夜


唯「・・・・・・・・・」

唯「・・・・・・・・・」

唯「・・・もう、憂は寝たかな」

唯「そろーり、そろーり・・・」


ガチャ

唯「・・・ごめんね、憂、ちょっと出かけてくるね・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・

唯「あ、あの~」

用務員「ん?なんだね?こんな夜に」

唯「私、この学校の生徒なんですが、実はオカ研の部室に忘れ物をしちゃって・・・」

用務員「明日じゃ駄目なのかい?」

唯「どうしても今日必要なんです!明日提出の宿題で・・・」

用務員「ん~、ほんとは駄目なんだけど、今回は特別だよ。はい、これオカルト研究会の部屋の鍵」

ガチャ

唯「あ、ありがとうございます!」

唯(あっさりと入れたよ)


唯「・・・オカ研の部室は夜来ると怖いなぁ」

唯「ノートをしまった引き出し、鍵かけてたけど・・・」

唯「ふっふっふ、ちゃんと鍵をしまう瞬間をチェックしておいたのです」フンス

唯「あと反魂樹のしまう場所もね」

ガチャ

唯「これが・・・反魂樹と秘密のノート・・・」

唯「これさえあれば・・・・・・おばあちゃんに会える・・・!」



  翌日


コンコン

憂「お姉ちゃん、おはよう」

唯「あ、憂、おはよう・・・」

憂「眠そうだね」

唯「うん・・・」

憂「さ、学校行く準備しよ?」

唯「あっ・・・き、今日も・・・休んで・・・いい?」

憂「えっ・・・?」

唯「あ、あのね、おばあちゃんのお墓に行きたいの。私、お通夜のとき泣いてただけだったし・・・」

憂「・・・そっか・・・そうだね、おばあちゃんも喜ぶよ」

唯「ごめんね、またサボって」

憂「うぅん、仕方ないよ。さわ子先生にも言っておくね」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


唯「昨日ノートを読んだ限りだと・・・」

唯「術には死んだ人の骨が必要なんだって・・・」

唯「あとお札と・・・ロウソクと・・・」

唯「急いで集めなくっちゃ」


  一文字家の墓


唯「おばあちゃん・・・」

唯「この下に、おばあちゃんは眠ってるんだね・・・」

唯「・・・・・・ちょっとだけ、失礼するね」

ゴトッ

唯「おばあちゃんの骨壷・・・」

唯「・・・少し、借りるね、おばあちゃん」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


唯「なんとか必要なものは集めたけど・・・」

唯「ほんとに大丈夫かなぁ。お札は神社で買ったけど、ロウソクは100円ショップのだし」

唯「えーっと、まずは・・・ロウソクを並べて・・・」


ガチャ

憂「お姉ちゃんただいまー」

唯「わわっ、憂が帰ってきちゃった」

唯「やっぱり夜にやろう」



  夜


唯「最近生活リズム崩れてきてるなぁ・・・」

唯「まぁいいや、憂も寝たし、いよいよだね・・・」

唯「ロウソクの設置もしたし、準備はOKだよ」

唯「えっと、まずは・・・『並べたロウソクの中心に骨を置く』」

唯「・・・こう・・・かな」

唯「・・・おばあちゃんの骨・・・・・・」

唯「次に『ナツメの葉をすりつぶして骨に乗せる』」

唯「その次は・・・・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


唯「・・・・・・・・・疲れた・・・」

唯「まさか一時間近くお経を唱えるとはね・・・」

唯「ふりがなは振ってあったけど、ちゃんと唱えられたかわかんないし・・・」

唯「でもいよいよ最後だよ。・・・・・・最後は・・・『骨の上で反魂樹を燃やす』」

唯「『すると煙の中から死者の姿が現れる』だって・・・」

唯「・・・・・・」ゴクリ

唯「反魂樹のかけらを置いて・・・火を・・・つける・・・・・・」

パチ・・・パチ・・・

唯「火事にならないかな・・・大丈夫かな・・・」

パチ・・・パチ・・・

唯「・・・煙がすごい出てきた・・・・・・」

パチ・・・パチ・・・

唯「でも不思議・・・火が大きくならないよ・・・」

パチ・・・パチ・・・

唯「・・・ん?」

唯「煙がだんだん・・・・・・・・・・・・人影に!?」

唯「も、もしかして・・・・・・おばあちゃん!?」

唯「うそっ!?ほんとに成功しちゃった!!」

唯「おばあちゃん!私だよ!唯だよ!」


「・・・・・・・・・ゆい、ちゃん?」


唯「おばあちゃん!」

「そう・・・唯ちゃんなのね」

唯「ほんとにおばあちゃんなの!?ねぇ!?」

「えぇ・・・おばあちゃんよ・・・」

唯「おばあ・・・ちゃん・・・!・・・ひっく・・・」

「唯ちゃん・・・私を呼んだってことは・・・言いたいことがあるんでしょう?」

唯「そ、そだ!おばあちゃん!私、おばあちゃんに謝りたいの!」

「あら、なぁに?」

唯「私、おばあちゃんにいっつも良くしてもらってたけど、いつもそれで終わってた」

唯「おばあちゃんに何にも出来てないの。だから謝りたくって。ごめんなさい」

「・・・唯ちゃん、そんなことないわよ」

「いっつも元気な唯ちゃんを見てるだけで、私は幸せだったのよ」

「むしろ私が唯ちゃんにいつも助けられてたわ。ありがとう、唯ちゃん・・・」

唯「おばあちゃん・・・」

プスプス・・・

唯「あ、あれ?おばあちゃんがだんだん薄く・・・」

