…
律「おいーっす!!唯、元気かー!?」
唯「ほへ?りっちゃんどうしたの?」
律「寝ぼけているのか??
今日は納品日だろ…まったく、取引相手に挨拶無しとはトンデモナイぜ」
唯「あはは、そうだそうだ…すっかり忘れていたよ」
律「ところで、今晩飲みに行かないか?」
唯「あー…うん、ちょっと待ってね、澪ちゃんに連絡する」
カチカチカチ
唯「 『今晩りっちゃんと飲んでから帰るから、晩御飯はいらない(ゴメン』…送信っと。」
Boy Meets Girl♪ ソーレゾレノー アフレルオモイニキラメキトー♪
シュンカンヲーミツケテル ホシフルーヨノデアイガアルヨニ…♪
律「旦那様は大変だな にひひ♪
…あれ?私の携帯電話が鳴ってる…唯、ちょっとゴメンな」
(澪からだ…なんだろう?)
澪『今日、唯と飲みに行くってホント?』
律「…」(まぁ、いつものことか。返信しておこう…。)
梓「田井中さん、いつも納品ありがとうございます!」
唯「よかったら、あずにゃんも今晩飲む?」
梓「え?いいんですか?」
律「あはは、飲みの人数が多い方が楽しくていいっ!」
梓「ごちそうさまです♪」
唯「あはは、あずにゃんはちゃっかりしているなぁ…ゴチになりやす♪」
ゴスンッ!
律「…おい、私は中野さんにしか奢らないぞ?」
唯「いたたたっ…冗談だよ」
律「それじゃ、19時にいつもの焼き鳥屋に集合な!」
定時過ぎ、僕はあずにゃんを連れて集合場所へ向かった。
定時きっかりの退社なんて、とても久しぶりだ。
焼き鳥屋に到着した時、既にテーブルは大量の串焼きで埋まっていた。
りっちゃんが早めに到着して注文していたのかな??
律「ぷっはぁ~!うめーっ!」
注文どころか、既に始まっていた。
梓「田井中さん、早すぎですよっ!」
律「まぁまぁ、気にしない気にしない♪」
唯「そうそう、いつもこんな感じだから。
それよりも、あずにゃん飲み物頼もうよー 僕は生中!」
梓「えと、私は・・・ファジーネーブりゅ」
律「あはは、もう酔っちゃったか?お・こ・ちゃ・まw」
梓「もう酔っているのは田井中さんですよっ!」
りっちゃんとあずにゃん、意外に相性いいかもね。
律「でさー、唯の名前まんまのアーティストが"ギー太に首ったけ"っていう歌を出していてさー…」
ヴヴヴヴ… ヴヴヴ…
梓「平沢先輩、また奥さんからですか?」
唯「そうなんだ、5分間隔で写メ送らないとスネちゃうんだよねー」
梓「先輩、愛されてますね♪」
律「そうなんだよなぁ、澪は彼氏を想いすぎるっていうくらい
澪の前カレのときも結構大変だったらしいぜー…
…っと、ゴメン…ここだけの話にしといてくれ」
(その彼氏が自殺したこと話しそうになった…あっぶな!)
