憂「何か辛いことでもあったんですか?」

竜児「ちょっとグッ、ときちまいました」

憂「ぐ?」

竜児「今思えばオレって…生まれてからロクなことなかったんですよ」

竜児「小さな頃から人相のせいで避けられて、泰子にも迷惑かけちまって


竜児「人に優しくされたことなんてほとんどなかったんで…」

憂「私が高須くんならきっとおかしくなってたかな…昔からみんな仲良し

家族だったから」

竜児「…」

憂「お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、隣のとみお婆ちゃんも、とって

も優しかった」

竜児「…昔のオレなら妬むほど羨ましいですよ」

憂「でも今は二人共ほとんど留守にしてるし、お姉ちゃんは大学に行っち

ゃいましたけどね」

憂「だから時々昔を思いだして泣いちゃうこともあるんですよ?」

竜児「親御さんは、どうしてそんなに子供を置いて留守にするんですか?


竜児「いくら両親が仲良しだからって子供を一人置いてくのは…」

憂「帰ってきても、直ぐにお父さんとお母さん仕事に行っちゃうんです」

憂「たまにご飯食べるぐらいの時間はありますけどね…」

竜児「オレ、やっぱりお邪魔していいですか?」

竜児「(そんな話し聞かされたら…なぁ)」

憂「えっ?でも高須さんのお母さんと大河ちゃんは…」

竜児「あ、ちょっと待っててください」

ピッピッピッ prrrr

大河『なに、犬?』

竜児「大河。確かオレの家の冷蔵庫にまだラップした飯があっただろ?」

大河『あるんじゃないの?』

竜児「悪いけど今日は遅くなるから、泰子とそれチンして食ってくれねー

か?」

大河『ハァァァァァァ!?』

竜児「」キーン

大河『…まあ、ご飯あるんならいいけど』ブツッ

ツー ツー

竜児「いいんならわざわざ大声出すなよ…」キーン

憂「(今すごい声がしましたけど、大河ちゃんかな))?」

竜児「とりあえず大河と泰子のことは解決しましたんで」

憂「大河ちゃんと泰子さん、本当に大丈夫ですか?」

竜児「…多分大丈夫です」


平沢家

憂「ここです」

竜児「うおぅ…大きな家で」

憂「ちょっと散らかっちゃってますが、どうぞ」

竜児「お、お邪魔します」

憂「すぐに作るので、居間でゆっくりかけていてください」

竜児「(オレが掃除したくならないってことは…掃除もマメにしてるんだ

な)」

憂「エプロンエプロン…っと」

竜児「何かオレに手伝うことは?」

憂「そうですね…それじゃあ、そのままゆっくりしていてください」

竜児「…分かりました(ようするに手出しするなってことか)」

憂「ふんふん~♪」トントン

憂「よいしょっと」グツグツ

竜児「(それにしても料理をする美人というの絵になるな)」

竜児「大河と泰子も料理さえできればなぁ…今更だ」

憂「もうすぐできますよー」



梓「ねぇ、純…」

純「うん」

梓「さっき憂、怖い人家の中に連れて行ったよね?」

純「だよね!?」

梓「知り合いならいいけど…何か心配だなぁ」

純「…あ、何かいい匂いしてきた」



憂「できましたー」

竜児「あ、じゃあ運ぶのぐらいは流石に手伝わせてください」

憂「すいません、お願いします」

竜児「1、2、3、4…etc。えーと、この料理マジで全部一人で作ったんです

か?」

憂「男の人には、やっぱり足りないですか?」

竜児「いや…もう十分です」

憂・竜児「いただきます」

竜児「それじゃまず、この春巻きからいただきますね」

