竜児「しかもなかなか可愛い」

大河「あっそ」

竜児「両親は家を留守にすることが多く、姉さんも大学に行って一人暮ら

しだそうだ」

大河「何でそんなこと知ってんのよ…キモッ」

大河「なにあんた。みのりんに申し訳ないと思わないの?」

竜児「なんつーか櫛枝とは別の…こう、朗らかな好意っていうか」

大河「あんたがストーカーして捕まるのはいいけど、私には迷惑かけない

でね」

竜児「いやストーカーじゃなくてだな」

大河「じゃあ私みのりんと帰るから。ばいばい」

竜児「ちょっ、待ってくれ!まだ話は終わってないんだ」

竜児「…帰りやがった」

竜児「(何だよ大河のヤツ…ちょっとぐらい話し聞いてくれたっていいじ

ゃねーか)」


スーパー

竜児「こっちが卵10個入りが100円で…コッチが10個入り110円か」

竜児「コッチのが賞味期限長いが10円プラスは痛いな」

憂「あ、それならあっちに100円で賞味期限長い卵ありましたよ」

竜児「うおわっ!」

竜児「あ、ああ…平沢さん。どうもこんにちは」

憂「すいません、驚かせちゃいましたか?」

竜児「いやいや。それよりあっちの卵のがいいんですか?」

憂「私はいつもあっちのコーナーにある卵を買ってますよ」

竜児「へぇ…じゃあオレも今日からあっちの卵買おうかな」


帰り道

憂「高須さんはどこの高校に通ってますか?」

竜児「高校?」

憂「はい。いつも学生服でお買い物に来てるからちょっと気になって」

竜児「近所にある大橋高校ってトコですよ。今2年です」

竜児「じゃあ、平沢さんはドコに?」

憂「私は桜が丘高校って所に通ってます」

竜児「ああ、確か女子校の?」

憂「一応、今年から3年生なんです」

竜児「(ってことは…年上!?)」

竜児「…えーっと、平沢さんいつも自分で料理とかつくるんですか?」

憂「えっ?」

竜児「この前家で一人でいることが多いって聞いたモンで」

憂「はい。料理は自分で作ることが殆どですよ」

竜児「あ、オレも家でみんなの料理作ったりしてるんですよ」

竜児「ウチの母さんは全く料理できないし、親父はいませんからね」ハハ

憂「そ、そうなんですか?(…お父さん居ないんだ)」

竜児「しかも隣に友達がいるんですけどソイツも家事とか全くダメなクセ

に一人暮らしで」

竜児「だからソイツの分も含めていつもオレが作るしか無い、ってな感じ

なんです」

憂「あはは、私のお姉ちゃんも全然家事がダメなんですよ」

竜児「お姉さんなのに?」

憂「きっとお姉ちゃんだからです。だから私がしっかりしなきゃダメだっ

て思ってました」

憂「でも、大学に行っちゃった今じゃそんな心配はもうしなくていいんで

すけどね…」

竜児「…えと、いつも一人でご飯食べてるんですか?」

憂「たまにお母さんとお父さんが帰ってきて、一緒に食べますよ」

竜児「たまにと言うと?」

憂「1ヶ月に一回ぐらいです」

竜児「(おいおい…なにやってんだよ親御さん)」

竜児「…んーと」

憂「?」

竜児「良かったらでいいんですが…今日ご一緒に飯いかがっすか?」

憂「えっ?」

竜児「やっぱり一人で食べるよりみんなで食べる飯の方が美味しいから…


竜児「ああ、無理にとは」

憂「…ご迷惑じゃないですか?」

竜児「大丈夫ですよ。一人や二人増えてもなんのその」

竜児「オレの友達とかいつも勝手に飯だけ食い逃げにきてますし」

憂「あはは。…分かりました、ご迷惑じゃなければご一緒に」

竜児「つーワケで平沢さんも一緒に飯を食べることになった」

泰子「あら、いらっしゃーい」

大河「」

憂「すいません、今日一日だけ食事をご一緒にさせていただきます」ペコリ

大河「ちょっと竜児」

竜児「何だ大河」コソッ

大河「おんどれは何フツーに女連れ込んどんじゃ!」ガスッ

竜児「べふっ!」

憂「!?」

憂「だ、大丈夫ですか?」タッ

竜児「ててっ…だいじょぶです。いつもの事っすから」

憂「もう、めっですよ!」

大河「め?」

憂「人をいきなり殴ったりしちゃダメです」

