「これでようやく一歩お目覚めね」

「そうですね」

「後なん…」

「2分です」

「…一人関係の薄い子が消えたわね」

「可哀想ですよね……最後に自分の運命を知るわけですし」

「“プログラム”としての運命ね…」

「この子、ちゃんと皆にお別れの挨拶できてるでしょうか……」

「その心の余裕があればね…」

「そろそろ梓ちゃん呼んどく?」

「あ、そうですね」




梓「解った…?なにがですか」

澪「もう少しでこの世界も終わるんだ」

梓「…は……?」

澪「信じられないのは分かる。私だって信じたくないよ…」

澪「けど思い出しちゃったんだ。全部…」

梓「ちょっと……何言ってるか全然解んねーです……」

澪「この世界が歪み始めてる…」

澪「梓……もう気付いてるんだろ?」

澪「自分が…仕組まれた存在であることにッッ…………!!」バキバキ

梓「ッ………!」

梓「……そうですよ…。出来れば気付かれずに“あっち”に行って欲しかったです」

澪「………」

梓「でもよかったです。こっちではお別れですが…」

梓「あっちではあなたの妹なんですから」

澪「ああ……」

澪「後輩としての梓と出会ってからの一年……絶対忘れないよ」

梓「私はもう消えちゃいますが……」

梓「あっちに行っても、元気に暮らして下さい」


律「居た!!」

澪梓 !

