アメリカ

大河「んじゃ、今日も派手にやるわよ!」

Free「Ok!」

Anthony「Let's!try」

大河「じゃあまず一曲目!」


―――

竜児「なぜかロックに目覚めて、今アメリカにいる」

北村「そりゃあ…たまげたな」


竜児「この前の日曜、帰ってきたと思ったら急に『私ギターに目覚めた』とか言ってな」

竜児「最初は冗談と思ったんだが、次の日マンションが空になってたのは驚いたぞ」

北村「逢坂がアメリカへ行ったってみんな知ってるのか?」

竜児「いや。なんでも『留学』じゃなくて大河は休学扱いになってるらしいが」

北村「休学じゃなかったのか…」

竜児「北村も狩野先輩を追っかけて『休学』するのか?」

北村「はっはっは。確かに悪くない」

竜児「(それにしても…)」

竜児「(平沢さん元気でやってるかな?)」


―――

梓「…」

純「ボケーッとしてどうしたの梓?」

梓「あ、ちょっとこの前街であった小さな女の子のこと思い出してて…」

純「あのフワフワした髪の子?すごかったよね、ギターの話したらドンドンのめり込んでって」

梓「でもそれで音楽が好きな人が増えたのはいいことだよ」

純「まだ中学生ぐらいかな?」


―――

竜児「いよいよ今日が桜高の学園祭だな」

春日「うはっ!女子の楽園キター!」

能登「とりあえずナンパだな!ナンパ!」

竜児「…お前らも来るのかよ」

北村「まぁ、大勢のが楽しいからな。心配するなお前と彼女の邪魔はさせん」

女子A「ようこそー!桜高学園祭へ!」

女子B「パンフレットどうぞ」

竜児「あ、ども」ギロ

女子B「ひっ!ごめんなさい!」ダッ

能登「あっ、ビビらせてどーすんだよ高須!」

竜児「い…いや。脅したつもりはなかったんだがな」

春日「たかっちゃんがいたらみんな逃げちゃうもんねー」

竜児「悪かったな」

能登「こりゃナンパん時は高須に目隠ししてもらうっしかないな」

竜児「…待てそんなことより」パラッ

竜児「講堂で、軽音部の演奏は…13時からか」

北村「遅れるなよ高須?」

竜児「分かってるよ」


―――

さわ子「みんなー!あと一時間とちょっとしたら出番よ!」バタン

純「うわ、緊張してきたなー…」

梓「最後の学園祭だからね。最後はビシッと締めよう」

憂「(…高須さん来てくれてるかな)」

憂「がんばらなきゃ」

純「よっし!じゃあ講堂いこっか!」

梓「おー!」

憂「おー!」

―――

竜児「そろそろだな…」ガタッ

春日「たかっちゃん、もう行っちゃうの?」

竜児「約束してたしな」

能登「んじゃ、俺たちはもうちょっとメイド喫茶を堪能してから行くよ」

北村「じゃあまた後でな、高須」

竜児「おう」

竜児「んー、講堂はこっちだったよな…」

唯「急がないとあずにゃん達のライブ始まっちゃうよ!」ダッダッ

律「お前がずっと焼きそば頬張ってるからだろ!」ダッダッ

ドンッ

竜児「どわっ!」

唯「あいたっ!」

澪「ちゃんと前見ないと。あの、大丈夫で…ひいいっ!」

竜児「ああ、大丈夫です」ギロ

竜児「あれ?平沢さん…?」

唯「へっ、私のこと知ってるの?」

紬「唯ちゃんのお知り合い?」

唯「ううん」

竜児「(ゆい…てことは)」

竜児「…あー、平沢さんのお姉さんでしょうか?」

律「憂ちゃんのことか」

唯「憂のこと知ってるの?!」

竜児「はい、お世話になってます…」チラ

竜児「…おっと。すいません、時間が無いんで挨拶はまた今度改めて」ダッ

唯「あっ!」

紬「…行っちゃったね。憂ちゃんのこと知ってたみたいだけど」

律「ひょっとしたら彼氏とかかもな」ウシシ

律「おい澪。いつまでビビってんだよ」

澪「殺さないで…殺さないで」ガタガタ


ステージ裏

ざわ…ざわ…

純「うわぉ、もう人が一杯だ」

梓「こういう時っていつも血が冷たくなるよね」

憂「…」スー ハー

純「憂は随分落ち着いてるね」

憂「うん。まだ本番はこれからだからね」



竜児「12時58分…まだ始まってないよな、セーフ」

ヴーッ

竜児「お…始まるのか」


梓「皆さんこんにちは。これから20分ほど演奏するので、聞いてください」

ワーッ!ワーッ!