唯「へー、そうだったんだぁ…でも僕は平気だよ、澪ちゃんを愛しているもんっ!」
律「わ…バカ!声がデカいって、周りのお客さん見てるだろ…」
ヴヴヴヴ… ヴヴヴ…
澪『隣に座っている女…誰?』
壁に貼ってあるメニューを撮ったつもりだったのに、あずにゃんが入っていた…。
しかも、アングルだけで席配置まで把握しているみたいだし、もうちょっと確認してから送ればよかった。
唯「りっちゃんどうしよう…澪ちゃん怒っているかも」
律「ん~?…あっちゃー…唯、ちょっと電話借りるわ」
prrr… prrr…
澪「唯…今どこにいるの?」
律「おーっす!澪、元気かーっ!?」
澪「り…律!?どうしたんだ、いきなり…」
律「ごめんなー、二人だけで飲むつもりだったんだけど、ウチの新人を紹介したくて連れてきちゃったんだよ。
ウチの会社と唯の会社って取引あるからさ、顔を覚えてもらいたくてね…ごめんなっ!」
澪「あ…あぁ、そうだったんだ…私ったら、またつまらぬ誤解をしてしまったようだ。
律、心配かけさせちゃってごめんな。それじゃ…またね。」
ピッ
律「はい、ミッションコンプリート!」
唯「りっちゃんすごい…」
梓「にゃうぅん… もうのめまひぇん…」
唯「あずにゃん大丈夫?」
律「あー、ファジーネーブル1杯でつぶれちゃったか…ほんとアルコール弱いんだな」
梓「Zzzz…」
律「唯、とりあえずおぶって、私の家に運んでおこう」
唯「そうだね、さすがにウチに連れて行くと大変なことになりそうだし。
よっこいしょ… あずにゃん軽くて楽だぁ」
律「にひひ、唯ちゅぁ~ん、ズボンにテントができてるよ?」
りっちゃんの言葉に反応し、
僕は慌てて下を確認したが… 息子は勃っていなかった。
律「ひっかかった!ひっかかった!」
唯「まったく、それじゃ…お会計よろしくねー…」
…
さわこ「男がなんだっていうのよぉぉぉ!バッキャロー!」
店主「オバさん、もうそれくらいにしときな…」
さわこ「誰がオバさんらってぇぇっ!?」
店主「おい、誰かそいつをつまみ出せ」
さわこ「何か特別なおつまみあるの!?」ぱぁぁぁっ
店主「…」
僕はあずにゃんを背負い、りっちゃんの家に向かっている。
しかし徒歩はキツい…かといって、タクシー呼ぶような距離でもないし。
でも、意外に徒歩も悪くない。
背中にあずにゃんの胸が当たっているのがわかる。
見た目は子供っぽく起伏が乏しい体つきなのに、密着して初めて彼女が"女"であることを認識した。
くーくーと聞こえる声は子供っぽいが、耳に当たる暖かい吐息の音がなんとも艶っぽい。
律「おぉ~い、唯…置いていくなよー」
唯「りっちゃん、ごめーん…支払いは家についたらでいいかな?」
律「大丈夫、払わなかったら澪に有ること無いこと話すから」
唯「あはは、それは簡便して欲しいかなw」
…
唯「ふぃ、ようやく着いた… どっこいしょっと。それじゃ、りっちゃん…あとよろしくねー。
代金はテーブルに置いといたよ」
りっちゃんはあずにゃんの分の布団を敷いてくれている、なんというか一人暮らしでもしっかりしている…
…て言おうとしたけど撤回!…パンツとかブラジャーとかその辺にぶん投げてあるわ、空き缶は転がっているわで
寝室以外は汚い、いずれゴキブリでも沸くんじゃないかな?
唯「それじゃ、今度は澪ちゃんと3人で飲もうねー」
僕が玄関から出ようとしたそのとき、律儀にもりっちゃんは見送りに来てくれた。
律「うん…そうだな…」
いつものようなテンションではなく、少し寂しげに声をかけてくる。
何かあったのかな??
律「なぁ、唯… 私と寝てみないか?」
唯「えっ!?」
りっちゃんの意外なセリフで僕の心臓は激しく脈を打ち始めた。
それは、寝室で横になっているあずにゃんにも、聞こえてしまいそうな鼓動。
そんなドギマギしている僕に、りっちゃんは妖艶な笑みを投げかけてくる。
酒のせいか、火照っている顔はとても色っぽく、誤って押し倒してしまいそうだ。
律「ぷっ… くすくす… あはははは、冗談だよ冗談!
