よろしくお願いします。

SS初めてなんで色々ヘマするかもしれませんがよろしくお願いします。

それではどうぞ。



君のこと以外は何も見えないなんて嘘だけど離れたくないよ
モーターボートなんて僕は要らない牧を割って船作ればいいし
オールは全部りんごの木だし
何処へ行くのニコニコして君のとなりに座っていい
馬車は走るとても遅くだってロバが引いてるんだもの
馬車は走る星の下を二人毛布被りながら
荒れくれた狼現れたなら僕は頭使って君を守るだろう
未来のことなら君に任せて決して寂しい思いさせたりしない
毎週部屋を模様替えするし
何もないがニコニコして君のとなりにいれればいい
馬車は走るとても遅く 二人毛布被りながら
夜は冷える 肩組もうぜ 街の灯りが遠くに見え
僕にとってこの寒さは神聖さを増してくれるんだ

ところでマジに話をするけど
僕ってただのお調子者に見えるかい
十中八九そういう風に見えてるんだろうけど
やってみなくちゃ分からないだろ
自分でもさっぱり分かってないんだ

何処へ行くのニコニコして君の隣に座っていい
馬車は走るとても遅く だってロバが引いてるんだもの
何もないがニコニコして君の笑顔が見れればいい
馬車は走るとても遅く だってロバが引いてるんだもの
夜は冷える肩組もうぜ 街の光が遠くに見え
僕にとってこの寒さは神聖さを増してくれるんだ





