和「それでは、新婦の挨拶です」

唯「うふふ、まずは和ちゃん、わたしたちの結婚式の司会、引き受けてくれてありがとね」

唯「そして皆様、本日はわたしたちのために、こんな素晴らしいお祝いをしていただきまして、ありがとうございました」

律「唯ー! きれいだぞー!」

唯「ありがとうりっちゃん。わたしたちは本当に幸せものです!」

唯「こんなに素敵な人とめぐり逢えて、ここまで行き着けたことに、感謝しています」

憂「うぅ……おねえちゃあぁん……おめでとおぉぉ……」グスッ

唯「今日のこの感動をいつまでも忘れず、お互いを思いあって、幸せな家庭を築きあげたいと思います……」

唯「まだまだ未熟な私達ですので、今後ともご支援、ご鞭撻の程よろしくお願いいたします!」

さわ子「まさか教え子に先越されると思ってなかったわー!」

律「げっ、さわちゃん酔ってるし……」

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―――

ひろうえん!

澪「唯、綺麗だったよ」

唯「ありがと澪ちゃん、わたしももう大人になれたかな?」

澪「あぁ、すごく立派だ」

唯「えへへ……」

律「ほら飲め飲めー! 今日はめでたいなー!」

澪「新婦を酔わせるんじゃない!」ガツン!

律「ったー!……酔いがさめたぜ……」

紬「ねぇねぇ唯ちゃん、お相手の男性とはどこで知り合ったの?」

唯「あ、聞きたい? ムギちゃん聞きたい? うふふふ~」

紬「ぜひ聞かせて!」

唯「えっとね……あれは、忘れもしないよ、去年の十月九日のこと……」

唯「彼とめぐり逢った瞬間、体に衝撃が走ったって言うか……とにかく、この人しかいない! って……」

唯「すごく……頭がどくどくしちゃって……///」

澪「そ、そうか……///」

唯「少し触れただけで、もう、澪ちゃんの歌詞借りるけど、まさに大気圏まで飛んで行っちゃうような……、えへへ、言葉にするのって難しいね……///」

律「このぉ~、のろけやがってえ!」グリグリ

唯「あは、ごめんりっちゃん、でも……わたしたちはあの時、時速60キロで恋に落ちたんだよ……///」

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 大学を卒業し、地元の保育園に勤め始めたわたしは、慣れない子供たちの相手を終えた帰り道で衝撃的な出会いを果たしました。

 信号待ち。なぜこんなところに信号が設置されているのだろう、と疑問にも思うような人通りも少ない道路。
 いつもならば青信号になるまで待つのですが、わたしは早く帰宅して憂のご飯が食べたかったので、赤信号を渡ってしまったのです。


 横断歩道の白いところだけを渡っていると、法廷速度時速60kmの標識が煌いて、彼の雄雄しい声が聞こえてきました。

 うなり声のような、重く、勇ましい声。
 声のするほうを振り向くと、輝く双眸はまっすぐわたしを捉えていて、目を逸らせなくて。
 次の瞬間にはわたしはもう心を奪われていました。

 ファーストコンタクトは右腕、風を破るような勢いで触れあって、そのまま全身で彼の熱を強く受け止めて、――――わたしは道路脇に転がっていました。

 一瞬飛んだ意識を取り戻し、もう一度彼のほうを向くと、バンパーにはへこみひとつありませんでした。

 屈強なその肉体に思わず頭から血がどくどくと流れ出て、今まで知らなかった感情がだくだくとに頭の中に流れ入ってきました。

 わたしにも、いつか白馬の王子様が現れてくれて、どこかへ連れ去ってくれる。そう信じていたことがありました。
 しかしこのとき、わたしの前に白いトラックが現れて、荷台に乗せられてどこかへ運ばれるとは、誰が予想できたでしょう。

 これがわたしたちの出会いです。
 現実は小説よりも奇なりというように、白馬の王子様なんかより衝撃的で素敵な出会いが待ち受けていたのです。


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澪「す、素敵だな……///」

唯「えへへ……みんなにもきっといい出会いがあるよ」

トラック「ブロロン」

唯「あっ……、もう、いま友達と喋ってたのにぃ///」

トラック「ブローン」カッチ、カッチ、カッチ、カッチ、カッチ

さわ子「あ、ア、イ、シ、テ、ルのサインね! 羨ましいわ唯ちゃん!」

唯「も、もう……あとでハイオク入れてあげるから……///」

律「ひゅーひゅー! お熱いねぇ! わたしたちには構わず、はい、きーっす! きーっす!」

紬「きーっす! きーっす!」

トラック「ブロロン……///」

唯「ブロンクスくん……///」



おわり!




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