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音楽室。

澪「…………」

紬「…………」

澪「…………」

紬「…………」

澪「…………」

紬「…………」

唯「……どうする?」

律「どうにもならんだろ……」

澪はライブ終了時にすっ転んで
客にパンツを晒してヘコみ、
そして紬はそのせいで
ライブが台無しになってヘコんでいる。

唯「ま、まあ、元気だしてよ、2人とも……」

澪「……」

律「澪もムギも、立ち直れよ」

澪「……無理だよそんなの……」

律「いいじゃないか、
別に下着くらいさ、減るもんじゃなし」

澪「そういう問題じゃない!
私のせいでライブをダメにしてしまったんだ、
せっかくのライブを……」

紬「……」

澪「ごめんムギ、本当にごめん!!」がばっ

律「もー、何百回土下座すれば気が済むんだよ」

澪「それを決めるのはムギだよ……
ムギに許してもらうまでは何度でもやる」

紬「……」

唯「ほらムギちゃんもさ」

紬「……」

唯「澪ちゃんがこんなに真剣に謝ってるんだから、
いつまでもへそ曲げてないで」

紬「……」

唯「過去のことを気にしても仕方ないよ、
これからのことを考えよう」

律「お、良いこと言うなあ唯」

紬「コレカラノコト……?」

唯「そうだよ、告白するんでしょ?
斉藤さんに」

律「そうそう」

紬「無理よ、そんなの……相手は執事よ、
告白することさえ許されないわ」

律「自身をすっかり失ってらっしゃる……」

紬「そうよ、最初から無理だったのよ……
ライブも……告白も……
私に恋なんて……
人が生きる意味は……
地球ができて46億年……
そう人生など塵でしかない……」

澪「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ガンガンガン

律「床に頭を打ち付けるのはやめろ」

唯「はあ、どうしよ……」

律「うーん……
ムギの気が収まるまで待つしか……」



コンコン

唯「? はーい、どうぞお」

ガチャ
斉藤「軽音楽部、でよろしかったでしょうか」



澪「さ、斉藤さん」

唯「え、この人が?」

律(オジイサンじゃないか……)

唯(ムギちゃんこういう趣味だったのか)


