で、新観ライブ

唯「ならまた明日~♪」

今年の新観ライブも何事も無く終わった、

これが俺達の演奏だぜ!

律「………ふぅ……」

私は、なんだか呆気にとられたような顔をしている梓を見て

笑ってしまった。

「……きゃー!律君がこっち見て笑ったわ!」

「なに言ってるの、私よ!」

………勘違いしてる奴もいるみたいだけど

梓「メイドさん……男だったんだ」

憂「(メイドさん…?)」


その放課後

梓「あのー……」

唯澪紬「ん?」

梓「入部希望なんですけど……」

唯「…………今なんと?」

梓「入部希望……」

やった……!

唯「わーい!」

律「確保ー!!」

梓「きゃーっ!」

梓「う、ううううう………」

紬「梓ちゃん?」

梓「こんなんじゃダメですー!!!」

で、梓は爆発した。

澪「うお、キレた」

梓「みなさんやる気が感じられないです!
音楽室を私物化するのもよくないと思います!ティーセットは全部撤去すべきです!」

沢「それだけは勘弁して!」

梓「なんで先生が言うんですかー!?」

まぁ、梓って真面目だからな……それをわかってて皆とお茶飲んでた

私も私だが。

律「まぁとにかくおちつ…」

梓「これが落ち着いていられますかー!!」

同じ過ちを二度繰り返してしまった!

唯「良い子良い子…」ナデナデ

梓「えへー……」

やれやれ……

律「よー、こんなとこで何してんだ?」

梓「あ、メイドさん……」

律「俺の黒歴史を思い出させないでくれ……」

梓「とっても素敵だったと思いますけど……」

律「やめてくれー!!」

梓「はぁ……」

律「で、なんでライブハウスの前で突っ立ってんの?」

梓「う、あ、それは……」

律「まさか外でバンド組もうとしてたわけじゃないよなー?」

梓「………」

律「ま、いいや。入ろうぜ」

梓「え!?あの、私……」

律「入らないの?」

梓「……ご一緒します」


人気のバンドなのか、ライブハウスの中は割と混雑していた

しかも客のほとんどが大盛り上がりだから、

移動のしにくい事この上ない。

梓「あ……ちょ、りつせんぱ……」

律「ほらほら、はぐれるぞ」グイッ

梓「あ………」

私はそのまま梓の手を取って引っ張った。

律「うわー……うめー……」

梓「………」

律「確かに、ウチより上手いよな……」

梓「………」

律「やっぱり、こういう風に、一生懸命やってるバンドの方が好きか?」

梓「それは……」

律「どうしてもわからなくなったら、部室に来いよ、待ってるからさ」

梓「…………」

律「じゃ!」

グイッ

律「お?」

梓「………」

私が帰ろうとしても、梓がその手を離すことはなかった。

その後再び部室に来た梓は、

どうして自分が新観ライブであんなに感動したのかわからなくなったと泣いた。

そんな梓を見た我が軽音部は、梓のためにもう一度演奏することにした。

それから、梓はもう一度一緒にやりたいと言ってくれたのは知ってるよな。

澪「さぁ、一緒にやろう、梓!」

梓「………はい!私、やっぱり先輩方と一緒に演奏したいです!」

ってな。

………でも、私にとっての問題はここからだったんだ

律「お、梓」

梓「律先輩……」

律「戻ってきてくれてよかったよ~、一時はどうなることかと………梓?」

どうしたんだろう……梓がこちらをじっと見つめている

梓「私……律先輩の事、尊敬します!」

律「え?」

梓「ドラムはすごく上手だし…皆の事よく見てるし……流石部長さんです!
やるときはやるんですねっ」

律「いや、まぁドラムについては大したことあるけどそれ以外は買いかぶりすぎじゃない?」

梓「悩んでる私に声をかけてくれました!」

律「(あれはホントに偶然……なのは言わない方がいいよな)」

梓「素晴らしいです~」

律「おいおい……」

律「暑すぎる」

梓「ふにゃああああ………」

これはセミがそろそろうるさすぎてもう慣れてきたかなーと、

そんな事を考えてしまうくらいにいつもどおりの、

クソ暑い放課後の事だ。

律「(クーラー付くのっていつだっけ?……三年か)

