ぶおんけい「しょ、正直に…話して…いる…」

律「わかったわかった、で、それからどした?」

ぶおんけい「お、俺は…神であることを…やめた…」

唯「ほえ?なんで?」

ぶおんけい「神は…人に…触れない…」

律「あー…こりゃ本物だわ」

ぶおんけい「それから…日本中を…めぐって…尻を…触った…」

梓「うえっ」

ぶおんけい「尻は…すばらしい…」

梓「うるさいっ!」


律「よーするに単なる女好きの痴漢だってことか。何だかなあ…」

梓「それにしても、元神様なのに女子高生に腕を千切られるなんて弱すぎですよね」

ぶおんけい「指先に…全ての力を…集中させている…だから…他は…もろい…」

梓「…もうやだぁ」

ぶおんけい「こ、これで…全部だ…お、俺の腕…返せ…」

律「駄目だ!」

ぶおんけい「な、なぜだ…!?…全て…正直に…話した…」

律「もしこのまま腕を返したら、どうせまた痴漢するんだろ?」

ぶおんけい「………………し、しない!」

律「何だ今の長すぎる間はぁ!」

梓「律先輩、やっぱりこの腕焼いちゃいましょうよ。こんなやつに返す必要ないです!」

ぶおんけい「やめろおおおお!返せ!返してくれええええええ!」

梓「うるさい!女の敵!」

ぶおんけい「す…すまない…しかし…」

唯「ねえあずにゃん、返してあげようよ?なんだかかわいそうだよ…」

梓「駄目ですよ!まだまだ痴漢する気満々なんですよ、こいつ!」

ぶおんけい「し、しない…本当に…しない…」

梓「それに、腕が一本なくても平気そうですよ?あんなに窓を強く叩けるんだし」

紬「梓ちゃん…」

ぶおんけい「頼む…返してくれ…腕…ないと…困る…」

梓「何が困るの?利き腕じゃないとお尻の感触がしっかり味わえないとか!?」

ぶおんけい「ギター…弾けない…」

梓「え…」


ぶおんけい「左腕…ないと…コード…押さえられない…」

梓「そ、そんなこと…ど、どうせデタラメ」

ぶおんけい「俺…もう何日も…ギター…ちゃんと弾けてない…辛い…」

唯「…あずにゃん、ぶおんけいさんの言ってること、本当の気持ちだと思うよ」

梓「唯先輩」

唯「私もギー太に1日でも触れないとすごくつらいし…あずにゃんだってそうでしょ?」

梓「…はい」

唯「ぶおんけいさん、本当にギターが好きなんだよ。私にはわかるんだ。だから、ね?」

律「唯…」

紬「唯ちゃん…」

ぶおんけい「頼む…尻、触らない…ギター弾くだけ…だから…」

梓「…」

梓「唯先輩の言っていること、よくわかります。ぶおんけいさんもきっと…私や唯先輩と同じくらい、ギターが好きなんですよね」

ぶおんけい「俺…ギター…大好き…」

梓「でも、まだ駄目です!」

ぶおんけい「あうう…」

唯「あずにゃん…」

梓「私はまだぶおんけいさんのことを信用できません。二度と痴漢しないなんて、口ではいくらでも言えます!」

律「ま、それはそうだよな~」

ぶおんけい「し、しない…!もう…尻、触らない…」

紬「じゃあ、こうしたらどう?もう二度と痴漢をしません、っていう誓いを立てて、証文を書くの!」

ぶおんけい「証…文……書く!俺…証文…書く!書いて誓う…!」

紬「どう?梓ちゃん」

梓「…わかりました。ちゃんと形に残るなら…私は構いません」

ぶおんけい「でも…証文書く…紙…ない…」

紬「それなら大丈夫!私が琴吹式最高級和紙を持ってるから~♪」

律「何でそんなもん持ってるんだよ!?」

紬「淑女としての嗜みよ♪」

ぶおんけい「腕…!返ってくる…!…またギター…弾ける!」

紬「じゃあぶおんけいさん、この紙に書いてくださいね♪」

ぶおんけい「わかった…証文…詫証文…書く…」

律「ちゃんと、もう二度と痴漢しないって書くんだぞー」

