【とある島】


律「おお! 唯! ビーチがあるぞ!!」

唯「わぁ~! 綺麗な海~!」

梓「に不釣合いな建物が……」


 ヘリで上空から見た感じだと島は直径3kmも無いだろう。

 海に囲まれ、自然の多いのどかな島だ。

 しかし、その中央にはどう考えてもそぐわない巨大な灰色の建物が群居

している。


梓「あの……ここは?」

さわ子「とりあえずヘリポートに降りるわね」


 一行をのせたヘリはポートのある建物を目指して飛ぶ。

 あれが別荘で、ここで季節外れの合宿をする……というわけではなさそ

うだ。

 不安が胸をよぎる。まわりは海や森の美しさに魅せられ、完全に浮かれ

きっているようだ


さわ子「さぁ降りて! 私についてきなさい!」

澪「先生、ここは……」

さわ子「質問はあとあと!」

唯「アイスたべたい」

梓「しりませんよ」

純「うひょー! なんかセレブになった気分」

憂「このおっきな建物はなんなんだろうね」

律「とにかく中はいろーぜぃ!」

紬「……」キョロキョロ

和「どうしたの?キョロキョロして。落し物でもした?」

紬「え、ううん……ただ、豊かな自然を眺めてただけ」

和「そ。ならいいけど」

憂「なんか眠気がとれないな……」

唯「私も~、早くベッドで寝たいよー」



【F号棟内】

ホール


梓「中も広いんですね」

唯「たくさんテレビがあるね」

律「テレビじゃなくてパソコンだろー?」

澪「先生。いい加減話してくれませんか?」

さわ子「……そうね。じゃあ話さしてもらおうかしら」

唯「ほえー」

さわ子「あなたたちをココに連れてきた理由。それはね」

さわ子「みんなシューターをだしてくれる?」

澪「えっ」

さわ子「ここは、シューターをはじめとするありとあらゆるおもちゃを研

究する巨大施設なの」

さわ子「と、これはタカラ◯ミー社の秘密なんだけど」

さわ子「実はあなたたちのシューターにはそれぞれ小さなメモリーカード

が入っているのよ」

梓「メモリーカード?」

さわ子「そう。すべてのシューターに入っているわ」

律「なんのために?」

さわ子「シューターをシューターたらしめるため。情報を記憶してるの」

さわ子「そして使用者のおしっこの質とかを一瞬で解析して反映するのよ

。読み取り機っていったほうがいいかしら」

唯「わぁ! 高性能なんだね!」

憂「でもそんなの全然しりませんでした」

さわ子「言ったでしょ。企業秘密だって」

梓「で、それを回収するんですね。私たちの個人情報がたんまりつまった

カードを」

さわ子「正解! 強いガンマンのデータを集めて次の商品開発の参考にす

るってわけ」

さわ子「わざわざこんなところまで連れてきてごめんね。ここでしかその

メモリーカードは開発してないの」

さわ子「けど学校でシューターだけ回収なんていってもあなたたちは納得

しないでしょ?」

さわ子「だってあなたたちが手に持つそれはもはや体の一部も同然だもの

ね?」

唯「だね!」

さわ子「渡してくれる?」

律「まぁ私の情報を渡すだけで賞金がもらえるなら全然かまわないけど」

澪「そうだな」

純「いいですよー」

さわ子「それじゃあこの箱にシューターをいれてくれる? 取り外すにも

特殊な装置がいるからシューターごと持って行くわ」

憂「後で戻ってくるんですよね?」

さわ子「それはもちろん。解析が終わりしだい解散よ。それまではここで

バケーションでも楽しみなさい」

憂「そういうことなら。どうぞ」ガコン

律「ういっと!」ガコン

唯「ほいほい。また後でねシュー太」ガコン

純「最強ガンマンの私の情報をよりよい商品開発に役立ててください!」

