澪「…ありえねー」

紬「…」

梓「…」

唯「あ、あの、その」

律「いや、別にいいんだけど。聡、説明してくれ」

聡「うんまあ」

かくかくしかじか


唯「酷いっ!私は変人じゃ」

律「あのさあ、唯。お前悪い奴じゃないんだけどさ」

律「なんでそうやって見知らぬ他人に迷惑掛けれるんだよ」

紬「怖かったわね、聡くん」

梓「ちょっと引きますわ、先輩」

澪「…うざ」

唯「え、えぇと…」


聡「…」

聡「ウザイならそう言えばいいのに」


律「え?」

聡「なんでそうやって希望持たせようとするんだよ」

聡「…良い奴とか、思ってないんだろ?」

聡「ウザイキチガイって、ハッキリ言ってやった方が唯さんの為だよ」

唯「うわあああん!!!」


聡「あれ」

律「お、おい唯」

キコキコキコ

唯「聡くんの禿ぇえええええ」

聡「ちょ、自転車勝手に…!」

聡「待てよ!」

ダダダダダダ


律「…なんだありゃ」

紬「りっちゃんの弟結構可愛いわ…」


-----


聡「ハァ…ハァ…」

唯「…」

聡「いきなり漕ぎださないでくださいよ…」

唯「…自転車、パンクしちゃった」

聡「はあ…」ドサッ

聡「早く漕ぎすぎです」

唯「…」

聡「…」

唯「…」

聡「…」

唯「あたし、ウザイかなあ」

聡「ウザイですね」

唯「酷いっ」

聡「正直に言った方が唯さんの為です」

唯「おとにゃんにはデリカシーが足りないよ」

聡「そんな物要らない気遣いです。期待させる方が残酷です」

唯「…」

唯「…(川原で二人…夕焼けを見ながら…)」

唯「(語り合う…)」

唯「(あれ?これ青春じゃね?)」


唯「我が青春、ここに見つけたり!」

聡「はあ」

唯「…はあ」

聡「元気ないですね」

唯「…あたり前じゃん。あたしだって人間なんだから」

聡「…」

唯「おとにゃんにこんなに嫌われてるなあんてさ」

唯「あたし、わかってたんだよ」

唯「みんなにハブられたの、あたしがウザイからだって」

唯「みんなあたしのこと嫌いなんだ」

唯「あたしを好きになってくれる人なんて居ないんだよ」

唯「でもそれじゃあ余りにも淋しすぎるから」

唯「だから、気付かないふりしてたの」


「ママー、あのお姉さん一人で喋ってるよ?」

「シッ見ちゃいけません」


唯「えっ」

唯「ちょっと、聡くん?」

聡「ああすいません、喉渇いてたんでアクエリアス買ってきてました」

唯「…」

聡「飲みます?」

聡「あのですね、唯さん」

聡「貴女は俺が、貴女を嫌ってるとか言ってましたが」

聡「別にウザイと言っただけで、嫌ってはいません」

唯「え…」

聡「(まあ、好きでもないけど)」

唯「おとにゃん…」

唯「それって…(告白…)」

唯「(ああ、心なしかおとにゃんが凄くイケメンに見える…)」

唯「(あたし、おとにゃんとなら上手くいくかも)」


唯「おとにゃん!」

聡「はい」

唯「幸せな家庭を築こうね!!!!」

アーイトユウキダケーガトーモダーチサー

聡「…もしもし」

聡「うん…わかってるよ」

聡「ああ、はいはい」

聡「愛してる愛してる」

唯「え」

聡「じゃあな」ピッ

唯「あの…?」

聡「すいません、俺彼女居るんで」


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唯「私、悟りました」

唯「この世で一番残酷なことって」

唯「期待させといて、落とすことなんです」



数日後

プルルルル

憂「…はい、平沢です」

憂「えっ…お姉ちゃん!電話だよ」

唯「三次元死ね三次元死ね三次元死ね」ブツブツ

憂「お姉ちゃん!聡って人から電話」

唯「!」


唯「…もしもし?」

聡『もしもし、田井中です。田井中聡です』

唯「…」

聡『あの、唯さん』

唯「…おとにゃん」

聡『言い忘れてたことがあって』

唯「…何よ、今更」


聡『自転車代とパーカ代と、遊んであげたぶん、しめて1万円頂いてないんですが』

ブツッ
ツーツーツー



唯「三次元死ね三次元死ね三次元死ね」ブツブツ

憂「お姉ちゃん…」

プルルルル
カチャ

憂「はい、平沢です」

憂「えっ、ああはい」

憂「お姉ちゃん、また…」


唯「…」

聡『唯さん、約束はきちんと守りましょう。法で訴えることだってできるんですよ』

唯「…何よ!」

唯「何よ、偉そうに!!!」

唯「ぼっちの降りしてリア充だったくせに!!!」

聡『(酷い言い掛かりだ)』

唯「なんで、あんな期待させたのよ!」

唯「私を見てくれない!抱き締めてもくれないくせに!」

聡『はあ』

聡『抱き締めたら、一万円返してくれるんですか?』

唯「ほえ?」

ブツッ
ツーツーツー



しばらくして!

ピーンポーン

憂「はい、えっあの」

聡「唯さん、来ましたよ」

唯「えっ!?おとにゃん!?」

聡「姉ちゃんに聞いてきました」

唯「…今更何しにきたのよ!」

聡「唯さん」

唯「…」

聡「…」


唯「…(あんだけ言ったから抱き締めるよね)」

唯「」チラッ

唯「」チラッ


聡「…」

聡「やっぱり駄目だ」

唯「え?」

聡「好きでもない相手を抱き締めるなんてできません」

唯「はああ!?」

聡「浮気はしたくないんです」

唯「てめぇふざけてんのかああかくらわはには」

憂「お姉ちゃん落ち着いて!」

聡「だから、唯さんを好きになるように努力します。彼女とは別れます」

唯「えっ」

聡「(一万円は、デカい)」

唯「おとにゃん…」

聡「おとにゃんじゃありません」

聡「聡です」

聡「抱き締めたら、一万円返してくれるんですよね」

唯「聡くん…!」

憂「何これ」



数日後

唯「聡くんかぁ」

唯「いやあ、もう聡くんはすっかりあたしの魅力にメロメロですよ」

唯「それこそ、一万円のことなんて忘れてるくらいにね」

聡「捏造しないでください」

唯「捏造しないとやってられんわ!」

唯「なんなの!?毎日家に来たりして一回も抱き締めないじゃん!!!!」

聡「うーん、なんか違うんですよね」

唯「もうここまで来たら意地でも一万円返したくないわ」

聡「墓穴掘っちゃいましたね。ハハハ」

唯「聡くんも頑固だね!!!そんなにあたしには魅力がないかい!!!」

聡「いや、そういうわけじゃなくて」

聡「実は、ここに来るのが楽しみになってるから…なんて」

唯「ふん!もう騙されないよ!どうせ憂目当てでしょ」

聡「…ちがうよ」

唯「へ」

聡「(ギー太…)」



終了







唯「待て待て待てい」

聡「もういい加減終わらせたいです。ゴールが見えません」

唯「もー!だからさ、あたしを抱き締めればいい話じゃん!!!」

聡「それはできません」

唯「どうしてさ!?」

聡「だって、そんなことしたら」



聡「…もう今みたいには居られませんよ」

唯「へ」

ギュ



おしまい