ぶおんけい「わ…わかってる………二、度、と、痴、漢、を…」

唯「ほえ?どしたの?筆が止まっちゃったよ?」

ぶおんけい「た、頼みが…ある…」

紬「頼み?」

ぶおんけい「さ、最後に…一度だけ…尻…を…触りたい…」

梓「焼きましょう、腕」

ぶおんけい「ま、待ってくれええええ!」

梓「二度と触らないって言った矢先にこれです!せっかく信用したのに…」

ぶおんけい「す、すまない…でも、尻は…俺が…神をやめてまで…欲した…!ギターの次に…好き…!」

律「熱く語ってるけど、尻…」

ぶおんけい「証文…書いたら…絶対に…守らなくちゃならない…尻…絶対に…触れなくなる…」

唯「そっか、この世で2番目に好きなものを、これからは楽しめなくなっちゃうんだよね。それはつらいよね」

梓「唯先輩!」

ぶおんけい「だから…頼む…一度だけ…ひ、ひと揉みだけ…最期の尻に…するから…」ぐすっ

紬「…かわいそうだわ」

律「…だな。いいんじゃないか?思い出として一回くらいは」

梓「ちょ、ちょっとお二人とも!?」

唯「私も、触らせてあげたほうがいいと思うよ」

梓「唯先輩まで…」


梓「しょうがないですね…じゃあ、最後の最後ですよ?」

ぶおんけい「おおおおおおおおお!あ、ありがとおおおおおおおおおお!」

梓「物凄い喜びようだ…」

紬「…それで、誰のお尻を触るのかしら?」

律「ああ、そういやそーだな…」

ぶおんけい「黒髪の…君…」

梓「…へっ!?」

唯「おっ!ご指名だね、あずにゃん!」

梓「…へっ!?」

律「よーし、じゃあ善は急げだ!梓、尻!」

梓「…い、いやいやいやいや!?わ、私じゃないです!澪先輩ですよね!?ね!?」

ぶおんけい「君…黒髪の…ツインテールの…君…」

梓「いやああああああああああああああああ!!」

梓「な、何で!?だって私、こんな身体だし、お尻だって触り応えないし!」

ぶおんけい「構わない…」

梓「み、澪先輩とかむぎ先輩とかのほうが揉み応えありますよってば!?」

ぶおんけい「君が…いい…」

紬「なんて熱烈なラブコール…!」

律「これだけ求められてるんだ、答えてやらなきゃ女じゃないぜ?梓!」

梓「何でぇ…?あんなに馬鹿にしたり怒鳴ったりしたのに…」

ぶおんけい「…///」

梓「か、顔を赤らめないでよぉ!!」

唯「さあ、あずにゃん!お尻を出して!」

梓「うぅ…で、でもぉ…」

ぶおんけい「触れないなら…書かない…腕、あきらめる…」

梓「なっ!?」

律「今夜で全部終わらせるんだろ?ほれ、早く早く!」

梓「わ、わかりましたよ…触られればいいんでしょう、触られれば…」

ぶおんけい「できれば…生尻…」

梓「調子に乗らないで!ばかぁ!」


するっ

梓「えっと…こ、こうでいい…ですか?」

律「おっけーおっけー!ベーリナーイス!」

唯「あずにゃんかわいいパンツだね」

紬「うふふふふ~♪」

梓「み、みなさんうるさいです!ほ、ほら!早く触って!触ってください!」

ぶおんけい「お、おお…あ…ありがたい…」

梓「(な、何でこんなことになるの…!?)」

さわっ

梓「ひゃんっ!?こ、これで…これで終わりですよね…?」

ぶおんけい「俺…触ってない…」

梓「…は?」

律「あ、ごめん。今触ったの私~」

梓「何ですかそれえええええええ!?」

律「いや~、目の前にさあ触れ!ってなお尻があったもんでつい…」

梓「ふざけないでください!ふざけないでください!」

律「わーったわーった、私はもう触んないからさ」

梓「も、もう…!……むぎ先輩と唯先輩もですよ!?」

唯「あちゃー」

紬「残念♪」

梓「触る気だったんですか!?」

唯「ほい、じゃあぶおんけいさん、今度こそどうぞ!」

