昨日・回想


店員「ぁす〃レニゃωσヶ〃ノまωこきもちレヽレヽ。
  すこ〃<UまりヵゞレヽレヽЙё。
  レま〃<もレヽッちゃぅそぅT=〃∋。τレヽぅヵゝこσままぉUッこUτレヽレヽ」

梓「……はあ」

店員「それレニ小±Tょぉッはoレヽはけッこぅ需要ヵゞぁりますヵゝらЙё。
   禾ムも貧乳ヵゞ女子きτ〃Uτ」

梓「あの……専門用語とか出されてもわからないんで、ギターの値段だけ教えてもらっていいですか?」

店員「五十万です」

梓「……はい?」

店員「五十万円になります」

梓「(#^ω^#)」


回想終了



梓(まさか、私がギターを弾かないため口実のために売ったギターが五十万もする代物だったとは……。
  笑いが止まらないとはまさにこのこと。
  もちろん、五十万はきっちり預け入れしてあるし問題ない)

唯「あずにゃん、笑ってるの?」

梓「へ……?
  い、いえ、違いますよ。くしゃみが出そうだったもので」

梓(いけない、いけない。思わずニヤニヤしてしまった)

律「しかし、ギャンブル好きの親っていうのも困ったもんだよな。
  わたしの両親はそんなんじゃなくてよかったよ」

澪「律、そんな言い方はないだろ」

律「ん、ああ……ゴメン、梓」

梓「いいえ、いいんです。気にしないでください」


梓(まあ、私のお母さんがギャンブル狂なんて嘘だけどね)


梓「それで、先輩。
  私からみなさんに提案があるんですが聞いてもらってもいいですか?」

澪「なんだ?」

梓「ギターがない私にできることは、私が思いつくかぎりひとつしかありません。

  ボーカルです。私にボーカルをやらせてくれませんか?」

律「まあ、そうなるわな」

唯「わたし、ギターとボーカルだけど。
  仮にあずにゃんがボーカルやったらどうするの?」

梓「ギターだけやってればいいと思うんですけど。
  それに歌いながらギターを弾くのって疲れるでしょうし、私が代わりに歌ってあげますよ」

唯「えー。わたし、ギターもやりたいけどボーカルもやりたいよ」

梓「しかし、唯先輩が歌ってギターやったら私はなにをすればいいんですか?」

澪「……ダンスとか?」

梓「澪先輩は魔法以上にユカイなことを言わないでくれますか?」

律「まあ、せっかくだし梓と唯で歌い比べてみるのはどう?
  ボーカルはバンドの顔だしさ」

梓「なるほど、悪くありせんね。
  そうしましょうか」


澪「とりあえず、唯と梓の歌を聞き比べしてうまいほうをボーカルとして採用するということで。
  これでいいか、二人とも?」

唯「いいよ」

梓「はい。それでいいです」

紬「それから、二人が歌う歌は、唯ちゃんは『ふわふわ時間』で。
  梓ちゃんは……ギリギリ……ちょっぷ、って曲でいいんだよね?」

梓「はい。それでお願いします。
  私は先輩方が作ったオリジナル曲を知りませんからね」

律「んじゃあ、まずは唯からスタート」


唯「すぅ~はぁ~……キミを見てるとハートどきどき……」


梓(以下略)


梓「き〃りき〃り→か〃けぇσぅぇをぃ<ょ→にふらふらUたっτぃぃU〃ゃなぃかょぉ!!」


澪「梓、なかなかハードな動きをするな」

律「あんなにぴょんぴょん動いてるのに、よく歌えるな。
  梓は運動が得意だったりするのか?」


梓「それτ〃もまぇにぃ<Uかなぃωた〃からぁ!!」


紬「動きかたとかすごくカッコイイんだけと……」

唯「うん。たしかにすごくカッコイイんだけと……」


梓「た〃ぃU〃ょぉふ〃ほ〃<σは〃ぁぃゎぁぁあああああ!!!!」


唯澪律紬(滑舌が悪すぎてなに言ってるのかわからない……)



梓「はあはあ……やはりこの曲は疲れますね。
  どうでしたか、みなさん。私のタマシイの歌声(歌声と書いて生き様と読む)は?」

律「ん? ああ、その……」

唯「あんまりうまくないね!」


梓「……今、なんて言いました?」

唯「え? だからあんまりうまくないね、って言ったんだよ。
  実際にわたしのほうがうまいよね?」

澪「まあ、な……」

梓「ちょ、ちょっと待ってください。
  私はこれでもヒトカラーなんですよ。
  こんな性格してるからあんまり友達がいないから、毎日が暇で。
  そんな暇をつぶすために、カラオケに通いまくって歌いまくりのこの私が……下手?」

