唯「……」

唯(和ちゃんが随分遠くにいってしまった気がします)

浜田『なんでやねん!!』

唯「ほんまなんでやねん……」

唯(テレビほど優秀な話し相手はいないかもしれません)

唯「ご飯食べようかな」

唯(練習時間?まだ先に決まってるじゃないですか)

唯「……」モソモソ

唯「……」モグモグ

唯「……」パクパク

唯(美味しい美味しくないじゃありません、お腹空いたら食べる。それだけです)

唯「……」カチャカチャ

唯(やることもないので即座にお皿を洗います。必要以上に念入りです)

唯「……」キュキュ

唯(この音がたまりません)



唯「そろそろ行こうかな」

唯「ギー太、行くよ」

唯(テキトーな服装に素っぴんで出掛けます。今さら澪ちゃん達に気を使う必要ありません)

唯(その良し悪しは知りませんが)



スタジオ

唯「おーっす」

澪「よっ」

紬「お疲れ様」

律「よっしゃ、唯も来たしチャチャッとやっちまおうぜ」

唯「おー、りっちゃんやる気だね」

律「この後飲み会だからさ、遅れられないの」

唯「あ、そうなんだ……」



二時間後

律「んじゃまた大学でー」

唯「ばいばーい」

澪「気を付けてな」

紬「飲みすぎないでねー」

唯(誰もりっちゃんを責めたりしません。それは筋違いです)

唯(まぁ未成年飲酒はいけませんが……)

澪「……」

紬「……」

唯「帰ろっか」

澪「だな」

紬「そうね」

唯(高校の時はここから下らなくも楽しいお喋りが始まったはずです)

唯(しかし段々と減っていき……今では次の集合時間を確認するくらいです)



唯「……」テクテク

紬「……」トコトコ

澪「……」トボトボ

唯(結局私達は私達だけでいるしかないのかもしれません)

唯(皆で一緒の大学へ……それは叶いました)

唯(叶っただけでした。そこから先が空っぽだったのです)

唯(大学は目的を持って行く所、さわちゃんがそんな事をいってた気もします)

唯(さっさと夢でも見つけて頑張れば良いのですが)

紬「……」

澪「……」

唯(口には出さないけど、二人とも似たような気持ちだと思います。りっちゃんの順応性が羨ましいです)

澪「……なぁ、喫茶店でも寄らないか?」



スタバ

唯「高いよぅ」

澪「あと100円は安く出来るはずだよね」

店員「お待たせしましたー」

唯「どもー」

澪「唯のやつ、クリーム盛り過ぎだろ」

唯「澪ちゃんだってこんな時間にアップルパイ食べるくせに」

澪「わ、私は晩御飯まだだからいいの!」

紬「うふふ」

唯(あぁ何だか懐かしい感じがします)

澪「そこ空いてるね」

唯「いっちばーん」

澪「まったく」

紬「あらあら」

唯(まぁこういうノリが受けなかったんですけどね)



唯「美味しーい」

澪「値段とるだけはある、か」

紬「私、友達と喫茶店行くのが……」

唯「……」

澪「……」

紬「……ごめんなさい」

澪「ふぅ……」

唯「正直さ……」

紬「うん……」

澪「……」

唯「……」

紬「……」

澪「……変わろう」

唯「え?」

澪「このままじゃいけないと思う」

唯(澪ちゃんが何を言いたいのかは即座に理解出来ました)

澪「ほら、高校二年の時に私だけクラス違っただろ?」

紬「うん」

澪「まぁ和はいたけど……逆に和がいたから、和に頼りきってなかなか新しい友達出来なかったんだ」

唯「ファンクラブあったくせにー」

澪「それは友達じゃない」

唯(澪ちゃんがガチです)

澪「もうあんな虚しいんだか寂しいんだかよく解らない……不安なだけの毎日は嫌なんだ」

唯「……うん」

紬「そうね」

澪「この年でこんな事言うの恥ずかしいけど」

澪「友達、作ろう」

澪「私ももう律に頼らない」

紬「……」

澪「いい加減、律離れしないとね」

唯(澪ちゃんはそう言って、超無理して笑いました)

澪「あ、でも律が嫌いになったとかじゃないぞ」

紬「うんうん、解ってるわ」

澪「そういえば唯」

唯「ほえ?」

澪「和はどうしてるんだ?連絡とかとってないの?」

唯「あぁ和ちゃん……楽しくやってるみたいだよ」

紬「和ちゃんならどこでもそつなくやれるでしょうね」

唯「うん」

唯(この時私は確信したのです)

唯(桜ヶ丘高等学校は、いかに恵まれた環境だったのかを)

唯(あれほど平和で暖かな学校の方こそ珍しいのです)

澪「じゃあ、頑張ろう」

紬「えぇ、学部の皆に積極的に話し掛けましょう」

唯「うんうん!きっとすぐに出来るよ!」

唯(なんだかんだで皆、寂しくて羨ましくてしかたなかったのです)

唯(三人で頑張れば何とかなる気がします。一人友達が出来たら紹介しあって……輪を広げていけば良いのです)

唯(目標が出来ると足取りも軽いです。あっという間にお家です)

唯「ただいま……だから誰もいないって」

女「……平沢さん?」

唯「わっ!?」

唯(あまりの驚きにこけました。間抜けです)

唯「え、えっと」

女「ちょっとー、同じ学部なのに忘れたの?昼も大学で会ったじゃん」

唯「いや、急だったから驚いて」

女「私もー!平沢さんもここに住んでたんだ?」

唯「女ちゃんも?」

女「私は三階だけどねー」

唯「知らなかった……」

女「この辺に住んでる子、結構いるよ」

唯「へー」

唯(なんだろ、外だと普通に話せる)

女「ね、それギター?」

唯「うん、ギー……」

女「?」

唯(いけないいけない、ギー太なんていきなり言ったらドン引きされます)

唯「高校の時は軽音部だったから、今でも集まって練習してるんだー」

女「えー、聞きたーい」

唯「機会があればねん」

女「あ、そうだ、平沢さん今から暇?」

唯「え、うん暇だよ」

女「何人かで私の部屋に集まって遊ぶんだけどさ、平沢さんも来ない?」

唯「良い……の……?」

女「あ、無理だったら全然いいんだけど、せっかくだし、ね?」

唯「そ、それ、友達も誘って良い!?」

女「いつも一緒の人達?別に良いよー」


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