澪「私って友達が少ないよな」

律「唐突になんだよ」

澪「友達っていうといの一番に律だろ、唯やムギと和……梓は私を友達だと思ってくれてるだろうか」

律「先輩じゃね」

澪「なあ、リア充の律に聞きたいんだ」

律「はいはい」

澪「なにをやったら友達になるんだ、友達証明書でも作るのか?」

律「自分が友達だと思ったやつみんな友達だ!」

澪「律はリア充だな、私にはとてもそんな自信はないよ」



澪「今度作る曲に友達募集って縦読みで入れようと思うんだけど」

律「ほーお、入れてみたらいいじゃないか」

澪「達で始まる言葉が達磨くらいしか思いつかないんだ」

律「いいじゃん達磨、姫達磨とか可愛いじゃん」

澪「一番はじめの歌詞が、友達と笑い会おう、で次が達磨と一緒になるんだよ」

律「はじめの歌詞を何とかするべきだな」

澪「何とかしてくれ! リア充の律なら! リア充の律ならやってくれるだろ!」

律「ごめん、リア充だからぼっちの澪の気持ちわかんない」

澪「」



律「冗談だって、泣かない泣かない。ところで何でいきなり友達が少ないって思い始めたんだ」

澪「歌詞を書くために今までの人生を振り返ってたんだ」

律「壮大な歌詞でも書くつもりか」

澪「そしたら私はいつも律の後ろにいて、ライブの時みたいに目立つことが少ないことに気づいたんだ」

律「ほうほう」

澪「それで、私がいつも友達だと思ってた人は果たして自分から話しかけて友達になったのか、実は違うんじゃないかって思ったんだ」

律「和は?」

澪「和は、ぼっちでいた私に声をかけてくれた、私から声をかけたわけじゃない」

律「……そう言えば、唯と一番最初にあったのも私だし、ムギを勧誘したのは私、梓は自分から来たな」

澪「なあ律、私は実は友達が作れない病にかかってしまったんじゃないだろうか」



律「そういえば私が澪と友達になったきっかけも積極的に話しかけた私のおかげだったり」

澪「だろう!」

律「そうか……澪は自分で友達を作ったことがないのか……」

澪「そうなんだ、このままじゃ歌詞がファンシーになってしまう」

律「え、なんだって?」

澪「友情や恋情も想像でしかない、こんなんじゃファンシーな歌詞になって当たり前だ」

律「はあ」

澪「今までは私がリア充だと思ってたからリア充全開の歌詞だったが……これからはどうなるのか分からない」

律「……」

澪「なあ律、私に友達の作り方を教えてくれ」



律「だけどさー、私の方法で友達を作ったら、今までの状況と変わらないんじゃないの?」

澪「へ?」

律「だってさ、悪い言い方すると、私の方法を利用するわけでしょ」

澪「だ、だけど! 私の方法で友達を作る自信がない!」

律「じゃ、じゃあ、その澪が友人を作る方法を教えて、注意していくから」

澪「……恥ずかしい!」

律「んじゃ、帰るね」

澪「ああ! 言う、言うからちょっと待って心の準備だけさせて!」

律「早くしてくれよぉー」

澪「ま、まずハンカチを落とすんだ」

律「」

澪「落としたハンカチには私の個人情報が書いてある」

律「個人情報保護法に真っ正面からけんか売ってるな」

澪「ここは女学校だから男の人に拾われる心配はない」

律「先生はどうなるんだよ」

澪「ああ、素敵なハンカチーフ、これの持ち主はどんな人なのかしら」

律「脳みそを見てみたいな」

澪「あの、友達になりませんか!」

律「ねーよ」



律「なあ澪、個人情報ってどこまで書いてあるんだ」

澪「そうだなー、名前、電話番号、住所、年齢、趣味、部活、す、スリーサイズとかは恥ずかしいからやめた方がいいかな」

律「澪、もしも学校でハンカチで落とすとしてだよ」

澪「ああ、完璧な作戦だよな!」

律「多分だけど、その程度の情報ならほとんどの生徒は把握してるんじゃないか」

澪「ええ!? 住所と電話番号もか!?」

律「うん、だって、ファンクラブの会合に前出たんだけどさ」

澪「そんなのがあるのか……」

律「澪ちゃんカルトクイズって言って、その……何でそんなの知ってるんだっていうクイズ問題をメンバー全員が答えてた」

澪「」

律「私は3問目でそれ以降は一切分からなかったな」



律「驚いたなー、3日前の澪の家の夕食はって言う問題をムギが答えてるのを見たときには」

澪「なに!?」

律「早押しの差で和が悔しがってたな……」

澪「うそ!?」

律「まあ、全員分かってたみたいだけどな、私以外」

澪「わ、分かった。とりあえずハンカチを落とす作戦はやめておくよ」

律「分かってくれた?」

澪「ハンカチがだめなら、ぱ、パンツを落とすのはどうだろう」

律「」

澪「実は一年生の時のパ、パンチラ事件以来、その、こそっとパンツを見せるのが趣味になってるんだ」

