ドーン!!


私の名前は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん

ただのせぇるすまんじゃございません

私が取り扱う品物は“ココロ” 人間のココロでゴザイマス・・・

この世は老いも若きも男も女もココロの寂しい人ばかりそんなみなさんのココロのスキマお埋めします

いえお金は一銭もいただきませんお客様が満足されたら、それがなによりの報酬でゴザイマス・・・

さて今日のお客様は・・・

澪「わたしがヴォーカル!?」

秋山 澪 17歳 女子高生

   【目立ちたくない女】

ホーホッホッホ・・・・・・



 部室

梓「そうです!唯先輩のかわりは澪先輩しかいません!」

澪「なんでわたしが!?唯がやればいいじゃないか!」

唯「ゴメンね澪ちゃん……私喉痛めちゃったんだ…」

澪「なにやってるんだよ唯!自己管理ぐらいしっかりしろよ!」

律「しょうがないだろ!唯だって痛めたくて痛めたわけじゃないんだぞ!」

澪「嫌なもんは嫌だ!人前に出るなんて嫌だ!」

紬「澪ちゃん…」

澪「もう文化祭ライブやめよ!あと4日しかないし無理だよ!」

律「なに言ってるんだよ!今までの努力をドブに捨てるのかよ!」

澪「でも嫌だよ…みんながわたしを見るんだぞ…怖いよ…」

唯「う…う…ごめんなさい澪ちゃん…全部わたしのせいだ…」ボロボロ

澪「ゆ、唯…!」

紬「澪ちゃん、別に怖がらなくていいのよ」ムギュ

澪「ム、ムギ!?」///

紬「わたしがいるからね、安心して歌っていいんだよ」ギュ~

澪「わ、わかった、歌うよ…」

律「やったぁ!それでこそ澪だぁ!」

唯「ありがとう澪ちゃん…」

澪「……」


 部活後 公園にて

澪(言っちゃた~…ホントは出たくないのに歌うって言っちゃった~)

澪(なんでわたしが歌わなきゃいけないんだよ~、ベース弾くのでさえいっぱいいっぱいなのに…!)

澪(嫌だよぉ…なんで本番間近に喉痛めるんだよ唯のバカぁ…)

