律「思えばこいつが一番私に合っているかもしれない」

梓「…その心意気やよし」

紬「私、そろそろ帰るね」

唯「私も!じゃあね~あずにゃん、りっちゃん」

律「おう、また明日な~」

梓「・・・私の家に64があるので、そっちで練習しましょうか」

律「そうだな・・・」


その日、律は梓と夜遅くまで猛特訓した。
一方、平沢家では・・・

唯「ただいま~。憂、スマブラやるよ!!」

憂「いきなり!?お姉ちゃんご飯はどうするの?」

唯「食べながらやろう!」

憂「それはちょっと…食べてからにしよう?」

唯「え~・・・」

憂(お姉ちゃん、ご飯とスマブラの優先順位がほぼ同じだなんて…)

憂(そんなにスマブラがやりたいんだね)

憂「ごはん食べたら一緒に特訓してあげるよ!」

唯「ほんとに!?」

憂「うん! もう用意出来てるから早く食べちゃおっか」

 パクパク

憂「今日のスマブラはどうだったの?」

唯「相変わらず澪ちゃんが強かったんだけど、ムギちゃんもすごく強くなってて
  私なかなか勝てなかったんだ~。明日こそは勝つよ!」

憂「そうだったんだ~(もうちょっと細かいところも練習した方がいいかな)」

唯「それからあずにゃんが今日来たんだけど、あの強い澪ちゃんに勝っちゃったんだよ!」

憂「梓ちゃんが?(お姉ちゃんが勝てない澪さんに勝つって…まさか)」

唯「うん!なんだかネトスマとか着キャンとか言ってたんだけど、憂知ってる?」

憂「…お姉ちゃん、梓ちゃんにも勝ちたい?」

唯「ほえ? もちろん勝つつもりだよ! いつになるか分かんないけど」

憂「…お姉ちゃんがそういうなら分かった。今日は本気で練習しよう」

唯「さーてお腹いっぱいになったことだし、スマブラだ!」

憂「やっぱりお姉ちゃんはカービィ使うの?」

唯「とーぜん!いつも惜しいところで負けるんだよね~」

憂(お姉ちゃんセンスはすごいあるから、足りないのは技術かな…)

憂「じゃあ今日はカービィの"ハメ"と"着キャン"を織り交ぜた立ち回りをまずやろうか」

唯「着キャンってやり方は知ってるんだけど、なかなか出来ないんだよね~」

憂「練習あるのみだよ!カービィは空中↓Aからの↑強Aハメがコンボの基本だから
  まずこれができるようにやってみよう!」

唯「よ~し!頑張るぞ~!」


そして同時刻、秋山家では・・・

澪(なんだったんだ、あのリンクの動きの速さは・・・)

澪(そういえば梓、ネトスマとか言ってたな)

澪(いままで我流でやってきたけど、ネットでいろいろ調べてみるか)

澪(そしてあのゴキブリを叩き潰してやる・・・!)

澪「グーグル先生…教えてください。"スマブラ64 テクニック"っと…」

澪「動画もあるな…なになに、ネトスマ対戦動画…?」ポチッ

澪「!?なんだこのファルコン…動きが気持ち悪い…」

澪「私が好きだったファルコンはこんなんじゃない・・・」

澪(・・・このピカチュウも見てみよう)ポチッ

澪「すごい…確実に敵を画面外に押し出してる…」

澪(これだ…!この芸術性と強さ、美しさを兼ね備えてるピカチュウなら…!)