と、まだ見ぬクーラーに思いを馳せながら

今日も今日とて、ムギの茶を飲み、

練習、茶、練習の繰り返し……のはずだった。

唯「そーいえば澪ちゃん、今年も合宿するの?」

始まりは、唯のこの一言である

澪「ああ、そうだな……ムギ、今年もいいか?」

紬「ええ、今年は大きいところに行けるように頑張るわ~」

梓「唯せんぱい唯せんぱい、合宿やるんですか?」

唯「ムギちゃんちのおーーっきな別荘で、三泊四日のお泊りだよ~」

梓「わぁっ!凄いです!」

女だらけの合宿……私の脳裏には、去年の出来事が思い返される……

律「俺、帰る」

スッ、っと音も無く立ち上がり出口を目指し逃亡を図る私。

去年の(ある意味天国な)地獄の合宿の事を考えると、

そうしなければならない、そうせずにはいられない私のジャスティス

澪「律、またサボろうとしてるな?いくら上手だからって逃げるなんて許さないぞ?」

梓「そうです!私……先輩方との思い出、作りたいです!」

しかしまわりこまれてしまった!

しかも梓、そういう事言われるとちょっと決心が鈍るからやめろ

律「くっ……唯!今逃げるの手伝ってくれたら今度から俺の分のお菓子全部やる!」

唯「……!私は!りっちゃん隊長の奴隷であります!」ビシィッ

律「褒めて遣わすぞ!唯!」

唯「行くよ~、あずにゃん澪ちゃんムチュ~!!」

変態的な擬音を口で叫び、二人に突っ込んでいく唯隊員。

澪「うわっ」

梓「ちょっと唯先輩!」


これでまた一人……友がいなくなってしまった…っ

律「立派な……立派な最期であった……ッ!!」ダッ

熱き友情を胸に出口へと向かう

紬「逃がさない」

しかしまわ(ry

やはりお前が最大の障害か……ムギ!!

BGM~お好きにどうぞ~でお送りいたしますby律


律「ムギ……どいてくれ、聡子が……病気の聡子が俺を待っているんだ!早く薬さ届けねぇと!」

紬「りっちゃんに妹はいませんよね~。どうしてそんなに嫌がるの~?」

何……お前がそれを聞くのか、ムギ!

律「ムギ……お前は優しい奴だ。世間知らずのお嬢様だけど、身分の違う、平民の私達にも

分け隔てなく接してくれるその器の広さ……お前みたいな人間になりたいと何度思ったか……

しかし!その世間知らず故に去年の合宿で俺とお前がどんな目にあったか忘れたかっ!?」

唯「ほえ?」

澪「なにかあったっけ?」

梓「なんのことですか??」

律「お前達は知らなくていい!!知ってても、覚えてなくていい!!」

紬「忘れちゃった♪」

律「お前は覚えとかないと駄目だローが!!バーロー!!」

ムギはまるで催眠術をかけるかのように顔を近づけて、

耳元で囁く……やばい、催眠されそう。

紬「うふふ、大丈夫、もうあんな事はしないわ、

深夜に一人でゆーっくりお風呂に入ってもらっても大丈夫……。

それに唯ちゃんも、私達につけばお菓子食べ放題よ?」

唯「そうか……お菓子を持ってきているのはムギちゃん……いいえ、ムギ様……」

寝返りやがった!!

澪「さぁ、観念しろ……」

梓「一緒に行きましょう♪」

紬「痛くしないわ~」

唯「お菓子~」

そしてじりじりと距離を詰められる私。

……四面楚歌………

律「誰かっ……誰かおらぬか~っ!!!」

詰み。ポン


しかし、戦いは終わらない。

奥の手は見せるな、見せるなら更に奥の手を持て、だ!

私は梓と一緒に職員室へ来ていた、最終兵器を投入するためである。

律「さわちゃん!!一人か、ちょうどいい!!」グイッ

沢「な、何?りっちゃん……そんなに近くで見つめられると先生困っちゃうわ…

駄目よ、私と貴方は教え子と教師……」

律「確かにさわちゃんはそうなってもおかしくないくらいの人気者だけど今はっっっどーでもいいっ!!聞いてくれ」

沢「優しいのか優しくないのか良く分からない子ね……何?」

律「若い男と女だけで合宿したりしちゃ駄目だよね!?」

梓「ちゃんと節度を持ってお付き合いしますから!」

律「梓、話が違う」

梓「にゃんですと!」

漫才やってる場合か!さわちゃん、だめだと言ってくれ!