澪「律!!…に二人も!?」

唯紬「いや、ダレ……?」



澪「そっか…私のこともう忘れちゃったのか……」

律「っていうかお前私達のこと見えて……!」

梓「先輩は全てを思いだしたそうです」

律「オモイダス…?」

梓「そっか……澪先輩と特に関係が深い先輩3人はまだ……」

梓「本来の使命、自分の宿命に気付いてないんですね…」

澪「………」

律「お、おい澪…梓の奴何言ってんだよ……ワケわかんないっての…」

唯「そうだよ……さっきからあの子、何言って…」

唯「あっ、アタマいた………」

紬「私も……なんだか…」

律「おいどうした……!?」

澪「気付き始めたんだ……」

梓「もうすぐ終わるんですね………」

唯「そんな……皆そうだったの……?」

唯「みんなみんな、澪ちゃんの……」ポロポロ

澪「……そう」

紬「嘘よこんなの…」

梓「本当です……私達は全て……」



プログラムされた仮想世界に仕組まれた存在
“データそのもの”に過ぎません



梓「つまり…………」

梓「私達は、澪先輩の見てる夢そのものなんですよ……。思い出しました?」



律「唯…ムギ……こいつ何ワケわかんないこと」

唯「りっちゃん、もう終わりなんだよ…」

律「だから…なにが」

紬「聞いたでしょ……私達は別に死んでなんかなかった…」

唯「ただ“最初から”存在しなかったんだよ……」

律「なにを……」

梓「まだ分からないんですか………」

梓「私達も律先輩も、この仮想世界にプログラムされた―」


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澪「ん………」

梓「あ、お姉ちゃん起きましたよ!?」




―山中クリニック


さわ子「お帰りなさい」ニコ

澪「…………」

さわ子「どうだった?『人生円滑サポートシミュレーションシステム』は?」

和「先生、その名前なんとか短くできないんですか……」

さわ子「助手が口出ししなさんな~」

梓「お姉ちゃん大丈夫…?」

澪「梓……うん、大丈夫」

さわ子「今年から高校生なんでしょ?今回のシミュレーションは役に立ちそうかしら」

和「凄い技術ですよね、たった二時間で二年分の仮想体験が出来るんですから」

梓「この機械でですかぁ……」

さわ子「今回澪ちゃんには、高校入学から、二年時の冬までを体験してもらったけど」

さわ子「大切なお友達はできたかな?」

澪「はい…あの先生、こんなこと訊くのも野暮かと思うんですけど……」

さわ子「なに?」

澪「あの世界で出会った皆は……やっぱり消えてしまうんでしょうか…」

和「………」

さわ子「消える、とは考えない方がいいわ」

さわ子「確かに、今まで二年間一緒だった人だろうから、心苦しいのは解るわ」

澪「…………」

さわ子「だからこそ、最後に皆にさよならを言ってほしかったの…」

澪「…それで最後に現実の記憶を……」

さわ子「まっそういうワケね…」

さわ子「でもその様子なら高校生活も心配なさそうね」

和「秋山さん、きっと直ぐに大切なお友達が見つかりますよ」

澪(和………いや、真鍋さんか…)

梓「お姉ちゃん、あんまり心配する必要なかったんだよ…」



澪「…あの、最後に一ついいですか?」

澪「律………いやあのカチューシャの子は…」

澪(って、こんな事言っても分かるわけないか……)

さわ子「……真鍋さん…」

和「…はい…やっぱり…」

澪「?」

澪「あの、どうかしましたか……?」

さわ子「でるのよ…………」

澪「え?」

さわ子「ウチにはこれと同じマシンが他にもたくさんあるけど……」

さわ子「このBー05番、澪ちゃんが今回使ったこれね…」

さわ子「使ったクランケの方が皆言うのよ……」

さわ子「“カチューシャをした女の子が”って……名前は…」




「田井中律」




澪「……!」

さわ子「そうでしょ?」

澪「……はい…」

さわ子「どうやらこの機械で行うシミュレーションには、必ず『田井中律』と呼ばれる女の子が存在するみたいなの」

和「皆さん、終わった後に必ず言うんですよ、リツ、リツ、って…」

梓「なんか怖いですね……」

さわ子「きっと体験者に強い影響を残すんでしょうね……」



澪「リツ、…タイナカリツ……」

澪「ただの…プログラム……」



幼馴染みのタイナカリツ・・・

小学校時代のタイナカリツ

中学時代のタイナカリツ

高校生のタイナカリツ

バンドを一緒に組んだリツ

バイトをしたリツ…

合宿をしたリツ…

ライブを皆でした…………タ イ ナ カ リ ツ


梓「お姉ちゃん、そろそろ帰ろっか」


…全てはプログラム


和「秋山さん……?」


何度も、何度も違う人の…


さわ子「大丈夫?」


大切な人になってきた……律


梓「ねえ、聞いてるの?」


皆消えていく中……

たった一人で何度も何度も

仮想世界に生きる田井中律……


梓「お姉ちゃん!!」

澪「………!」

梓「ねぇ大丈夫……?」

澪「ごめん……大丈夫だよ」

和(無理もないですよね…本人にしたら何年も向こうに居たわけですから……)

さわ子(そりゃま、まだ少しは混乱するわよ…)

澪「じゃあ私、帰りますね」

さわ子「あ…はい、それじゃあ、今後に活かせるように祈ってるわ」

澪「はい…ありがとうございました」

さわ子「高校生活、頑張ってね」

澪「はい」

梓「じゃ、行こっ」

澪「…うん」

バタン




「次の方どうぞ」




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―季節、春

「じゃあねー」「バイバーイ」

「―なぁなぁ!」

少女「え……私…?」

「君いっつも一人で帰んないでさ、今日は私と一緒に帰ろうぜ!」

少女「あなたは…確か三組のクラスの……」

「あ、名前?」

「私は律、田井中律!よろしくね」



          ―END―





342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:17:31.74 ID:GJ46jhnj0
最後のは澪なの?
それとも夢の中で無限ループか

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:19:07.56 ID:CJNRd4KAO
342
別の患者だろ?

344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:25:10.77 ID:GJ46jhnj0
343
あの機械で別の患者によって作られた作られた夢の中で、
またりっちゃんは活躍している・りっちゃんは無限なの?って言いたかったんだごめん

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:31:30.57 ID:bxP7DCVQO
344
その通りですよ。記憶を再構築された状態で、他人の夢を永遠ループします