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梓「さて、と…わたしは少し外に出てきますね」

澪「え?!あ、梓 どうかしたのか?」

梓「トイレ用に部室の裏に穴を掘ってきます」

憂「あ~、そうだね トイレはあった方が便利かも」

澪「そ、そうか…じゃあ任せたけど、気をつけろよ?」

梓「大丈夫ですよ、部室の探索お願いしますね」

憂「いってらっしゃ~い」


澪「はあ………」

憂「ん?澪さん、どうかしましたか?」

澪「いや…わたしは何も役に立ててないな、って
 唯達みたいに外に出れないヘタレだし、
 梓みたいに気も利かないしさ…」

憂「そんなことないですよ!
 いつも通りにしていれば冷静さは一番ですし、
 頭の回転だって速いし!」

澪「でも、肝心なときに役立たずじゃ意味ないじゃないか!
 いきなりトラブルに直面したとしても、対処できずに固まってるのがオチさ…」

憂「澪さん!」

澪「っ?!」ビクッ

憂「澪さんは、自虐的になりすぎですよ!
 わたしがいつも見ていた澪さんはしっかりした人でした!
 澪さんに足りないのは自信です!
 自信があればいつも通りの澪さんでいられますよ!」

澪「憂ちゃん…」

憂「ね?だから頑張ってみんなにいいとこ見せましょう?」ニコッ

澪「う、うん…ははっ、わたしの方が先輩なのに逆に励まされちゃったな…
 よし!わたし頑張るよ!ありがとうなっ」

憂「いえいえ それじゃあ探索再開しましょう!」



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唯「ふー…」

律「収穫無し…か」

純「蟻一匹いませんでしたね」

紬「さすがに疲れちゃったわ~」

律「みんな頑張ったのになー…はあ…」

唯「でも、考え方を変えると『なにもなかったこと』がわかったってことだよね~」

紬「唯ちゃん…そうね!これだけ探してなにもいなかったんだから
 危険な生物は少なくともこの周辺にはいないってことよ」

純「ん~…そう考えて良さそうですね」

唯「でしょでしょ~」

律「まあ…そうだな、じゃあそろそろ帰ろうぜ~
 日も傾いてきたし、クタクタだ~」

紬「そうね~遅くなると心配かけちゃうし」

純「ふへ~…足と腰が痛い…」

唯「おなかすいた~…」

純「ナラの木の薪で焼いた、マルガリータが食べたいです…
 ボルチーニ茸ものっけて…」



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唯「ただいま~」

憂「あ、おねえちゃん!おかえりー!」

梓「みなさん、怪我はありませんでしたか?」

紬「大丈夫よ~」

律「収穫はゼロだったぜー…
 まあ、たぶんこの周辺には危険な生物はいないと思うぞ」

澪(ほっ…)


律「そっちは何か収穫あったかー?」

梓「あ、裏にトイレ用の穴掘っておきましたよ」

唯「あずにゃん、気が利くねえ~」

梓「そ、それほどでもないです!」

澪「あ、あとな…コードとかライターとか色々あったぞ!」

紬「お~、澪ちゃんご苦労様~」

律「ほんとか!ありがとうな、澪!」

澪「う、うん!」

憂(澪さん!)グッ

澪(憂ちゃん…!)グッ

純「おなかすいたから早くごはん食べましょうよー」

唯「そうだ!ごはんだよごはん!も~おなかペコペコだよ~」

紬「うふふ、それじゃあ今お茶いれるわね~」

梓「純!手洗ってから席ついて!…ほら、唯先輩も!」

純「は~い」ガタ

唯「は~い」ガタ

憂「ふふっ、梓ちゃんってほんと世話焼きだよね~」

梓「う、憂が言わないでよ!」

初日の辛気くささが嘘のように、今日はみんな明るかったです。
というより、明るく振る舞っていました。
たぶん、みんなクヨクヨしていても無駄だってことに気付いたのでしょう。

でも、今日の探索では特に重要な手がかりは掴めませんでした。
このまま進展がなければいずれみんな餓死していまいます。
なんとかして帰るための手がかりを見つけなければなりません。

頭の中を不安と焦りが駆け巡り中々眠ることができませんでした。

生存者 7人



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 「どうしたんですか…こんなとこで…?」

 「………」

 「…え?帰る方法がわかった?!…あ、すいません…
 それで、その話、本当なんですか?」

 「………」

 「向こう…?ん~…何も見えませ…?!…っか…はっ…!」

 「………」

 「………」クスッ



次の日の朝は、少し早くに起こされました。

今朝の見張り番はりっちゃん、ムギちゃん、純ちゃんの3人。
途中まで眠らずに見張りを続けていたのですが、
探索の疲れからかいつの間にかみんなうたた寝をしてしまったそうです。

りっちゃんとムギちゃんが目を覚ましたとき、純ちゃんの姿はそこになく、
トイレにでも行ったのかと思い待っていたけれど、
10分程経っても純ちゃんは帰って来なかったそうです。

いよいよ心配になったりっちゃんとムギちゃんは裏手に様子を見に行き、

純ちゃんの首吊り死体を発見したそうです。



漂流生活三日目!