憂「(高須さんどこかな…)」

竜児「ん、平沢さん誰かを探してるのか?」

梓「それじゃまず一曲目」スッ

バンッ!

唯「間に合ったー!」

律「セーフッッ!」シュビッ

澪「いや、もう始まってるからな」

梓「(あ、唯先輩達だ!)」ジャッ

ジャカジャカジャン♪

ジャカッジャカッジャーン♪

ワーワー!

紬「…みんなすごく上手くなってるね」

ジャカッジャカッジャーン♪

竜児「(おおスゴいな…ドンドン腹に響く)」

唯「うぃーす」

律「おぃーす」

竜児「え?ああ…どうも」

紬「ここの席にご一緒してもよろしいですか?」

竜児「いいっすよ。何故かオレの周りだけ席があいてるので」

ジャーンッ♪

ワーッ パチパチパチ!

唯「みんなすごいよ!」パチパチ

律「成長したなー、あいつら」パチパチ

紬「ええ」パチパチ

梓「皆さん、演奏を聞いて下さってありがとうございました!」

純「イェーイ、ウェイ!」

梓「じゃあ憂…最後バシッと締めてね」コソッ

憂「う…うん」

竜児「おっ」

唯「あ、ういだ!おーい」

律「しっ!今はまだ我慢しろ」グイ

唯「…ひょうはいしまひた(了解しました)」

憂「皆さん、今日はお忙しい中桜高学園祭に来ていただき感謝の気持ちで一杯です」

憂「私達の代はこれでもう終わりですが、菫ちゃん達が来年にはもっとスゴい演奏をしてくれます」

菫「ちょ…もう勘弁してくださいよ…」

憂「音楽が好きな人がいる限り、けいおん部はずっと続いていくと思います」

憂「みなさん、今日は本当にありがとうございました!」

パチパチパチパチパチパチ!

律「憂ちゃんやっぱすげーな」
唯「えっへん」

竜児「(なぜあんたが威張る)」

梓「それじゃあ、ステージ裏に戻…」

憂「あと、これは直接ライブと関係ないんですが…」

憂「この場を借りてしか言えない、弱虫の私を許してください…」

梓「えと、最後のMCの後にMCって打ち合わせにあったっけ?」

純「…憂のアドリブ?」

憂「今、この講堂にいると信じて言わせてもらいます」

唯「うい…?」

憂「高須竜児さん、私はあなたが好きです!大好きです!」

竜児「」ポカーン

梓「…えっ?えっ!?」

純「今のって…告白だよね」

菫「えええ…なにもこんな大勢の前で」

律「うおお!意外に大胆だな憂ちゃんって」

唯「#◇→⇔‰ΑヶΤ」

憂「もし返事が貰えなら、ステージまで上がってきてもらえないでしょうか!」

オイタカスー! デテコイヤー!
ハヤクイッテヤレー! ターカース!ターカース!

