一方、平沢宅。

憂「ふんふふーん♪」

私は平沢憂。平沢家の二女です。

今はこうして愛すべきお姉ちゃんの帰りを待ちながら、
晩御飯の支度をしている最中です。

憂「さてと、鍋も煮立ったことだし…」

ぐつぐつと音を立てる鍋に、前もって切ってあった
野菜やお肉を次々と入れていきます。

今日のお肉はいつもと違う、少しいいお肉。

今からお姉ちゃんの喜ぶ顔が目に浮かびます。


そして数十分後。

お肉や野菜に火が十分に通ったことを確認し、
次はこの料理の核となる材料を入れます。

それはカレーのルー。

そう、今日の晩御飯はお姉ちゃんの大好きなカレーです。

ポトポトとルーを入れた後、ゆっくりと鍋の中身をかき混ぜます。
そしてとろみがついてきた頃、我が家の特性カレーの隠し味となる、
ある特殊な材料を混ぜます。


まず、私の左手首に包丁をつき立てます。

そしてうっすらと浮き出ている血管に対して、
スッと素早く切り込みを入れます。

するとどうでしょう。

私の手首から勢いよく血が吹き出ます。
それをカレーが真っ赤になるまで注ぎ込み、
更に数十分熱します。

これがまず第一の隠し調味料、『憂液』です。


そしてカレーがまるで本物のマグマの様にボコボコと沸騰した頃。
次に第二の隠し調味料を入れます。

まず、台所の引き出しからキッチンバサミを取り出します。
次に鍋の中を覗き込みながら、さっき用意したキッチンバサミで
お姉ちゃんと同じ茶色の私の髪の毛をバッツバッツと切ります。

そしてカレー全体に私の髪の毛が絡まりきれば、
これで第二のステップは修了です。


そして最後の大仕事。

これをするかしないかで、憂カレーの味は大きく変わってしまいます。

ではまず、衣類を全て脱ぎます。
勿論下着も。

そして、鍋に入ります。

憂「あぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁッ!!!
  暑い熱いあついあついあついあついぃぃぃいいぃいいいいッ!!!!」

私の体全体にマグマのような憂カレーがドロドロと絡みつきます。
まるで私自身もドロドロに溶けてしまったかのような感覚。

でもこうすることでカレーに私の出汁が存分に広がり、
私の分身ともいえる、この『憂カレー』は本当の意味で完成するのです。

この料理を開発するのに何度命を落としかけたことか。
でももしそうなったとしても私は本望だと思います。

だって、もし私が死んでも憂カレーを食べたお姉ちゃんの中で
私は血となり肉となりお姉ちゃんとして生き続けることができるのだからああああああお姉ちゃんお姉ちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃん
おねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃん
おねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃん
おねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃん
おねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえち



――その夜・平沢家

唯「んまぁーい!!」テレッテー

唯「うーん、やっぱり憂の作るカレーは美味しいなぁ」モグモグ

憂「えへへ…ありがとうお姉ちゃん」

唯「モグモグ…ねぇ憂、今日も怪我したの?」

憂「あっ うん。でも大した怪我じゃないから心配しないで」

唯「そう? ならいいけど」モグモク


唯「そういえば憂って、カレーの日にはいつも包帯でぐるぐる巻きだよね?」モグモグ

憂「そうかなぁ? 気のせいだと思うよ」

唯「うーん…それになんだか憂、やせたよね」モグモグ

唯「なんていうか、肉が削げたって感じ」モグモグ

憂「えー? そんなことないよぅ!」

憂「ねぇねぇお姉ちゃん、そんなことよりさ…」

憂「今日のお肉美味しいと思わない?」

唯「モグモグ…うん!」

憂「えへへ♪ よかったぁ」



~お す ま い~




――後日談。

梓「はぁ…」

憂「どうしたの梓ちゃん? ため息なんて吐いて」

梓「あっ 憂…」

梓「ねぇ憂…、唯先輩は元気? もう1週間も会ってないの…」

憂「……ふーん。元気だけど?」

梓「そうなんだ…」

梓「…はぁ、会いたいなぁ唯先輩」

憂「……」



――校門。

梓「憂ー!」

憂「…梓ちゃん?」

梓「ねぇ憂、今日一緒に帰ろうよ」

憂「…いいけど梓ちゃん、部活は?」

梓「廃部したよ」

憂「えっ」

梓「だってみんな、唯先輩がいたから集まってたんだもん。
  だから唯先輩が退部したから自然消滅しちゃった」

憂「へぇー…、そういえばあのカメは?」

梓「あぁ、トンちゃんのこと?」

梓「トンちゃんは部室に一人きりで残ってるよ。
  先輩方と相談して、交代で世話していこうって」

憂「へぇー…なんか可哀想だね」

梓「うん…」


憂「……」

梓「……」

憂「……」

梓「…ねぇ、憂って唯先輩にそっくりだよね」

憂「…そうかな。ありがとう」

梓「……」

梓「…ねぇ憂。手繋いで…いい?」

憂「はっ?」

梓「お願い憂…、私を慰めて…」

梓「寂しいの…お願い、憂…」

憂「……」

憂「いいよ。手ぐらいなら繋いであげる」

梓「!!!」

憂「ありがとう憂…。いや、唯先輩っ!!」

憂「……」イラッ


梓「…ねぇ唯先輩」

憂「…何梓ちゃん」

梓「唯先輩の手…暖かいですね」ギュッ

憂「……」イライラ

梓「…ねぇねぇ先輩」

憂「…何かな梓ちゃん」

梓「…あの、前みたいにあずにゃんって呼んでほしいです」

憂「…あずにゃん」

梓「えへへ…♪」ギュッ

憂「……」イライライライラ


梓「…ねぇ唯先輩」

憂「…なーにあずにゃん」

梓「その…あの日の続きをしませんか?」

憂「あの日の続き?」

梓「はい。お互い裸になるんです!」

憂「 」ブチッ



――元部室

憂「おじゃましまーす」ガチャッ

憂「あ、いたいた」

憂「トンちゃん。美味しい餌を持ってきたよ」

憂「はいトンちゃん。いっぱい食べてね」



憂「ふふふ、いっぱい食べてる」

憂「どうトンちゃん、美味しい?」

憂「…そっかそっか、美味しいんだ。良かった」

憂「まだまだあるからいっぱい食べてね」

憂「このお肉」

憂「ふふふふふふふふふ」



―お す ま い―



もう寝るね

思いつきで書いたからオチも内容もかなり適当

ではおやすみ