スタッフ「GACKTさん、お疲れ様です!」

GACKT「お疲れさま~」

今日もいつものように慌ただしい現場が終わった…

今日は音楽番組の収録だったんだけど…

何故か、いつもより疲れた。

最近、若手アーティストの曲を聴いていても、『いいな』と思うことがない。

もちろん、以前からそういう若手が出てくることが少なくなってきたっていうのはあるんだけど…

以前は多少はそう思う事はあった筈だ。

彼らがいい曲を出していないから?

いいや、むしろ最近の彼らはよくやっている方だろう。

じゃあ何故?

5か月ほど前からだろうか、そう思うことがめっきりと減ってしまった。

若手の曲を聴いていると、何かを忘れているような感覚に陥ってしまうようになっていた。

思えばその感覚を初めて感じた前日、何か長い夢を見ていたような気がするんだけど…

ダメだ。 思い出せない。




スタッフ「西川さん、お疲れさまです!」

西川「お疲れ~」

あっ、西川君だ。

そういえば、彼に長いことDVDを借りてたな。

まだ観てないや。

…最近、モノ忘れが激しいのかなあ?

GACKT「お疲れ、西川君」

西川「おぉ~! お疲れ、ガクちゃん!」

ガクちゃん…?

いつも通りの呼び方なのに、どうしてこんなにむず痒いんだろうか…

GACKT「結構前に借りたDVDなんだけどさ、まだ観てないんだ。ゴメンね」

GACKT「もし見るんならすぐ返すけど…」

西川「DVD? 何それ?」

GACKT「?」

西川「そんなの貸してないよ?」

GACKT「いやいや、借りたよ! ほらアニメの…」

…? なんだっけな… タイトルが出てこない。

西川「アニメ? ガンダム?」

GACKT「いや違うんだけど…」

西川「絶対貸してないって! ガクちゃんボケてるんじゃないの~?」

GACKT(そう…なのかな。
でもこの胸のモヤモヤは一体…)




家に帰ってすぐ、僕は家中のDVDを漁り始めた。

この長く続く違和感の答えが、そこにあるような気がする。

そこで見つけた一枚のCD

GACKT(こんなのあったかな…?)

手書きのそのジャケットが何故か気になり、気づいた時には僕はそのCDを手に取っていた。

GACKT(なになに…)

GACKT(放課後…ティータイム?)

その名前を見た瞬間、体中に電撃が走るような衝撃を覚えた。

これは聞かなくてはと、本能が僕に呼びかけた。

このCDこそが、長きに渡る違和感を払拭するものだと、そう呼びかけた。

GACKT(再生…してみよう)







律『やっほーガクちゃん! アタシだよん☆』

唯『今日はいつもお世話になってるがくちんの為に、感謝の気持ちを伝えたいと思います!』

澪『先生にはいつも迷惑をかけてばかりで… どう言葉にしていいのか分からないくらい感謝しています』

紬『だから今日はそんな私たちの気持ちを、演奏に込めて贈りたいと思います』

梓『その方法が一番、私たち軽音部の為に尽くしてくれてる先生に伝わると思うから』

律『…せーのっ』

律・唯・澪・紬・梓『先生! ホントにありがとー!!』


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪




懐かしい彼女達の声を聞いたとき、僕の目からは自然と涙がこぼれていた。

そして、懐かしい彼女達の曲を聴いていくにつれて、徐々に失われていた記憶が甦っていき…

最後の曲が終わった時には、僕は全てを思い出していた。

あぁ…なんで忘れていたんだろうか?

こんなにも大切な教え子たちのことを。

…そうだ。

あの子たちとの約束を果たさないと。

…あの子たちなら大丈夫。

きっとみんな同じ大学に合格してる。

僕の自慢の教え子だからな。

今日の日付は、3月12日。

確か卒業式は3月15日だったはずだから、あと3日か。

普通ならこんな日数で曲を作れるものじゃないけど、今回は大丈夫。

あの子たちへの思いを素直に曲にするだけだから。




~2011年 3月15日~

ガクちゃんが消えたあの日から、5か月が過ぎた。

あれから何度か不安になることはあったけど、それでも私たちは泣いたりはしなかった。

だって約束したもんな?

また会えるって…

なあガクちゃん?

私たち、みんな同じ大学に合格したんだぜ?

しかも第一志望だ。

すごいだろ?

だから、ガクちゃんも約束を守ってくれるよな?

また、会いに来てくれるよな?



