ドーン!!


私の名前は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん

ただのせぇるすまんじゃございません

私が取り扱う品物は“ココロ” 人間のココロでゴザイマス・・・

この世は老いも若きも男も女もココロの寂しい人ばかりそんなみなさんのココロのスキマお埋めします

いえお金は一銭もいただきませんお客様が満足されたら、それがなによりの報酬でゴザイマス・・・

さて今日のお客様は・・・

紬「うふふ」

琴吹 紬 17歳 女子高生

   【イビツな愛情】

ホーホッホッホ・・・・・・



  部室

唯「ムギちゃんが注いだ紅茶おいしいよ~」

紬「うふふ、唯ちゃんありがとう」

律「ムギのおかげでわたしらは食べ物には困らないな!」

澪「ムギ、いつもスマンな」

紬「いいのよ~、好きでやってるんだから」

梓「食べ終わったら練習ですよ!」

唯「あずにゃん厳しい~」ガシッ

梓「ちょっと///恥ずかしいから抱きつかないでください///」

紬 (唯ちゃんったら///)ポ~ッ

澪「ムギ?顔赤くなってるぞ?」

紬「な、なんでもないですわ!」

澪「?」


 帰り道

律「じゃあな~、唯ムギ~」

唯紬「バイバ~イ」

唯「なんかめっきり寒くなったね~」

紬「もうすぐ冬だからね」

唯「今年のクリスマスもみんなでパーっとやろうね~」

紬「もう去年より豪華にするからね!」

唯「ワクワク!あっ、わたしの家あっちだからお別れだね、バイバイ」

紬「また明日ね~」

紬「うふふ、唯ちゃん…」

喪黒「ホーホッホッホ、仲が良いですねぇ」

紬「あら、なにか用かしら?」

喪黒「いえいえ、なかなか微笑ましい光景だったのでつい声をかけてしまったのです」

紬「そうですの、あの子とわたしは大の仲良しですからね~」

喪黒「そのようですなぁ」

紬「ところで本当の目的はなんですの?ただ微笑ましいだけで声をかけてきたわけじゃないのでしょ?」

喪黒「バレてましたか、実はわたしこういう者なんです」サッ

紬「ココロのスキマお埋めします、喪黒福造さん?」

喪黒「ワタシはボランティアで人々の悩みを解消させるセールスマンなんです、あなたも何か悩みを抱えてませんか?」

紬「わたしですか?うふふ、わたしはなにも悩みなど持ってませんわ」

喪黒「でもなにか一つぐらい持ってるのでは無いですか?」

紬「わたしは幸せ一杯ですから必要無いですわね、それではこれで失礼しますわ、うふふ」トコトコ

喪黒「悩みの無い人間なんていませんからね、彼女もきっとココロにどろっとしたモノをお持ちのはずですよ、ホーホッホッホ」


 次の日 朝

唯「ムギちゃんおはよ~!」

紬「唯ちゃんおはよう、今日も寒いわね」

唯「ムギちゃん風邪に気をつけてね!」

紬「唯ちゃんこそ、ヴォーカルなんだから気をつけなきゃだめよ~」

唯「わかってるって~、えへへ~」

紬「うふふ」




喪黒 カシャカシャカシャ

喪黒「ホーホッホッホ」



 部室

唯「あずにゃ~ん」ガシッ

梓「もう抱きつかないでくださいよ~」

紬「うふふ」

澪「唯、さすがにしつこいぞ」

唯「だってあずにゃんがかわいいんだも~ん」スリスリ

梓「スリスリしないでください!」

紬(良いなぁ…)

律「よおし!わたしも参戦するぞぉ!」ガシッ

梓「律先輩までなにするんですか!もう練習しましょうよぉ!」

紬「……」

澪「ムギ、どうした?体調悪いのか?」

紬「う、ううん!大丈夫よ!気にしないで」

澪「そうか、最近風邪が流行ってるから体調には気をつけろよ」

紬「うん、ありがと澪ちゃん」


  帰り道

唯「ムギちゃんまた明日ね~」

紬「うんまたね」

紬「うふふ…」

喪黒「ホーホッホッホ、相変わらず仲が良いですね」

紬「あらあら、喪黒さんではないですか」

喪黒「またお会いしましたね、どうです?悩み事は出来ましたか?」

紬「お生憎さま、わたしは悩みごとなどひとつも無いですから、それでは失礼します」

喪黒「ちょっと待ってください、実はあなたに渡したいものがあるのです」サッ

紬「名刺ですか?名刺なら昨日もらいましたよ……えっこれは!?」

喪黒「ホーホッホッ、あなた今、欲しくてたまらないものですよ」

紬「……」

―――喪黒が紬に渡したのはなんと唯の写真だった…!