それじゃ、また今度飲もうぜ♪」
バタン
りっちゃん、本気だったのかな…
あ…澪ちゃんにメールするの忘れていた。
メールボックスを確認すると、澪ちゃんの愛情で溢れていた。
受信件数は200件程度、
内容は「いつ帰ってくる?」「早く帰ってきて欲しいかな?」「唯の温もりが欲しい」といういつも通りのメール。
このまま手ブラで帰るのも申し訳ないから、何かお菓子とお酒を買って帰ろう。
ガトーショコラとV.S.O.P、寝る前の酒としては申し分無いな。
…
家に明かりが灯っていない、澪ちゃんはもう寝たのだろうか?
そっと玄関を開け、月光が中に入り込み人影をフローリングに落とす。
誰か座りこんでいる…
ようやく目が慣れてきた、正体は澪ちゃんだった。
携帯電話を片手に、ぺたりと座り込んでいる。
澪「遅かったじゃない… なにしていたの?」
玄関の電気を点けると、澪ちゃんは真っ赤な瞳で僕を睨んだ。
唯「帰りがてら、りっちゃんの家に寄ったんだよ…
後輩が酔いつぶれちゃってね、運ぶのに一苦労だったよ。」
肩を回す仕草をしていると、彼女はボソボソと何かをつぶやき始めた。
澪「…嘘だ」
唯「え…」
澪「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ 嘘だっ!
律の髪の毛はこんなに長くない!それに、背広から律の匂いじゃない別の匂いがする!
ホントは解散した後、隣の女の子とどこか行ってたんでしょ!?」
僕は真実を伝えたのに、澪ちゃんは信じてくれない…。
しかも、こうテンパっていては話し合いもままならない、柄にもないけど"あの手"でこの場を抑えるしかない。
暴れる澪ちゃんの両手を掴み、逃げられないよう体を壁へ押しつけた。
澪「やめてっ!離してっ… むぐっ」
澪ちゃんのぷるっとした唇に吸い付き、舌を挿入し口の中を弄った。
歯の1本1本をなぞり、ねっぷりと舌の感触を楽しむ。
むちゅ… ぷちゅ…
いやらしい粘液の音が玄関に響く、そして音と同期するかのように体をピクつかせる。
…やがて澪ちゃんも落ち着き、僕の舌を弄び始めた。
澪「ん… ふぅ… ふぁっ…」
生暖かい吐息が顔にかかる。
食後に果物でも食べたのだろうか、甘く爽やかな香りが鼻の奥をくすぐる。
澪「ぷっ… はぁ」
澪ちゃんが完全に落ち着いたことを確認した僕は、唇を離した。
互いの唇はつややかな糸で繋がっており、呼吸が落ち着くと同時にそれは切れた。
唯「落ち着いた…?」
澪「グスッ・・・・ うん。」
唯「ほら、澪ちゃんの為にお菓子とお酒を買ってきたんだ、一緒に飲もう」
澪「…うん」
唯「お風呂…今日も一緒に入る?」
澪「…うん」
唯「ホントに?」
澪「わっ!なななな…今日はダメだ!唯の帰宅が遅かったから、今日は無し!」
唯「くすっ」
いつもは冷静なのに、真っ赤になって慌てふためく澪ちゃんのこういうところ…好きだなぁ。
こうして夜は更け、僕は日課を済ませ床についた。
…
澪「3人で飲む?」
唯「うん、りっちゃんから誘われてね、久しぶりに澪ちゃんの顔も見たいんだって」
澪「3人で飲むなんて久しぶりだな、楽しみにしておくよ」
唯「それじゃ、りっちゃんに連絡しておくね、いってきま~す!」
そういえば…僕と澪ちゃんが付き合い始めた頃は、よく3人で飲んでいたな。
飲んで、遊んで、あの頃は3人でいるのが当たり前だった。
いつから飲む機会が無くなったんだろ?
まぁ、飲み会で解るかもしれないから、今は考えないでいよう。
律「おーっす… あれ?」
律「…死んでる」
最終更新:2011年06月04日 21:10