梓「な……戦争でもするつもりですかムギ先輩は!」

紬「……かもしれないわね」

憂「……」

梓「狂ってるです。もはや個人レベルの火力じゃないです」

紬「……」

憂「……逃げよう梓ちゃん」

梓「うん、一度砲門がこっちを向けばあっというまにハチの巣だ」

紬「……シューターさえ置いていけば見逃してあげる」

梓「どうしてそこまでシューターを執拗に狙うんですか」

紬「だって傷つけたくないじゃない。シューターさえ壊せばほぼ脱落でし

ょ??」

梓「でも、シューターは持ち主の身体の一部も同然です! それを破壊す

るなんて」

紬「やっぱり梓ちゃん……知ってしまったのね」

梓「えっ」

紬「遠目ではよく見えなかったけど、さっきの特大の尿弾も梓ちゃんが撃

ったんでしょ?」

梓「……えぇ」

紬「そこまで力をつけているなら、もう容赦はできないわ」

梓「くっ……」

憂「逃げられないの……」

紬「全火力をもってあなたを倒し、その危険なシューターを破壊するわ。

憂ちゃんもよ」

梓「唯先輩と約束したんです……無事勝ち残るって!」

紬「唯ちゃんもおしおきが必要ね。後輩にこんな危険なことをさせるなん

て」

梓「ムギ先輩もノリノリですすめて来たじゃないですか」

紬「それはごめんなさい。けどまさかあなたがここまで力をつけると思っ

てなかったの」

紬「せいぜい公園でキャッキャして終わる程度だとおもってたわ」

梓「それはどーもすいませんね!」

梓「謝るついでに!」

紬「?」

梓「これでもくらえです!!」


 ムギ先輩めがけて特大6cm級の尿弾を発射。

 反動でシューターが額にコツンとぶつかった。


梓「あたれーーー!!」

紬「甘いよ梓ちゃん。それじゃあ私は倒せないわ~~」


 胸部の次はふくらはぎの側面についた小さなコンテナのハッチが展開し

た。

 そこから突然発射されたのはミサイルのような物体。しかしそれもよく

みればおしっこだ!

 左右2発同時に放たれたおしっこのミサイルは私の尿弾に直撃し、空中

で爆散。

 あたり一面におしっこの飛沫が撒き散らされた。


梓「そ、そんな……相殺された!!?」

紬「ふふ、対唯ちゃん戦を考慮して急遽とりつけた迎撃ミサイルユニット

が役に立ったわ」

梓「……!」

紬「さて、梓ちゃん。自分のシューターのシリンダーをのぞいてみて?」

梓「ッ!」

紬「チャージなんてさせないわ」

憂「どどど、どうしよう梓ちゃん」

梓「まずい……もう撃てても小さい弾だけ……」

憂「終わった……」

梓(ここまでか……!!)

