しかし、話題の力士である唯の山の妹で、しかもめちゃくちゃ強いなんて、
よく今までマスコミが注目しなかったものだ。
憂ちゃんの部屋は、うちの弱小部屋と違って、大関も抱える大きい部屋だが、それもなにか関係するのだろうか。
唯「今度憂の部屋に遊びに行ってみようかなぁ」
律「でもあそことは一門も違うし、あんまり交流ないよな」
唯「確かに、お稽古にも行ったことないや」
律「『山』と『里』だから対立してんのかな」ハハハ
それは冗談として。
唯が憂ちゃんの部屋に遠征に行ったのだが、憂ちゃんは出てこなかったらしい。
唯「姉ですって言ったんだけどね~」
律「まあ、うちん部屋でも、明らかに唯ってか女目的な奴は断るからな」
唯「りっちゃんに会いにくる力士いるよね」
律「でも唯の場合そういうんじゃないのにな」
律「なんか憂ちゃんを隠しとく理由でもあんのかな」
憂ちゃんのことは気になりつつも、唯は幕内へとステージを上げた。
もはや彼女をバカにする者などいないに等しかった。
舞の海「いやー女の子が入門したって聞いたときはどうなるんだろうと思ったんですけど」
舞の海「その子の取組を、こうやって自分が解説することになるなんてね」
舞の海「昨日は興奮して眠れませんでしたよ」
藤井アナ「私もです」
藤井アナ「さて初入幕の唯の山に注目が集まるわけですけど、向こう正面の芝田山さん」
芝田山「はい」
藤井「どういったところに注目しますか?」
芝田山「彼女の場合は、まあセンスがすごいですね」
芝田山「うちの部屋に稽古に来たときもすごかったです」
藤井「ははあ、センスですか」
芝田山「ええ、かなり肥えてますねアレは」
舞の海「そうですか? 僕にはまだまだ細いように見えますけど」
芝田山「あれはかなり上質なスイーツを食べ続けてきた目と舌です」
芝田山「今度一緒にスイーツ本出したいですね」
藤井「そういうことは舞台裏でお願いします」
´: : /: : : ヽ: : `ヽ: : : `ヽ、
/: : : : : : : : : : : : : : : 、: : : : :ヽ :.
/: : : : /: : : : :/小i:.:: : : : : : : : : :.:i: :..
. ′: : : : : : : : ;': :': {:i:i: : : : 、ヽ:.:: : :|: : i
: : : : :i: : |: : : :/ トN: : : : :}ニ>、: ::|: : | ふふ、私のお菓子が役に立ったみたいね♪
i: : : : ::|: : |: : :厶フ \: :/ V |: : | 唯ちゃんがスイーツ親方に気に入られてよかったわ!
|: : : : ::!: i:|i: : | ∨ ;x=ミ ?: : !
|/: : : ::l:i:l:|l: : l xf'刀 ト゚リ }i !: ::|
{/ l : : 川八,.イハマJj ` ’ 从i: ;イ
j ,小: :{:八 : : |i `´ ' }: :{: ::|
ノノ {: :}: i: : ?:.|{ __, , ': ::ハ:::|
// !: ': :!: : : ハ从、 /} : / }ノ 舞の海はよく解説をしている元力士よ。
〈〈 |/: :八: : :ハハ `7ー'´/|: :{ / 大相撲だけでなくいろんなスポーツ番組に出ているわね
Vハ l: :/: : }: : : ハハ`ー<}ト、 !: :V
. Vハ.|: : : : :ヽ: : : : ヽ::ヽ. 仆№{: : { 芝田山さんは親方よ。
ヽ.|: : : : : : :\ : : : \:\|{Ji从: : } スイーツ好きで有名なの
. l: : : : : : : : :厂 ̄´´\:\l」i」ハ: !
j: : : :/: : : / ヾ 二ミ、V 藤井さんは相撲解説に定評のあるNHKアナよ
ノ: : :/: : : / x子ー===ミ、 }ハ
,': : :.;': : : / ノ7 V ノ' }
′: :.; : : ∧ ミヨ \ }
ワーワー唯の山ー
律「ふいー、満員御礼か」
律「そういや、これからは土俵際で唯と会えるんだな」
律「まあ私はしがないタオル係だけどさ……」
唯「がんばるぞ!」
唯「今日の相手は土佐豊……」
唯「なんだか昔おばあちゃんちの裏山でみたイノシシみたいな顔だね」
唯「幕内の熱気はすごいね、緊張しちゃう」
唯「和ちゃんデータを参考に、慎重にいこう……」
唯「ふんすふんすふんすどすこぉーい!!」バーン!
『押し出しー押し出しで、唯の山ー』
舞の海「勝ちましたね、唯の山」
藤井「ちょっと強引でしたが……」
芝田山「プリンでたとえるとカラメルのような粘りだね」
藤井「どうでもいい」
紬「唯ちゃん、すごいわ!」
和「やったじゃない!」
唯「うへへ~」
唯「和ちゃんのおかげだよぉ」
唯「それにムギちゃんも、懸賞金たくさんありがとう。私お金持ちだよ~」
紬「気にしないで。毎日懸け続けるからね! 唯ちゃんの晴れ舞台だもの!」
和「唯との勝負はボーナスステージね……」
和「それより唯、憂のこと」
唯「あ、うん、知ってたんだ?」
紬「私が後援会の人から聞いたの。取材とかには一切応じないらしいけど」
唯「そうなんだ……」
和「どうやら実力と関係ないところで騒がれるのがイヤみたいね。部屋全体で匿ってるらしいわ」
紬「実力的にも騒がれて然るべきだと思うけど」
和「憂は唯のようにホンモノならば、いずれ出てくるでしょう」
唯「うん……」
唯はなかなか順調に幕内を戦っていった。
そして、ついにその対決の日がやってきた……。
唯「なんだが今日はみんなぴりぴりしていね」
律「まあ、大事な一戦だからな」
唯「そ、そうなのかな」
律「そうだよ……多分」
キャーキャーワー
岩佐アナ「今日はそっくりと言われている二人の対決ですね」
音羽山「館内の熱気もすごいですね、まだかまだかと。前の取組がかわいそうなくらいです」
唯「うわ、入ってきたよ」
唯「なんで私があの人とそっくりなんだろう……」
岩佐「高見盛の入場に館内が沸きますね」
岩佐「奇抜なリアクションと懸賞金が多いことでキャラがかぶっていると言われていた二人ですが」
岩佐「この勝負、どうなりますか?」
音羽山「唯の山も調子いいですからね、どうなるかわかりませんね」
岩佐「どちらが真の相撲界のアイドルか、さあ時間いっぱいです」
唯「ふおおおおぉぉ」バシンバシン
唯「ふんすふんす」シコフミ
高見盛「フッ……」顔バンバンバン
岩佐「同時にやられるとどっちを見ていいのか迷いますね」
音羽山「贅沢な悩みです」
行司「の……のこったのこった!」
唯「おおうぉぉ」ダッ
高見盛「ヌヌヌヌウヌヌヌヌヌヌヌ」グイグイグイグイ
岩佐「押し合いです」
唯「ふんすーーーー!!!!」バシュン!
音羽山「唯の山、寄り切ったね」
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最終更新:2011年05月27日 20:13