斉藤「お嬢様……」

紬「こ、来ないでちょうだい……
今の私は貴方に合わせる顔はないわ……」

澪「すみませんすみません私のせいで」ガンガンガン

斉藤「そんなことはございません、お嬢様。
私、お嬢様の演奏を客席から拝見しておりました」

紬「……」

斉藤「確かにライブにはハプニングがございましたが、
それも予期できなかった事故、
この方が悪いと言うわけではございませぬ」

澪「ありがとうございますありがとうございます」ガンガン

紬「私は完璧なライブを見て欲しかったのよ……」

斉藤「私にとっては完璧なライブでございました」

紬「嘘……」

斉藤「嘘ではございません。
お嬢様が、あんな大勢の前で
立派に演奏をこなされたのです。
それ以上に何を望みましょう」

紬「……」

斉藤「それに、演奏された曲は
お嬢様がお書きになった曲でしょう」

紬「……斉藤も書いたでしょう」

斉藤「私はお嬢様の書いた曲を
バンド音楽向けに編曲しただけでございます。
あれは正真正銘、お嬢様の曲ですよ」

紬「……」

斉藤「聴衆は皆、お嬢様の曲に聞き惚れておりました。
私もその一人でございます」

紬「……」

斉藤「お嬢様はライブを成功させたのですよ」

紬「……」

斉藤「お嬢様……」

紬「……」

斉藤「どうか機嫌を……」

紬「……」

澪「すみませんすみません」ガンガン

斉藤「私は……どうすれば」

唯「それは斉藤さんが一番よく知ってるはずです!」

斉藤「!」

律「唯……!」

唯「だって、斉藤さんは昔からずっと
ムギちゃんの一番側に居たんですから」

斉藤「……そう……そうですね。
ありがとうございます、お嬢さん」

唯「はいっ」

紬に歩み寄る斉藤。

斉藤「お嬢様」

紬「……、…………!!」

そして斉藤は、
そっと紬を抱きよせて
頭を優しく撫でたのであった。

唯「おお……」

律「ダイタンだな」

紬「ななななななななななにをするんですか斉藤!!」

斉藤「昔より、お嬢様が拗ねられた際には
こうしておりました」

紬「わ、私はっ……拗ねてなんか……!
とにかく離しなさい!!」

律「顔真っ赤だぞー」

紬「うるさいっ!」


斉藤「知らないうちに大きくなられましたな」


紬「や、やめっ……」


斉藤「いや……大きくなったのは知っておりました。
しかし目で見るのと、こうして触れ合うのとでは
また印象が違うものですね」


紬「何を言って……」


斉藤「そして……目で見ても肌に触れても
分からないであろうお嬢様の成長が、
今日は感じることができました」


紬「……!」


斉藤「素晴らしいライブでしたよ、お嬢様」


紬「……」


斉藤「……大人になられましたな」ぎゅっ


紬「……っ」

唯律澪(私達はここにいて良いんだろうか)



斉藤「もう機嫌は直られましたかな」

紬「ええ……もういいわ」

斉藤「かしこまりました」

斉藤は紬を離した。

紬「……」

斉藤「お嬢様、皆様に言わねばならないことがあるでしょう」

紬「ええ。ごめんね、みんな……
特に澪ちゃん、ほんとは澪ちゃんが悪いわけじゃないのに……
その、私……」

澪「いやいいんだよ、気にしないでくれ」

律「デコから血がドバドバ出てるぞ」

紬「ありがとう、澪ちゃん……
あと、素敵なライブにしてくれて、ありがとう」

律「どういたしまして」

唯「こっちこそありがとうだよ、ムギちゃん」

斉藤「良い仲間を持たれましたな」

紬「ええ」

唯「それよりー、ムギちゃんこそ
斉藤さんに言うことがあるんじゃないのー?」

斉藤「ほう」

紬「ちょ、ゆ、唯ちゃん……!」

唯「ほらほらー言っちゃいなよー」

律「おい唯~そういうのやめろよぉ~」

澪「そうだぞ~かわいそーだろ~」

紬「すごく嬉しそうな顔してるわねみんな」

斉藤「お嬢様、私に言いたいこととは?」

紬「っ……」

唯「言っちゃえムギちゃん!」

澪「私達は外にでてようか」

律「そうだな。ほら唯」

唯「えー」

紬「ここにいてくださいお願いします」

澪「ムギって意外と意気地なしだな……」

紬「…………」

斉藤「…………」

紬「…………」

斉藤「……お嬢様?」

紬「えっと、その……」

斉藤「はい」

紬「私、斉藤が……」

唯「おっ」

紬「斉藤が……斉藤に……」

唯「お?」

紬「斉藤に……
もう、お嬢様って呼ばれるのは、嫌だわ」

斉藤「……」

唯「……」

澪「……」

律「なんだそりゃ」

紬「もう私お嬢様じゃないわ」

斉藤「そうでございますね」

紬「だから……
名前で、呼んで」

斉藤「かしこまりました、紬さま」

紬「……、…………ありがとう」

斉藤「これでよろしいのですか、紬さま」

紬「ええ…………充分よ」

斉藤「そうでございますか。
では私は、家の仕事がございますので、
これで失礼いたします」

紬「ええ」

斉藤「では」
ガチャバタン



唯「……」

澪「……」

律「てっきり告白するのかと思ったのに」

唯「そうだよ、拍子抜けだよ」

紬「いいのよ、今はあれで……
それに愛の告白なんてする気はなかったわ。
私がもう子供じゃないってことを、
一人の女性だってことを分かってもらえれば、
それで良かったの」

唯「ふうん……?」

紬「今はスッキリしてるわ。
素直に仲良くなれそうな気がする」

唯「そっか、良かったね。ムギちゃん」

律「ええ話や……なあ澪」

澪「……そうだな」

唯「いーなー、私も恋とかしたいなー」

律「お、恋に恋するお年頃てやつか」

紬「ふふ、唯ちゃんならきっと素敵な恋ができるわよ」

唯「ほんとにー?」

紬「ええ……って、唯ちゃん好きな人いるんじゃ?
同じ中学だったサッカー部の」

唯「あっ」


お わ り




これでおしまい

前に斉藤→紬で書いたので
今度は紬→斉藤にした

オチは許せよ