ぶおんけい「い…いただきます…」

梓「いただきますとか言うなあ!!」


梓「ううう…」

ぶおんけい「………」ゴクリ

すうっ

ぴとっ

梓「はうっ!」

ふにゅん

梓「んっ!…お、終わり!もう終わりです!」

唯「どうだった?ぶおんけいさん?あずにゃんのお尻~」

ぶおんけい「最後の…尻……最高の…尻……」

梓「感想とか聞かないで下さい!」

律「どうだった?ぶおんけいの手は?」

梓「うるさいですっ!!」


梓「さ、さあ!これでもう満足ですよね!?早く証文書いちゃって下さいよ!」

ぶおんけい「余韻に…浸りたい…」

梓「馬鹿ぁ!」

唯「あずにゃん顔が真っ赤~!」

梓「そ、そんなことないですよぉ!」

紬「うふふふふ~♪」

律「この日からであった…梓が尻を揉まれることに至上の喜びを感じるようになったのは…!」

梓「ならない!絶対にならないから!」


ぶおんけい「書けた…」

紬「それじゃ最後に手形を押してくださいね」

ぶおんけい「わかった………押せた…さあ…受け取って…くれ…」

紬「はい!……うん!確かに受け取らせていただきました!」

律「これでぶおんけいは二度と痴漢をしなくなったわけだな?」

ぶおんけい「もし…証文を…書かなくても…二度と痴漢は…しなかっただろう…」

唯「ほえ?何で?」

ぶおんけい「…最高の…尻の…思い出が…薄れる…から」

律「なんと…!」

唯「あずにゃん…!」

梓「…///」

ぶおんけい「それでは…俺の…腕を…返してくれ…」

律「梓、お前が渡してやれ」

梓「あ…は、はい!…はい、これ…もう変なことしてもぎ取られちゃ駄目だからね?」

ぶおんけい「おお!おお!ありがとう!…あ、ありがとう!」

梓「…えへへ♪」

紬「一件落着♪」

律「そうみたいだな」

唯「でも…腕をどうやってくっつけるの?病院で治るの?」

ぶおんけい「それは…大丈夫…七日以内なら…じきにくっつく…」

律「じゃあ七日が過ぎるとどうなるんだ?」

ぶおんけい「…俺も…腕も…溶ける」

律「…七日以内に返せてよかったよ」

ぶおんけい「世話に…なった…お前たち…ありがとう…」

唯「えへへ~」

紬「ぶおんけいさん、これからはどうするんですか?」

ぶおんけい「腕が…つながったら…ギターを弾く…痴漢は…しない…」

梓「…神様の世界に戻ったりはできないの?」

ぶおんけい「俺は…神であることを…捨てた…だから…誰も今の俺を…神だと…思わない…」

律「んん?…つまり、誰かがあんたを神様だと思えば、神様に戻れるってことなのか?」

ぶおんけい「そう…神は…崇められ…祀られてこそ…だから…」

紬「じゃあ、私たちがぶおんけいさんを神様だと思っておまつりすれば、神様に戻れるのね!」

ぶおんけい「そうだ…ま、まさか…!?」

紬「いいよね、みんな?私、お父様にお願いして祠を作ってもらうから…」

唯「うん!私はいいよ!神様仏様ぶおんけい様~!」

律「私も構わないぜ?梓は?」

梓「…しょうがないですね。いいですよ、私も」

ぶおんけい「おお…!おおお…!あ、ありがとう…!な、何から…何まで…!ありがとう…!」

唯「もう、泣かないでよ~、神様なんだから」

ぶおんけい「お、おお…わ、わかった!俺も…お前たち…守る!」

律「守る?」

ぶおんけい「俺…軽音楽の神…お前たち…軽音楽部…!だから…俺…お前たちを…守る!」

唯「うわぁ~!すごいすごい!軽音楽の神様に守られてる軽音部なんてめったにいないよ~!」

梓「まあ、まだ神様に戻れるとは決まってないですけどね」

ぶおんけい「おおぅ…」

律「こら梓ー!」

梓「あ!す、すみません…」

