さわ子「チョリース!」

さわ子「今日はピチピチのYシャツとタイトミニスカートとガーターベルトよ澪ちゃん!」

澪「いやだあああああああああ」ダダダダッ

さわ子「待ちなさい澪ちゃ~ん!」ダダダダッ

梓「……」

先生が新しい衣装を持ってくるといつも騒がしくなる。

唯「澪ちゃんなら絶対似合うよ~!」

確かに澪先輩ならすごく似合うだろう。
胸が大きくてスタイルいいし頭もよくて実は運動もそつなくこなす。
…スタイル以外は関係ないか。


さわ子「ハアハア…そろそろ観念したらどうかしら?」

澪「い、嫌です!」

唯「そんなに嫌だったら私が着ちゃおうかなあ…」ソワソワ

律「いやあ唯には似合わないんじゃないか?」

唯「りっちゃんひどーい!」

ちょっとだけ同意してしまった。
来てみなければわからないかもしれないけど。

律「ムギのほうが似合うんじゃないか?」

ムギ先輩は似合いそう…

唯「確かにムギちゃんのほうがスタイルいいからなぁ」

唯「あずにゃんはどう思う?」

梓「着てみないことにはなんとも…」


濁してみた。

唯「そっかー」


そうこうしているうちに澪先輩は着せ替えさせられていた。

さわ子「さすが澪ちゃん!似合うわね…」ゴクリ

紬「ええ…先生、指し棒はないんですか?」

澪「うう……」

紬「もじもじしているところも尚良し…」

ぱつんぱつんな服のせいでボディラインが見えて非常に色っぽい。
やっぱり澪先輩に良く似合う。というかそのスタイルならなんでも似合う。

唯「やっぱりスタイルがいいのってうらやましいなあ…澪ちゃーん!」ガバッ

澪「うわあ!やめろぉ~」

唯「よいではないか~、おあ~ふかふかだあ」

澪「ひっ!?ドコ触ってるんだよ!」

唯先輩がいつも私にするように抱きついている。
いや…私にはあんなことしないか。胸ないし。


律「どうした梓~唯が構ってくれなくて寂しいのかなぁ?」

梓「ち、違いますよ!」

唯「なんだって~ごめんよあずにゃぁ~ん!」ぎゅ~

唯「ああ、あずにゃんはちっちゃくてかわいいねえ。さすがけいおん部のマスコットだよ!
  ついでに猫耳をつけてあげよう~」

う…
いつも言われていることだけどちょっと悔しい。
私だって澪先輩みたいにスタイル良くなりたいのに。

唯先輩に可愛がってもらえるのは嫌じゃないけど…


さわ子「さて、そろそろ次の衣装にチェンジよ澪ちゃん!」ジリ…

澪「え゛」ジリ…

澪「もうい゛や゛だあああああ」ダダダダッ

さわ子「もう諦めなさーい!」ダダダダッ

梓「また始まった…」

そのとき澪先輩を追いかける先生が何か落とした。
床に転がったそれはそら豆のように見えた。

唯「さわちゃん何か落ちたよ?」

さわ子「え?」


唯「…豆?」

さわ子「ん?…ああ~そういえば」

さわ子「この前家に帰る途中で路上にいた占い師から貰ったのよ。
    それを植えて育てるとなんとかの実っていうのができるとか言ってたわね」

さわ子「それを食べるとスタイルが良くなるとか美容健康にいいとか言うから貰ってみたの。
    しんせいじゅの実…だったかしら?」

律「怪しすぎるだろそれ…それにさわちゃんには必要ないんじゃない?」

さわ子「そうなんだけどなんか面白そうだったから無理やり頂いてみたのよ」

唯「うわ~面白そう!」

澪「いや、そんな名前の果物(?)聞いたことないしなんか怖いですよ…」

律「だよなあ。まあうちの部で欲しがる人なんて梓くらいだよな」

梓「なっ!そんなことないですっ」

ちょっと欲しかったけどつい言い返してしまった。
律先輩のからかい口調を聞くと条件反射で…こう…

さわ子「みんな夢がないわね~」

唯「私それ欲しいな!」

やっぱり唯先輩はふかふかが好きみたいだ。
どうしよう…今から欲しいって言ってみようか…

さわ子「じゃあ唯ちゃんにあげるわ」

唯「やった~!」

