聡「純さん、誕生日おめでとうございます」
今日は純さんの誕生日だ。
純さんの彼氏として、盛大に祝ってあげないと。
プレゼントは事前に買ってあるし、後は純さんの家に行くだけだ。
プレゼントをバッグの中に入れ、身だしなみを整えて、俺は家を出た。
純さんの家に着いた。
俺はインターホンを押す。
しばらくすると、純さんが出てきた。
純「お、聡くん。待ってたよ」
聡「こんにちは、純さん。誕生日、おめでとうございます」
純「えへへ……ありがと。さ、入ってよ」
純さんはそう言うと、俺を家の中に招いた。
聡「お邪魔しまーす」
俺はそう言うと、家の中に入った。
階段を上り、純さんの部屋に入る。
純さんの部屋には、既に梓さんと憂さんがいた。
梓「あっ、聡くん、こんにちは」
憂「こんにちは、聡くん」
二人に挨拶される。
なぜか二人共口元が若干緩んでいる。
うぅ……意外と彼氏って恥ずかしいんだな……
しかもそれが年上ならなおさらだ。
純「じゃあ、メンバーも揃ったことだし、始めるよ」
俺達はケーキのロウソクに火をつけ、カーテンを閉めて部屋を暗くした。
憂「ハッピバースデートゥーユ~♪」
梓「ハッピバースデートゥーユー」
聡「ハッピバースデーディア純さ~ん♪」
三人「ハッピバースデートゥーユー♪」
俺達が言い終わると、純さんは火を消そうとした、が。
一本だけ残ってしまった。
俺は反射的に、その最後の一本を消してしまった。
聡「あっ……」
俺は純さん達の方を見る。
純さんは赤くなってるし、梓さんはニヤニヤしてるし、憂さんは悪気の無い満面の笑顔でニコニコしていた。
俺は顔が赤くなったのが自分でも分かった。
カーテンが開かれ、部屋が明るくなり、お互いの様子がさらに見えやすくなった。
憂「純ちゃんと聡くん、顔真っ赤~」
梓「ホントだ。ラブラブだねぇ~。見てるこっちも恥ずかしくなるよ」
純・聡「……///」
二人にそう言われて、俺達はさらに顔を赤くする。
梓「初々しいねぇ~」
憂「ホントだよ~」
純「あっ、え~と……うん、乾杯しよう、乾杯!」
聡「そ、そうですね! じゃあケーキ切りましょう!」
憂「あ、ケーキは私が切るよ。」
俺達は必死に照れ隠しをする。
もしここに姉ちゃんや鈴木がいたら、もっとヤバかっただろうなぁ……
ケーキが切られる。
なぜか俺と純さんのだけ大きい。
憂さん何気にやってくれるなぁ……
憂「それじゃあ改めて……」
三人「純(ちゃん(さん))、誕生日おめでとう(ございます)!」
純「えへへ……ありがと」
純さん照れてる。
まぁ、そりゃ照れるわな。
しばらくは皆で楽しくおしゃべりしながら食べていたが、憂さんの一言で場は一気に静まり返った。
憂「そういえば、純ちゃんと聡くんって、どういう経緯で付き合うことになったんだっけ?」
梓「あ、それ私も知りたいな~」
純「え~と、それはちょっと……」
聡「えぇ、恥ずかしいですよね」
憂「え~、言っちゃいなよ~」
梓「そうだよ。こんなんで恥ずかしいとか言ってたら、この先どうするの?」
この二人は何を言っても聞かなそうだな……
俺達は負けてしまった。
俺達はこれまでの経緯を話した。
近くのスーパーで純さんが買い物袋の中身を散らばして、俺が集めるのを手伝って知り合ったこと、その後偶然ゲーセンで会い、遊んだあと連絡先を交換したこと、デートに誘って家まで迎えに行ったとき、俺の親友の鈴木の姉だと判明したことなど、いろいろ話した。
二人は興味津々な様子で聞いていた。
話し終わった後も、いいなーとか、青春だねぇとか言われたりして、からかわれた。
その後もしばらくはおしゃべりをしていたが、またしても憂さんの一言で場が静まり返った。
憂「そういえば、二人はもうキスとかしたの?」
純・聡「えっ!?///」
なんという不意討ち。
純粋すぎですよ憂さん!
梓「ちょっ!? う、憂!?」
憂「だ、だって~///」
気になるのはよ~く分かりますけど……これを話すのは恥ずかしすぎる!
憂「二人とも、もう半年近く付き合ってるし、そのくらいはしたのかな~って」
えぇキスしましたよ!
付き合って二ヶ月くらいにね!
まだその先は進んでないけど!
でもとりあえず、ノーコメントにしておこう。
さすがにこれは話せない!
二人に話せないと言うと、さすがに納得してくれたようだった。
その後は、憂さんの爆弾発言も無く、プレゼントも渡して、誕生日会は終わりを告げた。
姉ちゃんに聞いたかいもあり、純さんは本当に喜んでくれた。
やっぱり純さんには笑顔が似合うなぁ……可愛い。
梓「じゃあね、純、聡くん」
憂「バイバイ純ちゃん、聡くん」
純「バイバイ、憂、梓」
聡「さようなら~」
純「……今日はありがとね。嬉しかったよ」
聡「いえいえそんな……彼氏だったらこのくらいは当然でしょう」
純「フフッ……そうだね」
聡「……」
純「……」
会話が無くなる。
こうなったらやることは……一つしかない。
聡「純さん……」
純「聡くん……」
「」
純「……///」
聡「……///」
純「それじゃあ……バイバイ、聡くん」
聡「はい、純さん、さようなら!」
そう言って、俺は自分の家へと向かう。
家に帰ったら、姉ちゃんに感謝しないとな……
俺は先程の純さんの唇の感触を思い出しながら、夕暮れの道を歩いていった――――
―END―
最終更新:2011年06月10日 23:48