憂「どうぞ」

竜児「むぐっ」パクパク

竜児「…!(何だこりゃ!ただの春巻じゃねぇ!)」カッ

憂「隠し味にワイン使ったんですけど、お口に合いませんでしたか?」

竜児「やば美味い」

竜児「レストランに引けを取らないですよ、コレ」

憂「よかったぁ…おいしくなかったらどうしようかと」

竜児「このエジプトみたいな料理も、中華も」モグモグ

竜児「全部マジでうまいっす」

憂「あはは。流石にそれは褒めすぎだよ」

竜児「今日は、ご馳走様でした」ペコリ

憂「いえ、こちらこそ」ペコリ

竜児「次はオレが今日のお返しするんで、ぜひまた来てくださいね」

憂「気にしないでください、この前ご馳走になった分を私がお返ししたか

っただけですから」

竜児「はは。ま、そう言わず」

憂「それなら…」

竜児「?」

憂「今度の日曜日、二人でどこかに出かけませんか?」

竜児「」

憂「な…なーんて」

竜児「平沢さんさえよければ…オレは大丈夫っす」


純「あっ、怖い人が帰っていくよ」

梓「もう帰ろうよ純。さっきの匂いかいだら私お腹ペコペコだよ」

純「そうだね…何かあの人がニヤニヤしてるのが気になるけど、帰ろっか



――――

竜児「…」ニヤニヤ

竜児「クッ…ククッ」ニヤニヤ

亜美「高須くん怖っ…」

北村「あの顔で笑ってるってことは、何か良いことあったってことだな」

実乃梨「どういうことだい、北村くん?」

大河「ハッ」


―――

唯『でねー、晶ちゃんとかいっぱい新しい友達もできたんだよー!』

憂「そうなんだ。よかったねお姉ちゃん」

唯『憂も残り一年間の高校生活、悔いのないようにしてね』

憂「うん」

唯『休みができたら帰ってくるよー、それじゃあね』ブツッ

憂「…私が卒業しちゃったら、高須さんに会う時間も減っちゃうだろうな

ぁ」

竜児「日曜日、10時に森林公園でお願いします…と」ピッ

大河「へー、もうメルアド交換してたんだ」

竜児「おう。やっぱり色々連絡取れあえる方が楽だからな」

大河「ふーん…まぁ私には関係ないわね」

大河「(つけるか)」

竜児「(早く明日にならねーかな)」


日曜日

竜児「流石に一時間前に来てれば、いつ憂さんが来ても大丈夫だな」タッ

憂「あ、こんにちは高須さん」

竜児「」

竜児「はい。こんにちは(なぜもういる…)」

憂「待たちゃいけないと思って、ちょっと前に来たんですが丁度良かった

みたいですね」

憂「えっと…まずどこに行きます?」

竜児「一度そこの喫茶店でゆっくりしつつ、街のお店をどう回るか決めま

せんか?」

憂「はい。そうしましょうか」

竜児「(とりあえず、櫛枝の時に身につけたエスコートが役に立つかどう

かだな)」


喫茶店

店員「ご注文はお決まりでしょうかー」

竜児「オレはブラックで」

憂「じゃあ私はエスプレッソでお願いします」

店員「かしこまりました(よくこんなモン飲めるな)」


竜児「それじゃ、スポッチャ行った後に映画行って、夜にご飯食べるって流れで」

憂「楽しみですね」

竜児「でも、驚きましたよ。平沢さんがスポッチャの1時間無料券を持ってたのは」

憂「お姉ちゃんのお友達から貰った券だったんですが、中々使う機会がなかったので」

竜児「でも行ける所が増えたのはいいことですよ」


野球

憂「えいっ!」カキーン

ホームラン!

竜児「うおう…すげぇ」

憂「高須さんも、どうぞ」スッ

竜児「あ、はい…」パシッ


竜児「ぬんっ!」スカッ

ストラーイク!