梓「どうしてこんなことになったんですか!」バンッ

唯「ちょ、ちょっとあずにゃん…少し落ち着いて…」

梓「落ち着けるわくないじゃないですか!
 親友が…純が死んだんですよ?!」

唯「悲しいのはみんな一緒だよ…?
 でも、冷静に状況を把握しないとまた同じことが起こるかも知れないし…」

梓「………」ドサッ

律「…みんな、ごめん わたしが寝ちゃったばっかりに」

紬「りっちゃんのせいじゃない!
 わたしが…わたしがちゃんと起きていれば…!」

澪「それを言うならわたしにも非があるよ…
 首吊りに使ったコードはわたしが見つけたものだし…」

憂「…あの、今考えるべきなのは…責任は誰にあるかじゃなくて、
 純ちゃんはなんで死んじゃったのかじゃないですか…?」グスッ

唯「そ、そうだよ…もしかしたらこの砂漠にわたし達以外の誰かがいるのかも…」

憂「それとも…いや、純ちゃんに限って…自殺、は…ないよね…?」

梓「ありえない!純が自殺なんて絶対にありえないよ!」

唯「なら…どうして…?」

梓「この中に犯人がいるんじゃないですか?」

律「?!」

澪「梓!バカなこと言うな!!」

梓「わたしは可能性の話をしただけです」

唯「あずにゃん!わたし達の中に純ちゃんを殺したりする人なんていないよ!
 そんなこともわかんないの?!」

憂「そうだよ…そんな…そんな酷いこと…」

紬「確かに…そんな人はいないけど…可能性はゼロではないわよね…」グスッ

憂「………」


唯「でもさ…」

澪「ん?」

唯「例えば…例えばの話でだけど…この中の誰かが純ちゃんを殺したとして
 それが誰かのメリットになるのかな…?」

梓「…」

唯「せいぜい食べ物の消費量が減るくらいだよ…
 しかも、まだ食べ物にはそれほど困ってるわけでもないのに…
 それだけで殺したりするかな…?」

紬「じゃあ…純ちゃんはわたし達以外の誰かに…?」


憂「それも…考えにくいですよ」

律「どういうことだ、憂ちゃん?」

憂「うたた寝をしてたって言っても、もし車やヘリや飛行機がすぐそばまできたら起きますよね?」

律「あ、ああ…さすがに…」

憂「それなら犯人は短時間のうちにどうやってここまで来て、帰っていったのか…
 それらしき足跡もなかったし、第一ここは見晴らしの良すぎる砂漠のど真ん中です」

紬「そう言われればそうね…
 それなら、純ちゃんは自殺か…あるいは、この中の誰かに殺されたのか…」

梓「………」



この日は別行動での探索はしませんでした。
少人数でいると危ないし、まずは純ちゃんの死を解明するのが先決と判断したからです。

わたし達は一日中、純ちゃんの死の謎について意見を交わしましたが、
これといってわかったことはありませんでした。

あまり進展のない話し合いが一旦落ち着いたところで、
みんなで純ちゃんを供養してあげました。
純ちゃんは部室から少し離れたところに穴を掘って埋めました。
涙がとまりませんでした。

生存者 6人



さすがに昨夜はみんな眠れなかったようで、全員で朝まで見張り番をしていました。
やっぱり純ちゃんのことがショックだったのでしょう。
みんな一様に目を真っ赤に腫らしています。

純ちゃんは自殺だったのか、それともこの中の誰かが犯人なのか。
信じたくはない嫌な考えが頭の中でぐるぐる回ってしまいます。

日もすっかりのぼった頃、張り詰めていた緊張の糸が疲れのせいで緩んだのでしょう。
猛烈な眠気が襲ってきました。
体力を回復するのも大事だ、という話になり、
わたしと憂と澪ちゃんは一眠りさせてもらうことにしました。



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