 BAR 魔の巣

マスター タンッ

紬「どうも」

喪黒「いつから平沢唯さんのことが好きになったのですか?」

紬「なんか一緒に過ごしてるうちにいつの間にか恋に落ちてました」

喪黒「ほう」

紬「なんか一緒にいるだけでココロがドキドキするんです、最近なんか息苦しくて…」

喪黒「立派な恋の病ですねぇ」

紬「でもおかしいですよね、女が女に恋するなんて、わたし病気なんでしょうか」

喪黒「いえいえ気にすることありません、人の愛のかたちは人それぞれ千差万別、ひとつとして同じものはありません」

喪黒「だから琴吹さん、あなたが同性の方に愛情をおぼえてもなんらおかしいことでは無いのです」

紬「喪黒さん……」

紬「でもわたしは唯ちゃんと学校で雑談したり一緒に楽器を演奏するだけで幸せです、だから悩みなど無いです」

喪黒「でも、琴吹さん、なんか物足りないとは感じてませんか?」

紬「なにがですか?」

喪黒「例えばもっと会話したり、スキンシップをしたいとは思いませんか?」

紬「まぁたしかそうですね…」

喪黒「ホーホッホッホ、琴吹さん、明日の放課後期待しててくださいね」

紬「期待?なにをですか?」

喪黒「それは明日になってからのお楽しみです」

紬「……」


 次の日 放課後の部室

紬(ついに放課後になったけど…いったいなにが起こるのかしら…)

  ガチャン

唯「ムギちゃんちゃーっす!」

紬「こんにちは、あれ?澪ちゃんとりっちゃんは?」

唯「それがね~、インフルエンザで今日は部活しないで帰るって」

紬「えっ?さっきまで元気だったのに!?」

唯「うん、あとあずにゃんもインフルらしいよ~怖いね」

紬「そ、そうね」

唯「えへへ~今日はムギちゃんとふたりっきりだね~」

紬「二人っきり///」

紬(ハッ!もしかして喪黒さんが言ってたお楽しみってこのこと!?)

唯「ムギちゃんと二人っきりなんて珍しいね~」

紬「そうね~今まであんまなかったわね~」

唯「……」

紬「……」

唯「……」

紬(あぁなにを話していいかわからないわ…このままじゃ嫌われちゃう…)

唯「ムギちゃんさぁ」

紬「ん!?なに唯ちゃん?」

唯「えへへ、ムギちゃんって可愛いね~」

紬「そ、そんなことないわ、唯ちゃんのほうが全然かわいいわ!」

唯「ううん、ムギちゃんのほうがぜーったい可愛いもん!わたしにとってムギちゃんは憧れだよ!」

紬「ゆ、唯ちゃん///照れますわ///」

紬「なんか寒いわねこの部屋」

唯「えっ!ムギちゃん寒いの!」

紬「うん、少し」

唯「じゃあわたしは温めてあげる」ギュッ

紬「ゆ、唯ちゃん///」

唯「どうムギちゃん温かい~?」ギュー

紬「すごい温かいわ唯ちゃん!」

唯「えへへ~ムギちゃんの体やわらかくて気持ちいいよぉ~」ギュー

紬「/////」

紬(なんて素晴らしいひと時をなのかしら…)