律「すっげー聞きたくなかったその告白」

澪「このパンツを見られたらどんな気持ちになるんだろう、すごく、恥ずかしい」

律「恥ずかしいな、頭が」

澪「で、でも、学校の中だけなんだぞ! そ、外では律の家でしかやってない!」

律「自分の家でやれ!」

澪「ママやパパにパンツを見られても恥ずかしくないもん!」

律「知るか!」



律「まさか澪がこんな変態だったとは……」

澪「へ、変態じゃない!」

律「ほー、じゃあなんだ。隠れてパンツを見せるのが趣味って衆目の前で言えるのか?」

澪「い、言えないけど……それとこれとは話が別のはずだ!」

律「まあ、百歩譲って澪が変態じゃないとして」

澪「な、なんで百歩譲らなきゃいけないんだ!」

律「その趣味はやめとけ、てか、学校も外じゃないのか」

澪「い、いいんだ、学校は学校だし」

律「澪の趣味を聞いたら、全員が全員どん引きするだろうな」

澪「う!?」

律「じゃあ、今から澪であることは伏せてムギに聞いてみる、ムギは口が堅いからな」

澪「う、うん……」



律「もしもし、ムギか?」

紬『りっちゃん? どうしたのこんな時間に』

律「私の知り合いで、隠れてパンツを見せるのが趣味の女の子がいるんだ」

紬『素敵な趣味ね!』

律「ごめん、ムギ、また明日学校でな」

紬『ええ!? その話詳しくきか……』



律「ムギはもうだめだ」

澪「な、なんだって?」

律「澪の趣味を素敵な趣味だと言い放ちやがったんだ」

澪「ムギはいいやつだな!」

律「まあ、百歩譲ってムギも変態じゃないとしてだ」

澪「何で百歩譲るんだ!」

律「今度は唯に聞いてみよう」

澪「ん、そうだな」



律「もしもし、唯か?」

唯『んん……なあーにー?』

律「ごめん、寝てた?」

唯『もうすぐ寝ようと思ってたんだけどぉ』

律「じゃあじゃあ質問だけ答えてくれるか?」

唯『私頭良くないから宿題とか無理だよぉ』

律「隠れてパンツを見せるのが趣味の女の子とかどう思う?」

唯『ぱんつー?』

律「そう、自然を装ってパンツを見せる女の子」

唯『えー、そんな女の子いないよー』

律「じゃあ、最近唯は誰かのパンツを見たことないか」

唯『あずにゃんと憂のパンツなら見たことあるよ』

律「どういうシチュエーションで?」

唯『それはここじゃ言えないよぉ』

律「ごめん、唯、ありがと、おやすみ、また学校でな」



律「唯はだめだ」

澪「なんだって?」

律「私にすら言えない状況で梓と憂ちゃんのパンツを見ている」

澪「わ、私のパンツのことは言ってなかったか?」

律「唯に見せたことあるのかよ……」

澪「ち、ちらっとだ!」

律「まあ、千歩譲っていいけどさ……」

澪「増えてる!?」

律「何か不安だけど、梓に聞いてみるぞ」

澪「ん、そうだな」



律「もしもし、梓か?」

梓『こんな時間にどうしたんですか?』

律「今、なにしてる?」

梓『あ……ん……いぃ、いたずら電話ですか?』

律「とりあえず質問に一つ答えてくれればいいんだ」

梓『は……あぁ……はぁい! ん……ど、どうぞぉ!』

律「隠れてパンツを見せるのが趣味の女の子ってどう思う?」

梓『ん……んぁ! あん! べ、別にぃ、ひぎ! い、いいんじゃないですかぁん!』

律「そっか、ごめんな、変な時間にかけて、また明日な」

澪「ど、どうだった?」

律「もうやだこの軽音部、やめていい?」



澪「おい! 律が軽音部設立のきっかけになったんだぞ!」

律「あー、そうなんだけどさー、メンバーと私の間に深い溝がみえてさ」

澪「溝?」

律「そう、何か、私だけ異世界人のように思えてさ」

澪「うーん、律だけがおかしく感じるんだったら、実は律がおかしいんじゃないか?」

律「……(んー、ムギがちょっと変態チックなのは元から、唯がSっぽいのも考えられた、梓がガチレズっぽいのもありえる)」

澪「どうだ?」

律「いや! おかしくないって! 私おかしくないって! 澪達がおかしいんだって!」

澪「またまたー、そんなこと言って律が変なんだろ」

律「変じゃないって! じゃ、じゃあ、常識人に電話してみよう! 和なら、和なら何とかしてくれる……」

澪「うん、澪なら信用できるしな」



律「もしもしー、和ー?」

和『こんな時間にかけてくるなんて、ちょっと常識がなってないんじゃないの、律』

律「じ、常識人っぽい台詞がっ!」

和『なに言ってるの、マナーよマナー、で何か用?』

律「あ、あのな、私以外の軽音部の部員がみんなちょっと変なんだ」

和『変って?』

律「澪は隠れてパンツを見せるのが趣味なんだ」

澪「おぉーい! りつぅー!」