澪「ハァ…どうしよう…」

澪「……」

澪「仮病で休もうかな…ハァ…」

喪黒「ホーホッホッホ、なに悩んでるんですかぁ?」

澪「うわぁお化けェ!!」

喪黒「ホーホッホッホ、ワタシがお化けに見えますか」

澪「あ、あ、あ、すすいません!ホントにすいません!」

喪黒「いえいえ、気になさらず、ところでお嬢さん、こんなところでなにをしてるのですか?」

澪「えっ!?い、いや別になんでもないです!気にしないでください!」

喪黒「ひょっとして悩み事があるのではないですか?」

澪「う…!それは…!」ギク

喪黒「ホーホッホッホ、実はワタシこういう者なんです」サッ

澪「ココロのスキマお埋めします…喪黒福造?なんですかこれ?」

喪黒「セールスマンなんです」

澪「セ、セールスマン!?わ、わたしはお金持ってないのでな、なにも買えかえ…」

喪黒「そんな怖がらなくても結構ですよ、それにワタシは何かを買わせようとしてるわけではありません」

澪「じゃ、じゃあなんなんです!?」

喪黒「ワタシが生業にしてるのは人々のココロを救済することです」

澪「救済…」

喪黒「もしよければあなたのココロも救済してさしあげますよ」

澪「……」

喪黒「ほう、今度の文化祭ライブで歌を披露するのですか」

澪「はい、ヴォーカルの子が喉を痛めてしまったので急きょわたしが歌うことになったんです」

喪黒「いいじゃないですかぁ、これであなたも人気者ですよ」

澪「わたしは嫌なんです!歌なんて歌いたくないです!」

喪黒「ほうそれは何故です?」

澪「わたしは昔から人前が苦手なんです!なんかもう頭が真っ白になってしまうんですよ…」

喪黒「そういうことですか」

澪「それでどうしようかとここで悩んでたんです…仮病でも使おうかなって…」

喪黒「ホーホッホッホ、大丈夫ですよ秋山さん」

澪「えっどういうことです?」

喪黒「ワタシがその人見知りを克服させてあげましょう」

澪「ホントですかそれ!?」

喪黒「ええもちろんです」

澪「でもそれって結構難しいじゃないですか?」

喪黒「いえいえ、とても単純なことです、ただ道で立つだけでいいんです」

澪「立ってるだけ…人見知りが治る…」ゴクリ

喪黒「やってみますか?」

澪「やります!お願いします!」

喪黒「それでは明日この紙に書いてある場所へ来てください」サッ

澪「桜ケ丘街三丁目のポスト…あのここで何を?」

 シーン…

澪「あれ…もういない…」


 部室

澪「それじゃわたし帰るから」

律「もう帰っちゃうのかよ!」

澪「ちょっと用事があるんだ、ゴメンな」

紬「用事があるならしょうがないわね」

律「おい澪!」

澪「な、なんだよ」

律「3日後の文化祭大丈夫か?絶対逃げるなよ」

澪「逃げるわけないだろ!じゃあな!」

  バタン!

律「……」

梓「大丈夫ですかね、澪先輩」

唯「大丈夫だよ澪ちゃんならきっと…」


  住宅街

澪(相変わらずここの街は静かだな…)

澪(ポストはどこだ……ポストはどこだ……)

澪(あ!あった!)スタスタスタ

澪(ここでなにすればいいんだろ?)

澪(あれ?なんかカバンが置いてある…なんだろ?)

澪 ガサゴソ

澪「えっ!これは!メイド服!?」

澪「メモがついてる、なになに…」

メモ『近くの公衆トイレでこの服に着替えて2時間ここで立っててください』

澪「そんなぁ…恥ずかしいよぉ…」

澪(でも人見知りを克服するために頑張らなきゃ…!)

澪「着替えなきゃ」

澪 タタタタッ

澪(着替えてはみたけど…恥ずかしいなぁ…)

通行人A ちら

通行人B ジロ

澪(あああ恥ずかしい…見ないでぇ…)

小学生A「おいあそこの女見ろよ」

小学生B「うわぁコスプレしてるきめぇ」

澪(こっちだって好きでしてるんじゃないよ!)

小学生A「ねぇなんでそんな格好してるのぉ?なんでぇ?」

澪「うるさい!あっち行け!」

小学生B「うわキレた、マジありえねぇよ」

澪(くぅ~~!)


  2時間後

澪(ホッ、2時間経過…終わった、帰ろう…)

喪黒「ホーホッホッホ、お疲れ様です秋山さん」

澪「喪黒さん!なんでこんなことしなきゃいけないんですか!恥ずかしかったですよ!」

喪黒「それは恥ずかしい格好をして人に注目されることで視線に慣れることが目的ですよ」

澪「恥ずかしくて死ぬかと思った…」

喪黒「秋山さん、まだこれは序の口ですよ、明日はもっと人が多いとこでやってもらいますからね」

澪「明日もやるの!?」

喪黒「そうですよぉ」

澪「ハァ~……」


 次の日

澪(今日は中学校の前か…)

男子中学生A「おいおいメイドだぞあれ!」

男子中学生B「マジだ!うひょ~!」

澪(見るなよぉ!ううう…)

女子学生A「うわぁコスプレイヤーだよ…」

女子高生B「ホントだぁ、キモチ悪いね~」

澪「……」

―――そして今日も2時間を耐えた


 BAR 魔の巣

喪黒「どうです秋山さん?少しは慣れてきましたか?」

澪「ええ、少しは…」

喪黒「人見知り克服訓練もあと明日を残すのみです、明日耐えることが出来れば人前も平気になりますよ」

澪「そうですか…」

喪黒「マスター、秋山さんにコーラを一杯」

マスター タンッ

喪黒「明日は駅前でやってもらいます、今までで一番の人の多いところですから頑張ってくださいね」

澪「……」


  駅前

澪(今日でラスト……頑張らなきゃ…)

  ざわざわざわ

澪(ううう……人の数が今まで比じゃないよ…)

会社員A ジロジロ

会社員B ジロジロ

澪(そんなジロジロ見ないでよぉ…)

男A「なぁそこのメイドの姉ちゃんよぉ」

澪「は、はいなんでしょう!?」

男B「俺達とあそぼうぜ~」

澪(ナ、ナンパだ!)

