昼休み

律「おっひるだー! つまり昼飯だー!」

紬「お腹空いたね」

律「まったくだよ」

唯「かんちょー!」

ズブリ

律「ひゃあぁぅっ!?」

紬「ゆ、唯ちゃん!」

唯「これが……私の技だよ」

唯「必殺・唯式……」

律「いきなりなにしてくれるんだよっ!!?」

唯「うわわ……」

紬「りっちゃん、すごい声でてた……」

律「もぉ! 唯のせいだかんなぁっ」

律「ったく、何が技だよ。ただのカンチョーだろ」

唯「ただの? 違うね」

律「見栄張んなって」

唯「もぉー」

紬「そういえば澪ちゃんはどこかしら? さっきからどこにも……」

律「トイレじゃな……お、唯ー。ほら、あそこ」

唯「ん?」

律「澪が後ろ向いて油断してるぜ。さっきのカンチョーやってやれよ」

唯「望むところだよ。澪ちゃん、隙を見せた澪ちゃんがいけないんだからね……思いっきりいかせてもらうよ!」

紬「唯ちゃんがんばれー」

唯「……」ソローリソローリ…


澪「……」

澪「……ふっ」

ニヤリ


唯「かんちょー!」

唯の一撃が澪の穴に突き刺さろうとした、とそのとき!

不思議なことが起きた。

唯の゛獲物゛は既に唯の後を取っていた。

唯「!」


澪(残念だったな、唯。獲物はお前だったというわけだ)

澪は即座に慣れた手つきで指を組み、シンプルな二本差しを作って唯の穴へ向ける。
澪の瞳はギラギラと禍々しい光を放つ、まさに狩る者の目。

澪(こうしていれば絶対に食いついてくると思っていたよ。予想通りだ)

澪(目の前の私が突然視界から消えたことによって呆気を取られた唯は隙だらけ。もはや私の手の中も同然)


唯(――と、澪ちゃんは考えているはず。残念だったね澪ちゃん)

唯「私は常に、一歩先を歩んでいるんだよ!」

澪「なにをバカな……」

澪「!?」

澪(いない!)

澪の目の前にあった形のいい唯のそそる尻は既に、なかった。
いや、消えたとでも言えばいいのだろうか。

澪「まさかっ」

澪「ざんぞ――ひぐぅんっ!?」

――ズブリ。

肛門を貫く鈍い音がした。
唯は既に、澪からバックを奪っていたのだ。

律「き、決まった……!」

紬「なんて鮮麗された動き!」

澪「っあ……はぁ!」

――ヌポッ。

穴から引き抜かれる指。
唯といえば西部劇のガンマンのように組んだ手を銃に見立て、銃口から出た硝煙を吹くマネをしている。
まるで余裕と言わんばかりの表情をしているじゃあないか。

唯「ばーん!」

澪「畜生ッ……!」


澪「お、教えてくれ唯。お前はなにを……」

唯「澪ちゃんが負けた理由はただ一つ。とっても簡単でシンプルなこと」

唯「私が強すぎた! それだけ」

澪「……」

澪「ふ」

澪「あははははっ!」

唯「?」

澪「面白い! 面白いよ唯! 最高だ!」

唯「そうかな、私は手ごたえが無さ過ぎて正直がっかりだよ。澪ちゃん」

澪「言ってくれるじゃないか。だけどこんなところに一流のカンチョニストが潜んでいただなんて……ふふっ」


律「あいつらさっきから何話してんの」

紬「さぁ」


澪「私がカンチョーに目覚めたのは中学のとき」

唯・紬「なにか始まった」

澪「律が私にカンチョーしてきたときだ」

律「え、私そんなことしたっけ?」

澪「……覚えてないの?」

澪「まぁいいさ。とにかく、それから私は目覚めたんだよ」

澪「最強のカンチョニストとして」

律「お前唯にさっき負けたじゃんか」

澪「あれは不覚だったよ……私が唯を甘く見ていたのが敗因さ」

律「言ってろ」

澪「そういうわけだから唯!」

唯「はい?」

澪「次は、私が勝つ……!」

唯「いつでもかかって来てよ。いくらでも相手してあげる!」

紬「見て、りっちゃん。二人の後ろに龍と虎の姿が……」

律「いやいやいや」

律「にしても、いい歳してカンチョーはどうだよ?」

唯「えー、りっちゃん好きそうなのに」

律「おい!」

澪「ま、律が私たちに仕掛けたところで返り打ちにあうのは見えてるけど」

律「……かっちーん」

律「おー! そこまで言うならやってやろうじゃん!? やってやりますよー!」

紬「り、りっちゃん……」

唯「面白いね! それじゃあ今日からこの5日間で誰が最強なのか決めようよ」




カンチョーバトルロワイヤル開催!