さわ子「さてと…じゃあそろそろ」ジリ…

澪「ひぃっ!」



律「唯ー梓ーまたな~」

澪「また明日」

紬「またね」

唯「みんなバイバイ!」

梓「失礼します」

結局あのあと先生と澪先輩が騒いでいて、言い出せないまま部活が終わってしまった。
唯先輩と2人きりになったことだし切り出してみよう。

梓「先輩」

唯「ほい?」

梓「さっき先生から貰った種(?)のことなんですけど…私も気になってきちゃって」

唯「ん?あ~あれかあ。確かポケットにいれたはず…」

唯「…………あれ?」

梓「……」

唯「おかしいなぁ…」

梓「…なくしちゃったんですか?」

唯「……う、めんぼくない。もしかしてあずにゃん欲しかったの?」

梓「え…いえそんなことないです」

ちょっと残念だけどなくしたなら仕方ない。
いまさら欲しかったなんて言って唯先輩に嫌な思いをさせることもないし…

唯「ごめんねあずにゃん…」

梓「いえ!気にしないで下さいちょっと言ってみただけですから!」

唯「そう…?ごめんね~あげようと思ったのに…」

梓「…いえ、いいですから」

……ばれてた?



梓「失礼します」

唯「うん!バイバイあずにゃ…へっぷしっ!」

梓「……」

唯「ズビ…ごめんごめん。また明日ね!」

梓「はい」

しばらく唯先輩の後姿を見ているとまたくしゃみをした。
もうすぐ学園祭なのに風邪なんてひかないでくださいね、唯先輩。
私にとってはみなさんとの初ライブなんですから…



梓「え…風邪?」

憂「うん…お姉ちゃん今朝から熱があって…」

梓「それで憂が看病してたから遅刻ぎりぎりになったのね」

憂「うん…心配だよう…」ソワソワ

梓「もうすぐ学園祭なのに…早く良くなるといいね」

憂「うん…」

唯先輩は期待を裏切らない。

……悪い意味で。


梓「それじゃ私そろそろ部活に行くね」

憂「あ、お姉ちゃんのこと…」

梓「軽音部の人達には私が伝えておくよ」

憂「うん、ありがとう梓ちゃん。じゃあまたね」

梓「うん。また来週」

唯先輩…週明けには治ってるといいな。



ガチャ

梓「こんにちゎ……」

部室の扉を開けると同時に挨拶したが誰もいなかった。
先輩たちはまだ来てないみたいだ。
とりあえずソファにカバンを置こうと思って歩き出したとき…

ゴリッ

梓「ん?」

何かを踏んだ。


梓「これは…」

足を退かしてみると見覚えのあるやや小さいそら豆があった。
貰ったそばから落としていたとは…唯先輩らしいというかなんというか…

しゃがみ込んでソレを拾い上げる。
体重を乗せて踏んでしまったが、潰れていないし傷も付いていないみたいだ。
久しぶりに小柄な体型で良かったと思えた。


ガチャ

律「よーし今日も楽しいティータイムの始まりだぜ」

澪「練習もするんだからな!」

紬「ふふ」

律「あれ、何やってんだよ梓?」

梓「あ、いえ、なんでもないです」

咄嗟にソレを握って隠す。

律「ほおぅ?な~んかいいことでもあったのかな~あずさちゃん?」

梓「え、何でですかっ何にもありませんよ」

律先輩がにやけ顔で聞いてくる。
それで気付いたが私は自然と笑みがこぼれていた。

律「んー?まあいっか。ムギ~お腹空いちゃったよ~」

律先輩の細かい事を気にしないところは長所でもあると思う。
お腹が空いていただけかもしれないけど…
他の先輩方も私の手の中にあるものに気付いていないようだ。

先輩方がカバンを置いて席につく間にこっそりとソレをポケットに仕舞った。


律「まったく唯の奴たるんでるぞ」

澪「お前がうつしたんだろ」

律「エ?アタシ?」

紬「憂ちゃんの話だと症状も重いみたいね…」

梓「そうみたいです」

澪「学園祭までに良くなってくれるといいけど…」

澪「とりあえず…練習するか」


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