眞鍋和は悩んでいた。

そりゃ私は勉強だって出来るし眼鏡にだって一応こだわってキャラ立てしてるし、

委員長キャラに則って生徒会長だって務めあげてその上冗談だって言える。

チェケラッチョイなんてセリフもお手のものだし、

唯のショートケーキの苺を取っちゃうなんて人道にもとるボケだってナチュラルに遂行してみせた。

あんなボケが許されるのは私の真面目なキャラとのギャップに勝手に萌えてくれる萌え豚共のお陰だ。

そんな今の自分の立場に満足していない訳ではない。

それなりに充実しているし、何の不自由もない幸せな毎日だ。

だけど―――



和「何でK大に進学なんかすることになったんだろ・・・」

自分の学力なら名門のK大は十分狙えたし、現実に受かって今は入学を待つ気楽な日々だ。

K大に進めば将来路頭に迷うこともないし、

そこで得られる体験もかけがえのないものになるに違いないし、

マイナスになる要素はないはずだ。


そう言い聞かせてみても、ここしばらくずっと胸のもやもやが消えてくれない。

今だって本当は大学の工学部での勉強に向けて、

工学の入門書なんかを予習しておくつもりでいたのだ。

おととい買った分厚い本はビニール袋に入ったまま部屋に放置されている。


卒業式が済んでからだろうか、今までに味わったことのない無気力が和を包み込んでいた。

昔から得意だった勉強に、自分には向いてないと思ったものの挑戦してみた生徒会長、

気が乗らない時は手を抜いたりもしたけど、

それら全てに真剣に向き合って来たし、やりがいも感じてきた。

自分の為にやってきたし、確かに有意義な体験になったはずなのだ。

だが今はそれら全てがただ無駄なことに時間を費やしてきただけのような気がして―――


そのことを考える度に、

今までの人生に何も意味がなかったかのような、

不安と焦燥に押し潰されるような気持ち悪さに襲われる。

一年生の時に唯に言った言葉がはねかえってくる―――


「こうやってニートが出来上がっていくのね・・・。」


あの時は、だらだらしたまま無為に高校生活を送ってしまいそうな

唯の将来を心配して言ったけれど、

今の自分の方が心配した将来の姿そのものになってしまってるんじゃないか。

このまま無気力に過ごしていけば、将来に希望を見出せないまさにニートになってしまう。


急に強烈に虚しくなって、思わずベッドの上で眉をしかめながら目を閉じる。

瞼の裏に浮かぶのはやはり―――


和「唯―――」


幼馴染の親友、唯の眩しい笑顔。

あの子はニートだろうと、

桜高を沸かせる軽音部のスターだろうと、変わらない笑顔を浮かべる。

その笑顔は私にはない光のようなものを宿してる。

いつでも自分の今いる場所が自分にとって最高の場所。

唯の笑顔はそう語りかけくる。そう、きっと誰もに。


和「唯、私はどうすればいいの?」



ここ最近の自分が失ったこと、それは唯が近くにいないことだと気付く。

唯に構うのは昔から和にとって当たり前のことで、

唯は色々と抜けているから、私や憂がついていてやらないとダメだと思っていたけれど、


本当は私が唯に頼っていたのかもしれない。


日々気力を保って生きていく為に私は、

唯の笑顔を信じて、唯に依存して、なんとかやってきたのかもしれない―――


思えば、勉強や生徒会や色んなことをやってきたけれど、

いつの頃からか、私が本当に楽しいと思えるのは唯といる時間だけだったように気がする。

そしてその時間を原動力にして、色々とやらなければならないことをこなしてきた。


そういえば二年生の時に澪と同じクラスになって、

毎日色んな話をしたし、それはそれで楽しかったけれど、

クラスで孤立しないように澪とは仲良くやっていかなければならない、と

どこかで自分を外から見ている冷静な自分がいた。


唯といる時は違う。

本当に心から楽しんで、何も考えずにただ一緒にいることが出来る。

でもこれから送るK大での生活に唯はいない―――


そう考えるとやはり自分が大切な物を失って何一つ手にしなかったように思えて、

K大への進学が一層憂鬱に思えるのだった。


唯がいないと、

和「ヒマでヒマで仕方ないわ・・・」

退屈に堪え兼ねて、和は部屋にある母親に買ってもらったPCの電源を付けた。

何もない時間が苦痛に思えて、何の目的もなくても何かをしていなければやってられない。

特に音楽に興味なんてないけれど、取り敢えず動画サイトで音楽を検索する。

クリック。眠気に流されながら、動画を見終わる。

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何の為でもない、意味のない時間が、ネットワークに回収されて無為に消えていく。

和「ふぁ・・・」

欠伸をしながら聴いていた知らない曲の、ある一節で、

和「ん・・・」

和は思わず身を乗り出す。


“何もないが ニコニコして 君の笑顔が見れればいい”


