唯の家

唯「あーっ、もう最悪!」

憂「どうしたのお姉ちゃん?」

唯「あの梓ちゃんだよ、頭の悪いー」

憂「……梓ちゃんがどうかしたの?」

唯「あいつのせいで、クリーニングから出したばっかりの制服よだれ塗れだし」

唯「りっちゃんは怪我するはで、もう軽音部はめちゃくちゃだよっ」

憂「そうなんだ……」

唯「あんな奴……」

唯「 死ねばいいのにっ 」

憂「えっ!!!?」

唯「ん、なに?」

憂「そんな、梓ちゃんはイイ子だよ……」

唯「は?いい子?頭が悪くて人に迷惑かける奴がどうしてイイ子なの?」

唯「あんな奴、どうせろくな人生歩まないんだから、早死にしたほうが幸せだよっ」

唯「きっとあの子の家族だってそう思ってるよ」

憂「……」


憂「あっ、もうご飯出来てるよお姉ちゃん」

唯「うん、ありがとう」

唯「あー、よかったぁー」

唯「憂がこんなに素直で頭のイイ子でー」

唯「あのバカみたいなのが家族にまで居たら最悪だろうねー」

憂「……」

憂「あのね、お姉ちゃん?」

唯「なに?」

憂「もしもね、例えばの話しだよ」

憂「例えば私がね、頭が悪くて、料理も洗濯も出来ない子だったら」

憂「お姉ちゃん、私のこと好きでいてくれる?」

唯「えーっ、そんなの決まってるじゃん」

憂「そ、そうだよね」ホッ

唯「 嫌にきまってるよ 」

憂「!!?」

唯「何も出来ない上に、人に迷惑かける奴なんて最低だよ、死んだ方がいいよ!」

憂「……うん」

憂「お姉ちゃん、ご飯冷めちゃうよ」

唯「そうだね、今行くっ」




コンビニ

梓「たい焼きくれです!」

店員(わっ、昨日の変な子だ…)

店員「はい、たい焼きお一つですね」

梓「今日は二個よこせです!」バンバン

店員「はっ、はい!少々お待ちを……」ゴソゴソ

梓「私のたい焼きに、さわるなと言ってるです!」バッ

梓「金はやるからどっか行けです!」バッ

店員「わっ、だから投げないでってぇー」

梓「時間とらせるなバカっ!!!」ダッ

ドーン!

店員「あーっ、また……」

梓「痛いです!二回もぶつかるとは許さんです!!!」ゲシッゲシッ

店員「頼むから早く行ってくださいよー」




通学路

唯「はぁ、今日もあの子と会わなけりゃいけないなんて憂鬱だなー」

和「あの子って梓ちゃん?」

唯「そうだよ、なんで私がバカの面倒見なきゃならないの?」

和「変わった子らしいわね」

唯「それどころじゃないよー、バカなのバカ、低脳、役立たず、暴力的」

唯「あんなのが同じ人間だってだけでも嫌だよね」

唯「どっか私設にでも入ってればいいのに、なんで内の高校にいる訳?」

唯「どうせ人権団体(笑)がねじ込んだんだろうけど、まったくいい迷惑だよ」

和「……」

和「唯って相変らずね」

唯「何が?」

和「人を能力差で見るというか、クラスのランク付けとか好きだったし」

唯「うん、大体世の中はクズみたいのばっかり」

唯「人口多すぎるんだから、平均以下の人間が死ねばいい世の中になるのになー」

和「それ、本気で思ってるの?」

唯「え?本気だよ、犯罪者とか、バカとか、汚い奴とか、居なくなればいいのに」

和「……」

和「その半分より上に私達はいるの?」

唯「そりゃそうだよー、和ちゃんは勉強もスポーツも割と出来るし、よく見ると美人だしね」

和「 唯は学校一の秀才だし、ギターの腕もプロなみだし、ミス桜ヶ丘に選ばれたから? 」

唯「まあ、みんなが私レベルって訳にはいかなくても、ある程度の人間としか付き合いたくないなー」


梓「ゆいーっ、ゆいー」バタバタ

唯「げっ、あいつだよ…」

和「お早う梓ちゃん」

梓「おはようのどか!ああっ、のどかの分ないですっ!」

和「え、何が無いの?」

梓「たい焼き、私とゆいーのしかないです!」

和「たい焼き?」

梓「昨日私がゆいーの好きなの折れなかったから、ゆいーが怒ったです!」

和「???」

梓「だから、ゆいーにたい焼きを買って来たです!」

梓「仕方がないですから、のどかにも、私の分あげるです!」

和「そんな、悪いわよ、私はいいから梓ちゃんが食べなさい」

梓「でもっ、でもっ、三人いるのに二つだから、ダメです!」

和「だから私はいいのよ、梓ちゃんと唯で食べたら?」

梓「えっ、でもっ、あれっ、わからんです、ダメな気がしますっ!」

梓「わーっ、どうしよう、どうしよう」オロオロ

唯(うわっ、こいつまた暴れるんじゃない!?)

和「じゃあこうしましょ」

パカッ

和「私と梓ちゃん、半分こして食べましょっ」

梓「あーっ!!!」ピョンピョン

梓「私はしっぽが好きです!のどかは頭でも食えばいいです!」ニカッ

和「うふふ」ニコニコ


梓「うまいです!うまいです!」バクバク

和「ほんと、おいしい、ありがとうね梓ちゃん!」

梓「ゆいーも食べるですっ、ゆいーは特別に一匹あげるです!」

唯「いらないよ、そんなの……」

梓「うまいですよ!食べてまた私と仲良くするです!」

和「唯、梓ちゃんの気持ちよ、食べてあげなさい」

唯「いらないって言ってるでしょ!!!?」

バシッ

梓「わーっ!?」

和「ちょっと、唯っ!なんて事するの!?」

梓「ひゃあっ!?ああっ、たい焼きが落ちちゃったです…」

和「だいじょうぶ?梓ちゃん!?」

梓「ううっ……」


梓「ゆいーはたい焼きも嫌いですか?」ブルブル

唯「……嫌い」

和「ちょっと唯!」

唯「和ちゃんは黙っててよ!」

梓「手裏剣が嫌いで、奴さんが嫌いで、たい焼きも嫌いで」

梓「ゆいーは何が好きですか?」

唯「私は頭の良くてちゃんとした子が好きなの」

梓「へっ、ええっ!?」

唯「あんたみたいな頭の悪い奴大嫌いなの、もう近寄らないでよね!!!」

梓「あっ、あうう……」

和「唯っ!なんて事言うの!?謝りなさい!!!」

唯「なんで私が?」

唯「こんなたい焼きなんて持ってきて!?」

唯「コイツが素手で掴んだんだよっ!?」

唯「よだれとか鼻水とかついた手で持って、ばい菌だらけなんだよ!」

唯「そんなの食べられる訳ないよっ!!!」

梓「汚くないですっ、私汚くないですよーっ!」

唯「……」ジロッ

梓「ううっ、ゆいー……」グスグス

唯「和ちゃん、悪いけど私先に行くね、朝から気分悪い」

和「……」


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