時間は進んで、季節は夏


澪(あんまり練習できてないまま、気づいたら七月になっていた……)


梓「このクソ暑い部室でしゃべるのは、それだけでなかなかの労力ですがそれでも言います」

律「なんだよ?
  ていうか、暑い。暑すぎる。クーラー欲しい」

梓「私の喉に毒ですからダメです。
  ……それで、提案、というかなんというか」

澪「早く言え。前置きが長い」

梓「はい、言います。

  ティーセットは撤去するべきです!」

紬「……はい?」



唯「イヤだよ、あずにゃん!
  わたしたちの軽音部に、ティータイムがなくなったらただの軽音部だよ!」

律「唯、落ち着け。なにが言いたいかはわかるけど、言ってることがメチャクチャだぞ。
  梓もだ。なに意味不明なこと言ってんだよ?」

梓「そうですね。より、きちんとわかりやすく話しましょう。
  ティータイムに代わって新たなタイムを導入しようと思いまして」

紬「ティータイムに代わって……?
  なにをするの?」

梓「鍋タイムを導入しようかと思います」

澪「また意味のわからないことを……」

梓「人の話を最後まで聞かないうちから、意味がわからないと決めつけるのはどうなんでしょうね?
  澪先輩のメルヘン歌詞より、よっぽど論理的な考えのもとで私はこの提案をしているんですけどねえ」

澪「メルヘン歌詞……」

紬「ええと、梓ちゃんはどうして鍋タイムの導入なんてしようと思ったの?」

梓「実はあるアーティストのNHKの特集を見ましてね。
  そのボーカルの人が鍋を食べてたんですよ。
  なんでも声帯を温める効果があるとかうんたん」

澪「だからってティータイムをやめてまで、鍋を食べる必要があるのか?
  いや、そもそも部活で鍋を食べることじたいおかしいだろ」

梓「部室でティータイムしているくせに、なにを今さら」

律「つうか、このただでさえ暑い夏場になんで部室で鍋しなきゃならないんだよ」

梓「いいバンドにはいいボーカリストがいるべきでしょう?
  私が鍋を食べて、それででバンドがよくなるならいいでしょう?」


澪(そして、そんな梓の馬鹿げた提案のもと私たち軽音部は放課後に毎日、鍋を食べるはめになった。
  夏場に汗を大量にかきながら、ひいひい言って鍋を食べる軽音部。
  私の目標としていた軽音部の姿はすでにない)


梓「ふはっー、あちち……やっぱり夏に食べるキムチ鍋はうまいですね」

唯「ふー、ふー……」

律「いつか脱水症状で、全員死ぬかもな……」

紬「梓ちゃん、韓国産のキムチはどう?
  本場のキムチだからそれなりにうまいと思うんだけど……」

梓「あちぃ……全然うまくないですね。ただたんに辛いだけって感じです。
  やっぱりキムチは日本の松前風キムチにかぎりますよ」

澪「……」グスッ


澪(さらに時間は経過して、気づいたら文化祭一週間前。
  私たち軽音部一同はバンドの名前を考えていた)


唯「タンスの角に薬指」

澪「ピュアピュア」

律「なんかどれもパッとしないな……」

紬「大器晩成とかは?」

律「一応、わたしらまだ高校生だから」

梓「そんなんじゃダメですー!!」

澪「……梓にはなにか名前の案でもあるのか?」

梓「はい、当たり前でしょう。
  澪先輩みたいに批判するだけして、意見出さないカボチャ頭とは違いますから」



澪「……で、名前は?」


梓「放課後に鍋ばっかりしてることから、放課後ナベタイムでどうですかね。
  正直、私が考えた提案した名前が一番いいですね」

律「まあ……いいんじゃないか?
  他に案もないみたいだし、これで決定だな」

梓「いやあ、バンド名も決まったし、みなさんの演奏も順調ですし懸案事項はもはやありませんね。
  私たち放課後ナベタイムはやればできる子の集まりですね」

澪「梓、ひとつ忘れてることないか?」

梓「なんですか?」

澪「お前の歌だ」

梓「(´Д`)」

澪「私たち、いまだに梓の歌声を春以来聞いてないんだけど」

梓「じょぶじょぶだいじょうぶですよ」

澪「……ホントにか?
  せっかくだから、今から聞かせてほしいんだけど」

唯「わたしもあずにゃんの歌聞きたいなあ」

律「そうだな。せっかくだから歌ってみろよ、梓。
  わたしらが今から演奏するからさ」

梓「ゲホゲホっ……い、いけませんねえ、どうやら喉の調子が悪いみたいです。
  これで歌ったら本番前に喉を痛めてしまうかもしれません。
  これはしばらく喉を休めたほうがいいですねえ……ゲホっ、ゲホゲホゲホっ!」

澪「……まあ、梓がそこまで言うなら……」

澪(大丈夫だ。梓はやるときはきっとやってくれるはず)



梓(さて、いよいよ本番の前日です。
  私は真鍋先輩に一通のメールを送りました)


梓『先輩、どうしましょう。
  五ヶ月も歌の練習したのに全然歌がうまくなりませんでした』

梓(まあ、こんなメールしてもしかたないんだけど……
  にしても、いつもに比べると返事遅いなあ)


ウルトラソウッ!♪


梓「はい、遅いとか思ってたらメールが来ましたよ……あれ?」


和『私に相談されても困るわね。
  私、かなり歌うまいから、歌が下手な人の気持ちなんてわからないわ』

梓『さらりとヒドイ言いますね。
  ところでセンパイ、いつもとメールの感じがちがいますけど』

和『…………。
  ほら、唯ってば今になって風邪をひいちゃったでしょう?
  だから心配になってメールしたの。そしたら……

  和ちゃんにギャル文字は気持ち悪いよって指摘してきたの』

梓『(笑)』

和『笑わないで。
  たぶん、唯ったら風邪ひいちゃってそのせいで、こころにもないメールしちゃったんだろうけどね
  正直すごく傷ついたわ』

梓『そうですか。で、私の愚痴に対してなにか言うことはありませんか?
  もう明日の文化祭なんてなくなってしまえばいいのに(泣)』

和『文化祭はなくならないだろうけど、あなたたちの発表はなくなる可能性はあるんじゃない?』

梓『??』

和『だから、唯が風邪ひいてるんでしょ?
  だったらそのまま唯が風邪のままだったら学校にも来れないわけで。
  あとは言わなくてもわかるわよね?』

梓『なるほど! センパイって本当に頭いいですね!』

和『よく言われるわ(和)。
  とにかく唯が学校に来ないように祈っておいたら?』

梓『はい! 今から伊勢神宮まで行って神様にお願いしてきます』

和『そんな時間とお金があるの?』

梓『時間は……知らないですけど、お金はたんまりあるんで大丈夫ですよ(藁)
  それじゃ、さよならセンパイ』

和『えー、もうちょっとメールしましょう』

梓『いやです。ていうか、めんどくさいです(-.-;)』


和『ていうか……ゃっはoり≠〃ャ儿文字か〃ぃぃょ→o(^-^)o』

和『ぁす〃±ちゃωもそぅ思ぅτ〃Uょ? 思ぅ∋Йё(^_-)-☆?』

和『τレヽぅヵゝ禾ムほど〃≠〃ャ儿文字レニぁぅJKレヽナょレヽヵゝらo(^-^o)(o^-^)o』


梓「しね」



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