和『はあ、それで?』

律「うん、で、ムギは女の子が好きで、唯は憂ちゃんや梓と付き合ってるっぽいんだ、その梓もガチレズでドMみたいだし」

和『知ってるわ』

律「そうそう、知ってるっておかし……知ってる!?」

和『律も軽音部が淫乱なコばかりだってようやく知ったのね、うれしいわ』

律「嬉しい!?」

和『おめでとう、軽音部の仲間入りね』

律「いやちょっと待って待って! それで軽音部の仲間入りでおかしいでしょ!」

和『なにを言っているのかよく分からないけど、律も恥ずかしい性癖持ちなんでしょ?』

律「なに言ってるの!?」

和『え? 今軽音部の部室で乱交パーティしてるからみんなの性癖を知ったんじゃないの?』

律「ら、らんこうって! ち、違う! そんなことはしてない!」

和『ああ、そうね、この時間じゃ遅いものね、部活の時間にやったと』

律「そんなことしてない!」

和『そう、残念だわ』

律「……ん、まあ、こんな時間に電話かけてごめん、おやすみ」

和『乱交するなら私も呼んでね、準備してくるから』

律「ん、うん、頑張って……」



澪「ど、どうだった? 何か不穏当な会話が聞こえてきたけど……」

律「この世には神も仏もいないらしい」



律「何か疲れた……」

澪「ん、そうだな……夜もちょっと遅くなってきたし」

律「今日はもう帰るよ……」

澪「ん、また明日って! 違う! 私の友達の少なさについてだよ!」

律「あー、うん、もう、どうでもいいや……」

澪「どうでもいい!? 何て酷いことを言うんだ律!」

律「ごめん、疲れてるんだ、また明日ね」

澪「りつぅー」



 次の日!

律「昨日のことは夢だと思うことにした」

聡「ねーちゃん、どうしたん?」

律「聡、大人には必ず乗り越えなくちゃいけない壁がある、だけど壁は時間がかかるけど回り道でも越えられるんだ」

聡「ね、ねーちゃん、も、もう大人だったの?」

律「そりゃま、聡よりも年上だし」

聡「そ、そっか、ねーちゃんも年頃だもんね」

律「ぴっちぴちの高校生ですから!」

聡「(相手は誰だろう……澪さんかな?)」

律「よし、大人な律さんは過去を振り返ったりしない、生きることは今を素敵な過去に変えることだ!」

聡「アイオーン・コードが面白すぎて生きているのがつらいね」



律「おっはよう澪……おい、す、スカート!」

澪「ああ、律か、どうだ、私のパンツは」

律「パンツもなにも、なんでスカートはいてないんだ!」

澪「これ、わかりにくいかもしれないけど、縞々のブルマなんだ」

律「はぁー、それでかーって、違うよ! ブルマ通学は認められてないって!」

澪「あれ、そうだっけ、まあいいけど、スカート鞄に入ってるし」

律「スカートはこうよ! スカート!」

澪「そんなスカートスカート連呼しないで、恥ずかしいでしょ」

律「恥ずかしいのは澪の歌詞とその格好だー!」

澪「でも、律が悪いんだぞ」

律「なにが!?」

澪「私を無視して帰っちゃうから」

律「昨日は疲れたんだよ……」

澪「だから私は一生懸命考えてパンツのような格好をして登校することに決めたんだ」

律「何て恥ずかしい格好を……」

澪「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」

律「うん、そうだね、恥ずかしくないね」

澪「りつぅー!?」



律「授業が始まる前に疲れた」

澪「まったく律は体力がないなー、だから練習が足りないっていつも言ってるじゃないか」

律「練習……練習ね……はぁー、部活行きたくないなー」

唯「どうしたのりっちゃーん」

律「唯か、昨日はお楽しみでしたね」

唯「えっへー、分かるー? あずにゃんが可愛くってさぁー」

律「ほどほどにな」

唯「それだとあずにゃんが満足してくれないんだよぉ」

律「はは、本当にお似合いだな」

唯「まあ、セフレなんだけどね」

澪「フレ!? フレンドの略か!」

唯「そうだよー」

律「ああ、また話がややこしくなってきそう……」



澪「そうか、梓と唯は友達同士なのか」

唯「澪ちゃんもお友達だよ」

澪「ああ、嬉しいよ唯、友達って本当にいいものだよな」

唯「ちょっと物足りないけど」

澪「」

唯「澪ちゃんはなかなか身体を許してくれないし……」

澪「だ、だってその……恥ずかしい」

唯「澪ちゃんはスタイルがいいんだからだいじょうぶだよー」

澪「ん……でも、梓みたいなフレンドもいいよな……」

唯「澪ちゃんもドンドコイだよ!」



律「もうやだ軽音部……」

紬「ああ、りっちゃん、昨日の続きを!」

律「……もうやだこのクラス……」


最終更新:2011年06月19日 21:19