カサッ…
今まで気づかなかったけど、デスクに置手紙があることに気がついた。

平沢 唯 様

封筒の筆跡を見ると、りっちゃんが置いて行ったものだと解った。
ペリペリと丁寧に開封し、中身を確認した。


 唯へ

 この前の件はごめん…でも全力で唯にアタックできたから悔いはないぞ。
 転勤になるって伝えたけど、あれは間違い…自分から転勤することを希望したんだ。
 言っとくけど、唯が原因じゃないからな!スキルアップだ、スキルアップ。

 澪とは子供の頃からずっと一緒だったから、私はなんでも解るんだ。転勤先のメアド貰ったから
 空メールを送ってくれ、なんでもバンバン相談に乗っちゃうぞ♪だ・け・ど!!
 離婚なんかして、澪を泣かせたらグーパンチで唯を殴る!それくらい澪は大切な存在なんだ。
 レズビアンじゃないぞ…一応言っておくけど。
 ろれつが回らなくなるほど飲んだら、また世話してくれよなー。さすがにこの前は飲みすぎで
 危なかった、むしろ吐いちゃったからアウトか(笑)

 それじゃ、また中野さんも交えて3人で飲もう! またなっ!



りっちゃんの想いが全て書いてあるような気がした。
そっか、りっちゃんは自分の道を歩み始めたんだ…


ヴヴヴヴ… ヴヴヴ…

澪『スーツの着心地はどう?
  結構縫うの大変だったんだぞ~、私の愛情たっぷりのスーツで今日も頑張ってね♪』

澪ちゃんは出来栄えに相当満足したようだ。
修繕された箇所を撮影し、褒めの言葉を送ろうとした…。

しかし、僕は撮影した箇所を見て何か違和感に気づいた。

見たことのあるツヤ、そして独特のさわり心地…これ…知っている。
ほころびを直した素材って、澪ちゃんの髪の毛!?

室温は適温に設定されているはずなのだが、得体の知れない悪寒が体に宿る。

返信するも、返信しないも恐怖だったが…この状況をなんとかすべく、僕は返信することを選んだ。
とにかく褒める、これに徹した。





律「ふー…  とりあえず、この社屋で最後の一服終わりっ!
  てか、唯…あの手紙気づいてくれたかな?やっぱ中野さんに渡しておけばよかったかな…
  うーむ…まぁ、いいかっ!あの二人ならずっとやっていけるだろ、仲いいみたいだし。
  深く考えるのは、もう止めたっ!」




午前中に色々な事がありすぎて、さすがに疲れた。
昼休みのお弁当で、元気を取り戻すとしよう…。

唯「おー、この玉子焼き…美味しそう♪」

鮮やかでツヤのある玉子焼き、ふっくらとしてとても美味しそうだ。
もふもふ食べていると、突如カリッとした硬い歯ごたえ。
卵の殻でも入ったのだろう。
とにかく僕は、午前中のことを忘れるよう昼休みを楽しむことにした。

唯「…ふー…りっちゃん、転勤かぁ…」

どうも現実を受け入れられない、いつも3人でいたあの頃…また来ないかなぁ。
…って、何を考えているんだ僕は。澪ちゃんが居るっていうのに。

全く…

…なんでこう揺れちゃうんだろ。


午後はずっと仕事が手につかなかったので、定時で上がることにした。
とりあえずココロの整理をしたい…。

晩御飯を終え、急に来る眠気…やっぱり今日は疲れているんだな。
僕は澪ちゃんに日課の免除を申請し、先にベッドへ体を沈めた。





変な時間に寝たからだろうか、息苦しく…鼻がむずむずする…。
重いまぶたを少し開けると、澪ちゃんが僕の顔に乗っていた。
彼女は花弁を僕の唇に当て、腰を一生懸命動かしているようだった。

