【公園】


梓「ここなら広いし練習できそう」

梓「まずは補給だね。おしっこしなくちゃ」スルスル

梓「えっと、ここにあてがって……」

梓「んっ……あ……でちゃう……」

チョボボボボボ ジョロロロ

梓「ん……」

梓「あ、ちょっと溢れちゃった、あわわどうしよ。手にかかっちゃう」

梓「そいや唯先輩がいってたな。出しすぎるとおもったら予備弾倉にスト

ックすればいいって」

梓「ん……ちょろちょろっとね。あは、いい感じだ」


 「ママーあの人公園でおしっこしてるー」

 「しっ、見ちゃいけません///」


梓「……」

梓「いいや、気にしない気にしない。子供のおもちゃとは違うんだから」

梓「んーなんか的になるものないかなー」キョロキョロ

梓「よし、あの木にしようかな」

梓「……しっかり目標を見据えて……両腕を安定」

梓「い、いくぞー……」

梓「発射ぁ!」カチッ


ピョロロロ……


梓「あ、あれれ……どうして」

梓「なんで勢いよくでないんだろう」

梓「どこか壊れた? んー、銃口になんかつまってるとか?」ジー

ピュルッ ピュー

梓「うにゃあああっ、顔にー」アタフタ

梓「ひいいいっ臭いよー」


純「あはは、あんた何してんの」

梓「!」フキフキ

純「梓ももってるんだ?」

梓「じゅ、純!!! みてたの!?」

純「へー、スタンダードモデルねー……ぷぷ。素人臭」

梓「な、なによぅ」

純「いやー、初々しいなーとおもってさ。てか銃口のぞくとか……ぷぷぷ

ー」

梓「純もやってるんだよね? おしっこシューター」

純「当然じゃん。ていうかいまから始めるとか梓遅れすぎ」

梓「……むう」

純「あ! ってことは私のこともしらないんだ?」

梓「え?」

純「ふふ……この鈴木純様のことをしらないなんて」

梓「えっ、えっっ」

純「シューターハンターの純様と出会った不幸を呪いな」

梓「は?」

少女「しらないの? 純お姉ちゃんはこの辺一帯を仕切る才能あるおしっ

こガンマンなんだよ」

少女2「お姉ちゃんとの勝負にまけたら容赦なくシューターをまき上げら

れちゃうの!」

少女3「シューターハンター、初心者キラー純様の異名は伊達じゃないよ

!」

梓「誰!?」

純「私の子分たちってとこかな」

梓「ってことは純ってすごいの?」

純「うん、私に勝てるやつなんてこの辺りにはいないよ」

梓「……」

純「さてと梓」

梓「!」

純「買ったばかりで浮かれてるところ悪いけど、あんたのシューター。も

らっちゃうから」

梓「!!」

純「あんたにここでおしっこガンマンファイトを申し込む!」

梓「おしっこガンマンファイト……?」

純「ルールは多種多様。今回は私のきめたルールで戦ってもらおうかな」

梓「は?」

純「だってここ私の支配下の公園だし」

少女「さすが純お姉ちゃん姑息!」

少女2「初心者相手にも容赦なし!」

梓「ほんとに負けたら巻き上げられちゃうの?」

純「それがここでのルールだから」

梓「友達からも?」

純「この世界に情けなんてないんだよ」

梓「……わかった」

純「腹括ったようだね。じゃあルールを決めようか」

梓「うん」

純「どうしよっかなー……あ、そうだ!」

純「向こう50M先にある木みえる? あれに付いてる実をどちらがより多

く撃ち落とすか」

梓「え……ちっちゃくて見えないよ」

純「ふふふ……なら当たるまで撃ちまくるしかないね」

梓「……」

純「さて、おしっこを補給するよ」ヌギヌギ

ジョボボボボボボボボボwww

梓「うん……」ヌギヌギ

チョロロロロ…

純「ふふ……」

梓(どうしよう……あんまりでなかった)

純「あんたそんだけでいいの? それじゃせいぜい4、5発しか撃てない

けど?」

梓「しかたないじゃん……でないもんはでないんだから」

純「教えてあげる。いつどこでもおしっこができるように膀胱管理をする

のもガンマンの仕事だよ」

梓「えっらそうに」

純「さて、木の下で子分に落とした木の実をカウントさせるからあんたは

私の横にならびな」

梓「……」

純(圧倒的実力の差に畏れ慄きな)