ガコン

和「私のデータなんて役に立つのかしら」ガコン

澪「エリザべス……しばしのお別れだ」ガコン

梓「……どうぞ」ガコン

紬「……あの、私は」

さわ子「ムギちゃんは……そうねぇ」

紬「これ全部外せばいいですか……?」

さわ子「じゃあ特別についてきてもらおっか」

紬「……」

唯「えー、ムギちゃんいいなー」

律「それより遊びにいこうぜ!」

さわ子「今日はもう遅いから明日にしなさい」

澪「そうだぞ」

梓「あの、寝るところはあるんですか?」

さわ子「ちゃんと個室を用意しているわ。ご飯もすぐもっていくわね」

純「やった! お腹ぺこぺこ!」

梓「はぁ、これでやっとゆっくりできる~」

唯「何をいってるあずにゃん! 今夜はトランプ大会だよ!」

梓「えー……さっき眠いっていってたじゃないですか……」



律「よっしゃあ! いちぬけた!」

唯「えーりっちゃん今私の手札みてたでしょー!」

律「んなわけねー」

澪「やれやれ、ババ抜きごときでムキになるなんて」

憂「お姉ちゃんは負けず嫌いだから」

梓「それより、ムギ先輩おそくないですか?」

純「そういえば晩ご飯もきませんでしたね」

唯「きっとあの金ピカのを全部外すのに手こずってるんだよ」

律「なーんか改造しまくってたっぽいしな。」

澪「そもそもアレってシューターなのか?」

梓「シューターらしいですよ。全部でいくつ使ってるかはしりませんけど


唯「いまごろムギちゃんはさわちゃんに脱がせ脱がせいやーんな感じにな

ってるの!?」

梓「装甲外すプレイってどんなんですか」

律「まってても仕方ないしもう寝るか」

憂「そうですね。なんだかんだで10時まわってますし」

澪「明日は早起きして海いきたいな」

律「でも水着もってねー」

純「この時期もう寒くないですか?」

澪「いや泳ぐんじゃなくてその……な!」

唯「作詞だね! かっこいー!」

梓「てか最近練習全然してませんし、ギターの存在すら忘れてました」

律「あの音楽狂の梓ですら虜になるおしっこシューター……バカ売れして

当然だな」

梓「ですね……もっと早く知りたかったです」

唯「学校には持ってきちゃだめって決まりだったからねー」

梓「あの日は持ってきてたじゃないですか」

唯「いやー、学校帰りにおばあちゃんとこでメンテしてもらったほうが楽

だからさー」

和「もうみんな寝なさい。疲れてるでしょ。特に唯と梓ちゃん」

梓「はい。じゃあ私部屋もどります」

唯「あずにゃん一緒に寝ようよ~~」

梓「えぇ……」

憂「お姉ちゃん私じゃだめなの!?」

唯「いやー、あずにゃんとちょっとおしっこシューターについて色々語り

あいたいからね」

唯「なんせ私とあずにゃんはいわば師弟関係にあるから!」

梓「まぁ……いいですけど。夜更かしはヤですよ?」

律「ああ~ん、じゃあ澪たんは私とぉ~」

澪「うるさい」ゴチン

律「ひどい゙っ」

純「あはは、みなさん浮かれすぎですよ。ガンマンたるものいかなる場面

でも冷静に振舞わなくては」

憂「そういえば純ちゃんってほぼ何もしてないのにたくさんお金手にはい

るんだよね」

純「えへっ! 役得だね! も、もちろん律先輩にいくらか渡しますけど

!!」

和「それじゃあみんなおやすみ。お疲れさま」

唯「おやすみ~~!」

梓「おやすみなさいです」


【梓の使用する部屋】


唯「ねぇあずにゃん。電気消すよ?」

梓「はい」

唯「それではお隣りお邪魔しま~す」モゾモゾ

梓「むぐ……もっとそっと寄ってください」

唯「ここからは私とあずにゃんだけの秘密の時間!」

梓「そういうのいいんで」

唯「えー。冷たいなぁ」

