~2010年 10月13日 ~


律「ほら唯、早く行くぞ~」

唯「ちょっと待って~ …おまたせ~!」

律「それじゃあ部室行くか」

さわ子「その部室なんだけど…」

さわ子「しばらく使えないの」

律「…何が?」

さわ子「部室」

律・唯・澪・紬「えっ」



唯「ホントだ… 音楽室も使えなくなってる」

律「一体なにがっ!?」

さわ子「実は部室の下にある教室の天井から水漏れしてたみたいで…」

さわ子「排水管を取り換えるみたいなんだけど、それが部室にも通ってるから、
立ち入り禁止になっちゃうんですって」

律「このタイミングでか…」

紬「文化祭まで、あと1週間しかないのに…」

澪「文化祭までに、間に合うんですか?」

さわ子「厳しいかもね…」

澪「そんなっ!?」

律「となると、練習場所はあそこしかないな…」

紬「?」

律「がくちゃん家!」

紬「そっかぁ~! 先生のお家なら、設備も整ってるし」

唯「お手柄だね、りっちゃん!」

さわ子「それじゃあ、私は先生の家で練習していいか学校に確認を取ってくるから、
みんなは先生にスタジオを使わせてもらうよう、お願いしてきてくれる?」







唯「…という訳なんだよがくちん!!
どうか、いたいけな軽音部を助けてくだせぇ…!!」

澪「お願いします」

ガク「いいよ。それくらいなら」

律「ホントに!? やったぁ~!」

紬「ありがとうございます~」

ガク「いいよいいよ」 

さわ子「学校側も、理由が理由だから、先生の家で練習していいって」

ガク「それじゃあ僕は仕事があるから一緒には行けないけど、SPに連絡しとくから、早速家に行ってもらっていいよ」



この子たちの顧問として、これくらいはしてやらないとな。

…今月に入った辺りから、感じるんだ。

徐々に…僕の意識がこの世界から離れて行くのを。

この長い長い夢が、覚めてしまおうとしてるのを。

おそらく僕が向こうの世界から旅立った日…

10月20日に、僕はもとの世界に帰るのだろう

文化祭は10月20日。

あっちの世界を離れたのは確か夕方だったから、この子たちの高校最後のライブは見届けられるだろうか…







律「ぷはぁ~!」

澪「この一週間、先生の家で充実した練習ができたな」

唯「そうだね~」

唯「疲れたらおっきなソファーでまったりできるし、もうここを部室にしたいくらいだよ~」

紬「あらあら」

梓「それにしても、先生方にはいつもお世話になりっぱなしですよね…」

律「そうだなぁ~。 何か恩返しできる方法はないものか…」

紬「そうねぇ…」

唯「あっ! そうだあずにゃん!!」

唯「ここってレコーディングできるんだよね!?」

梓「はい、そうみたいですけど…」

唯「使い方わかる!?」

梓「この前教えてもらったので一応…」

梓「…もしかして!?」

唯「そうだよ! 日頃の感謝を演奏に込めて! だよ!!」

律「おぉ~! 唯にしてはいいアイデアだな!!」

澪「私もすごくいいと思う」

紬「素敵だわ~」

唯「それじゃあ早速!」

梓「はい! 準備してきます!!」

澪「それにしてもよく思いついたな」

唯「エヘヘ、それほどでも~」

梓「」カチャ、カチャ

唯「…どう? あずにゃん?」

梓「……はい、準備オッケーです!」

律「よーし、それじゃ…」




~文化祭当日~

律「よーし! そろそろ行くか!」

澪「……」ドキドキ

唯「大丈夫だよ澪ちゃん」

紬「ちゃんと練習もしたし」

梓「いつも通りやりましょう!」

澪「そうだな…」

律「よーし! それじゃやるぞ!」

律・唯・澪・紬・梓「おー!」

梓「…そういえば唯先輩、CDはちゃんと持ってきてますか?」

唯「あっ! がくちゃん家に忘れたままだ!!」

澪「全く…」クスッ

律「まぁ、別に渡すのは今日じゃなくていっか…」



ガチャッ!

さわ子「みんなー! ライブの衣装できたわよー!」

律・唯・澪・紬・梓「おお!」

紬「すごーい!」

梓「かわいい…」

唯「さわちゃんやるぅー!」

律「グッジョブさわちゃん!!」

さわ子「これ…これなのぉー!」

さわ子「もっと言って!」

唯「グッジョブさわちゃーん!」

さわ子「もっともっと!!」

律「グッジョブさわ子ー!!」

さわ子「もっとよー!!!」



梓「それにしてもいい生地使ってますねこれ…」

さわ子「あぁ、それはガクト先生がお金を出してくれたの」

さわ子「『僕には服を作ることはできないから、せめて最高の生地を使わせてあげて』って」

紬「結局、最後までお世話になっちゃったね」

律「そうだな…このライブを最高のものにして、恩返ししてやろうぜー!!」

唯・澪・紬・梓「おおー!!」







和「さあみなさんお待ちかね!
 桜高祭の目玉イベント、『放課後ティータイムに』よる演奏です!!」


ワーワー!

キャー!!


唯「わあ… なにこれ…?」

梓「みんな私たちと同じTシャツ着てる…」

和「さあみなさん、盛大な拍手を!」

唯「和ちゃん!?」

澪「ちょっと和! 何やってるんだよ!?」

和「何かなし崩しにだけど、澪ファンクラブ会長を引き継いじゃったし…」

唯「じゃあじゃあ!」

梓「みんなが着てるTシャツは…!?」

和「落ち着いて」

和「Tシャツは山中先生と神威先生が用意してくれて、ライブ前に一緒にみんなに配ったの」

唯「先生…ありがとう…」グスン

梓「ありがとうございます!」ウルッ



唯「えーっと… 放課後…ティータイムです…グスッ…」


『頑張れ唯ー!』

『頑張れー!』


唯「みんなありがとう…私たちの方がみんなにいろいろしてもらって…」

唯「なんだか涙が出そうです…グスッ」

律「もう泣いてるじゃねーか…」


『アハハハ』

『部長ナイス!』

『澪も何か言ってー!』


澪「あ…ありがとう…」


『キャー!』


唯「それじゃ一曲目…」


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