澪「や、やめてください…わたしはあなたたちとは遊びません……」ボソッ

男A「えっ、聞こえないよ~、もっと大きい声で言ってよ~」

澪「ナ、ナンパはお断りです!!」

男A「お断りですだってwww可愛いねぇwwww」

男B「ほらグダグダ言ってねぇでちょっと来いよ」グイッ

澪「ひぃっ!!」ビクッ

男A「おいコラ、オレが最初に声かけたんだろうが、なに勝手に連れてこうとしてんの?」

男B「あぁ?早い者勝ちだろうがこのやろう」

男A「調子乗ってるんじゃねぇぞコラ、ちょっとこいや!」

澪(い、いまだ逃げろ!)スタタタタッ

男B「おい逃げんじゃねぇよ!」

澪(怖い怖い怖い怖い!!)スタタタタタッ


 BAR 魔の巣

澪「もうこんなこと辞めます!」

喪黒「おやおや何故です?」

澪「だってさっきヒドイ目に遭ったんですよ!怖かったんだから!」ヒックヒック

喪黒「そんなことで途中で辞めるんですか?」

澪「そんなことって!ホントにホントに怖かったんだから!!」

喪黒「そういうトラブルも人見知りを克服するために必要なんですよ」

澪「こんな怖い思いするぐらいなら人見知りのままでいいです!」

喪黒「いいえあなたは人見知りを克服しなければなりません」

澪「辞める辞めないはこっちの勝手でしょ!」

喪黒「文化祭はどうするんですか?本番は明日でしょ?」

澪「風邪ってことにして休みます!もう人の目が怖いんです!」

喪黒「ダメです、あなたココロの中では人前でも平気になりたいと思っているはずです」

澪「思って無いですよ!もうこんなの嫌なんです!」

喪黒「秋山さん自分に正直になるのです、そして勇気を持つのです」

澪「ちょっとなにするんですか!」

喪黒「ゆ・う・き・も・つ・の・で・す!」


喪黒「ドーーーーーーーーン!!!!!」

澪「いやあああああああ!!!!!!!」



  文化祭当日 ライブ直前

律「澪の奴どうしたんだよ!いつになったら来るんだよ!」

梓「まさか逃げたんじゃ…」

唯「そんなわけないよ…澪ちゃんはそんな弱虫じゃないよ…」

梓「じゃあなんで来ないんですか!なんか理由があるんですか!?」

紬「梓ちゃんそんなカッカしないで…」

和「もし澪が来なかったらライブは中止だからね」

唯「どうしよう…」

律「しょうがない、みんなで謝ろ…」

梓「そうですね…澪先輩が来ないからしょうがないですね…」

唯「ゴメン…わたしが自己管理が出来ない女だから…うっうっ…」ボロボロ

紬「唯ちゃんの責任じゃないよ…」

澪「みんな待たせたな」

唯「澪ちゃん!」

律「澪!お前なに遅れて来てんだよ!みんな心配したんだぞ!」

澪「すまない、いろいろ準備しててな」

紬「でも良かったわぁ澪ちゃんが来てくれて~、これで演奏出来ますわね~」

梓「逃げたと思いましたよ…しかしなんですかその大きなコートは…」

さわ子「ほら秋山さん、早く衣装に着替えて!」

澪「いえ、わたしは自前の衣装がありますから」

さわ子「自前の衣装?そのコートが?」

澪「ええ」

和「ほらみんな早く!出番よ」

律「よおしみんな!悔いの無いように精いっぱいやるぞ!!」

唯紬梓「おぉーーっ!!」

澪「……」

律「ど~も!放課後ティータイムでーす!」

ワー ワー キャーステキー! ワー

唯「今日精いっぱい演奏するのでみなさんも目一杯楽しんでいってくださいねぇ~」

梓「いえ~い!!」

紬「それでは演奏を聴いてください!」

ワー ワー キャーキャー

澪「……」

律「おい澪、ヴォーカルなんだからなんか言えよ」ボソ

澪「……」

―――その時、澪は着ていたコートを脱ぎすてた…!

紬「えっ!?」

律「お、おい!なんだその格好!?」

梓「え、SMの女王様!?」


 ざわざわざわ  ざわざわざわ

澪「どうも!ヴォーカルの澪で~す!よろしくぅ!!」

さわ子「なによあの格好は…あぁ…」クラッ

和「山中先生大丈夫ですか!」

澪(フフフ、みんな私を見てる…あられもない格好の私に釘付け…もっと見て、このはしたない姿の私を見て!目に焼き付けて・・・!)

唯「澪ちゃん…」

澪「じゃあわたしたちの曲聴いてください!一曲目は―――」




喪黒「彼女は人に見られることに恥も外聞も無くなりました、彼女は自分の姿を見られることが何よりも快感になったのです」

喪黒「でも秋山さん、警察に捕まらない程度でお願いしますね、そのうち露出狂になってしまいそうですから」

喪黒「ホーホッホッホ・・・・・・」  【目立ちたくない女】  完