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律「反魂の法・・・?」

オカ研1「そう・・・死者を現世に呼び戻す術・・・」

オカ研2「それに必要な一式が・・・行方不明」

紬「それを唯ちゃんが持ってるっていうの?」

オカ研1「恐らく・・・」

澪「・・・なぁ・・・もしかして唯のやつ、それでおばあちゃんを呼び戻そうとしてるんじゃ・・・?」

オカ研2「平沢さんに・・・最近不幸があった・・・?」

澪「あぁ、この間、仲良くしてたおばあちゃんが亡くなったらしいんだ」

オカ研1「・・・それだ」

オカ研2「間違いない・・・」

律「その『反魂の法』をすると、どういうことが起きるんだ?」

オカ研1「死者が現世に降り立つ・・・・・・・・・・・・ように見える」

澪「ように・・・見える?」

オカ研2「その正体は・・・死者に化けた悪魔。召喚主の生気を吸い取ろうとする」

紬「生気を・・・?」

オカ研1「生気を吸われた人間は、気力を失ったような状態になる・・・」

オカ研2「そして、体力が奪われ、体の節々が痛み出す。・・・痛みは呪いのサイン」

オカ研1「しかし無意識のうちに、召喚主は何度も術を使いたい衝動にかられる・・・」

オカ研2「恐らく平沢さんは、もう何度も悪魔を呼び出している」

紬「そんな・・・!」

オカ研1「多分・・・反魂の法に必要な反魂樹も、持ち出された量を考えると、もうすぐ無くなる・・・」

オカ研2「反魂樹のストックが無くなれば、術を使うことはできない」

律「そ、それはいい事なんじゃないのか?術が使えなければ終わりだろ!?」

オカ研1「それが、一番良くない」

オカ研2「反魂樹が尽きる直前、悪魔はあることを要求する」

澪「ある・・・こと?」


オカ研1「それは・・・・・・・・・」


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「おや、唯ちゃん、もう反魂樹が、残り少ないみたいだねぇ」

唯「あっ、そうなんだよ。大事に使ってたんだけど・・・」

「反魂樹が無ければ、私がこっちに来ることはできないのよ・・・」

唯「そんな!おばあちゃん、どうにかできないの!?」

「・・・天国には反魂樹はいっぱい生えてるけど、ここには持ってこれないねぇ・・・」

唯「そんな・・・!」

「一つだけ、いい方法があるんだよ」

唯「いい方法?」

「それはね、私が生き返ることだよ・・・」

唯「生き返る・・・」

「ちゃんと生き返ることが出来れば、これからも唯ちゃんとお話できるよ」

唯「どうすればいいの?教えて!」

「あぁもちろんだよ。でもそれは、一人じゃできないんだよ」

唯「一人じゃできない・・・?」

「そう。でも唯ちゃんなら、すぐに出来る方法だよ。安心して」

唯「ねぇ、早く教えてよ、どうすればおばあちゃんが生き返るの?」


「私が生き返るためにはね・・・・・・・・・」


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純「掃除終わったー!」

憂「お疲れ、純ちゃん、梓ちゃん」

梓「今日に限って掃除当番の人の休み多いんだもん、時間かかっちゃったね」


プルルル、プルルル


梓「あっ、電話」

梓「もしもし?・・・・・・あ、唯先輩ですか?」

憂「えっ・・・?お姉ちゃん・・・?」

梓「はい・・・はい・・・え、今からですか?」

梓「裏山・・・?あ、はい・・・わかりました・・・今から行きます。はい、では」

純「ん?唯先輩から?」

梓「うん。何か急いで来てほしいんだって。ごめんね、私先帰るね」

憂「あ、梓ちゃん!」

梓「じゃあまた明日ね、二人とも」

純「じゃね~」


タッタッタ.....


憂「・・・お姉ちゃん・・・・・・」

純「ん?どうしたの?憂」

憂「お姉ちゃんね、今日風邪で早退したの・・・」

純「えっ」

憂「なのにいきなり梓ちゃんを呼ぶなんて・・・どうしたんだろう・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


梓「唯せんぱーい、どこですかー」

唯「あ!あずにゃん!」

梓「唯先輩、どうしたんですか?こんな裏山に呼び出して。・・・やっぱり疲れてるように見えますけど・・・」

唯「あずにゃん、実はね、お願いがあるの」

梓「お願い・・・?」

唯「こっちに来て・・・」

ガサッ

唯「ほら、これ見て」

梓「えっ・・・これって・・・・・・な、何ですか・・・?ローソクが・・・並んでて・・・」

唯「儀式のあとだよ。『反魂の法』っていうの」

梓「はんごん・・・のほう?」

唯「この術はね、すごいんだよ。死んだ人を生き返らすことができるんだよ」

梓「唯先輩・・・?何を言ってるんですか?」

唯「実はね、ここんところずっと、この術を使って、おばあちゃんと話してたの」

梓「え・・・?」

唯「でもね、おばあちゃんをちゃんと生き返らすためには、まだ足りないものがあるんだって」

梓「唯・・・先輩・・・?」

唯「だから、あずにゃんに協力してほしいんだ――」

梓「えっ・・・それって・・・ナ、ナイフ・・・?ま、まさか・・・・・・」



唯「大丈夫、刺すときは少し、痛いかもしれないけど」

梓「ひっ・・・」

唯「安心して、あずにゃん。私、もう人を生き返すことができるんだから」

唯「あずにゃんを一度イケニエに捧げても、すぐに生き返してあげるよ・・・!!」

梓「ゆ・・・唯・・・先輩・・・」

唯「さぁ・・・あずにゃん・・・こっちに来て・・・」

梓「い、いや・・・・・・」

唯「大丈夫だって・・・暴れなければ、一発で終わるから・・・」

梓「やだ・・・たすけ・・・・・・だれ・・・か・・・」


唯「あずにゃん・・・少しだけお別れ。また、後でね・・・」





「あずさあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




唯「!?」

律「うおおおりゃああああぁぁぁぁ!!!!!」


――バキィッ!!