澪「唯っ… んっ… もっと……」

ぷちゅっぷっちゅ…
唇と花弁が擦れるたび、粘ついた音と悩ましげな声が聞こえる。

起床したとき口周りにあった異物の正体をつかむことができた。
乾いた愛液だ…。

澪ちゃんの秘部は蜜を生み出し、とくとくと僕の口へ注ぎ込んでいく。

澪「ふぁっ…だめっ、唯っ! んむぐぅぅぅぅ!」

澪ちゃんは叫ぼうとしたのだろう、口を必死に押さえ絶頂を迎えた。
彼女は体を弓なりにし、蜜壷から生み出されたジュースを僕の口へ流し込む。


唯「げほっ、ごほっ!!」

澪「ん?…起きちゃった…?」

口に流れ込んだ液体を捌ききることはできず、僕は咳き込み完全に目覚めてしまった。
それと同時に澪ちゃんと目が合った…いや、合ってしまった。
ヘビに睨まれたカエル…僕は今そのような状況で固まっている。

澪「おきちゃったんだぁ… それじゃ… おやすみのキスしてあげる…
  いつもはね、唯の唾液と私の愛液でカクテルを作って飲み干していたんだよ…」

濃厚で毒々しいキス、まるで白雪姫の毒りんごのよう…。
甘さを感じたと思ったら最後、強烈な眠気が僕を襲う…コレって…





澪「唯? 唯…!?」

唯「ん…?澪ちゃん…どうしたの??」

澪「唯!?
  何回起こしても目が覚めないからビックリしたじゃないか…。
  会社には休みの連絡入れておいたから、今日は1日安静にしていること。いいな?
  ほら、おかゆ… あーんして。」

唯「あはは、大丈夫だよ…自分でできるよ」

澪「まったく、恥ずかしがる必要はないんだぞ…ほーらっ」


澪ちゃんの言葉に甘え、おかゆを口に含む。
滑らかな舌ざわりに、何か粉末のようなものが混じっている。
それは初めて味わう風味…

唯「澪ちゃん、このおかゆ…何か入ってる?」

その質問をした直後、僕は失敗したと思った。
知りたいが、知ってはいけない事実というものもある…


澪「ふふっ、知りたい?
  …唯が元気になるように、いっぱい愛情を込めて作った"私の爪のおかゆ"。
  すり鉢で粉にするのって、案外大変なんだぞ?
  ちなみに、昨日の玉子焼きにも入れてみたんだけど、どうだった…?
  おいしかった?おいしかったよな???」


僕に詰め寄る澪ちゃんの瞳は濁っている…正気の沙汰じゃない。

唯「うぐっ… うげっ… 」

混合物の正体を知り、嘔吐しそうになるけどとにかく吐くことを堪えた。
澪ちゃんは僕のためにこうしてくれるんだ、身を粉にしてまで愛してくれているんだと自分に言い聞かせた。
必死に、必死に…。




ピンポーン

インターホンの音がこれほどまで、安心させてくれる音とは思ってもいなかった。

澪「それじゃ、安静にしているんだぞ?
  ああ、料理はまだまだあるから、沢山食べて早く元気になるんだぞ」

澪ちゃんはパタパタと玄関へ向かった。
ほっと胸を撫で下ろし、このタイミングで逃げようとしたが…そう甘くは無い。
両足はしっかりとベッドに固定されているようだ…足が動かない。

僕は観念し横になった…これが夢であって欲しいと願いながら。
足音が聞こえる、どうやらお客さんらしい。


ガチャッ

澪「唯、憂ちゃんが来てくれたぞ?」

憂「おにいちゃん…」

唯「う…憂…?」

憂の表情がおかしい。
いつもなら飛びついて、締め落とされんばかりのチカラで抱きしめられるのに、青ざめている。
どうやら一瞬で僕がどんな状況に置かれているかを把握したようだ。

憂「澪さん…これってどういうことですか?
  おにいちゃん… おにいちゃん… グスッ」

泣き崩れ、ぺたりと座り込む憂…僕に何があったというのだろうか?
どうやら、憂の方向から見るとそれは解るらしい。

憂「なんで…なんで…おにいちゃんの足が無いんですか??」

唯「え…」

憂の信じられない言葉に、僕は絶句した。
え?足の感覚はあるのに…憂は何を言っているのだろうか…。

掛け布団をめくってみると、自分の目を疑った。
太股から先が鉄の義足になっていた…


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