澪「毎日毎日、ベースを弾くことだけが私の仕事だ」
ベンベベベーン♪
澪「ライブをすれば、それだけ活動費がもらえる」
澪「琴吹紬は喜んで、私に最高級のモンブランを食べさせてくれる」
澪「モンブランのために弾くのかって?それは違うよ……」
ガチャ
梓「あのー入部希望なんですけど」
澪「宝物を弾き当てる事だってある」
ベベン♪
梓「中野梓です。新歓ライブ感動しました!よろしくお願いします!」
唯「あ~?うん、よろしくね~」モグモグ
律「どーぞよろしくぅ~」モグモグ
紬「モンブラン食べる?1個1380円よ♪」
梓「け、結構です……」
梓(なんかすっごいだらけてる…練習しないのかな……)
澪「秋山澪です。ようこそ軽音部へ!」
梓「澪先輩…ですね。よろしくお願いします」
澪「誰も入部してくれないかもって心配してたんだよー、ありがとう!」
梓「いえ、そんな」
梓(この人は、しっかりしてそう)
律「べーっつに新入部員なんてどうでもいいけどね~」ズズー
唯「むぎちゃんのお菓子食べられれば、それで良いいよねぇ~」ズズズー
紬「今度のライブも頑張りましょう♪お茶のおかわりはいかが?」ニコ
律・唯「いっただっきまーす」
梓「……」
澪「あんまり気にしないで。いつもこんな感じだから……」
梓「ダメです!」
律「あ?」
梓「こんなんじゃダメです!!」
紬「何がいけないの?」
梓「練習もしないでだらけてばかりいたら、
どんどん腕が落ちていっちゃいますよ!?せっかく良い演奏ができるのに」
唯「うるさいなぁ~。梓ちゃん…だっけ?1日や2日サボったってだいじょーぶだってぇ」
梓「あなたは何もわかっていないです!」
唯「??」
梓「楽器は1日練習しないと、3日分腕が衰えると言われているんですよ!?」
唯「もぉーわかったよぉ。明日、明日っから練習するから、ね?」
梓「今日からやるんです!!」
律「チッ、うっさいなー。私らはライブやって、お茶してりゃそれでいいんだよ」
紬「……お言葉ですが、こんな軽音部にライブやる資格なんて無いと思います」
律「あんだってぇー!」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」
唯「6回」
紬「今日は特別にタダでこのモンブランあげるから、ね?」
梓「……特別ですよ」モグモグ
澪「ハァ……」
梓「澪先輩はどうしてこんな部活入ってるんですか?」
澪「律に誘われたんだ、一緒に軽音部入ろうって」
梓「律先輩から?あんなに怠けてるのに……」
澪「前はあいつもやる気出して、毎日頑張ってる時があったんだよ」
梓「じゃあどうして……」
澪「むぎが……琴吹紬が来てから変わった」
澪「毎日あいつがお菓子を持ってくるんだよ」
澪「最初はちょっとした息抜きだったんだ。だけど、だんだんお茶の時間が長くなってって……」
梓「今に至るわけですか……」
澪「うん……」
数日後
梓「こんにちは……」
澪「あ、梓ぁ」ベベベーン♪
唯「あずたろう、おいっす」モグモグ
梓「何ですか、あずたろうって……ところで唯先輩」
唯「なーにー?」
梓「ギターの練習は進んでますか?」
唯「そ、それは~……」
梓「してないんですか?今日は練習するって行ったじゃないですか!」
律「まぁそう言うなよ。こいつに一人でギターの練習させようってのが間違いなんだって」
梓「誰も独学でなんて言ってません。教則本を読めばいいんです」
律「だからぁ、そんな器用な事ができるおつむじゃないんだってば」
唯「りっちゃんのくせにー……」ブー
梓「じゃあ何で先輩方は軽音部に居るんですか!」
梓「毎日毎日、放課後の度にそうやって踏ん反り返って…それが部活動ですか!?」
梓「軽音部の為に、毎日頑張って練習してる澪先輩を見ても、何とも思わないんですか!?」
紬「まぁまぁ、梓ちゃんお菓子――」
梓「結構です!!」
梓「こんな部活やってられません!私退部します!さようなら!!」
バタン!
