漂流生活四日目!

梓「………」

律「………」

紬「………」

紬「…ね、ねえ お茶でもいれましょうか?」スッ

梓「………」チラッ

律「…ああ」

紬「………」カチャカチャ

紬「…はい、どうぞ」コト

梓「…ありがとうございます」

律「ん…さんきゅ…」

紬「…ふぅ」

梓「………」ゴク

律「………」ズズッ

紬「………」



――――――――
―――――

律「………」ウトウト

梓(律先輩…またうたた寝して…全然反省してないじゃん…!)チッ

紬「………」

梓(律先輩のせいで…純は…!)

紬「…梓ちゃん、ちょっと」

梓「…なんですか?」

紬「純ちゃんのことで…話したいことが…」

梓「?!」

紬「ここじゃアレだから裏で…」

梓「あ…はい…」



――――――――
―――――

梓「ムギ先輩、どうしたんですか?…まさか、犯人がわかったとか…?」

紬「…ええ」

梓「な?!ほ、ほんとですか?!誰ですか?誰が純を…?!」

紬「あ、梓ちゃん、落ち着いて、静かにして…
 犯人は…りっちゃんよ…」

梓「…え…律先輩が?!」

紬「…ええ…昨日わたしがうたた寝してるときにね、
 ガタガタ音がしてたからちょっと起きちゃってね…
 薄目を開けて見てみたらりっちゃんが外から戻ってきたところだったの」

紬「そしてわたしが起きたのを見ると、
 さも自分は今起きましたみたいな振る舞いをして…」

梓「………」

紬「そのときは深く考えなかったけれど、
 今考えてみると、りっちゃんは犯行に及んで
 ちょうど帰ってきたところだったんじゃないかって…
 純ちゃんの姿も見当たらなかったし…」

梓「……い」ブツブツ

紬「…梓ちゃん?」

梓「…許さない…許さない…絶対許さない…!!!」ズンズン

紬「ま、待って梓ちゃん…落ち着いて!
 感情に任せて行動してはダメよ!
 わたしに…いい考えがあるの」ガッ

梓「…?」


紬「…ちょっと耳を貸して?」

梓「…?はい…」

紬「………」ギュッギュッ

梓「え…?ムギ先輩…手…これなんですか?」

紬「なにって…?手を縛ってるのよ?」ギュッ

梓「なんで…なにする気ですか?!ほどいてくだっ…!むぐっ…」

紬「はいはい~、うるさい梓ちゃんはタオルでも噛んでましょうね~」

梓「んーっ!んーっ!」

紬「暴れても無駄よ~?今頃りっちゃんはお薬入りの紅茶でぐっすりだから~」

梓「っ?!」

紬「梓ちゃんを助けにくる人は誰もいないのよ~?残念だけど」クスクス

梓(ムギ先輩…まさか、純を殺したのって…!)

紬「今梓ちゃんが考えてること当ててあげようかしら?
 純ちゃんを殺したのはわたしなんじゃないかって思ってるでしょ~」

紬「うふふ、その通りよ~ 純ちゃんったらせっかく吊したのに
 暴れまわるし、漏らしちゃうしで大変だったのよ~?」クスクス

梓(純…こんなやつに…くそっ…!)フルフル

紬「安心して、梓ちゃん!
 梓ちゃんにもこれから純ちゃんのところに逝ってもらうから~」

梓「っ?!」

紬「わたし、人をメッタ刺しにするのが夢だったの~」キラッ

梓(…ナイフ?!)ビクッ

紬「大丈夫~ 果物ナイフだし、急所ははずすからすぐには逝かないわよ~」クスクス

梓(ひっ…や、やめて…!)ジタバタ



律「…おい!ムギ!なにやってんだ!!」

梓(あ…律先輩…!)

紬「あれ~?りっちゃんおねんねしてたんじゃなかったの~?」

律「生憎同じ手に3度も引っかかる程、バカではないんでね」

紬「あ、バレちゃってたの~?りっちゃん賢いわね~」クスクス

梓(………?)

律「部室が移動したときも、鈴木さんを殺したときも、ムギが薬を盛ったんだろ?
 …よくよく考えたら、わかることだったんだよな」

律「この砂漠に来る直前、みんな部室で寝てたよな…
 あのときは知らないところにいて混乱してたから気にならなかったけど、
 みんないつの間にか寝てたってことが既に不自然なんだよな」

律「なんでみんな寝てしまったのか…それは薬かなにかで眠らされたせい…
 そう考えたら不自然な眠りも納得がいく」

梓(………)

律「問題は仕掛けるモノだ
 食べ物なら好き嫌いがあって手をつけず、眠らない人がでるかも知れない…
 みんなが必ず口にするモノ…」

律「それはお茶だ…そして、みんなの分のお茶を用意したのは…
 ムギ、お前だよな?」

律「そしてみんなを眠らせ、わたし達を部室ごと
 この砂漠のど真ん中に移動させた…
 つまりこの漂流生活はお前が全て仕組んだこと…鈴木さんを殺したのもお前だろ?」

紬「大正解よ~りっちゃん~ すごいじゃな~い」パチパチ

律「でも確証はなかったから、紅茶を飲んで寝たフリをして様子をうかがってたんだ
 そしたら、案の定梓を連れ出したから時間を置いて見に来たら…」

梓(…律先輩)

律「…ただわからないのは…こんなことをした理由だ どうして…?」

紬「そんなの単純なことよ」

律「…?」

紬「これはゲームなのよ ゲームクリアの為には敵を倒さなければいけないでしょう?」クスクス

律「ムギ…ゲームって、どういう意味だ…?」

紬「残り一人になるまで生き残りをかけてみんなで殺し合いをするの~
 サバイバル?ってやつね~」

律「…は?」

紬「バトルロワイアルって知ってるかしら~ クラスメートが殺し合いをするお話
 あれみたいなものよ~」

紬「ただし期限は一週間、生き残った一人だけがこの砂漠から救出されるの
 ちなみに7日目の終わりに二人以上生きてた場合、救助は永遠に来ないから~」


紬「どう?このゲーム、わくわくするでしょ~?」クスクス

梓(この人…イカれてる…!)