澪「よし…ピカチュウ、君に決めた…っ」


――――

唯「ふぅ~けっこう成功率もあがってきたね」

憂「あとはここからステージの外に押し出すように敵を運んで行くんだよ」

唯「運んで行くのか~・・・憂お手本見せて~」

憂「いい?カービィは空中NAと空中後Aが運びの主力だから、敵の吹っ飛びに合わせて
  空中攻撃→着キャン→空中攻撃→…みたいに隙を無くしていくの。
  もちろん敵もそれをはずしに来るから、うまく競り勝たないとだめだけどね」

憂「見ててね…こうやって…こうやって…こう!」

唯「おお~!なるほど~!」

憂「とどめはこの間やったメテオでもいいけど、敵も当然それを警戒するからフェイントを入れるのも必要だよ」


軽音部のメンバーはその日もスマブラの練習に精を出していた。
そして次の日・・・

唯「みんなー!さっそく勝負しよー!!・・・・って」

唯「あれ?ムギちゃんだけ?」

紬「私も今来たところよ。唯ちゃんお茶でも飲む?」

唯「わーい、飲む飲むー!」

紬「じゃあ飲みながらスマブラやりましょうか♪」

唯「昨日は憂と特訓したから強いよ~勝っちゃうかもよ~?」

紬「私も昨日たくさん練習したの♪梓ちゃんが言ってた着キャンもマスターしたわ♪」

唯「よーし、いざ勝負!!」

 スリー ツー ワン GO!

唯「うりうりうり~どうだこのハメ技は~」

紬(ハメるなんて…唯ちゃんったら///)

唯「お、うまく避けたねぇ」

紬「・・・」

唯「これでとどめ…! ってなんじゃこりゃあ!?」

紬「うふふふ・・・」

唯「か、返り討ちにされた・・・」

紬「踏ん張りカウンターでメテオ返しするのが夢だったの~♪」

唯「なにお~! ・・・これでどうだ!」

紬「きゃっ・・・唯ちゃん、上手になったわね・・・」

 GAME SET


唯「やったー!勝ったー!」

紬「唯ちゃん、もう一回!」

 バタン

澪「おいお前ら!スマブラだ!」

唯「あ、澪ちゃん。…なんか気合入ってるね」

澪「いいからやるぞ、ほら」

紬「私さっき負けたので…はい、澪ちゃん」

澪「ムギ、唯に負けたのか…」

澪「いいだろう、だけど唯、今までの私とは違うぞ」

唯「望むところ!」

 スリー ツー ワン GO!

紬「澪ちゃんファルコンじゃないのね」

澪「ああ…気付いたんだ…ピカチュウこそ私の真のパートナーだってな」

 バシッ バシッ 

紬「やっぱり澪ちゃんは強いわ…あっという間にカービィの%が80近くまで…」

唯「…だめ、ピカチュウの動きが読めない…このままじゃやられる…」

澪「まあ私のピカチュウとやるのは初めてだろうからな。
  私は唯のカービィの癖を見抜いてるから楽にコンボをつなげられる」

紬「唯ちゃん頑張って!」

唯「うう~・・・」

澪「ここまでだ…追撃王は何もカービィだけじゃないってことを思い知らせてやろう」

 ヒュンッ ドォーン

唯「!?こんな遠くまで追いかけてくるなんて…あ、死んじゃった」

紬「あそこまで追っても戻ってこれるのね・・・追撃に弱いヨッシーだときつそうね」

唯「ステージの中では結構戦えるんだけど、場外に吹っ飛ばされると澪ちゃんに確実にやられちゃう」

 GAME SET


澪(ふぅ・・勝ったけど、唯のカービィ明らかにうまくなってるな…)

唯「負けた~・・・」

紬「澪ちゃん、次は私と勝負よ!」

澪(ヨッシーか…カービィよりかは戦いやすいな)

 スリー ツー ワン GO!

