『ぐにゃあ~ ”首折り男の周辺”』



<3がっきのぶしつ!>


澪「3学期も終わりということで、今日は音楽室の大掃除をしたいと思います」


 ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・


律「ふー。たいぶ片付いたな」

唯「見て見て! なんかケースが出てきた!」

律「お。何だろ?金目の物入ってないかな?」


 ぱかっ

 唯たちはケースを開けた

 ケースには”古びたギター”が入っていた


唯「わ ギターだ」

梓「凄く古そうな感じですね」

律「もっと面白いもの期待したのになー」

唯「つまんなーい」

梓「軽音部なんだからもっと興味持ちましょうよ…」


さわ子「あら? 懐かしいわね!」

梓「あ、先生!」

さわ子「このギター、私が学生時代に使ってたギターなのよー」

梓「先生って軽音部のOGだったんですか!?」

さわ子「そうよ? 梓ちゃんはまだ知らなかったっけ」

梓「凄いです! 今度ギター教えてもらいたいです!」

唯「はい。これが学生時代のさわちゃんです」


 唯は写真を渡した

 写真にはデスメタメイクのさわ子が写っていた


梓「……やっぱりいいです」

さわ子「なんでよっ!」

唯「それじゃ、はい。さわちゃんのギターだよっ」

さわ子「ありがと。ってこのギター……」


さわ子(ぬわっ! カビくさっ!!)


さわ子「……やっぱりいらないわ。もうギターを弾く暇もないし…」

唯「え? じゃぁこのギターどうするの?」

さわ子「お店に売って部費の足しにしてちょうだい」

唯「おおっ!ふとっぱら!」

澪(いらないものを押し付けられた…)



<がっきや!>


律「というわけで、”古びたギター”を店で売ろうとしてる途中なんだが……」

唯「査定まだかなぁ~。いくらぐらいで売れるかなぁ???」

澪「う~ん? まぁあんまり期待はできないな」

律「だよなぁ。相当年季入ってそうだもん。あの”ギター”」

梓「私もそう思います。カビっぽいし、きっと安いですよ」

紬「買いたたかれちゃって、10万円ぽっちになるんじゃないかしら?」

唯「え~。それは高すぎだよ」

澪「ムギ、10万円は結構な大金だぞ。10万円ぽっちって……」

律「やっぱムギは相当なお嬢様なんだな!」


5人「アハハハハハハハハ」




店員「査定終了しましたー」



店員「50万円で買い取らせて頂きます」


梓「ゴッ……」


律(ご、ごじゅうまんえんっ?? ってナニソレ~ドユコト~??)

澪(ご、ごじゅうまんえんっ!? ってなんでそんな高いんだよぉぉぉぉぉぉ!!)

唯(ご、ごじゅうまんえんっ?! ってタベモノダッケオイシイノ??)


店員「こちらが代金になります」

紬「ありがとー」

律「ち、躊躇なく受け取ってんじゃねー!!」

澪「な…なん…なんで…ご…ごじ…」

律「澪。落ち着け」


律「あの、なんでこんなに高いんですか? もしまたムギに遠慮してるんだったら…」

店員「いや、そんなことはないですよ」




店員「このモデルは60年代始めに生まれたギターでして当初は材料や形が定まっておらず様々な仕様のマイナーチェンジを繰り返しつつ現在の形になったとのことです。お客様にお持ちいただいたこのギターは指板にハカランダという今になっては貴重な木が使われておりましてこれが高い値段の一つの要因になっております。残念なことにこのギターはテイルピースという形状でフルオリジナルじゃないため少し値段が落ちてしまいますがストラップテイルピースの方が演奏性に優れているためこちらの方を好むお客様も多くそれほどのマイナスになりません。しかもこのギターは長いことしまわれていたそうであまり傷やフラットの減りがなく年代物にしては大変コンディションがいいのでこの金額で買い取らせていただきました」




律「……」


律「??????」


店員「あ、えっと…」

店員「とにかく貴重なギターなんです!」



<おみせのそと!>

店員「ありがとうございましたー」


律「……売ってしまった…」

澪「い、いいのかな…」


梓「ほ、本当にいいんですか。こんなことして」

律「さわちゃんがこうしろって言ったんだから大丈夫だよ」

梓「で、でもっ」


律「5人で分けても1人10万だな」ボソッ

梓「!!!」


梓「……私欲しいエフェクターがあったんです」

律(ふふふ)


――梓。陥落っ!


澪「10万円かぁ…なにが買えるかなあ…」


澪(……!)

