紬「先生も、紅茶で良かったですか?」

GACKT「うん。 ありがとう」

そういって、ムギちゃんは紅茶とケーキを用意してくれた。 物腰は柔らかく、とてもいい子だ。
大人びていて、とても高2には見えない。

唯「んまぁ~い。 やっぱりムギちゃんのケーキはおいしいね~」

唯ちゃんは、一見ぽわぽわしていて、だらけてそうに見えるけど…いや、だらけてはいるんだろうけど。
でも、頑張らないといけないときは、しっかりと自分の力で頑張れる子なんだろうな。きっと。

この子がギターを初めて約1年とは、驚きだ。

梓「これが終わったら、また練習しましょうね。 まだ一回合わせただけじゃないですか・・・」

唯「え~。 あずにゃん、折角がくちんが来てるんだし、もっとゆっくりしようよ~」

梓「先生が来てくれてるからこそ練習しましょうよ…」

梓ちゃんは、まだ入部して2か月程ということもあり、少しぎこちなさはあるものの…
しっかりと自分の意見も言えているし、この子なら大丈夫だろう。 

ギターの腕も申し分ないし。

…ていうか、がくちんて何だ。 さっきもがくちゃんって呼ばれたし…
でも、何故か悪い気はしない。 不思議だ。

澪「そういえば、先生は主にどんな楽器を演奏されるんですか?」

澪ちゃんは、繊細だけど礼儀正しくて、いい子だ。
ベースも上手いし、頭も良さそう。 まさに優等生って感じだ。

GACKT「一応ピアノと、バイオリンと…金管楽器と木管楽器全般…
あと、バンドのパートは全部できるよ」

GACKT「父親がトランペット奏者でね、幼いころからたくさんやらされたんだ」

律「おほぉ~!! サラブレッド!! じゃあさ、ちょっと何か演奏してみてよ!!」

りっちゃんは…デコがキレイだよね。

元気でいい子だと思う。 意外と周りへの気遣いもできそうだし。
軽音部を立て直したっていう行動力はすごいと思う。

GACKT「いいよ。 じゃあとりあえず、ドラムから…」


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♪♪♪♪♪♪♪♪


律「すげえ~。 プロ並みじゃんか」

唯「ギターもすごい上手だしね」

梓「ホント…スゴイです」

紬「キーボードもすごく綺麗な音色だった~」

澪(ジーッ)ワクワク

GACKT「……」

澪「……」(ジーッ)

GACKT「ごめん、レフティは…ちょっと」

澪「」



澪「ああわかってたよ! どうせそうなる気はしてたんだ」ウワーン

GACKT「まあまあ…明日、僕のベース持って来るからさ…」

澪「ホント…?」ジワッ

GACKT「ホントホント」

一同(かわいい…)



梓「そういえば、先生は左利きなのに楽器は右利き用を使うんですね」

GACKT「レフティは少ないからね。 左利きって不便なことも多いし、
両方の手を使えるようにしてるから、初めて右利き用を触っても、困らなかったよ」

律(スゲーなこの人)

澪(私も右手を使う練習しようかな…)

唯(ケーキおいしー)

さわ子(私…一気に空気……グスッ)







その後、談笑を続けた後、軽く練習を見て、今日はおしまい。
自宅へ帰ろうと、マネージャーに連絡をする。


…?
あれ? おかしいな…
電話が繋がらない…

再度電話をかけ直すものの、やっぱり繋がらない。

その後も、スタッフ・バンドメンバーなどに電話をかけてみたものの、全く繋がらず。

GACKT「どういう事だ…」

全く見当がつかない。 電話が壊れているのかとも思ったが、さっき山中先生からメールが届いていたので、その可能性は薄いだろう。

GACKT「あっ。 僕の車だ」

とりあえず、まずはカーナビを使って、家まで帰ろう。




GACKT「ただいま~」

泉(シェフ)「お疲れ様です。ガクさん」

GACKT「ただいま。 今、マネージャーはどうしてるか知ってる?」

泉「いえ、見てないです。それどころか、今日はスタッフも一人も見なかったですよ」

GACKT(? 誰も…見てない?)