唯「澪ちゃん、ムギちゃんの踏ん張りカウンターに気をつけて!」

澪「踏ん張りカウンター?なんだそれ…」

紬「・・・」

 フゥーン フゥーン フゥーン

澪「うわっムギ、なんだその気持ち悪い動きは!」

唯「ヨッシーが上下に細かく動きながらピカチュウに向かっていってる…」

澪(こんな見かけ倒しなんか、ピカチュウの↑強Aではめてやる…)

 バシッ

 バアァン

澪「!?」

唯「ヨッシーがくらったと思ったらピカチュウが吹っ飛んでる・・・!?」

澪「わ、わたしは確実に今ダメージを与えたのになんで吹っ飛んでるのはこっちなんだ?」

紬「・・・」フゥーンフゥーンフゥーン

澪「やばい…!!ガード…」

 パリン

澪「シールドが壊れた!?」

 ドォーン

唯「・・・澪ちゃんに先制するなんて」

澪「ムギ!何をしたんだ!?」

紬「ぺちで敵のシールドを破壊するのに憧れてたの~♪」

澪「ぺち…?なんだそれ」

梓「ぺちとは別名"絶"。ヨッシーとネスだけが使える技で、この2人だけは2段ジャンプを空中技でキャンセル出来るんです。
  それを利用して超低空で強力な空中技を素早く出すことができ、ヨッシーに至っては2段ジャンプがスーパーアーマー状態なので
  敵の攻撃をくらってもひるむことなく自分の攻撃を当てられるんです」

澪「うわっ!?梓いつの間に!?」

梓「澪先輩よそ見してていいんですか?」

紬「・・・・」

 ドォーン

 GAME SET


紬「澪ちゃんに勝っちゃった~♪」

澪「くそっ!!負けた!」

唯「あずにゃんいつからいたの?」

梓「さっき来たばっかりです。先輩方すごく上達してますね」

澪「そんなことより梓!昨日のリベンジだ!やるぞ!」

梓「ちょ、落ち着いてください・・・」

律「澪…負けたからと言って必死になるのは醜いぜ…」

唯「うわぁ!?りっちゃんもいつの間に!?」

澪「なんだ律か…ていうか負けて一番わめいてたのはお前だろ」

紬「まあまあ・・・」

梓「律先輩は昨日私と一緒に特訓したんです。澪先輩を倒すためにね」

澪「律が?私を?・・・・クックックッ・・・冗談はよせよ。
  律ごときに私を倒せるわけないだろう?
  さっきはムギに負けたけど、本気を出せば梓にだって勝てるんだ・・・
  何も特訓したのはお前だけじゃない…痛い目を見ないうちにしっぽを巻いて逃げた方が
  身のためだと思うけどな?」

律「ごたくはいい。始めようぜ」

澪「そこまで言うならいいだろう…さっさと終わらせてやる。
  そしてその次は梓…お前の番だ」

梓「好きにしてください」

唯「なんかりっちゃんの目つきがするどい…!」

紬「なんだか緊張するわ…この感覚…空気がぴりぴりしてる」

律「・・・」

澪「で、律は相変わらずネスなのか? いい加減お前も学習しろよ」

律「・・・」ピッ

 ドォンキーコォーング

澪唯紬「 !!! 」

澪「なっwwwドンキーwwwwwだとwww」

唯(りっちゃん・・・本気なの・・・?)

澪「おい律wwまじめにやれよww」

律「私はいつだって真面目だ。澪、お前こそ真面目にやれよ?
  ドンキーだからって油断して負けました、はナシだからな」

澪「それは心配には及ばないさ。相手がドンキーとは言え
  手を抜くつもりは一切ない」ピッ

 ピカチュゥ

梓(ピカチュウ…さっきの澪先輩の戦いを見る限り、律先輩のドンキーは少し分が悪いかも…)

澪「ステージはプププランドで、ストック5。いいな?」ピッ ワァァァ

律「・・・・」

 スリー ツー ワン GO!

澪(ドンキーなんて的がでかいからコンボが繋がりやすいし隙も多い)

澪(一気にカタをつけてやる!)バッ

律「・・・」 ヒョイッ ガシッ

澪「!」

澪(意外と素早いなこのサル…掴まれてしまった…)

 ブオン!