バスケット

憂「ここはコート的に1on1ですね」

竜児「1on1…?」

憂「簡単に言うと1VS1ってことですね」

竜児「いや…流石に女の子相手にマンツーマンは」

憂「むっ、私こう見えても運動は得意なんですよ?」ダンダン

竜児「うまっ」



竜児「いや…改めて感服しました」

憂「えへへ。恐れいります」

竜児「(平沢さんが野球やってたら、櫛枝の対抗馬になってただろうな)」

竜児「身体疲れてませんか?」

憂「はい、大丈夫ですよ」


シネマ

憂「色々な映画がありますね。どれにします?」

竜児「(こういう時は確か『男がリードする』だったよな)」

竜児「じゃあこれにしませんか?その…カップルにオススメってやつで」

憂「カップル…いいですね。それにしましょう」

竜児「ふー(引かれないかと思ったが大丈夫そうだな)」


男『~~!』

女『~~!』


竜児「」

憂「はわわ…」ドキドキ

竜児「(自分で選んでおきながらなんつー映画だ…終始ずっとラブシーンじゃねーかよ)」

憂「うわわっ…そんな!」

憂「すごい映画でしたね…」

竜児「そ、そうですね」

竜児「(とりあえず話題を変えよう)」

竜児「暗くなってきましたし、飯食べに行きます?」

憂「じゃあ…あの」

竜児「はい?」

憂「高須さんの家でご飯が食べたいです。大河ちゃんと泰子さんも一緒に」

憂「やっぱり外で食べるより、好きな人と一緒に作るご飯が一番美味しいです」

竜児「…はい、そうしましょうか」

竜児「(あの女王様もお怒りで待ってるだろうしなー)」

憂「…」

竜児「それじゃあ、行きましょうか」

竜児「ただいまー」

憂「お邪魔します」

泰子「竜ちゃーん、今日街かどこかで大河ちゃん見なかった?」

竜児「いや…何で?」

泰子「昼に一緒にご飯食べようとしたんだけど、どこかに出かけてたみたいで」

竜児「櫛枝と遊んでるんじゃないのか?」



大河「…竜児と憂さん見失っちゃった」

大河「というより何で私があの二人を尾行しなきゃならなかったんだろ?」


梓「ねー、もう帰ろうよ純」

純「だってあのお姉ちゃんベッタリの憂に彼氏だよ!?」

梓「もう見失っちゃったじゃん」

大河「ん?」

梓「ん?」

純「ん?」


憂「大河ちゃん大丈夫かな…」

竜児「ま、大丈夫だろ。大河なら」

泰子「そぉ?ならいいけどね」

泰子「それと、やっちゃん今からお仕事に行ってくるね」

竜児「もう行くのか?」

泰子「今日は部長さんと夜ご飯食べてくるの。だからちょっと早めに行かなきゃ」

泰子「それじゃ、二人ともお盛んなのはほどほどにねん」

竜児「アホかっ!早く行け!」

泰子「じゃあまたね、憂ちゃん」

憂「はい、次はご一緒に」

泰子「うん。期待してるよー」

バタン

憂「…二人になってしまいましたね」

竜児「そ…そうですね。とりあえず夕食作りますね」

憂「二人、で作ろう」

竜児「…はい」

竜児「…」グツグツ

憂「あの」トントン

竜児「はい?」

憂「今度ある、桜が丘高校の学園祭来ていただけませんか?」

竜児「学園祭ですか?いいですよ」

憂「学園祭でバンド演奏をするので、高須さんにも聞いてもらいたくて」

竜児「そういえば言ってましたね、軽音部って」

竜児「そんじゃ絶対に見に行くって約束します」

憂「絶対に来てくださいね」ニコ

竜児「(その笑顔見せられてイヤって言う方が無理だろ)」

竜児「あ、そろそろ出来てきましたよ」

――

憂「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです」

竜児「よろしければ送っていきますよ?」

憂「あ、いえ。すぐに着く距離なので」

竜児「分かりました。じゃあ、また」

憂「また今度」


――

竜児「てなワケで今度、桜高の学園祭に行くことにしたんだ」

春田「桜高ってあの女子校のだよね!ねぇ、ねぇ!たかっちゃん!」

櫛枝「おおっ、彼女とは隅におけないねぇ高須くん」

能登「つーか高須。前に可愛い女の子連れて歩いてたよなお前?あの眼光は間違いない」

木原「え…マジ?」

香椎「あら、意外ねぇ」

♪~♪

竜児「おっ。メールか」カチッ

能登「見せろ高須っ!」ガバッ
木原「私にも!」

竜児「おいおい、がっつかないでくれ!」

能登「『これから学園祭まで練習が続きます。なのでしばらくは会えませんが、時間ができたら連絡します』」

亜美「なに高須くん?ラブラブってやつぅ?」

竜児「そんなんじゃねーよ!」

――

憂「高須さん、メール見てくれたかな?」

純「ういー、梓が練習始めるよってさー」

憂「はーい!今行くね!」タッ


―――

竜児「桜高学園祭まであと数日か…」

北村「何だ高須。そんなに彼女のことが気になるのか」

竜児「彼女じゃない。それにお前も早く新しい恋でもしたらどうだ」

北村「ははっ、言うな高須」

竜児「あの時のお前はマジで見てられなかったからな」

北村「そういえば最近、逢坂を見ないな?」

竜児「ああ…大河はな」


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