GACKT「泉、今 携帯持ってるか?」

泉「持ってますけど…それがどうしたんですか?」

GACKT「今からお前に電話かけるから」

泉「?」

プルルルル・・・ プルルルル・・・

GACKT(繋がった… スタッフもメンバーもいなくて、電話も繋がらなかったのに… 
…っ!?)

ふと、携帯電話の画面の片隅が目に入った。

『2009年 6月10日』

2009年だって?

思えば、今日の周囲の反応は普段と何か違っていた。 

自分で言うのもなんだが、有名人を目にしたといった反応をする者は皆無だった。

それに加えて、この日付…

泉「ガクさん? どうしたんですか?」

GACKT「いや…何でもない。 ご飯にしようか…」

信じたくはないけど、パラレルワールドってやつか?



食事中、泉に今日起こったこと、自分がさっき考えたことを話した。
もちろん最初は信じてはくれなかったが、結局彼も僕と同じ結論に達したようだ。

ネットで『GACKT』と検索してみたのだ。
すると、ヒットするサイトが全くなかった。
ファンサイトならともかく、公式サイトまでヒットしないのはあり得ない。

レンタルショップにも行ってみた。
しかし、『GACKT』というアーティストのCDはなく、変装もしないで出かけたというのに、周囲の反応もゼロ。



泉「おかしいですね…やっぱり異世界に…」

GACKT「信じたくはないけどね。 とりあえず、家ごと違う世界に飛んで行ったと考えたほうがいいんじゃないかな。」

GACKT「つまり、もといた世界での知り合いも異世界にワープした瞬間に家にいた僕と、お前だけ…」

泉「そんな…」

SP1・SP2「ボス!! どこにいっていたんですか!?」

GACKT「お前らもいたのか…」

でもよかった。 これで僕が学校にいる時も、泉は寂しくないだろう。
この状況をどうするかだけど…考えても仕方ない。 原因がわからないんだから。

とりあえず今はこの状況を楽しもう。 分からないことは分からない。

考えても無駄だ。 

口座も家にあるものも変わっていないみたいだし、生活には困らないだろう。

とりあえず明日、ベースを持っていかないと。




~~~~~~~ぶしつ!!~~~~~~~~

律「おおー!! ガクちゃん!! 今日も来てくれたのか~」

GACKT「約束したからね」

澪「あっ。ベースっ!」

紬「よかったわね~。澪ちゃん」

GACKT「まだみんな来てないみたいだし、今から弾いてあげるよ」


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♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪


澪 ポヘー

唯「へー。やっぱりがくちん、ベースも上手だったんだー」

澪「うん!!ベースの上手な先生が来てくれてよかった」エヘヘ

梓「澪先輩、嬉しそうですね」

律「今まで、澪にはベースの先生っていなかったからな~」

律「そうだ!!」ピーン!

律「ガクちゃん、軽音部の顧問になってよ!!

律「さわちゃんができるのってギターとキーボードくらいだしさ、さわちゃんの補佐って感じで!!」

唯「おっ。いいねー、りっちゃん。わたしもがくちんが顧問なら、うれしいよー」

澪「私も…ベースとか、教えてもらいたい」

律「ガクちゃん、お願げえします!!」

GACKT「いいよ」

この子達といると楽しそうだし…
この子達がどこまで行けるか、興味もあるしね。

唯・律・澪「やったー!」

梓「唯先輩には厳しくするようにお願いします、先生」

唯「あずにゃん先輩、厳しいっす」

紬「あらあら」

いろいろ不安はあるけど、これから楽しくなりそうだ。

律「じゃあ今日はもう下校時間だしさ、帰りに名前掘ってこうぜ!
グラウンドにある桜の木でいいや!!」

唯「おぉ~! 新生軽音部、誕生祝いだね。りっちゃん!」

梓「ちょっ…勝手にそんなことしていいんですか!?」

紬「私、木に名前を彫るのが夢だったの~」キラキラ

澪「ムギまで何言ってるんだ!? あぁ~もう!」

『ゆい・りつ・みお・ムギ・あずにゃん・さわこ・がくと

けいおんぶ!! めざせブドウカン!!!』


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