沢「まぁ、駄目ね」

梓「そんな……先輩方との思い出………」

いよっっしゃうああああああああ!!!この勢いなら言える、落ち込んでる梓も愛らしい!

沢「でも……私はそういうの結構応援しちゃうから、いいわよ」

梓「やったっ、大どんでん返しですよ律せんぱいっ」

律「はは……は……」

終わった、敗戦である。


後日、私は自分を慰める為に出かけていた。

なんだか妙に女の子の視線を集めている気がするが気にしない。

しばらくうろついていると、ファーストフード店で楽しそうに談笑している

梓と憂ちゃんを見つけた。なんだか探偵みたいで楽しいのでばれないように後ろの席に腰掛ける。

お前の罪を数えろ!……なんちゃって

憂「おねえちゃん、軽音部でどんな感じ?」

どうやら先輩についての話らしい……これは聞かねばなりますまいて。

私も結構変わったつもりだし、昔と評価は違うだろう。

梓「う、うーん……ちょっとあれかな?」

憂「なになに?」

梓「全然練習しないし……変なあだ名つけてくるし……やたらスキンシップしてくるし……」

憂「お姉ちゃんって、あったかくて気持ちいいよね~」

梓「いや、そういう話じゃなくて……」

全くだ。

梓「今日唯先輩はなにしてるの?」

憂「家にいるよ、お姉ちゃん暑いの苦手だから…冷房も嫌いだし…」

梓「だれてる姿が目に浮かぶ……」

……全くだ。

憂「最近は一日中ぐったりしてるよ~」

梓「だらしないわね~……」

………全くだ。

憂「でも、ごろごろしてるおねえちゃん可愛いよ~!」

全く……じゃない……

梓「私、澪先輩みたいなお姉ちゃんだったらほしいな……」

憂「澪さん、優しくてカッコいいもんね~……紬さんは?」

梓「ムギ先輩は……高級なティーセットとかお菓子持ってくるし、

実はすごいお金持ちなんだって、律先輩が言ってた。執事もいるんだって!?」

こないだあまりのお菓子の美味しさに疑問を抱いた梓に私がじきじきに教えてやったのだ。

憂「そ、それは凄いね……あ、じゃあ律さんは?律おにいちゃ~ん……って」

グハッ!

梓「律先輩か……う~ん。お兄ちゃん、律おにいちゃん……」

や、やめろ……もう……やべてぐで……

梓「やっぱり駄目、ありえない」

律「ないのかよ!?」

梓「うひゃあ!!」

憂「律さん!?」

しまった、思わず突っ込んでしまった……

律「というわけで、俺は自分を慰めるためにうろついていたのだっ」

憂「なるほど、それは災難でしたね」

律「俺の苦労を分かってくれるのは憂ちゃんだけだ!どう?軽音部に是非」

憂「魅力的ですけど……お姉ちゃんのご飯とかも作らなきゃいけないので……楽器も出来ないし……」

嘘付け

律「それは残念だ……ま、気が向いたらいつでも来てね」

憂「はいっ」

まぁ憂ちゃんのギターのセンスが明らかになるのは今年の学園祭直前だ、

それまで黙っていよう。

梓「………」

と、私が思っていると何故か梓も黙っていた。

テレパシー?

律「どした?梓」

憂「さっきからずっと黙ってるけど……」

私と憂ちゃんが声をかけると

梓「………なんか、律先輩と憂、仲良くないですか?」

などと言い、膨れていた。

律「そりゃあ、俺と憂いちゃんは始めてあった時からのゲーム友達だからな!」

憂「今のところ私は負け無しですけどね~っ」

律「あ、てめ……今に見てやがれ!」

憂「お隣のおばあちゃんが言っていた……私が最強だと!」

律「ぐぬぬ……!」

梓「もう!私を放置しないでください!」


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