紬「…………」

梓「あれ……」

紬「……運がよかったわね梓ちゃん」

梓「は?」

紬「もうすぐ電力が切れちゃうの。私のシューターや装甲は莫大な電力が

必要だから……」

梓「……」

紬「充電しにいくからどいてくれる?」

梓「えっと……」

紬「ここであなたを倒して電力をすっからかんにしたら唯ちゃんにやられ

ちゃうもの」

梓「ゆ、唯先輩はどうなったんですか?」

紬「理科室で戦っていたわ。向こうももうすぐ決着がつくかも」

梓「あなたは漁夫の利を得にきたんですか?」

紬「なんといってくれてもいいわ。だってこれが私の任務だもの」

梓「次あうときは、味方であってほしいと願います」

紬「なら勝ち残ることね」

梓「……」

紬「それと最後に一つ忠告よ」

梓「えっ」

紬「唯ちゃんには気をつけて」

梓「は……?」


 意味がわからなかった。

 どうしてムギ先輩が私たちを狙ってくるのか、なぜ唯先輩を警戒しなけ

ればならないのか。

 一体この戦いはなんのために存在するのか。おしっこガンマンとは。シ

ューターとはなんなのか。

 戦いの疲労でうまく回らない頭で必死に考えても、まだ答えはでそうに

ない。

 いまはただ勝ち残ることだけを考えよう。大切な先輩や友人たちの言葉

を信じて……。



第九話 『戦慄の美少女ガンマン信代』  おわり



フルアーマー琴吹紬

武装

右腕部大型おしっこガトリング
  • 右腕にとりつけられた巨大なガトリングガン。
 貯尿タンクと接続されているため、基本的にはリロードなしで撃ち続け

ることができる。
 また外部シリンダーにより新鮮で高威力な弾を装填することもできる。

胸部大口径内蔵おしっこマシンガン
  • 口径は非常に大きく高火力。
 貯尿タンクと接続されているため、リロードなしで撃ち続けることがで

きる。

眉部おしっこマシンキャノン
  • 主に接近戦での牽制に使われる。

脚部迎撃用おしっこミサイルユニット
  • 対高火力ガンマン相手にとりつけたミサイルユニット。

背部おしっこロケット砲
  • 背負った貯尿タンクをそのままロケットとして撃ち出す。
 しかし使用後は一気に弾切れをおこしてしまうため、使う機会はすくな

い切札。




【屋上】


梓「もうすぐ日没だ……」

憂「さすがに日が暮れると戦闘はおさまるだろうね」

梓「そうあってほしいけど……」

律「大丈夫大丈夫。どっちみち私らはここに陣取ってる限りなにもありゃ

しないさ」

唯「そうだよね。で、あと何人くらい残ってるんだろうね」ムシャムシャ

澪「さぁ。だけど長くてもあと二日ほどで終わるだろうな。食料だって限

りがある」モグモグ

純「いやーしかしやっかいなことになりましたよね」モグモグ

純「ほんとに8人になるま高校を出られないなら……」ムシャムシャ

純「シューターでやられる前にみんなお腹すいて倒れちゃいますよ」ガツ

ガツガツガツ

梓「……」

憂「純ちゃん……だからこうして食料を囲い込んだんだよ」

純「えっ」

唯「空腹で自滅してくれるなら撃たなくてすむしねー弾をどれだけ確保で

きるかもわかんないし」

梓「飲み物なら水道水がありますけど」

澪「私水道水飲むとお腹壊すんだ」

律「あー、わかる。なんか学校の水ってまずいよな」

梓「そうなんですか」

唯「いい物食べていい物飲んだら、特上のおしっこがでるんだよ」

憂「栄養バランスも火力に関係してくるしね」

梓「とりあえず明日に備えて寝ましょうか」

律「んじゃ見張りは順番交代ってことで」

純「わかりましたおやすみなさい! zzz」

憂「じゅ、純ちゃん……」

梓「ちょっと純、あんたほんとここでリタイアさせてあげようか」

唯「zzzz」

憂「お姉ちゃんまで……」

澪「わかった、みんな先寝ていいぞ。最初の2時間は私と律が担当する」

律「えー」


一時間後


澪「……」

律「……ふぁ~あ」


梓「すぴー、すぴーzzz」

純「ぐごごごご……zzz」

憂「すぅすぅ」

唯「んぐー……ぐごー……zzz」


律「……ムギのやつ、どうしてっかな」

澪「さぁ? 元気に暴れまわってるんじゃないか」

律「ちょっと偵察いってきていい?」

澪「何言ってるんだ。電気なんてついてないから真っ暗だぞ」

律「闇討ちは私らの得意分野じゃん」

澪「……だめだ。お前はここに残って階段の見張り」

律「ちぇっ」

律「……」

澪「……」

律「……あのさ」

澪「?」

律「もう……一年も立つんだな」

澪「あぁ……」

律「はじめて人を撃ったとき、澪はどうだった」

澪「……別に」

律「泣いた?」

澪「別に!」

律「そっか」

澪「律こそどうなんだ」

律「あー、私は……泣いたのかもな、あと結構その後ひきずった」

澪「……ふーん」

律「梓は強いよ。今日がはじめてだってのに、全く心が折れてない」

澪「梓か……強敵になるかもな」

律「本戦、どんなルールだと思う?」

澪「去年は……32人でトーナメントしたよな」

律「私二戦目敗退だった」

澪「私も」

律「唯が準決勝敗退だっけ」

澪「それでも……去年と今年じゃ全然違う」

律「あぁ……賞金額だって10倍だ!」

澪「だからその分、油断はできないな」

律「澪は考えすぎじゃないか?」

澪「どうだろ、とりあえずおしっこしてくる」

律「ん」


――――

澪「……ん、でそう……」

チョロ、チョロロロロ

澪「……暗くて色がよくわからないな」

澪「エリザベス、私のおしっこおいしいか?」

澪「うん澪ちゃんおいしいよ(裏声)」

澪「はは、そっか。明日も頑張ろうな」

澪「……よし!」


和「変わった趣味してるのね」

澪「!!」

和「大丈夫よ。他言はしないから。こんなの知られたら『闇を照らす凶星

』の名折れだものね」

澪「和! どうしてここに!」

和「そんなにあからさまに警戒しないで頂戴。傷つくわ。ただ仲間にいれ

てほしくて来たの」

澪「律はどうした!! あいつが階段の見張りをしてたはず!!」

和「……寝てるんだけど」


律「ぐごー……」

澪「り、りつ……こんな局面で眠気に負けるなよ!」

和「で、私もここに居ていいかしら?」

澪「……和は、ムギと交戦したか?」

和「ええ。生徒会の仲間がほとんどやられちゃったわ」

澪「……」

和「だめかしら」

澪「いや……拒む理由はないけど……」

和「先に言っとくわね。私の目的は優勝して弟たちの学費を捻出すること


澪「!」

和「だからこんなところで落ちるわけにはいかないの」

澪「ここにきたということは……やはりムギがネックなのか」

和「そうね。それに四方八方敵だらけ。さすがに参ったわ」

澪「わかった。そのかわり協力もしてもらう」

和「当然ね。あくまで一時的な協定」

澪「わかった。じゃあ引き続き私と見張り番だ」

和「いいわよ。私たち以外にまともに見張りができそうな子なんてほかに

いなさそうだし」

澪「……」

唯「ぐごーーー」

律「ぐーぐー」

梓「にゃむにゃむ……」

憂「すぅすぅ」

純「ずぴーーー」


澪「えっと……二人で交代してやろうか」

和「……そうね」


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