唯「……」チラッ

唯(あと1時間ぐらいしたら出ようかなー)

憂「それじゃお姉ちゃん、私もう行くね~」

唯「あ、うんいってらっしゃーい」

憂「いってきまーす」


――――


ガーッ

店員「しゃあせー」

憂「すいません、トイレ借りていいですか?」

店員「あー、どぞー」


ガチャ

憂(ふぅ…さて)

髪をおろし、姉の部屋から拝借してきたヘアピンをつけ、鏡の前に立つ。

憂(ふふ…完璧お姉ちゃんだ。と言っても赤の他人どもから見たら、だけどね…
  こんなの私から見たらお姉ちゃんのかわいさに遠く及んでないよ)

憂(でもまぁ昨日今日知り合った程度の芋ジャリ騙す程度なら十分なんだよね)

憂「予防策も全て完璧」

そう呟く憂の手には、ヘアピンを拝借してくる時に同時にくすねておいた姉の携帯が握られていた。

憂「じゃ、行こうかな」ガチャ




聡「まだかな唯さん…やっべ、なんか緊張してきたし」ドキドキ

憂(あの子がそうかな…キョロキョロしてるけど…まだてんで子供じゃない)

憂(とりあえず気付いてないフリして近付いてみよう)テクテク

聡「あっ!唯さん!こんにちは!!」

憂(ビンゴ)

憂「あっ、聡くんごめーん、今気付いたよ~」

聡「マジですかーオシャレしてきたんでイケメンになりすぎてましたかねwはははw」

憂(なんだこいつ)

憂「(ムカつくからスルーして…)丁度お昼だね、ここで食べるの?」

聡「は、はいそうしようかと!だめですか?」

憂「あははいいよー、中学生だもんね~ファストフードが限界だよね!」

聡「うっ…スイマセン…」

憂(おぉっと、まずはかるーくジャブをヒットです憂選手!ふふふ…)

憂(これからどう対戦相手を痛めつけていくのか見ものですね~解説の平沢さん!)

憂(ええ…とりあえず確かなことはただ一つ…)

憂(はい。対戦相手は絶対に次のラウンド“お姉ちゃん”に辿り着くことは無い!ということですね!)

憂「……クスクス…その通りです…」ブツブツ

聡「あ、あの唯さん?入らないんですか?」

憂「えっ!? はっ!!(しまった自分の世界に入り過ぎた…)」

憂「う、うん入ろ~!」




憂「いただきまーす」

聡「モグモグ」

聡「しかし唯さんの妹さんて怖いっすねー」

憂「え?」

聡「だって俺唯さんに電話したのにいきなり変わって切ったりとか…」

聡「今日の約束だって俺唯さんに直接したかったですよー。いつもああなんですか?妹さん」

憂「……聡くん」

聡「はい?(あれっ、何か急に威圧感が…)」

憂「憂のこと悪く言わないでよ。憂は私のこと大事にしてくれて、色々考えてくれてるの」

聡「えっ、あの…」

憂「大切な妹なんだよ?何も知らない聡くんにとやかく言われたくないな」

聡「は、はいごめんなさい…調子乗ってすいませんでした…」

憂「わかってくれたならいいんだ。ごめんね、大好きな憂の悪口言われてちょっと怒っちゃった」

聡「ほ、ほんとスイマセンした…」

憂「もういいって」

聡「ごめんなさい…ぅう…」

憂(クク…お姉ちゃんに印象下げられたと思ってるかな…ボディにキツめの一発、てとこだね…プププ)

憂(あとでお姉ちゃんと話されたら今日のこともバレちゃうし、
  もうお姉ちゃんに連絡する気も起きないぐらい叩きのめしてあげなくちゃね…)