梓「唯先輩はどうしてシューターに興味をもったんですか?」

唯「んー、おばあちゃんにすすめられた。流行ってるから唯ちゃんもやっ

てみない?って」

梓「おばあちゃんってあのホビーショップの?」

唯「うん! どうも私才能があるみたいで~でへへ」

梓「そうですね。唯先輩は正直強いと思いますよ」

唯「あずにゃんの師匠だもん! 当然当然!」

梓「もし本戦があったとしたら、私唯先輩と戦ってたんですかね」

唯「どうかなー、トーナメントならあずにゃん勝ち上がってこれる?」

梓「うーん……純にしか勝てそうにないです」

唯「だよねぇ……やっぱ経験の差っておおきいよ」

梓「でもほんとにシューターに出会えてよかったです」

唯「たのしい?」

梓「やみつきですね。とくにトリガーを引く瞬間とか、的に当てたときの

興奮とか」

唯「人を撃つのは?」

梓「それはちょっと……うーん」

唯「あずにゃんはいい子だね」ナデナデ

梓「もうっ。やめてください……子供じゃないんだから」

唯「はいはい。ごめんね、さぁ寝ようか」

梓「はい……おやすみなさい……唯先輩」

唯「おやすみ……」

 モゾモゾ ガサガサ


 んっ。なんだろう……。


唯「……」


 あ、唯先輩……こんな時間にトイレかな?


唯「……」


 どうしたんだろう。なんだか歩き方が変だ。

 妙にキリっとしてるというか。らしくない。


唯「……」

ガチャン

 でていっちゃった……。まぁいいかすぐ戻ってくるでしょ。寝よ。


 そう思い再び目を瞑ろうとしたした瞬間、夜の闇を破るけたたましいサ

イレンの音が建物中に響き渡った。 


梓「なに!? なんなの!」

 すぐに飛び起きる。

 背汗がすごい。

 ここ最近ずっと感じていた言い表わせない嫌な感じ。

 予感が現実となったような、そんな恐怖が体中を駆け巡る。


梓「唯先輩……もどってこない!?」

梓「唯先輩!」


 着の身着のままドアを開け外へでる。

 そしてすぐさま窓越しに飛び込んできた景色に私は思わず肝を冷やした



 真夜中を照らす赤い光、火事だ。

 隣の棟から火の手が上がっている。それも尋常じゃない勢いで。

 隣の棟……そう、そこはF号棟。私たちがシューターを預けた場所だった


 どうしよう、どうしよう。頭がうまく働かない。そういえば、唯先輩は

!? 

梓「唯先輩! どこ行ったんですか!」


 唯先輩のすぐ後に飛び出したはずなのにもう姿が見えない。

 どこ……どこへ行ったの?

 とにかく私も避難しなくては、あの火の勢いだ、ここも直に……そうい

えば澪先輩達は……。


梓「澪先輩! 律先輩! 火事です! 起きてください!」ドンドン 


 しかし中から返事はない。

 こんなに大きな音でカンカンとサイレンが鳴り響いているのにまだ寝て

いるとは考えにくい。

 一体何が起きているの。

 どうして私はひとりなの。


梓「あ……ムギ先輩とさわ子先生は……もしかして隣の建物にいるのかも

……」


 想像しただけで血の気がひいた。


梓「助けに……いかなきゃ」


 逃げ遅れているかもしれない。

 危険かもしれないが、ここは絶海の孤島。外から消防隊が助けがくるこ

とはない。


 それに、シューターも気がかりであった。

 あれは短い間とはいえ、私と苦楽を共にした大事な大事なものなのだ。


梓「いこう……確か連絡橋は二階だったよね……」



 小走りで真っ暗な廊下を駆けていく。 

 相変わらず唯先輩どころか人の気配すらしない。

 なんとも不気味な建物だ。


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