竜児「(おいおいおい!何かってに盛り上がってんだよ!いきなり過ぎて何が何だが)」

北村「みんな!高須はコイツだぞ!」バッ

竜児「北村っ!?」

「ほら高須!はよ行けー!」

「女の子待たせるのはいけないのよー!」

澪「そ、そうだ…そうだ!」

北村「俺でもできたんだ。お前にもきっとできる!」

竜児「一緒にするな」スッ

憂「…」ペコリ

竜児「…えーと」

菫「マイクどうぞ」ササッ

竜児「あ、どうも」

竜児「さっきのお気持ち嬉しいです」


澪「…」ハラハラ

唯「」ポケー


竜児「…正直言ってもいいっすか?」

憂「はい」

竜児「きっと後悔しますよ?」

憂「しないです」

竜児「オレこんな顔つきだし…あなたにも迷惑かけますよ?」

憂「私は竜児さんの全てをひっくるめて好きなんです」

竜児「…えーと…じゃあ…」

竜児「…もう言い訳ネタが切れました」

竜児「こんな顔面凶器でよれしければ、よろこんで」

憂「…へっ」

竜児「オレでよければ喜んでっ!!(もう恥もクソも知らん)」

梓「(言っちゃった―!)」

北村「よく言ったぞ、高須!」パチパチ

律「やるねー兄ちゃん!」パチパチパチ

澪「いいなぁ…」パチパチパチ

紬「うん、いいね」パチパチパチ

憂「ほ…ほんとにいいんですか?」

竜児「…言っちまうと、会ったときからずっと気になってはいたし」

竜児「良妻賢母の平沢さんにはオレなんか不釣り合いなぐらいですよ」

憂「…すいません、涙で視界がよく見えないや」グスッ

北村「彼女さんのこと大事にするんだぞ高須!」

春田「たかっちゃん裏切ったのか!」

能登「ちくしょーっ!」

ワーッワーッ!ヒューヒュー!

竜児「と、とりあえずここから出ましょう」グイ

憂「うん」タッ

春田「あーっ、たかっちゃんが逃げる!」

能登「追うぞ春田!」

北村「ストップだ春田、能登」ガスッ

春田「ぶげしっ!」

能登「ほげっ!」

北村「人の門出を邪魔するのは邪見だぞ」

ワー!ワー!

梓「行っちゃったね、憂」

純「まっさか憂に先を越されるとは想定外だったよ」

菫「純先輩は…いやなんでもないです」

純「気になるから最後まで言ってよ!」

梓「…おめでとう、憂」


竜児「…ここまで来れば」ゼーッゼーッ

憂「私…まだ夢見てるみたいです」

憂「夢ならこのまま覚めないでほしいな」

竜児「夢じゃないですよ…夢ならこんなに息継ぎが苦しいわけがない」

憂「じゃあ…高須さんが夢じゃないってこと、証明してください」

竜児「えー、つまり…?」

憂「…こう、かな」スッ

竜児「…」ゴクリ

竜児「(目を閉じるってことは…やっぱり)」

憂「…」

竜児「(…やるか)」

竜児「動かないでくださいよ?」

憂「うん」

――


――

律「おお、二人共帰ってきたか」

北村「高須。見事だったぞお前の告白」

律「…ところで、何で二人して顔が真っ赤なんだ?」

竜児「え、いやそんなことはないぞ!」

憂「そ、そうですよ律さん!」

紬「りっちゃん、そういう事は聞いちゃダメよ」

律「そーなのか?」

澪「はふ」プシュー

ポンッ

竜児「ん?」

唯「義弟よ…」

竜児「…ど、どうもお姉さん」

唯「憂のこと、よろしくたのむよっ!」

唯「泣かせたりしたら返してもらうからね!」

憂「もう、お姉ちゃんったら…でもありがとう」

竜児「分かりました。任せてください」

唯「よろしい」フン

唯「それじゃあ私は帰るけど…二人とも幸せにねっ!」

竜児「…いいお姉さんですね」
憂「私の自慢のお姉ちゃんです」

――

唯「ふぇぇーん!あずにゃーん!」

梓「憂を取られたからって泣かないでください。いつかはたどる道だったんですから」

純「あーあ…こりゃ落ち着かせるまでが長いね」

菫「なんのことやら」

律「あたしらも帰るか。ほら、澪、ムギも」

澪「…ああ。流石に疲れた」

紬「また会いましょう、竜児くん、憂ちゃん」

竜児「どうも」ペコリ

憂「また遊びにきてくだいね」

律「頑張れよー、幸せ者!できれば憂ちゃんたまにくれ」

竜児「それは無理です」

北村「それじゃ、俺達も先に帰っておくぞ」

竜児「おう。ありがとな北村」

北村「気にするな。悩み事があったらいつでも俺に相談しろ」

竜児「…できる限りな」

春田「ちぇーっ、結局今日の収穫はメイドカフェのお茶だけかー」

能登「まあ見るだけでも、価値あったな」

竜児「…俺達も帰りましょうか」

憂「うん。帰ろうか」

竜児「あー、あと…」

竜児「そ、その…手を繋ぎませんか?うい、さん」

憂「…いいですよ」ギュッ

竜児「あっ」

憂「えへへ…絶対に離さないでくださいね、竜児くん」


fin