――――

唯「着いた……」

唯「男の子と二人で遊ぶなんてドキドキするよ~、どこに連れてってくれるのかなぁ」ピンポーン

「はーい」


ガチャ

律「おお唯じゃん。何、どした?」

唯「りっちゃんおっす!…聡くんは?」

律「え、聡?なんで?」

唯「あ、あの…えーと…じ、実は今日、聡君と遊ぶ約束してたんだけど…」

律「え!?聡と!?うっそ、何それ」

唯「い、色々ありまして~、この時間に家にきてって…」

律「そうなのか?でもアイツ今いないよ」

唯「うそ!?なんで」

律「いやなんかよくわからんけど、昼前に家出てったぞ。

 『帰ってきたら衝撃の報告をする事になるでしょう…フフ…』とかキモいこと言いながら」

唯「えぇ~なにそれー」

律「電話してみれば」

唯「うぅ…家で携帯なくしちゃって…」

律「は、家で?おいおい」

律「んじゃ私がかけてやろう」ピッピッ

プルルルルル…



―――――

聡「すいません俺ちょっとトイレ…」

憂「うん」


憂「…はー、気を抜くと声のトーンがお姉ちゃんぽくなくなりそうで結構大変だね」

ブブブブ

憂「おや、聡くんの携帯が鳴ってる」チラ

憂「『姉ちゃん』…律さんかー……」


ブブブブ

憂「……はっ!?やばっ、もうお姉ちゃんがついてる時間だよね…ってことはまさか…」

憂「あ、危ない危ない!とりあえず切って」ピッ

憂「メールだ!他人の携帯は使いづらいなあ…」ピッピッ

憂「…お願い聡君が大でありますように…!もう少しで送信できる…」ピピ


憂「よし!送信!あとは履歴と送信メールを削除して…」

憂「……ふうううおおおおおおセーフ!憂選手窮地を脱しました!!はぁ~」

憂「あ、聡くん出てきた」

タッタッタッ…

聡「すいません遅くなって//」

憂「いいよいいよ~^^聡くんウンコマンだね^^」

聡「は、ははははは」



―――――

律「あら、切れた。なんだアイツ」

唯「ど、どうしたんだろう…約束したのに~…」

律「なんか勘違いしてんじゃないの?ちゃんと確認したのか?」

唯「う、うん憂が…」

律「憂ちゃんが?」


ピンポロリン♪

律「あ、メール。聡だ」

律「何々…『今いいとこだから電話してくんなデコ!返信いらねーから』」

律「………」ビキビキ

唯「いいとこってなんだろう…うう」

律「知るか!こんな奴ほっとけよ!それより私と遊ぼうぜ~」

唯「う、うん…」

律(やったー唯独り占めだし!!!きたあああああ)

律「とりあえず唯、私の胸に飛び込んできてくれ!」

唯「は?」

律「」


律「……ゆいぃいいいいーーーッ!!!」ガッバァ

唯「うひゃあああああああああああ」


―――――


ピュンピュンピュン ドギューン ガガガ


聡「ふぅ……結構遊びましたね!唯さんうまいですねー」

憂「そうだねー!楽しいね!あははは」

憂(ゲームセンターなんて久しぶりだよぉお姉ちゃんクレーンゲーム以外あんまりやらないし)

憂(…………はっ!な、何普通に楽しんでるんだ私は!!)

憂「ふ、ふー疲れちゃったなーもう出よう」

聡「あ、そうっすか?じゃあそうしますか」

憂「もう夕方だよー、そろそろ帰ろうかな?」

聡「そっすか……あの…じゃ、じゃあ家まで送らせてもらいますよ」

憂「い、いいよいいよ!途中までで!(家まで来られたらお姉ちゃんに見つかっちゃうかも)」

聡「うっ…そうですか……」


テクテク

聡「あ。ちょっと寄っていいですか?」

憂「スーパー…何か買い物?」

聡「えっとその…姉ちゃんにお菓子買って来いって言われてたんで……」

憂(そういえば今日の夕食の材料買ってないなー)

憂「いいよー私も買いたい物あったんだ」

聡「ホントですか、すいません」


聡「えーっと、たけのこの里たけのこの里……」

憂「律さんそれ好きなの?」

聡「今はこれっすね」

憂「へーよく知ってるんだねお姉さんのこと、仲良いんだね!」

聡「い、いやそういうわけじゃ……ただよくパシられてるだけで」

憂「私はおね ングッ」

聡「?」

憂「う、憂は私の好物なんでもしってるよー!私の事大好きだからね!」

聡「そ、そうですか。良い妹さんですね」

憂「そうなんだ~、自慢の妹なんだ!私のお嫁さんになるのが夢だってさ、ふふふ!」

聡「そ…そっすかぁ~」

憂「じゃあちょっとお野菜見ていいかなぁ」

聡「野菜?いいですけど…や、野菜すか?」

憂「夕食の食材をね~、何にしようかな」

聡「唯さん自分で作るんですか?うわー家庭的でいいっすね!(なんかスッゲー意外だけど…)」

憂「えっ。あ、あはは!違うよ~作るのは憂だよ私はお遣い頼まれてたんだ~(やば…)」

聡「あ、そうなんすかー」

憂「えーっとこれとこれと…あ、あとこれぐらいかな……」



――――

憂「あ、ここでいいよー。じゃあね聡くん」

聡「う、マジですか…あっという間だったなー楽しかったっす!」

聡(唯さんも楽しそうにしてたし!)

憂「うん!楽しk …はっ!?(何普通に答えようとしてるんだ私は!アホか!)」

憂「……ま、まぁ普通だったよー。弟の面倒見るってこんな感じなのかな」

聡「えっ」

聡「そ、そうですか……」シュン

憂(う……何か罪悪感が……)

聡「今日はどうもありがとうございました」

憂「うん、じゃあね」


憂「フンフン♪ま、こんなもんかな~早く帰ろう!お姉ちゃんお腹すかせてるよ」



――――

唯「り、りっちゃんもうこんな時間だよー、そろそろご飯時だよ」

律「いいじゃん唯~、じゃあうちで食べてゆけよお」スリスリ

唯「あぅ……」

律「唯っていいにおいするよな!いひひひひ」クンカクンカ

唯「ひいっ!」

律「」

律「…………唯ぃいーーーッ!!」ガバァ

唯「うひあああああああぁああ」


「ただいまー」


律唯「!!!」


3