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……んっ

太陽の光が眩しくて目が覚める

それに…揺れてて寝心地があまりよろしくない

なんだろう…砂利の擦れる音が聞こえる

ボーっとしながら目を開ける

景色が動いているところを見ると

私はどうやらリアカーか何かで運ばれているらしい

敷布団は茶色で硬くてソレがすぐにダンボールだとわかった

……え?

逆に自分の置かれている状況がわからなくなる

なんで私運ばれてるの?



  「あーっ!あずにゃん気がついた!?」

梓「はい……え、唯先輩?」

唯「よかった~あずにゃん全然起きないんだもん」

梓「全然って、どのくらい寝てたんですか?」

唯「う~ん…一週間かなあ…?」

梓「……え?」

一週間?どうして一週間も…

梓「と、とりあえず止めてください」

唯「うん」

唯先輩がリアカーを止める。

私は起き上がろうとしたが

梓「い゛たっ!?」

背中が痛くて起き上がれなかった。

唯「あずにゃんもうちょっと寝てたほうがよ。結構ひどい怪我だったんだよ?」

梓「怪我?…………あ」

思い出した。確か唯先輩の家が崩れてそれで…

梓「生きてる…」

唯「そうだね~あずにゃんが死ななくてほんとに良かったよ」

梓「そうじゃなくて!どうして先輩がまだ生きてるんですか!?」

唯「えぇ~私!?ひどいよあずにゃん!死んでて当たり前みたいな…」

梓「だって!あれから一週間も経ったのに…唯先輩体調悪かったんですよね!?」

唯「あ…もう治ったよ」

梓「え…?」

治ったって…もしかして…

梓「もしかしてあの樹は切られてなくなったんですか?」

唯「ううん。あの樹はまだあるよ」

じゃあ…やっぱり…

梓「…食べたんですか?」

唯「…………うん」

梓「どうして!?私説明しましたよね?もしかしてちゃんと聞いてなかったんですか!?」

思わず怒鳴ってしまう。

唯「聞いてたよ。だから食べたんだよ」

梓「そんな……」

唯「あの地震の時ね、私死にそうになっちゃって…でもちょうどあの実が手に届く所に
  落ちてたんだ。それで…」

梓「だって…あの実は他の生き物から生気を吸って…だから街もこんなにめちゃくちゃに
  なったんですよ?だから…私は…」

唯「死のうと思った?」

梓「!?」

唯「そうだよね…私も…何度も死のうかと思ったよ。他の人たちが死んでるのに
  その原因で生きてるなんて…」

梓「じゃあ、なんで…」

唯「あの時は死にたくないーって思いと、
  私が死んだらあずにゃんが一人になっちゃうと思って食べたんだ」

梓「……後悔してませんか?」

唯「それは……でも食べちゃったからにはこの命はムダに出来ないと思って。
  憂やみんなの命で生かされてるんだから」

梓「…強いんですね」

思ったことを口にしてみた。
憂を死なせた原因でもある私のためにって…
唯先輩はこんなときでも唯先輩だった。

唯「そんなことないよ…いっぱい泣いたし」

梓「それに…こんなことになったのは私のせいなのに。憂だって…」

唯「あずにゃんのせいじゃないよ。もともとあの種は私があげるって言ったんだし
  あずにゃんにあげなかったら私が育ててたよ」

梓「それでも…やっぱり…」

唯「死んじゃだめだよ」

梓「え…」

思っていることを当てられた。

唯「もう私も食べちゃったんだからね?あずにゃんが勝手に死んだら私が一人になっちゃうん

だよ?憂やみんなのことを思うんだったら…」

梓「唯先輩……」

私と唯先輩のどちらかが死んだら独りになってしまう。それに……
唯先輩の言葉には先輩の失ったたくさんのものと、憂やみんなの命が詰まっている。
それはとても重くて、呪いのようにも感じる。


梓「……わかりました」

今は生きよう。唯先輩の言葉はそう思わせた。

梓「ところで、ここはどこなんですか?」

唯「え~っと、南西かな?」

梓「……」

梓「とりあえず経緯を教えてもらえますか?」

唯「うん、えっと…」

唯「まず、私は実を食べてから寝ちゃったんだよね」

唯「起きたら次の日の朝になってて、怪我は痛かったけど動けるようになってたから
  あずにゃんを助けて看病してたんだよ」

死にそうだったケガが…?あの実の効力がそんなにすごいとは思わなかった。

梓「あ、ありがとうございます」

唯「いいってことよ~」


唯「それとあずにゃんが寝てる間にね、学校とあずにゃんやみんなの家に行ってみたんだ」

梓「……はい」

唯「あずにゃんの家は根っに潰されてて…誰もいなかった」

梓「……はい」

唯「りっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんは……」

結局私と唯先輩以外誰も助からなかった。そんな話だった。
憂は平沢家に安置したそうだ。

唯「…あずにゃん、大丈夫?」

梓「はい、大丈夫です」

唯先輩だってその話から何日も経ってないのに…
それでも私を気遣ってくれる。
私だけ落ち込むわけにはいかない。



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唯「それでテレビもラジオも壊れちゃってどうしよ~って思ってたら
  ヘリコプターが飛んできてね、あの樹に攻撃するから近隣住民は避難してくださいって」