「・・・反魂樹が燃え尽きるみたいだねぇ・・・・・・」

唯「お、おばあちゃん、反魂樹のこと、知ってるの?」

「えぇ・・・天国には、たくさん生えてるわよ」

唯「ねぇ!おばあちゃんのこと、また呼んでもいい!?」

「いつでもいいわよ。待ってるから・・・」

唯「おばあちゃん・・・ありがとう!」

「またね・・・唯ちゃん・・・・・・」


唯「・・・・・・・・・・・・消えちゃった」



  翌日


コンコン

憂「お姉ちゃん、おはよう・・・って起きてるの?」

唯「う、憂、おはよ~」

憂「お姉ちゃんが早起きなんて珍しいね・・・目の下にクマがあるよ」

唯「え?うん、だ、大丈夫だよ!」

憂「そう・・・今日は、学校・・・行けそう?」

唯「そうだね。さすがにもうサボれないもんね」

憂「本当?嬉しい!じゃあ準備するね♪」

唯(本当は一睡もしてないんだけど・・・ね)


――――

律「おーっす!唯!」

澪「唯、おはよう!」

紬「唯ちゃんおはよう♪」

唯「おはよ~、みんな」

さわ子「はいはい、もう予鈴は鳴ってるわよー」

律「本鈴は鳴ってませーん」

さわ子「屁理屈こねない。さっさと座りなさい」

律「ぶー」



  放課後


梓「お久しぶりです、唯先輩!」

唯「あずにゃ~ん、久しぶり~」ギュー

梓「わっ!いきなりくっつかないで下さい!」

律「そんなこと言いつつ、幸せそうじゃないか、ん?」

梓「そ、そんなこと・・・」

律「・・・ま、その様子だと、もう大丈夫みたいだな」

唯「えへへ、おばあちゃんに直に謝れたからね」

律「へっ?」

唯「あ、いや、な、なんでもないよ、あはは・・・」

澪「夢に・・・出てきたのか?」

唯「う、うん!そう!」

紬「まぁ、ロマンチックね」

唯「え、えへへ・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・

唯「ただいまー!」

憂「お帰り、お姉ちゃん」

唯「お、今日はハンバーグですな」

憂「うん、そうだよ・・・お姉ちゃん、なんだかスッキリしてるね」

唯「えへへ、授業中に寝たからね」

憂「もう、ちゃんと授業は受けなきゃ駄目だよ?」



  夜


唯「・・・今日もまたロウソク並べなきゃ・・・」

唯「面倒くさいなぁ・・・」

唯「どっかそのままにしておける場所があればいいんだけど・・・」

唯「・・・・・・外とかのほうがいいかなぁ」

唯「見つからないようにすれば、そっちのほうが効率いいよね」

唯「・・・憂にはいつか見つかっちゃいそうだし」

唯「・・・・・・憂にばれないように、裏山に行こう・・・・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


唯「よしっ、これでバッチリだね」

唯「こんなところには誰も来ないだろうし」

唯「・・・お経唱えたりするのは、面倒くさいけど仕方ないよね」

唯「おばあちゃんに会うためなんだから、何だってするよ!」フンス

唯「それじゃ、始めるよ・・・」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


唯「で・・・最後に火をつけて・・・・・・」

パチ・・・パチ・・・

唯「・・・・・・出た!」


「ゆいちゃん・・・?」

唯「おばあちゃん!」

「唯ちゃん、また呼んでくれたの?」

唯「うん!おばあちゃんとまた話がしたくて!」

「そう・・・ありがとうね・・・」

唯「えへへ・・・」

「それじゃあ、いっぱいお話しようねぇ・・・」



  翌日


先生「で、こことここが錯角となるから・・・」

先生「・・・・・・おーい、平沢ー」

唯「・・・グー」

先生「いつも寝てるが、今日はいつにもまして酷いな・・・」

唯「・・・グー」

先生「いびきで返事をするな・・・」

和「・・・唯、起きなさい、唯」

唯「・・・グー」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


唯「・・・はっ!」

和「はっ!じゃないわよ。とっくに昼休みよ」

律「うわー、すげーよだれ。熟睡じゃん」

澪「唯、いくらなんでも寝すぎだぞ」

紬「駄目よ唯ちゃん、授業はちゃんと受けなきゃ」

唯「ご、ごめん・・・疲れてて・・・」

和「夜はちゃんと寝てるの?」

唯「え?えと、最近夜更かし気味かな~・・・」

和「駄目よ、夜はちゃんと寝ないと」

律「子供みたいだな・・・」

唯「ど、努力はするよ!」

和「そう、ならいいけど・・・」



  夜


唯「今日和ちゃんには注意されたけど・・・」

唯「やっぱりやめられないよ」

唯「おばあちゃんと、もっともっと、話がしたいもん・・・」

唯「憂・・・またちょっと、出かけてくるね・・・」

ガチャ


唯「いたた・・・」

唯「なんだろ、関節が少し痛む・・・」

唯「まぁいいや、急ごう」



・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


「ゆいちゃん・・・こんばんわ」

唯「こんばんわ!おばあちゃん!」

「毎晩来てくれて、嬉しいねぇ」

唯「おばあちゃんといっぱいお話したくて!」

「そう・・・なら今日も、たくさんお話しようねぇ・・・」

唯「えへへ」


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