純「さぁ! あの時計の針が三時をさしたら同時に開始」

梓「……わかった」イジイジ

純「……セーフティは忘れずちゃぁんと外さなきゃだめだよ梓君……くく

く」

梓「うるさいなー」

純「……くるか」

梓「……」

 目をつぶって少しだけ集中。

 相変わらず心地の良いシューターの重さ。

 今回は試射室での30Mとは比べものにならないほどの距離だ。正直点に

しか見えない。

 だけど、あたるわけなんてないと思いつつ、すこし気分は高揚している

。不思議だなぁ。

 あぁ、私、たったこれだけですっかりシューターの虜になっちゃったん

だ。

 待ち遠しい。このかたい引き金を早く弾きたい。あの反動をもう一度こ

の手に……。


 そっと目を開く。視界の右端に映る大時計の針が午後三時を指し示した



純「おっしゃー!! いけええ!!」

 ピュッピュッという音と共に、純のシューターから黄色い水弾がいくつか飛

び出していく。

 それは風をかき分け、目標の木へと迷うことなくまっすぐに進んでいく


 しかし、どれも目標に着弾はせずに、すんでの所でそれていったようだ



純「くっそー、やっぱ遠いかー」

梓「……」

純「なにあんた。撃たないの? 舐めてる?」

梓「待って」

純「セイフティーはずすの手こずってるとか? ぷぷ」

梓「違うってば」

純「ならお先に私がたたき落としちゃうから!!」


 純はどんどん弾を撃ち放つ。しかしどれも当たっていないのだろう。

 子分の少女たちが頭の上で大きな×をつくっている。


純「キー! くやしー」

梓「……」

純「はやくうちなよ。あんたどうしてじっと観てるだけなの」

梓「……集中、してるから」

純「は?」

梓「風……もうちょっと、もうちょっとおさまれば」

純「えっ……」


 まだ西から吹く風がやかましい。これでは弾は大きく左にそれ、木まで

到達するのは難しいだろう。

 直感的だが、私にはそれがわかっていた。

 シューターを構えていると、妙に冷静になるのはなぜだろうか。

 全能感? 出会ったことのない得体のしれない感覚が、いまはまだ引き

金をひくべきではないと教えてくれる。

 隣では純がやけになってカチカチカチカチと無駄撃ちを繰り返す。


 馬鹿だなぁ……。 


純「バンバン! バンバン!」

純「あたれあたれー!」

純「バンバンバンバン!」

カチッ カチッ

純「あ、あれ……嘘、弾切れ!?」

梓「……純」

純「チッ……でもね梓、あんたが当てない限りは私の負けではないんだよ!

 わっはっは!」

梓「……そうだね」

純「ちょっと、人と話すときは顔をみろって習わなかった?」

梓「純……この勝負、私の勝ちかもしれない」

純「は? まだ一発も撃ってないくせになにいってんの。気でも違った?


梓「だって……風が……やんだから」


 瞬間、チャンスを見逃さずトリガーを引く。

 手に伝わる重たい反動。すこしだけ顔にしぶきがかかり不快だった。

 解き放たれた直径5センチにも満たないおしっこの弾丸は、静寂に包ま

れた公園を切り裂いてまっすぐ飛んでいく……。


純「なっ……!!」

梓「……いけ……」

梓「いけええ!!」

 木に着弾。葉が舞い散り、おおきく揺れる。

 その直後、遠くで少女たちが腕で大きな◯を描いた。


純「……」

梓「……あたった」

純「……ちょ、ちょっとまって梓!!」

梓「?」

純「いまさ、弾が異常なほど収束してなかった!?」

梓「?」

純「だってあんたのシリンダーの中! 空っぽじゃん! 4、5発分はあ

ったようにみえたんだけど!!」

梓「……あぁ、そういえばそうだね。なんでだろ」

純「なんでだろって……ふ、ふつーのモデルだよねそれ!?」

梓「うん。1200円くらいで買ったよ」

純「……そんなに威力がでるなんて……ありえない」

梓「で、勝ったわけだけど。約束通り一発あてたよ?」

純「ま、まちなって! あんたずるしたでしょ!」

梓「してないよ」

純「おかしいおかしいおかしい! 初心者が50Mも先の的あてれるわけな

いじゃん!」

梓「そんな勝負ふっかけるなんて純のほうがずるくない?」

純「……」

梓「……」

純「……敗者は勝者にシューターを渡す……これが私のルール」

梓「いらないよそんな臭いの」

純「ちゃんと洗ってるし!」

梓「いらないってば……それよりさ」

梓「なんかいい特訓方法おしえてよ! 私今度のおしっこガンマン大会に

でるんだぁ!」

純「嘘……でるの?」

梓「うん」

純「……わかった。いまのあんたじゃおそらく勝ち進められない」

梓「だろうね」

純「私が基本から叩き込んであげる。この純様が」

梓「うん、なんでもいいから知織がほしいな」

純「でもね、並大抵のことじゃ大会参加なんて無理だよ」

梓「えっ?」

純「……私は今年が初参加だけど、アレはどうも魔窟らしい……」

梓「そうなんだ。なんかお気軽射撃フェスティバルっぽいイメージだった

んだけど」

純「とりあえずまずは体力づくりから! はい、公園10周!」

梓「えー、もっと撃ちたいんだけど」

純「おしっこないじゃん」

梓「……そうだった」

純「一日に撃てる量なんてそうそう限られてるんだから無駄にしない様に

ね」



その晩

梓「そういえばおしっこシューターの説明書よんでなかったな」

梓「なになに」

梓「……なるほど、おしっこの濃度や質、鮮度で威力が変わるんだ」

梓「だからがぶがぶ飲んでだした薄いおしっこじゃあんまり意味ないって

ことかぁ」

梓「じゃあこのストックしてるおしっこも数日したらゴミ弾になるってこ

とね」


梓「シューターにはさまざまなタイプがあります」

梓「自分にあったシューターを使い、たのしいおしっこガンマンライフを

お過ごしください」

梓「へぇ」

梓「そういや他の先輩たちもやってるんだよね」

梓「みんなうまいのかな」

梓「……」

梓(試射室の唯先輩かっこよかったなぁ……)

梓「っと、誘ってくれた唯先輩に恥かかさないためにもうまくならなきゃ

!」

梓「家でできることは弾道イメージトレーニングと膀胱管理、筋トレ、メ

ンテナンスくらいかぁ」

梓「……集中集中」

梓「…………」

梓「……」

梓「……だめだ、シューターにちゃんとおしっこいれないとなんかやる気

でない」

梓「でるかな……んっ……」

チョロッ……

梓「でたでた!」

梓「ってこんだけかー……」

梓「いいや……バーン!!」

ピュッ  バコン! 

梓「うわわわわわ、パソコンがふっとんだ!!!」


 『室内での仕様はお控えください』



おしっこガンマンあずにゃん 第一話:了



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