梓「それで非難してきたわけですね」

唯「違うよ?」

梓「え」

唯「なんか飛行機がいっぱい飛んできて樹に攻撃してたけど駄目だったみたい」

唯「それからまたヘリコプターが飛んできて…」

唯「今度は核兵器を使う~みたいなこと言ってて」

梓「……え」

唯「それで今度は流石にまずい!と思って逃げてきたんだよ」

梓「そうでしたか…」

梓「それでその攻撃の結果はどうなったんですか?」

唯「2日前の昼に攻撃するって言ってたのに爆発とかなんにもないんだよね、
  どうしたんだろ?」

梓「…唯先輩が寝てて気がつかなかったとか?」

唯「ひどいよあずにゃん!…それでも、ほら」

そう言って唯先輩が指差した先には少し霞掛かったあの樹が見える。
だいぶ離れているけど私が最後に見たときよりも大きくなってる。間違いない。
今までこの災厄の規模をちゃん考えたことはなかったけど…
私の知りうる知識の中では解決することが出来そうにない。


唯「それでね」

梓「まだ続きがあるんですか?」

唯「そうだよ~ここからあずにゃん逃避行編が始まるんだから!」

梓「なんですかそれ…そういえばよくリアカーなんてありましたね」

言いながら年季の入った黄色いリアカーを良く見てみる。
結構大きくてその辺の車と同じくらいの大きさだ。

唯「最初はおんぶだったんだよ」

梓「ええっ!」

あの樹からの距離を見るとおそらく一県は越えているはず。

さっきから気になっていたが唯先輩は背が伸びて大人っぽくなっている。
おそらく体力なんかも成長してる…あの実のせいだろう。
それでもおんぶとは…

梓「すごいですね唯先輩」

唯「家の車壊れてたし…そもそもあたし車運転できないし」

唯「さすがに大変でね、もうだめだ~って思ってたら道に倒れてるおじさんが声をかけてきた

の」

梓「…生きてる人がいたんですね」

唯「うん。それでそのおじさんが」


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 「嬢ちゃんコレつかいな…中に入ってるダンボールを出せばその子を乗せられるぜ」

唯「ありがと~!でもおじさんは?」

 「おじさんはいいんだ…ほれさっさと行きな…」

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唯「それからはこれでずっとあずにゃんを運んでたんだ」

梓「そうですか。あ、でも核攻撃がなかったなら戻っても…」

唯「最初は私もそう思ったんだけどね、あの樹から離れたほうが調子がいいっていうか…」

確かに樹の中心にいるよりは少しでも離れていたほうがいいのかもしれない。


それに…戻ったところであそこにはもう何も無い。


唯「それからね~」

梓「まだあるんですか」


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唯「…ということがあって今に至るわけです」

梓「……だいたいわかりました」

梓「唯先輩の話だとここって隣の県のそこそこ賑わってる町ですよね?」

唯「多分…」

大きいビルだったものの残骸が目に付く。
確かにこのあたりで間違いないけど…
瓦礫や砂だらけで街というよりは廃墟だ。

梓「これからどうするんですか?」

唯「そうだねえ……とりあえず……」

梓「とりあえず?」

唯「お腹減ったなあ」



唯「コンビニがあってよかったね~!」モグモグ

梓「そうですね」モグモグ

誰もいないコンビニに入り、食料や必要なものをリアカーに乗せた。

これで何日かはもつだろう。

梓「……いや、そうじゃなくて」

唯「ほえ?」

梓「今日のお昼ご飯じゃなくて…もっと先のことですよ」

いつかは水も食料も尽きてしまう。

唯「うーん……とりあえず……」

梓「とりあえず?」

唯「頑張って生きる!」

梓「……ふふ」

唯「あ、笑ったなぁ!」

梓「すいません…でも、そうですね…」

この先何度も罪の意識や死なせてしまった人たちのことで苛まれるだろう。
まるごと全部夢だったらいいのになんて、この先ずっと思っていくのかな。
きっと唯先輩もそうなんだろう…
大人びた顔立ちになったのはあの実の所為だけじゃない。

あの樹はこれからも成長し続けるのだろう。一度根付いたらもはや手遅れ。
周りの植物を枯らし、その実が地球の栄養を全部吸ってしまうまで。

私たちに残された時間がどれだけあるのかわからないけれど。


それでも…


砂漠と化してゆくこの星のど真ん中に、唯先輩の墓を立てるまで



私は生きると決めた。



END




174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:46:25.35 ID:83N2LjNQO
元ネタ
http://www.youtube.com/watch?v=9h0q6JT8520
ドラゴンボールZ 地球まるごと超決戦


191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:21:29.58 ID:DivEZhIs0
どうでもいいけど地球まるごと超決戦ってどんな話だったっけ


198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 01:33:35.01 ID:6kXTeO7gO
梓「え、唯先輩…?」

憂「唯先輩…?そうか、あなたはお姉ちゃんの後輩かあ」

梓「この人…!唯先輩なんかじゃない!」

梓の胸倉を掴む憂

梓「ぐっ…」

ピピピ…

憂「戦闘力1万…さすがお姉ちゃんのお気に入りだね」

憂「私の名前は憂。ふふ…どう?私と一緒にこない?宇宙を気ままにさすらって好きな星を壊して回るの」

梓「…だ、誰がお前何かと!」


  「高みの見物とはいい身分だな!」

憂「ん?」

澪「はっ!」

澪は文字通り右手を延ばして30メートル先の憂の腕を掴む

澪「くらえ!」

もう片方の手を延ばして憂の顔を殴ろうとするもかわされる

澪「チッ!」

急いで腕を縮めるが間に合わずに憂のタックルと右拳をくらってしまう

澪「ぐっ…これでもくらえ!魔貫光殺砲!」

憂「!」ドォーン

澪「へへ…………!なに!?」

そこには片腕だけで受け止めていた憂の姿が

憂「少しは効きましたよ…」

おわり。まるごと超決戦はこんな話