和の頭の中でその言葉が、狭い箱に投げ入れたテニスボールのようにガンガン反響した。

和は食い入るように画面を見つめながら、

頭の中ではその一言だけが風船みたいに膨張して、

音楽の他の部分が入って来なくなってしまう。

何もない、何もない―――唯のいない毎日には何もない。

今の自分がこの一言の中に生きていた。

いや、何もできず無為に過ごしている自分は死んでいるようなものか。

そして、唯の笑顔が見れればいい、唯の笑顔を見るだけでそんな憂鬱さから抜け出せる、

ああ、この一言は私そのものだ。

和は、自分の生を曲の中に求めるように、

狂った腕時計みたいに同じ曲を何度も再生し、同じ部分を何度も聴き入った。

その一節が耳に届く度に、和は何とも言えない迫ってくるような切なさに襲われ、

その歌詞を頭の中で繰り返しながら、自分の虚しさや唯と会えなくなることを思い、

ぐるぐると重くなるわだかまりに飲み込まれていった。




一方唯はギターを弾いていた。

唯「ほぁぁーーーっ!」

律「うるせーぞ唯!」


卒業してから、唯の家は放課後ティータイムの溜まり場になっていた。

入学まですることがない唯達は、

毎日昼過ぎに唯の部屋に集まって夕方までわちゃわちゃしている。

6時を過ぎると各々夕飯を食べに自分の家に帰るが、

たまに憂の料理を食べていくこともある。

始めは散発的に集まっていたのだが、

何しろ毎日部活で会っていた仲なので、

毎日でも集まりたいのは当然のことだ。

憂に遠慮して控えていたものの段々その遠慮もなし崩しになって今に至る。


梓「正直唯先輩が高校卒業してからもお家でギー太引いてるとは予想してませんでした」

澪「そうだな。唯のことだから春休み中はずっとゴロゴロしてるだろうと思ってたよ」

唯「んなっ!あずにゃんに澪ちゃんってば失礼だよ!私とギー太の絆は固いのです!」フンス

律「ギターはいいよなー、いつでも手元にあって演奏できるもん。私も家にドラム欲しいって!」

梓「律先輩のドラムが鳴ってたらご近所さんが迷惑でたまったもんじゃありませんよ」

律「中野ぉー!」

律が梓を羽交い締めにして脇をくすぐる。

梓「ちょwwwりつせんぱいやめwwwwひゃっwww」

澪「ムギは家でキーボード弾いたりするのか?」

紬「うん、やっぱり演奏してると楽しいもんね」

唯「だよねー!」

紬「うふふ」


梓「ハァハァ・・・じゃあ今度スタジオに行って久しぶりに合わせてみませんか?」

唯「おお!それグッドアイディアだよ!さすがあずにゃん!」

梓「痛った!唯先輩ギター下げたまま抱きつかないで下さい!ペグ刺さってますから!」

律「えー、でもスタジオって予約とかめんどくさいしお金かかるしさー」

澪「ドラム叩きたいんじゃなかったのかよ・・・」

律「部室だとタダでいくらでも叩けたからなー。めんどくちゃい!澪が予約してよー」

澪「な、なんで私が!スタジオに電話かけるなんて恥ずかしいじゃないか///」

唯「はい!私予約します!」

律「お、唯ナイス!」

紬「唯ちゃん張り切ってるわね~」

唯「ムギちゃん、私が張り切ってる理由聞きたい?聞きたいよね!?」

梓「皆さん、そろそろ帰りましょうか」

律「そうだなー」

唯「あずにゃんりっちゃん酷いよ!
  そんなこと言ったら私が作った曲も聞かせてあげないんだから!」

律「えっ」
梓「えっ」
澪「えっ」
紬「まあ!唯ちゃん作曲したの?」

唯「そうだよ~。私とギー太の愛の結晶だよー!」

梓(愛の結晶って、それはつまり唯先輩が
  ギー太との毎夜のアッハーンの末に種をつけられちゃったっていう・・・)
梓「やらしい・・・(ボソ)」

律「ブッ!!何がやらしいんだよwwww」

紬「梓ちゃん最悪www」

唯「やだー♪ 私の初めてはあずにゃんに捧げるって決めてるんだよー?」

梓「それはキモイです、いいからとにかく弾いて下さい」


唯「むー!あずにゃん酷い!もう弾けばいいんでしょ!」

そう言うと唯は勢い良くリフを奏で始め、

次いで小気味よくコードを鳴らし、

歌詞のないメロディを歌った。

律「結構本格的www」

梓「唯先輩がちゃんとギター弾いてるの久々に見たわwww」


最初はそんな風に軽口を叩きながら聴いていた一同だが、

徐々に唯の作った曲に引き込まれ、

指や足でリズムを取りながら聞き入っていく。

ギターソロに入ると歓声があがった。

一曲終わる頃には皆すっかり唯の音楽に魅了されていた。


ジャン!ジャン!ジャン!ジャジャーン!