律(……!!)

唯(……///)



――その時、みんなが浮かれている中でただ一人、律はある事態に気がついた!



律「はっ!」

澪「ん?どうした律?」

律「いっかーん!これはいかんぞぉぉぉぉぉ!」

唯・紬・梓「「「???」」」

律「ほら、この50万円って部費の足しにするわけじゃん」

梓「そういう理由で売ったわけですしね」

律「だとしたらさ、部費計上に使うときにこの”50万円の領収書”も渡すわけじゃん!」

澪「まぁ、そうなるよな」

律「もしさわちゃんに馬鹿正直に『50万円で売れましたー』って報告したらどうなるか!」

紬「えーと?」

律「あまりの大金に『じゃあ49万円は私の財布に入れるわねv』ってなりそうじゃね!」

唯「!」

唯「ありえるっ。りっちゃんソレすっごくありえそうだよ!」

律「だろ!」

唯「そこに気が付くとは、やはりりっちゃんは天才か!」

律「えっへん!」

澪「だったら、どうするんだ?」

律「なんとか売り値をごまかす方法を考えないとな」

梓「でもどうやって……」

律「この領収書をごまかせればなんとか行けると思う。0を消して5万円で売れたことにするとか」

紬「えぇ!? それは無理じゃない?」


律「むぅ」

唯「う~ん??」


――しばしの熟考

  そうして田井中律は見つけ出した。八方ふさがりの中を掻い潜る。悪魔的な謀を!


律「こ、これだァ!」

唯「ナニナニ?どんなの!?」


律「ふふふ。やはり人生、勝つのは知略走り 他人出し抜ける者……」


律「唯。頼みがある」

唯「ほぇ?」

律「お前のギター。売ってくれ……」

唯「ええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

澪「ちょ、律。なに言ってんだ」


律「いいか。唯のギターを売るとする。たぶん5万円くらいで売れるだろう」

梓「まぁ、そうですかね」

律「とすると、私たちの手元には”唯のギター代5万円”と”5万円分の領収書”と”50万円”と”50万円の領収書”が残る」

紬「ふむふむ」

律「明日、”さわちゃんのギター”の売値を、唯のギターの売値”5万円”と言うんだ」

律「その証拠として、”唯のギター代5万円”と”5万円分の領収書”だけを見せればいい」

唯「えっ、そんなことできる?」


律「ほら、あの店の領収書見てみ。詳細は『ギター代金』としか書いてないだろ!」

律「つまり50万のでなくとも、唯のギターでも売れば”ギターを売った領収書”は手に入るっ」

律「そしてその”5万のギターの領収書”を見せれば、さわちゃんはあの”古びたギター”が5万円で売れたと信じるだろう」


澪「えっと……結局さわちゃんには、あの”古びたギター”が5万で売れたというウソ報告をするという事だな?」


律「そう、そして売れた、渡した領収書の額が5万円程度なら、多分さわちゃんは自分の財布に入れない」

律「とにかく、この計画がうまく行けば、少なくとも”50万円”に関してはノーチェックで私たちがゲットできるって寸法だ!!」

澪「えええぇ!??? そんなに上手く行くかぁ?」


梓「わ、私は反対です! ギタリストにとって、使用してるギターはまさに相棒っ!! いいえ、命と言ってもいいくらいの品物ですっ!」

梓「それを手放す…売っちゃうだなんて……」

律「全部終わった時に買い戻せばいいだけじゃん。大丈夫大丈夫!」

梓「で、でもっ」

律「あのな、梓……」

律「ギタリストにとってギターは命かもしれないが……」





律「金は命より重い!」




律「そこの認識をごまかす輩は 生涯地を這う……!!」

律(ここで、勝負を賭けられるかがっ、勝者と敗者を分ける、分水嶺っ!!)

律(なぜ…… それに気付かない…? ここは、勝負しかねぇだろ!)



澪「えええええええええええええええええええええええええええ」

澪「ちょっと律。今日のお前はどうしちゃったんだよ!」


律「ま、どうするかは唯。お前に任せるよ」

唯「……」


唯「全部がうまく行ったら、50万円が確保できるんだね……りっちゃん」

律「あぁ、唯のギターを買い戻す時に足がでるかもしれないが、」

律「それでも40万円以上は手堅いだろうな」

唯「……」

紬「……」

梓「……」

澪「……」




唯「よしっ!わかったよ、りっちゃん!!」

唯「私のギー太、ちょっとだけ売ってみるっ!」

律「よぉーし、キター!!!」


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