫌いじゃない!」

紬「!」

ぶつかり合いの末、防戦一方に回っていた姫子は、
紬の制服の胸倉と左袖を掴み、地に叩きつけるッ!
決まったァ! 姫子の大外刈りだァッ!

姫子「……よっこいしょっと」


紬「あいたたた……」

姫子「はい、隙だらけ! カンチョー」

姫子は技をかけた後、即座にしゃがみ込み、
紬の穴へ向けて一撃をお見舞いするッ!

紬「あああぁぁぁあああああああああッッッッッ」

ビクンビクンビクン、全身を襲う鋭い痛み。
紬はカンチョーを甘く見ていたのだ。

……しかし、この一撃は紬の心をとても熱くさせた!

紬「イイ……」

姫子「え?」

紬「とっても、イイのぉ……」

紬(こんなに私を夢中にさせてくれるものだったのね)

紬(もっと、もっと……)

紬「゛エクスタシー゛をッ!!」

姫子「えっ!?」

紬「あなたとの戦いは私を絶頂まで高めてくれる……」

姫子(ムギ、一体何を)

紬「だからこの気持ち……お裾分けしてあげるッ!」

姫子「!」

姫子(なにあの目は!? 嫌な予感が……)

今の紬の瞳の輝きにいつものおっとりぽわぽわが感じられない。
そこにあるのはただ悦楽を求めし亡者の輝き。
闘いという欲を求めしバーサーカーへ、紬は――

紬「うふふ……」

姫子「うっ!」

姫子(動けないっ、足が竦んで……ううん! 足に力が、ふ、震えるっ)

次第にその場に立っていることすらできなくなり、崩れる姫子。
目に前の紬の姿が視界に映るだけで涙が溢れる。

恐怖ッ!

今の姫子にとって紬は恐怖そのもの!

紬「さあぁ、アレの続きをしましょう……?」

姫子(ダメ……ヤられる……)

そのときだった。
姫子にとっての゛騎士゛が現れたのは。

?「カンチョー! えいっ」

――ズブリ。

紬「ああぁぁぁんっ!」

決まった! 紬に本日二撃目のカンチョーが決まったァッ!
絶頂の声をあげた紬は気を失い、倒れる。
が、それは後ろから受け止められる。

紬「  」ビクンビクン

?「ふぅ」

姫子「あ、あなたは……」

そう、その人物は――


憂「危険な芽は早めに摘んだほうがいい」

憂「あなたもそう思いませんか?」

姫子(唯の……妹!)

憂「ごめんなさい、紬さん。でもこうするしかなかったの」

姫子「……」

姫子「たすけて、くれたの?」

憂「えへへ」

姫子(あぁ、笑顔が唯そっくり。見てるだけでこっちまであったかくなるような――)


憂「カンチョー!」

ズブリ

姫子「きゃひぃん!?」


姫子に憂のカンチョー炸裂ッ!

予想斜めをいった憂のこの行動!
姫子はてっきり自分を助けてくれたのだと信用しきっていた友人の妹の顔を、
痛みを堪えて、覗きこむ。

憂「ごめんなさい」

とても切なげな表情をしていた。
儚くて、壊れてしまいそうな……気がしなくもない。

憂「あなたも、これで二回目ですよね。影から見てました」

姫子「くっ……」

憂「つまり、あなたと紬さん。二人は終わりです。ごめんなさい」

姫子「……あー、負けちゃった。あはは……最強の道は厳しいね……」

憂(私が勝つためにはこうするしかない!)

憂(勝ち残って、私は……)

まさにハイエナ!

平沢憂、勝利の末に何を望むッ!




・・・

憂「……」

律「憂ちゃん!」

憂「え、律さん?」

律(憂ちゃんなら……)

律「単刀直入に言わせてもらうよ」

憂「?」

律「私と組まないか」

律「いや、私と一緒にこのゲームに生き残ってカンチョーっていうバカげた行為をやめさせよう」

憂「……」

律「みんな間違ってるんだ! おかしいんだよ!」

律「アンチ・カンチョー同盟に加入してくれ、憂ちゃん。頼む!」

憂「詳しく、話を聞かせてもらえませんか?」


憂「――内側から否定する……」

律「ああ。まだ私しかメンバーはいないけど」

律「きっとカンチョーに反感を持っているやつはいると思うんだ。だから」

憂「……甘いよ」

律「え?」

憂「ううん、なんでもないです」

憂「話はわかりました。私も入れてもらえますか? アンチ・カンチョー同盟に」

律「い、いいのか!? 勿論だよ! いやー、憂ちゃんがいれば百人力だなぁっ」

憂「ふふふっ……」




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