紬「うん……正直、あまりうまくないと思う……」

梓「……では、ボーカルは唯先輩に決定ということですか?」

律「まあ、今のところはな。悪いけど、唯と比べると梓の歌唱力はちょっと……」

梓「でも、待ってください。
  そしたら私はどうしたらいいんですか?
  私はなんのために軽音部にいるんですか? ていうか、いる意味なんてありませんよね?」

紬「ええと、梓ちゃんはかわいいから客引きになるんじゃ……」

梓「みなさんも十分かわいいですから。
  ていうか、お願いします。私にボーカルをやらせてください」

澪「みんな。私からひとつ案があるんだけど……。
  歌だって練習すればうまくなるから、賭けてみないか?」

唯「なにに?」

澪「梓の歌がうまくなる可能性に、だ」

梓「澪先輩……」

澪「唯だって、最初の頃は歌いながらギターを弾くのは無理だった。
  でも、最終的には練習してできるようになったんだ。
  梓だって、練習すればきっと歌もうまくなると思う」

紬「そうね。澪ちゃんの言うとおりかも」

律「そうだな。唯もいいだろ?」

唯「うんっ! あずにゃん、歌のことならまかせて!」

梓「みなさん……ありがとうございます!」



それから二週間後

律「今日はみんなにいい報せがあるぞ」

梓「なんですか」シーシー

律「とりあえず、爪楊枝をしまえ。
  ていうかなんでそんなに爪楊枝使う率が高いんだよ」

梓「イチゴが歯と歯の間に挟まったみたいです。
  わりとすきっ歯なのかもしれません。
  まあ歳をとると、誰もがすきっ歯になってしまうらしいですけどね」

律「まあ、そんなことはいいや。それより聞いてくれ」

紬「なになに?」

律「部長会議で決まったことなんだけど、今年の夏に備えてクーラーが設置されることになりました」

澪「へえ、今年の夏は快適に練習できるな」

梓「なん……です、と?」

紬「どうかしたの、梓ちゃん?」

梓「クーラーなんてダメです!」

律「……なにを急に言い出すかと思えば。
  なんでクーラーがダメなんだよ。
  ドラマーのわたしとしてはメチャクチャありがたいぞ」

澪「楽器弾いていると、けっこう体温が上がるしな」

唯「わたしはクーラー苦手だからなんとも言えないや。
  ……あ、もしかしてあずにゃんったらわたしの心配してくれたの?」

梓「え? あ、ああ……唯先輩がクーラー苦手なことはもちろん心配でしたよ。
  しかし、問題はそっちじゃありません」

澪「じゃあ、なんだ?」

梓「はあ……。これだから頭の回転が鈍い人は困りますねえ。
  少し考えればわかるでしょう?

  私はボーカリストなんですよ?」

澪「全然わからないんだけど」

梓「あのですね。
  ボーカリストが一番気づかわなければならないものはなにか。
  それは喉です。喉はギターの弦みたいにとり替えも聞きません」

澪「それがどうした?」

梓「これだけ言ってまだわからないなんて……。

  クーラーなんて使ったら私の喉が傷んでしまいます」

澪「いや、B'zのボーカルじゃあるまいし、そこまで気をつかわなくても……」

梓「先輩、やる気あるんですか?
  私たち高校生の青春なんてホントに一瞬ですよ?
  なにごとにも全力で取り組むべきです」

唯「あずにゃんって、ときどきすごくいいこと言うよね」

律「うん、たしかにすごくいいこと言うんだけど。
  言動と行動がイマイチ、マッチしてないんだよなあ」

澪「今だってひとりだけラスク食べてるしな。
  今のうちに発声練習でもすればいいのに」

梓「何度も言わせないでください、澪先輩。
  そして何度も練習、練習と同じことを言わないでください。
  まあ加齢が進むと同じことを何回も繰り返して言ってしまうらしいですけどね」

澪「…………」

梓「何回も言ってると思いますけど、喉――つまり、声帯は大事にしなければいけないんです。
  私のカワイイ声が台なしになったら、バンドまで台なしになってしまいますよ」

澪「……そうだな。
  悪かったよ。でも、あとからきちんと練習しような?」

澪(ここはガマンだ。梓はもともと口が悪いだけで、悪気はないんだ)

梓「はいはい。
  ていうか、また練習って言いましたね」ボリボリッ

澪「……ごめん」

梓「いいですよー」ボリボリッ

紬「梓ちゃん、まだまだたくさんラスクあるから食べてね」

梓「うんうん。どうせ太るならうまいもので太りたいですよねー。
  うみゃー」ボリボリッ

澪(大丈夫……だよな?)


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