紬「大丈夫!私たちがちゃんとお祈りすれば、きっとすぐ神様に戻れるわ!」

律「そうそう!だから元気出せって、ぶおんけい!」

唯「そうだよ、ぶおんけいちゃん!やる気元気ぶおんき!」

梓「ぶおんきって…」


ぶおんけい「あ…そ、そうだ…これ…やる…」

梓「え?…私に?」

唯「あ!ピックだ!きれー!」

ぶおんけい「それ…玄武の…甲羅から…作った…俺の…愛用品…宝物…」

梓「そ、そんな大切なもの…もらえないよ…」

ぶおんけい「大丈夫…俺…新しい宝物…ある…」

梓「新しい宝物?」

ぶおんけい「最高の…尻の…思い出…」

梓「そ、そんな宝物捨てちゃってよぉ!」


ぶおんけい「じゃあ…俺…もう行く…さらば…」

律「おう!お前も頑張れよ!」

唯「ちゃんとお祈りするね!」

紬「お気をつけて~♪」

梓「もし神様に戻れても、また変な気を起こしちゃ駄目だよ~!」

ぶおんけい「ありがとう…さようなら…」

唯「あっ!ギターだ!」

ジャーン!

バサッ!バサッ!バサッ!


梓「ギターから翼が…まさかあれが魔法のギター!?」

唯「…この世には不思議なことがあるもんだねえ」

梓「ですね…」




梓「ふう…これで全部終わりですかね?」

律「だな。オカ研の言うとおり詫証文も書かせたし、もう大丈夫だろ」

紬「ちょっと予想外のことが多かったけどね♪」

唯「最高のお尻とかね」

梓「も、もう!やめてくださいよぉ!」

律「なははははは!よきかな、よきかなー!あ、むぎ、祠は本当に作るのか?」

紬「うん!約束したものね」

律「だったらさ、ついでに部室に神棚か何か作れないかな?」

紬「神棚!?いいね、それ!素敵!」

唯「部室に神棚があったらいつでもぶおんけいちゃんにお祈りができるね!」

律「そういうことだ!さて…何かすごい疲れたな…もう寝ようぜ?」

梓「そういえば明日も学校なんですよね…」

唯「和ちゃんやさわちゃんに今夜のこと教えてあげないとね!」

紬「あとオカ研の二人にも!きっと喜ぶわ~♪」

梓「喜びますかね…荒唐無稽すぎて信じてもらえない気もしますけど」

唯「あれ?そういえば憂は…?」

梓「あ、忘れてた…多分、唯先輩の部屋ですね。澪先輩と一緒に寝てるんじゃないですか?」

唯「じゃあ静かに戻らないとね……あれ?なんか聞こえるよ?」

ガチャッ


憂「み、澪さんの気持ちはうれしいです!でも、でもやっぱり私はお姉ちゃんが!あああお姉ちゃんが!」

澪「私は立花さんが好きだ!私は中島さんがとても好きだ!私は瀧さんが好きだ!」

律「…なんじゃこりゃ」




梓「それからのことを、少しだけお話しようと思います。次の日、私たちはいつも通りに学校に行きました。

  そして和先輩とさわ子先生、それにオカルト研のお二人に事の顛末を話しました。

  和先輩はいつも通り冷静で、ぶおんけいよりも生徒会ロープの方が気になっているようでした。

  さわ子先生は、『なぜ私を誘ってくれなかったの!?』と言い、とても悔しがっていました。

  オカルト研のお二人は…上の空でふらふらしていました。緑色宇宙光を浴びすぎたせいだと思います。

  それから澪先輩ですが…副作用はまだ完全に消えておらず、時折、律先輩に愛の言葉を投げかけています。

  あれからトイレでおかしな事件が起こることはなくなりました。そして、ぶおんけいと出会うことも、もうありませんでした。

  むぎ先輩はご実家の隅に祠を建て、また部室にはぶおんけいを祀る神棚が設置されました。

  練習前には神棚に手を合わせるのが、私たち軽音部の新しい日課です。

  そして、私は…」


梓「このピック弾き辛すぎっ!!」 




けいおんのコワイうわさ ぶおんけいがきた!! おわり