大河「…ふん」プイッ

竜児「ああ、すいません。コイツこういうヤツなんで」

泰子「まぁまぁみんな。ここは竜ちゃんのご飯食べて落ち着こうよ」

竜児「そうだな。じゃあ今すぐ作るから『静か』に待ってろよ大河」

大河「わかってる」

憂「お料理作るんでしたら、私も手伝いますよ」

竜児「あ、え?いやいや大丈夫ですよ手慣れてますんで」

憂「一人より二人の方が手間も省けて、早く作れますよ」

竜児「…それもそうですね。じゃあ協力して作りますか」

泰子「へー、彼女さんもお料理できるんだ」

大河「竜児の足を引っ張って遅くしないでね」

憂「よいしょ」トントン

竜児「サラダ油は少なめに、と」ジャー

憂「一通り野菜切れたんでここに置いときますね」

竜児「はーい」

泰子「すっごい。二人とも手際良いね」

大河「」

竜児「おし、完成だっ」

泰子「んー…いい匂い」

憂「ちょっと味付け失敗しちゃったかもしれませんが…」

大河「この唐揚げ、一つ貰うわ」ヒョイッ

竜児「コラ大河!摘み食いは禁止だ!」

大河「…」パクッ

大河「…おいしい!」

憂「えへへ、よかった」

竜児「その唐揚げは平沢さんが揚げてくれたんだぞ」

大河「…悔しいけどおいしい」

竜児「じゃあ手を合わせて…」

泰子「いただきまぁーす!」

憂「いただきます」

大河「いひゃひゃきまひゅ」パクッパクッ

竜児「もう食ってんじゃねぇか…」

憂「あはは…」

泰子「おぃしぃーっ!」

大河「んむんむ」ガッガッ

竜児「平沢さんの揚げた天麩羅すごいおいしいですね」

憂「そんな、高須さんのパスタもすごいおいしいですよ」

大河「あーおいしいおいしい」ガッガッガッガッ

泰子「ごちそうさま、二人ともとってもおいしかったよー」

憂「ありがとうございます」

竜児「おう。じゃあ食器洗いはやっときますんで、後はごゆっくり」

憂「食器洗いなら、私も…」

竜児「流石にこれはオレがやりますよ。お客さんに作ってもらって皿洗い

までさせるわけにはいかないんで」

竜児「だから皿洗いはオレに任せてもらえませんか?」

憂「…分かりました。じゃあお言葉に甘えて」


大河「…」

憂「(よく見ると大河ちゃんってちっちゃくて可愛いな)」

憂「(梓ちゃんとはちょっと違ったタイプかな)」

大河「なに?ジーッと見てきて」

憂「あ、ごめんなさい。可愛いなって思って」

大河「あっそ」

憂「(ちょっと付き合いづらい子なのかな?)」

泰子「竜ちゃーん!大河ちゃーん!彼女さんも、やっちゃんお仕事に行っ

てくるねー」

竜児「ああ、朝飯は作っとくからな」ジャー

大河「行ってらっしゃい」

憂「す、すごい(格好が)」

泰子「彼女さん、今日は泊まってってもいいよん?」

竜児「」ガシャーンッ

憂「それは…ちょっと」

大河「ダメダメっ!ダメ!」

竜児「待て、何でお前が決めるんだよ!」

大河「じゃあなに?あんたはこの人に泊まってってほしいの?」

竜児「おうっ!…じゃなくてだな」

大河「あんた一体なに考えてんのよ、この変態!」

竜児「誰が変態だよ!(まぁ確かに平沢さんと付き合う妄想はしたことあ

るが)」

憂「あ…あの」オロオロ

大河「なに?!」

憂「私、今日はここで失礼させていただきますね」

竜児「え?まだゆっくりしてても大丈夫ですよ?」

憂「あんまり遅くなるとご迷惑かかっちゃいますから」

竜児「そ…そうですか」

憂「今度はうちに食べに来てくださいね」

竜児「はい。喜んで!」

大河「チッ」

憂「…?」


帰り道

憂「え、と」

憂「確か道はこっちで…」

憂「私もしかして…迷っちゃったのかな?」アタフタ

北村「何かお困りかい?」ポン

憂「え…?あ…あの桜が丘って左の道で大丈夫ですよね?」

北村「そうだな。左だ!」

憂「は、はい。どうもありがとうございました」ペコッ

憂「(すごくシャキシャキとした人だった)」


――――

竜児「あれから一週間たったワケだが…最近スーパーに行っても平沢さん