紬「騒がしい娘ねぇ」
律「これでやっと静かになるなっ♪」
唯「えへへ~モンブラン~♪」
澪「あずさ……」ベベベン…
その後・生徒会室
和「学園祭、軽音部のライブは無しよ」
澪「そんな……」
律「ずみ゙まぜん!ずみ゙まぜん!ずみ゙まぜん!私たちが悪かったです!」ヘコヘコ
律「お願いです、学園祭ライブやらせてくだざい゙ぃぃ!」ヘコヘコ
和「だめよ。申請書提出の期限はとっくに過ぎたわ」
律「そんな゙ぁ~!そこを何とかぁぁあ゙あ゙!」
澪「…………」
ドンドン、シャーン♪
澪「!」
真律「出し忘れたのか?申請書」
澪「……律が…もうひとり…?」
真律「バカヤロー!」バッ
真律「桜高に激奏轟く軽音部!バンドの魂背中に背負いぃ!才色兼備のあ、鬼部長――」
真律「田井中律様がぁ、そう何人もいてたまるかよぉっ!」
澪「でも二人いるしっ!」
真律「その通り!好きなほうを選べっ!」
澪「そんな、むちゃくちゃだろ!」
真律「忘れたのか!私の無茶に中身をくれたのはお前なんだ!
私の遊べに中身をくれたのはお前なんだよ!」
澪「はぁ…?」
真律「お前のベースはその辺のデコっぱちとは違うはずだ」
駄律「ずみ゙まぜん!ずみ゙まぜん!」ヘコヘコ
真律「いつまでもこんなダメダメ軽音部でうだうだしてんじゃねー」
澪「りつ…」
真律「お前のベースは何のためにある…!」
澪「律…なのか…?」
駄律「おいっ!」
ガバッ
澪「…わっ」ドサッ
駄律「お前も一緒に謝るんだよ!」
グイッ
澪「……くっ」
駄律「すみません!実はこいつの所為なんです!」ヘコヘコ
澪「私のベースは……」
駄律「私はちゃんと書いたんだけど、こいつが出すの忘れてて!」ヘコヘコ
澪「私のベースはぁ…!」
駄律「ホントどうしようもないヤツで、ハハハ!」ヘコヘコ
澪「胸を衝くベェースだぁぁぁぁあああああああああ!!!」
ボカァッ!!
駄律「ブゲォァァア!!!」
真律「へへっ…♪」
澪「ベースは私の魂だ……」
ベベベーン♪
律「行くぞ、澪」
律「ればーとか、たらことか、細かいことは気にすんなっ」
律「お前の信じたひとつの事が、お前のベースの真実だ」
澪「あぁ、その通りだ」
律「忘れんなー、私のドラムもそこにあるドラムだよっ!」
澪「律…」
律「私だけじゃない、こいつらもな!」
唯・紬「あははは♪」
律「いつの間にか背ぇ抜かれちゃったな」
澪「本当だ……小学校の頃は律の方が大きかったっけ」
律「懐かしいなー、それに胸も抜かれたね」
澪「……ぅ」
律「手もデカくなったよな!」
澪「うるさい!」
ボカッ
律「あだっ!」
澪・律「プッ……アハハハハハハ!」
澪「ハァ………行こうか、みんな」
律「ああ、今度の学園祭でホントに最後だ……」
紬「来年は受験生ね……」
唯「卒業したら、みんなバラバラになっちゃうのかな……」
澪「バラバラじゃない、一緒だろ?」
律・紬・唯「うん!!」
澪「いくぞ、ダチ公!!」
ベベベーン♪
学園祭当日・桜高講堂
和「時間ね、二度と軽音部が壇上に立つことは無いわ。軽音部は……終わりよ」
さわ子「あの子達は、必ず来るわ……」
ベベン…
さわ子「!?」
ベベン♪
さわ子「……!!」
ベベン♪ベベン♪ベベン♪ベベンベベンベベン♪
律「待たせたな、さわちゃん!」
澪「来たよ、先生…!」
さわ子「うん…!」
和「バカな…痴的生命体が、多重追試迷宮を脱出できるワケが無いわ……」
唯「ンジャメナねェ~……
英語だろうと、数学だろうと、追試地獄だろうと、そんなこと知ったこっちゃないよ」
唯「自分の決めた道を、自分のやり方で貫き通す。それがわたしたち、放課後ティータイムです!!」
和「成長したわね、唯……ならば予習復習、必ず守りなさい……」
唯「とうぜん!わたしはそこまで愚かじゃないよ!」
『次は軽音楽部、放課後ティータイムによる演奏です』
ザワザワ
澪「……」スッ
澪「梓はやめた、もういない!」
澪「だけど…みんなの背中に、その胸に、ひとつになって弾き続ける!!」
澪「ベースを弾くなら胸を衝く、血の気引いても弾き続け――」
澪「ときめいたらなら、私の勝ち!!」
客「何?何を言ってるの!?」
澪「私を誰だと思っている……」
憂(ドキドキ……!)