校長「え~続きまして、プログラムにはないのですが…」

校長「みなさんの卒業式に、是非お祝いを言いたいと、ある方が駆け付けてくれました」

校長「では、どうぞ。 ご入場ください」

校長の呼びかけと共に現れた姿を見て、生徒・保護者から歓声が上がった。

ほら見ろ、私たちの顧問はすごいんだぜ?

こんな小さな約束だって、絶対に守ってくれるんだ。



GACKT「え~…みなさん、ご卒業おめでとうございます。

今日は、この桜ヶ丘高校をご卒業されるみなさんに、お祝いの言葉を言いたく、訪問させていただきました。」

GACKT「卒業…おめでとう」

GACKT「…君たちの、ほんの少し前を歩く先輩として、今から…この曲を送ります」

GACKT「これから先…君たちが」

GACKT「道に迷ったり、つまずいたり、立ち止まったりしたら、

この曲を聴いて、今日というこの日を思い出してください」

GACKT「それじゃあ…僕と、君たちのことを本当に、心から愛した先生たちから」

GACKT「君たちに、この曲を送ります」

GACKT『野に咲く花のように』



『誰もいないグラウンドの 名前刻んだ桜の下』

『いつか君ともう一度ここに来ることを約束しよう』

『チャイムの響く校庭の 片隅に咲く花のように』

『優しく笑ってくれた君だけに伝えたい』

『ただ「ありがとう」と…』

『僕たちはいつの日にか またこの場所で出逢うその日まで』

『野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい』

『通いなれたこの道も 教室から見える景色も』

『「いつまでも忘れないよ…」と涙浮かべた 君の笑顔も』

『いつも見慣れた夕暮れが 桜並木を染めてゆく』

『僕たちはそれぞれの思い出を胸に抱いて 歩き始める』

『いつか見た夢の場所へ たどり着くまであきらめないで』

『まだ名もない花だけれど 決して負けずに強く咲きたい』

『いつの日か歩いてきた 道を振り返るときが来るまで』

『野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい』

『僕たちはいつの日にか またこの場所で出逢うその日まで』

『野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい』

『決して負けずに強く咲きたい』

『咲きたい…』



GACKT「君たちの未来は、希望に満ち溢れているからな!」

その言葉は、先の見えない未来に怯えている私たちに向けたもののように感じられた。

律「おせぇよ…バカ」グスッ

律「どれだけ待ったと思ってるんだ…」

泣きながらそう強がって言ったとき、ガクちゃんと目が合った。

久しぶりに見たその顔は、とても優しい表情をしていた。

GACKT「律、唯、澪、紬、梓」

GACKT「立ってみろよ」

その言葉につられるように、私たち5人は立ち上がる。

4人の顔を見れば、みんな私と同じように涙を流していた。

GACKT「約束は守ったからな!」

GACKT「今度はお前らが…ここまで上がって来い!」



GACKT 『野に咲く花のように』

http://www.youtube.com/watch?v=ULUtMKKHSYU






紬「ごめんなさい、今度は私が遅れちゃった」

澪「唯はちょっと早かったぞ?」

唯「そうかなあ?」

さわ子「次こそ決めてよ? もう職員室に行かなきゃいけないんだから」

唯「は~い。 じゃあ、せーのでジャンプね?」

梓「はいっ」

紬「せーの! せーの!」ピョン!ピョン!

律「澪~? お前も練習しといたほうがいいんじゃないのか?」

澪「私は一回も失敗してないから大丈夫」

唯「そうだ! せっかくだし、がくちんも入ってよ!」

GACKT「…そうだな。 そうするか」

さわ子「じゃあいくわよ~?」

さわ子「よーい!」

唯「せーの!」

パシャ!



澪「あっ…飛び遅れた…って先生!? なんて恰好してるんですか!?」

唯「あははは! がくちんルパン三世みた~い!」

梓「笑い事じゃないです! …先生も早く服着てください!」

GACKT「」プルプルプル…

律「変態だー!!」

紬「まあまあまあまあ!」キラキラ

さわ子「」パシャ!パシャ!

澪「ちょっ…!? 人のカメラで変なもの取らないでください!?」



おしまい








正直このネタがやりたかっただけだった。

後悔はしていない。

最後まで読んでくれた人、いたらありがとう。

SS書くのって意外と楽しいね。

また気が向いたら、『憂「ご飯はおかず…?」 唯「ご…ごめんなさい…」』

ってSSを書いてみようかと思う。

ご飯はおかずってある意味憂ちゃんへの冒涜だと思うんだ。


またね

西川「あずにゃんぺろぺろ」

GACKT「」プルプルプル…