に会えない」

実乃梨「そんな時こそリポビタンAだよ高須くん!」ドンッ

亜美「マジそんな暗いオーラだされても迷惑なんですけど」

北村「ん?なんだ高須、恋の相談ならこの俺に」

竜児「やめてくれ!縁起でもねぇ!」


――――

憂「えーと、調味料を半分」カリカリ

純「うーい!」

梓「おはよう、憂」

憂「おはよう純ちゃん、梓ちゃん」

純「ん?何かいてるのそれ?」
梓「砂糖大さじ2杯…塩」

憂「あっ、見ちゃダメだよ!」

梓「これ何かのレシピ?」

憂「うん、一応」

梓「唯先輩達に何か作ってあげるの?」

憂「あ、これはお姉ちゃん達にじゃないんだ」

純「ははーん、さては彼氏に料理でも作ってあげる気かな?」

憂「そん…そんなんじゃないよ!」ガタッ

梓「(…まさか。いやないか…憂だもんね)」


放課後

憂「(この前ご馳走になったから、今度は私がご馳走したいけど)」

憂「最近部活が忙しくて高須さんに会えてないな…」

純「高須さん?」

憂「うわっ!」

純「もー、うわっ!はひどいよ」

憂「ご、ごめん…」

憂「あの、純ちゃん」

純「ん?なに?」

憂「今日は梓ちゃんに部活休むって伝えてくれないかな?」

純「いいけど、どうして?」

憂「ちょっと用事があって…」

純「うぃーす、りょーかい」

純「…ってことらしいよ」

梓「なるほど。じゃあ今から練習」

純「これはやっぱり尾行するしかないでしょ」

梓「へっ?いや…やめといたほうがいいよ」

純「だって今日の憂、何かおかしかったしさ…放課後も急いでたし、何し

てるか気にならない?」


スーパー

憂「(この時間帯になら高須さんもいると思うんだけど…)」

憂「(今日は来ないってことも…)」

竜児「さて」

憂「…あっ」

竜児「えーと、昨日が焼き豚だっから…今日はキムチだな」

憂「高須さん!」

竜児「え?…あっ、平沢さん?!」

憂「はい、お久しぶりですね」

竜児「あ、あぁ。そうですね…最近この時間に平沢さん見なかったから」

憂「ちょっと部活が忙しくて、いつも帰るのが遅くなってたんです」

竜児「部活?(料理部とか裁縫部とかか?)」

憂「軽音楽部…って分かりますか?」

竜児「軽音楽って言ったらフルートとかの…」

憂「それは吹奏楽部ですね。軽音楽はギターとかキーボードをする部活な

んです」

竜児「…マジ?」

憂「はい」

竜児「(似合わねぇ…というかイメージが違う)」

憂「あの、それで今日は高須さんにお話しがあって」

竜児「なんですか?」

憂「よろしければ、今日家にご飯を食べにきませんか?」

竜児「へ」

憂「この前ご馳走になったから、何かお返しできないかなと思って」

竜児「(確か平沢さんって今一人暮らしなんだよな…)」

竜児「(っ…おっと)」

竜児「せっかくのお誘いですが、すいません。家で泰子と大河が待ってる

んで…」

憂「あっ…そ、そうでしたね。ごめんなさい」ペコリ

竜児「いやいやこちらこそ。すいません」ペコリ

バサッ

竜児「…ん?鞄から何か落ちましたよ」ヒョイッ

憂「あっ、すいませ…!」

竜児「(メモ帳?)」

竜児「レモン少量…ソースカップの半分?これ何かのレシピですか?」

竜児「このレシピの材料って今、平沢さんの買い物カゴに入ってるもので

すか?」

憂「見られちゃいましたか…」

竜児「見られ?」

憂「内緒でちょっと変わったご飯を作って、高須さんを驚かせようとした

んですが…」

憂「あ、でももう見られても大丈夫です」

竜児「(隠すんならメモ帳の表面に書いておくのもどうかと思うけど…い

やそんなことより)」

竜児「…(くそ、涙が)」

憂「た、高須さん!?」

竜児「(今まで人に尽くしてきただったが…尽くされるってのはいいモン

だ)」ゴシゴシ

竜児「すいません…こういうのって泰子以来で、つい」

憂「大丈夫ですよ。ほら、涙ふいてください」フキフキ

竜児「すいません…」

憂「一度外に出ませんか?」

竜児「そうですね…」


2