律「ムギ…お前、ふざけんなよ!!!」ダッ

紬「近づかないで!」ザクッ

梓「…~っ!!!」

律「な…あ、梓!」

紬「あ~あ、梓ちゃんのキレイな御御足がズタズタになっちゃった~」ザクッザクッ

梓「んーっ!んーっ!!!」ジタバタ

律「む、ムギやめろ!…わかったから!梓を傷つけるな…!」

紬「りっちゃん、今度近づいたら首いくからね~?」

梓「っ?!」ビクッ

律「わ、わかった…わかったから……ん?」



 「」ガシッ

紬「…え?」グイ

澪「うわあああ!!」ガシッ

律「み、澪!」

澪「律!は、はやくナイフを…!」

律「え…あ、ああ!わかった!」グイ

紬「あらあらあら」

律「ムギ!形成逆転だ!大人しくしろよ!」

澪「どういうことだよ、ムギ!ゲームだかなんだか知らないけど、おかしいだろ!」

律「さあ!早くわたし達を帰せ!」

紬「…無理よ」

澪「っ?!何言ってるんだ?ほ、ほら、斎藤さんだかって執事を呼べばいいだろ!」

紬「澪ちゃん、わたしもあなた達と同じゲームの中のキャラクターなの」


澪「どういうことだ…?」

紬「条件はみんな同じなのよ…まあわたしの場合薬ってアイテムがあったけどね
 だから外部には連絡を取ることもできないの」

律「帰る方法は…ないのか?」

紬「言ったでしょ?帰る方法はたったひとつ、一週間以内に他のみんなを殺す
 それ以外に方法はないのよ このゲームに裏ワザはないの」

澪「な、なんで…そんな…?」

紬「あ、それと徒歩で逃げ出すなんてバカな考えは捨てた方がいいわよ~
 ここ、地球じゃないから~」クスッ

律「…はあ?!意味わかんねーよ!地球じゃない…?頭イカレてんのか!」

紬「わたしは至って正常よ~、まあ説明すると長くなっちゃうんだけど…
 ここ、親の会社の宇宙開発部が密かに発見した星なのよね~」

紬「大気も地球とほぼ一致してるからわたし達は生きていられるの
 まあ地球と違って、この星にあるのは砂だけ だけど」

律「…信じらんねえ…」

澪「なんで…なんでだよ!ムギだって死ぬかも知れないんだぞ?!」

紬「はあ…澪ちゃん、これはゲームなのよ?面白ければなんだっていいの
 そのためならわたしは自分の命も惜しまない」

澪「そ、そんな…」ガク

紬「ふふっ、澪ちゃん…敵を目前に油断するなんて…ダメじゃない」バッ

澪「あ!」バタッ

律「み、澪!」

紬「うふふ…今日死んでも悔やまないくらい…でしょ?」

澪(っ?!二本目のナイフ…!)

紬「ばいば~い」ニコッ

澪「う、う…うわあああ!!!」




 「………」グサッ

 「………っは…あ…」

律「はあっ!はあっ!はあっ!」

紬「…う、は…あっ…」

澪「う、り、律…ムギ…」ガタガタ

律「…ごめんな…ムギ」

紬「り…ちゃん、そうよ…それ、で…いいの…」

紬「」バタッ

澪「う、は、ひいいっ!!ムギ?!」

律「はあ…はあ…澪、ほら、立て…」グイ

澪「………」

律「…気絶してやがる…梓も…手当てしてやらないと、な…」

律(………ムギ…なんでこんな…)



りっちゃんの話によると、あずにゃんは出血とショックのせいで失神していたらしく、
ムギちゃんの死を目の前で見た澪ちゃんも気を失ってしまったらしいです。

りっちゃんに起こされたわたしと憂は、あずにゃんと澪ちゃんの介抱をして、
りっちゃんから何が起こったのか、ここがどこなのか、それとゲームの詳細を聞きました。

正直信じがたい内容でしたが、
その状況でムギちゃんが嘘をつく理由も見当たらないので、
わたしは信じることにしました。


でも…いくら危険な状況であってもムギちゃんを殺したりっちゃんをわたしは軽蔑します。

その場にいたら仕方のないことだったと思うかも知れませんが、
わたしは、つい、他の解決方法があったのではないかと思ってしまいます。

ムギちゃんの供養を済ませたあと、3人でこれからのことを話し合いました。
その結果、ムギちゃんの言うゲームは無視し、
全員でここから脱出する方法を探す、という結論になりました。

明日は砂漠の探索をするということで話し合いを終えて、
今日はりっちゃんを休ませ、わたしと憂で見張りをすることにしました。

生存者 5人



昨日から憂と二人で見張りをしていました。
眠気と混乱で頭が痛くなってきました。

わたし達は本当に無事に帰れるのだろうか。
そのことが不安で不安で仕方ありません。
それとも、ムギちゃんの言う「ゲーム」をクリアするしかないのか…

顔をぱちんとはたいてそのおかしな考えを消しました。
わたしはみんなで一緒に帰ると決めたじゃないか。

ほっぺの痛みはなかなか消えませんでした。


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