 帰り道

唯「今日一日楽しかったよ~」

紬「わたしも楽しかった!」

唯「わたしもっとムギちゃんと二人っきりで遊びたいな~」

紬「それじゃあ今度二人で遊びに行く?」

唯「行こう行こう!ムギちゃんともっともっと仲良くなりたいもん!」

紬「うふふ、どこ行くかは明日決めましょうね」

唯「そうだね!それではムギちゃん!わたしはこれで失礼します!またね~」

紬「バイバ~イ」

紬「うふふ、楽しかった」



 BAR 魔の巣

マスター キュッキュッ

紬「喪黒さん、今日は本当にありがとうございました」

喪黒「いえいえ」

紬「唯ちゃん可愛かったですわ…ああいう純粋無垢な子はいいですわ、ますます好きになりました」

喪黒「琴吹さん、ワタシはあくまで雑談等をするための場を設けたのです、余計な下心などは抱かないほうがいいですよ」

紬「大丈夫です、わたしは唯ちゃんと一緒にいるだけで満足なんですから」

喪黒「手を出してはいけませんからね、マスター、琴吹さんにハーブティーを」

マスター タンッ


 次の日 部室

 ザー… ザー…

紬(早く雨やまないかしら…)

紬(しかし唯ちゃん遅いわね…なにかあったのかしら…)

紬(今日は唯ちゃんの好きなカステラ買ってきたから二人で食べようと思ったのに…)

紬(早く唯ちゃんに会いたいなぁ…)

  ガチャン

唯「ああもう最悪!」

紬「唯ちゃん!?」

唯「雨のせいでびしょびしょだよ~」

紬「……」

唯「ああ!雨に濡れて服が透け透けだよ~!」

紬(透けてる!)

紬「はぁはぁ…」

唯「服がくっついて気持ち悪いよ~…」

紬「はぁはぁはぁはぁ…」

唯「ムギちゃんタオル…」

紬「唯ちゃん!!」ガシィ!

唯「ム、ムギちゃんなにすんの!?」

紬「唯ちゃん!唯ちゃん!はぁはぁ…」ギュ~ッ

唯「離して!離してよ!」バサ!

紬「ああ!」バタン

唯「ひどいよムギちゃん!ムギちゃんがそんなことする人だとは思わなかったよ!」

紬「唯ちゃんゴメンなさい!わたし唯ちゃんのことが好きなの!愛してるの!」

唯「怖かったよ…急にムギちゃんが襲ってくるんだもん…ムギちゃんが怖かったよぉ…」グスッ

紬「唯ちゃんゴメンなさい!もうしないから!」

唯「もうダメだよ…もうムギちゃんとは仲良く出来ないよ…」

紬「そ、そんな!」

唯「バイバイ…ムギちゃん…」  ガチャン!

紬「唯ちゃん!!あああ…わたしはなんてことをしちゃったんだ…」

 ガチャン

紬「唯ちゃん!?」

喪黒「ホーホッホッホ、ワタシですよ」


紬「喪黒さん!」

喪黒「ワタシは言ったはずです、決して手を出すなと」

紬「ゴメンなさい!我慢出来なかったんです!」

喪黒「結果的に平沢さんを傷つけてしまいましたねぇ」

紬「ううう…」

喪黒「あなたは人間として失格ですよ」

紬「ゴメンなさい…」ヒックヒック

喪黒「あなたはココロを欲望に支配され平沢さんに乱暴しようとしました」

喪黒「人間として一番大切な理性というものが欠落しているのです、あなたは犬、猫、イノシシと同じ動物です」

紬「なにするんです!?」

喪黒「あなたは動物なのです」

喪黒「ドーーーーーーーン!!!!!」

紬「いやああああああ!!!!!!!」


  次の日
唯「澪ちゃんりっちゃんおはよー!!」

律「おーっす唯!久しぶりだな!」

唯「インフルじゃなかったの~?」

澪「うん、ただの風邪だったみたい、良かった良かった」

紬「ワン!ワンワン!」

律「うわっ!きったね~犬!あっち行け!しっしっ!」

澪「うわああ!律助けて!」オロオロ

唯「汚れうつされるかもしれないし、早く行こう」スタタタタ

律「そうだな」スタタタタ

紬「ワンワン!ワンワン!」

紬「クゥ~……」



喪黒「人間が他の動物と違い1番優れてるところは理性を保てるところです」

喪黒「だから琴吹さん、理性を保てないあなたはこれから犬として生きていってくださいね」

喪黒「ホーホッホッホ・・・・・・」  【イビツな愛情】 完



最終更新:2011年06月09日 22:56