唯「グッ・・・」

ドサッ

律「梓!逃げろ!!早く!」

梓「り、りつせんぱ・・・」

律「澪、ムギ!唯を取り押さえろ!!」

澪「わかった!」

紬「唯ちゃん!そこまでよ!」

梓「み、皆さん・・・たすけに・・・きて・・・くれて・・・・・・・・・」

唯「どうして・・・ここが・・・」


オカ研1「ダウジングした・・・」

オカ研2「瘴気が溢れていた・・・」

唯「くっ・・・」

律「唯、私たちに隠れてこんなことを・・・!」

唯「離してよ・・・」

澪「駄目だ!唯、離さないぞ」

唯「離してよ・・・・・・離せよ・・・離せよ!おい!離せよ!うわあああぁぁぁ!!!」

紬「ゆ、唯ちゃん・・・!?」

オカ研1「もう、彼女の中身は平沢唯ではない・・・」

オカ研2「ただの、生気を喰らう悪魔・・・」

唯「離せ!離せよ!ううぅぅ・・・・・・・・・ぐっ・・・・・・・・・」ガクッ

澪「!? 唯!?」

紬「唯ちゃん!?」

オカ研1「・・・悪魔は逃げた・・・」

オカ研2「その体は・・・もう抜け殻・・・・・・」

律「抜け・・・殻・・・・・・?」


澪「おい・・・唯・・・?」

紬「唯ちゃん・・・?しっかりして・・・?」

澪「唯・・・!?た、大変だ・・・脈が無いぞ!?」


律「そ、そんな・・・どういうことだよ!おい!」

オカ研1「・・・平沢唯の魂は・・・悪魔に喰われてしまった・・・」

オカ研2「残念ながら・・・もう戻らない・・・・・・」

澪「え・・・」

紬「そ、そんな・・・唯ちゃん・・・」

梓「・・・・・・唯先輩・・・死んじゃったんです・・・か・・・?」

オカ研1「反魂の法は・・・禁断の秘法」

オカ研2「手を出してはいけない・・・」

梓「・・・・・・・・・唯・・・先輩・・・そんな・・・ことって・・・」

律「・・・何だよ、それ・・・・・・どうすんだよ・・・唯は・・・どうなるんだよ・・・!」

オカ研1「平沢唯の死体は、我々が浄化の儀式を行う・・・」

オカ研2「でも・・・死んだ人を生き返すことは、できない・・・」

澪「唯・・・唯・・・」

紬「ううっ・・・・・・」

律「・・・ちくしょう・・・こんなのって・・・アリかよ・・・」

梓「そんな・・・唯先輩・・・・・・」

オカ研1「・・・・・・」

オカ研2「・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・



  一年後



梓「・・・・・・」

梓「・・・お久しぶりです、唯先輩」

梓「なかなか来れなくってごめんなさい」

梓「唯先輩は明るい花が似合うと思って、ヒマワリ持ってきました。・・・お墓には、合いませんかね」


梓「あの後・・・大変だったんですよ、唯先輩」

梓「みんなはもちろん、憂が相当なショックを受けて」

梓「憂は私と純でなんとか支えてあげて、でも半年くらいは笑顔も見せないで」

梓「最近になって、ようやく笑えるようになったんです」



梓「・・・それにしても、驚きました。呪いが現実にあるなんて」

梓「オカルト研究会は凄いですね。そこに目をつけた唯先輩も凄いですが」

梓「まだまだ、この世はわからないことだらけです・・・」


梓「でも、唯先輩がいなくなって、いろんなことがわかりました」

梓「いろんな人が、唯先輩に支えられてたんです」

梓「唯先輩は、やっぱり凄いです。みんなが、唯先輩を必要としていたんです」

梓「唯先輩は、生きてなきゃいけない人なんです。こんなところで死んでちゃ駄目なんです」



梓「唯先輩、私、あれから、一生懸命勉強しました」


梓「いろんな資料を集め、研究しました」

梓「実は私も、オカ研の部室に忍び込みましたよ。あそこは資料の宝庫です」

梓「唯先輩の方法は、不完全だったんです」

梓「正しい方法でやれば、呪いなんて生まれないんですよ」




梓「今から本当の『反魂の法』・・・見せてあげますよ」

梓「唯先輩・・・・・・・・・骨壷、借りますね・・・・・・」


プルルル、プルルル・・・


梓「あっ、もしもし、純?」


梓「今から会えない?・・・うん、二人で」


梓「ちょっと話したいことがあるんだ・・・」





 End