唯「ドンキーの投げってよく飛ぶね~」

澪(ダメージとしては多くはない。まだ攻められる!)バシッバシッ

紬「ああっ!ドンキーがお手玉されてる!」

唯「どんどんダメージが増えていく・・・」

澪「ドンキーは重いから吹っ飛びづらくて有利かと思いきや
  逆にコンボを入れられやすい。一回ハメればこっちのものだ」

 ガシッガシッ ドォーン!

律「・・・ッ!!」

唯「澪ちゃんが先制…」

紬「まだピカチュウは20%くらいよ…」

梓(律先輩がんばって・・・昨日の特訓を思い出してください・・)


昨晩、中野家にて

梓「・・・・それでドンキーですが、正直言って私も使い方をよく知りません」

律「うおい!そんなんでだいじょうぶなのか?」

梓「はい…。ただ、さっきも言いましたが、スマブラ64において着キャンができるか否かは
  大きな差になります。ドンキーはとにかく地上技のスキが大きいので空中技主体で戦うしかありません。
  律先輩はまずトレーニングで着キャンと使えそうな技を練習しててください」

律「よし分かった!」

梓「その間わたしはネットでドンキーのコンボを調べておきます」

律「ハンドスクラップ・・・は使えないな・・・」

律(確かに横スマ、上スマ、下スマのどれもスキが大きい・・・となると)

律「空中前A、後A、下A・・・これは使えそうだな」

律「空中上AとNAはちょっと微妙かも・・・」

梓「律先輩、だいたいドンキーの使い方の調べはつきました」

律「お!どんな感じだった?」

梓「まずドンキーはピンチになったら投げか上Bで敵と距離をとります。
  あと復帰力はあまりないので、無理な追撃はやめた方がいいと思います」

梓「それからネトスマではドンキーのあるコンボが有名で、少し難易度は高いですが
  うまくやれば相手にそうとうなダメージを与えることができます」

律「じゃあさっそくそのコンボを教えてくれ!」

梓「はい。この技はドンキーの空中上Aで敵をお手玉するというものです」

律(空中上A…?あの技ってそんなに使えるのか?)

梓「やり方はすり抜け台の下からジャンプし、空中上A。
  台の上に乗ったら下にすり抜けてまた空中上A。
  こんな感じを繰り返します。すぐにすり抜けなくてはいけないため、着キャンは必須です」

梓「動画でやり方を紹介しているみたいなので、実際に見てもらった方が早いかもしれません」ポチッ

律「うわ、軽やかなドンキーだな・・・かっこいい」

律「なるほど、これがそのコンボか・・・」

梓「ネトスマではこのコンボを、使っていた人の名前からこう呼びます」

梓「 あまさわループ と・・・」

律「あまさわループ・・・」

梓「律先輩はドンキーの基本的な立ち回りと、このあまさわループを今日中にマスターすることになります」

律「・・・・へへっ!やってやろうじゃん!
  私のドンキーで澪をぎゃふんと言わせてやる!!」


 ドンキー VS ピカチュウ <ドンキー残り4機>

澪「この調子じゃそのままあと4機いけそうだな」

律「…澪、あまり調子にのるんじゃないぜ」

澪「ふん。私はまだ20数%だ。その間にまた1機倒すことなど
  造作もないこと・・・・」

 ブォン! バシッ バシッ

澪「!?なんだこれは・・・」

 バシッ バシッ

唯「すごい…まるでピカチュウがドンキーの手のひらで踊ってるみたい」

紬「今度はどんどんピカチュウのダメージが蓄積されていくわ…」

 バシッ!

澪「…これは…昨日ネットの対戦動画で見たぞ…」

 バシッ!

澪「ステージを縦横無尽に駆け回り、一度そのコンボに捕まったが最後、
  敵は場外へ飛ばされるまで何もすることができない・・・」

 バシッ!

澪「あまさわループ…完成していたのか…」

 バアアァン!!

梓「ついにノーダメでピカチュウの牙城を崩した・・・」

 <ピカチュウ 残り4機>


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