澪「私は澪だ……梓とキャラ被ってなんかない……!」
さわ子(うん…うん…!)
澪「私は私だ!レフティ秋山だァアア!!」
客「ワァァァァァァァァァァァァァ!」
澪「聞いてください…」
律「ひっさぁあつ!」
紬「ふわぁ…」
唯「ふわぁぁ…!」
澪「タァァァァァアアアアイム!!!」
澪「キミのマジ顔~♪」
唯「マジ顔~♪」
ブチンッ!!
唯「っ!」
唯(弦切れちゃった!ど、どうしよう!!)ジャンガジャンガ
律(やばいな、このままじゃ持たないぞ!)タタタン♪
客「ざわざわ…」
紬(会場のテンションが落ちてるわ)ポロロロン…
澪(ここまでなのか……)ベベン…
憂「でも、お姉ちゃんがこれで終わるはずがない…!」
ギューンギャギャギャーン♪
梓「まだです、まだやれます!!」
梓「ムスタング、マッチングヘーッド!!」
唯「あずにゃん!?」
澪「どうして!!」
梓「年中倦怠の海に沈んでいたみなさんがここまで来れた…」
梓「私のギターが、軽音部の明日を創るなら本望です」
唯「うん…確かにその通りだね……」
澪「唯、おまえ……」
紬「指の皮が……」
唯「わたしたちは、わたしたちのするべき事をするためにここまで来た、そうでしょ?」
澪「……わかった。勝つぞこのライブ、必ずな」
律「当然だ…!」
ギャギャーン♪
唯「あずにゃん、一緒に行くよ!!」
梓「はい!!」
ギュギュギュギューン♪
唯「わたしたちは、一分前のわたしたちよりも進歩する!
一演奏すれば、ほんの少しだけど夢に近づく、それが軽音楽なんだよ!!」
紬「そう!桜高にだって、色々と凄い人が居たわ!」
律「その人のためにも、私たちは前に進む!」
梓「軽音部の魅力は無限!その大きさに私も賭けた!!」
澪「放課後ティータイムは、この桜高に風穴を開ける!その穴は、後から続く者の道となる」
澪「卒業して行った者の願いと――」
さわ子「!」
澪「後から続く者の希望――」
梓「!」
澪「二つの想いを、四重奏に織り込んで、夢へと続く音を奏でる!!」
紬「それが桜高軽音部!」
唯「それが放課後ティータイム!」
律「私たちのライブは!」
澪「天に響くライブだァァァァァァァァァアアア!!!」
澪「ふわふわ時間~♪」
唯「ふわふわ時間~♪」
憂「オネェチャァァン!!イケェェェエ゙エ゙エ゙!!!」
ブチブチブチ!
唯「ギー太・インパクトぉぉぉおおおおお!!!」
ジャジャッ♪ ジャジャッ♪ ジャーーーン♪
唯「わたしを!」
澪「私達を!」
軽音部「誰だと思っていやがる!!!」
数年後――
ォォォォォオオオオオオオオ!!
唯「すごーい…!」
紬「やっとここまで来たのね……」
律「サイリウムだ!サイリウムがいっぱいある!!」
澪「サイリウムの光はすべて客だ」
澪「あぁそうさ……放課後ティータイムのファンの人々だ」
終
最終更新:2011年06月26日 21:34