ルールは簡単だ。
一人につき、2回カンチョーされればアウト。
誰にカンチョーしようが、どれだけカンチョーしようが関係はない。

敵を撃ち滅ぼし、最後の一人になった者……それが最強のカンチョニストの称号を手にすることができるッ!

唯「って感じで」

律「いや、勝手に開催とか言われても」

澪「カンチョーバトルロワイヤル……面白いな」

澪「私は乗るよ、唯。お前を倒すためにもな」

唯「それでこそ澪ちゃんだよ!」

紬「じゃあ私も~」

律「む、ムギ!?」

澪「どうした律。逃げるのか?」ニヤリ

律「……や、やってやるって言ったんだからやるに決まってんだろ!」

唯「それじゃあ残りのメンツは私が適当に揃えるよー」


カンチョーバトルロワイヤル!参加メンバー!

平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、若王子いちご、立花姫子、瀧エリ、中野梓、平沢憂、鈴木純、そして……

和「面白いじゃない。唯にしては中々の提案だわ……出るわ、私も」

真鍋和! 参戦!


律「まてまて! いちごとか何なんだ!?」

唯「やろうって言ったら快くOKって言ってくれたよ」

律「んなバカな……」

さわ子「私がこの戦い、見届けるわ」

唯「そしてさわちゃんが審判です!」

律「どいつもこいつもバカばっかだよ!」




放課後

梓「んあぁあっ! 律先輩覚悟ぉぉぉ!」

律「な、なんだ!?」

律が部室に入るやいなや、突然襲い掛かってきた中野。
律はその突進を身を翻して華麗に回避。
突然の奇襲にこうも上手く対処できる人間はそうそういない。
突進を避けられた中野はバランスを崩して、こけたッ!

これはチャンスだ!

律「なにがチャンスだよ! 大丈夫か、梓」

梓「て、敵を心配するだなんて……余裕ですね……!」ニヤリ

妖しく微笑む中野に嫌な予感を感じる律。
すぐに差し伸ばした手を引っ込めて距離を置く。

律「お前、なんでそんなやる気なんだよ。ていうかなんだ!」

梓「決まっているでしょう。これは最強の称号を賭けた戦いなんですよ」

律「梓……お前までカンチョーかよ……」

梓「戦わなければ、生き残れない……!」

律「やかましいわっ!!」


律「ところでみんなはまだ来てないの?」

梓「知りませんよ。みんなどこかで坦々と尻穴狙ってるんじゃないですか?」

律「そんな下品な言葉使うんじゃありません……!」

律(みんなどうかしてるぜ……カンチョなんたら最強の称号なんてもらったところで恥ずかしいだけだろうに)

律「梓だけはマトモだと信じてたのに」

梓「マトモ! マトモってなんですか、カンチョーをしない人間ですか?」

梓「律先輩。人は皆、カンチョニストなんですよ。律先輩だってそうです!」

律「私を勝手に変態集団の仲間にすんなっ!」

梓「……気に食わないですねぇ」

律「は?」

梓「律先輩! あなたは早めに潰させてもらいます」

律「なんでだよ!?」

梓「気に食わないから!」

律「このっ、中野ぉっ」


律「……やっぱりこんなの間違ってる。私たちが争い合う意味なんてないよ!」

梓「ふっ、バカですね……いえ、甘いと言うべきですか」

律「なんだと!」

梓「だから、こんなに簡単に後ろを取られるんですよ……!」

律「は!?」

中野がいない!

後ろだ、背後から彼女の声が聞こえる。
中野はいつのまにか律のバックを奪っていたのだッ!

律「そんな……いつのまに……」

梓「巫門遁甲、なんちゃって」

梓「今のでわかったでしょう? 敵を前にして油断していたらこうなるって」

中野は組んだ手を律に突きつける。
不敵な笑みを浮かべる中野は律がよく知るただの生意気な後輩ではなかった。

梓「今ので一回死んでますよ。この調子で大丈夫ですか~」

律「こ、のっ……」

梓「律先輩はこのままやられちゃう程度の人間なんですか?」

梓「律先輩は勝つ気がないただの意気地なしの弱虫ですか?」

梓「くくくっ……」

律「……」

梓「言われっぱなしで悔しいですか? そうなんですか? はっはっはー」

律「……なぁに」

律「ようはこの5日間生き残りゃいいって話なんだろ」

律「やってやろうじゃん!」

律(そうだ! やってやるよ! それにカンチョーをよくないと思っている参加者だって少なからずはいるはずだ。なら私は……)

律「アンチ・カンチョー同盟を作るぜ……!」

梓「は?」

律「内側から否定してやるってんだよ。この歪んだカンチョー遊びを!」

梓「……ここまで来るとあきれちゃいますよ」

梓「興冷めです。あなたの相手はまた後日……それでは」スタスタスタ…

律「……ふん、言ってろ阿呆め」




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