一同から自然と拍手が起こる。

紬「唯ちゃんすごいわー!すっごく楽しかった!」

そういって唯に向けた紬の瞳は興奮と称賛でキラキラしていた。

唯「そ、そう? いやぁ、なんか照れますなぁ///
  私とギー太の子供を可愛がって貰えてギー太も喜んでるよ~」

梓「ブッwww」

律「ブッwww梓今何想像したwww」

澪「な、なぁ、私それ、バンドで合わせてみたい!ベースラインが浮かびそう!」

唯「でしょ? 私もそう思ってたんだよー! 皆でこの曲合わせようよ!」

唯の部屋はひとしきり唯の作った曲の話で盛り上がった。
その輪の中で、紬はこっそり安堵を覚えていた。

正直、部活が終わってから皆で音楽をやる目標がなくなって、

このままでは自分たちの間から音楽がなくなってしまうのではないかと、

少し不安になっていたのだ。

無論、たとえ音楽をしなくなっても自分達は仲良しで、

会わなくなることはないと思っていたが、

それでも自分達を繋ぐ絆の一つだった音楽がなくなってしまったら・・・、

音楽だけじゃなくて、何かもっと大きな、

戻れない高校生活の輝きのようなものを失うことになるだろう。

けれど、こうして唯がギターに夢中になってくれるおかげで、

高校生活のような輝きをそのままに来るべき日々を進んでいくことができる。

それだけじゃなくて、その日々は部活の時とはまた違う、

新たな輝きに満ちたものになる予感がする。

唯が自分達の光になって、私達を導いてくれる―――そう考えるだけで、

紬は初めて海でのクルーズに連れて行ってもらった時より

ずっと大きなワクワクが止まらなくなった。


紬「唯ちゃん、私キーボード頑張るね!」

唯「うん!ムギちゃんありがとう~」

唯はとびきりの笑顔を紬に向けた。

その笑顔を見るだけで世界がどこまでも広がっていくような気がした。


律「よーし、私達の手で唯の子供をおっきくしてやるぜ!」

梓「ちょwww律先輩それどういうwwww」

律「お前の思ってるような意味じゃねーよwww」

紬「つまり手コk澪「やめてくれ、ムギ!」

唯「ムギちゃんサイテーwww」

紬「サイテーなのは梓ちゃんでしょ?wwww」

梓「違います律先輩です」


梓の下卑た冗談を境に、盛り上がっていた場は一旦落ち着いて、

唯「私達で作った曲、和ちゃんにも聞かしてあげたいなぁ・・・」

力が抜けてふと唯が呟きを漏らした。


皆が帰って、憂と夕飯を食べた後、唯は自分の部屋に篭もった。

憂とくだらないお喋りをしながらごろごろするのもいいけれど、

今日はなんとなく一人で物思いをしたい気分だ。


一杯になったお腹を下にして、ベッドにごろんと横になる。

頭に浮かぶのは、今日は昼間騒いだ仲間のことじゃなくて、和のこと。


和ちゃんどうしてるかなぁ。

今までそんな風に考えたことなかった。


三年の時は学校で毎日会っていたし、

クラスが違った二年の時や、夏休みなんかは、

なんとなく和が恋しくなったらいつだろうと

携帯電話で連絡を取ったしいきなり会いにいったりもした。


小さい時からずっと一緒にいた唯と和の間に遠慮なんて無縁だし、

和のことを考えることと和にメールすることの間に隙間なんてないはずなのに、


今は何故か携帯のボタンが重い。


別に今メールしても和ちゃんは怒らないし、気が進まないとかそんなんじゃないけど・・・。

そもそも和ちゃんへのメールの文面を考えようとする何かもやもやするのは何でだろう?

和ちゃんと久し振りに会う為にメールしようとしてるだけなのに・・・。

何故か、甘えちゃいけないみたいな気分になる。

唯「むー・・・?」


頭の中が混線して、ぐるぐるしてきた。

なんとなく、唯はCDラックに手を伸ばす。

唯「んー・・・」

何が聞きたいわけでもないが、頭のもやもやが勝手に動く。

音楽を聞いてどうにかなると思ったわけではないが、なんとなく音楽が欲しいような気分だ。


ほどなくしてなんとなく聞きたい曲が浮かんだ。

アニメのEDで、かっこいいギターの曲だな、って思って気になったミュージシャン。

そのミュージシャンの名前をネットで検索して適当にアルバムを買った。

二回くらいは聴いたかもしれないけど、あんまり覚えてない。


おぼろげな記憶を辿りながら、曲目リストを見て、聞きたい曲を見つける。

唯(そうそうこれこれ。この曲の歌詞がなんとなく耳に残ったんだよね~)

CDをセットして、数曲すっ飛ばして目的の曲をかける。

♪ところでマジに話をするけど 僕ってただのお調子者に見えるかい?
十中八九そういう風に見えてるだろうけど やってみなくちゃ分からないだろ?

唯(十中八九ってwww変な歌詞www)

唯(和ちゃんから見たら私ってただのお調子者に見えてるんだろうな~、

って思ってなんかこの曲だけ覚えてたんだよね~)



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